百花繚乱クロニクルセブン-僕らのセカイとキミのミライ- 作:白鷺 葵
揺蕩う意識の中で、自分は何度も“彼”の姿を目にしていた。黄緑を帯びた金髪に、紫苑の瞳が印象的な青年。
白衣を見に纏っているということは、恐らく自分が生まれるために関わった人間なのだろう――生まれ持って備わった超感覚は、それを瞬時に理解できた。
「やあ。また来たよ」
“彼”は優しく微笑み、自分に声をかけてきた。
“彼”はいつも、自分に沢山の話を聞かせてくれる。本を読み聞かせてくれる。外の世界に関する写真を見せてくれる。その時間が、自分にとって一番楽しい時間だった。
今日は、星空に関する写真が掲載された本を見せてくれた。キラキラ輝く光を指示しながら、“彼”は星の名前を紡いでいく。どこか熱っぽく、柔らかな響きが心地よい。
不意に“彼”がこちらを見上げて目を瞬かせた。一歩遅れて、“彼”の口元が緩む。「今、笑ったのかい?」――それに応える術がないのが、少し歯がゆかった。
精一杯の力を込めて、超感覚を駆使する。幾何かの間をおいて、“彼”は目を瞬かせた。
どうやらきちんと伝わったらしい。青年はゆるりと目を細めた。
「――ふふ。嬉しいな。……心が揺り動かされるというのは、こういうことを言うのかもしれん」
青年は小さくひとりごちた後、こちらに向かって手を伸ばした。“彼”の手は、自分に触れることは叶わない。透明なガラスに阻まれた。
それはこちらも同じだ。ぼんやりとした意識しかない自分では、“彼”へ手を伸ばすことはできない。それが酷く悲しいことのように思った。
伝えるつもりは微塵もなかったが、自身の持つ超感覚は、この感情を“彼”へ伝えてしまったようだ。青年は一瞬沈痛そうな表情を浮かべたが、こちらを力づけるように微笑んだ。
「朗報だ。キミはもうすぐ、ここから出られる。そうしたら、キミに触れることもできるし、抱きしめることもできるようになるよ。……ふふ。早く、この手でキミを抱きしめたいな」
「ここから出たら何をする? キミは何をしたい?」と、青年は自分に問うてきた。紫苑の瞳はきらきらと輝いている。“彼”は、自分と一緒に歩く日々が美しいものだと信じて疑わない。それは、自分も同じ気持ちだった。
“彼”と一緒に、色々な景色を見に行きたい。写真の中でしか見たことのないものを、2人で一緒に見に行けたら――これ程の幸せはないだろう。思い描くだけで心が弾む。自分の想いは相手にも伝わったようで、“彼”はゆるりと目を細めた。
沢山沢山、話をする。時計の針の音がどこか遠く響いた。どれ程時間が過ぎたかは分からないが、2人だけの空間の中へ誰かが割り込んできた。白衣を着た男が、“彼”の名を呼ぶ。やけに不機嫌な男は、自身の腕時計を指示していた。
「ヨツミくん。時間だ」
「ああ、すみません。すぐ行きます。――シラユキ。それじゃあ、また明日な」
不機嫌な研究員に急かされ、“彼”――ヨツミは謝罪の言葉を述べた。ヨツミはすぐにこちらへ向き直り、右手を上げて小さく振ってみせる。“彼”の挨拶だ。
自分――シラユキは、超感覚以外でそれに応える術を持たなかった。自信の超感覚はヨツミに届いたようで、彼は静かに目を細める。そうして、その背中は扉の向こうへ消えた。
『キミの身勝手には迷惑しているんだよ。被検体S-1079に勝手に名前を付けただけじゃなく、毎日あの部屋に通い詰めるだなんて』
遠くから声が聞こえてくる。恐らく、シラユキの持つ能力が自然と拾い上げてしまったのだろう。薄ぼんやりとだが、先程部屋を去った2人の背中が視えた。
『勝手に行動したことに関しては私に非があります。ですが、謝罪は既に済ませましたし、エメル学士から許可は下りています。以後、シラユキの話し相手だけでなく、ルシェクローンたちの名付け親になってほしいとも頼まれました。……何か、不都合なことでもあるのですか?』
渋い顔をした研究員の言葉に対し、ヨツミは涼しげな態度を崩さない。むしろ、自身の邪魔をしようとする研究員に対し、不快感を滲ませている。
以前から、この研究員はヨツミの行動を非難していた。シラユキをはじめとしたルシェクローンの扱いについて、ヨツミと反目しているらしい。
エメル女史の名を出され、研究者は言葉を詰まらせた。エメルはヨツミをはじめとした研究者たちにとって、上司に当たる人物だからだ。
彼女の方針に反抗した研究員は、総じて碌な末路を迎えていない。「常に不機嫌が服を歩いてきているようなものだ」と常々呟いていた件の研究員にしてみれば、エメルは最大の敵であろう。
研究員は何かを言おうと口を動かしていたが、やがて、深々とため息をついた。ヨツミの行動はエメル公認だとなると、そこから彼を責めることはできないようだ。しかし、誰かを責める口実は幾らでもある。
『あいつに余計なことを吹き込むなと言っているんだ。あいつは戦うために生み出された存在だぞ。兵器としての役割を果たせなくなってしまったら――』
『お言葉ですが、□□博士』
ヨツミは、研究員の言葉を遮るように声を上げた。
普段は温和な紫苑の瞳が、鋭い刃のように研ぎ澄まされる。溢れたのは、怒り。
天を衝くのではと思わんばかりの気迫が、年若い研究員であるヨツミから溢れている。
『ひ、っ』
『あの子は生きています。1つの命として、今この瞬間を生きているんです。――それを踏みにじるような言動は、私が許さない』
彼の怒りの奥底にあるのは、柔らかに笑うシラユキの姿だ。成程、ガラスの中にいる自分は、こんな表情を浮かべているらしい。
シラユキのためにヨツミが怒ってくれる――なんて、嬉しいことだろう。胸の奥から溢れたのは、自分の味方でいてくれる人への感謝だった。
たとえ自分が兵器として使い潰される定めであっても、ヨツミが傍にいてくれるなら大丈夫だ。自分のことを想ってくれるヨツミがいてくれるなら。
もう少しだ。もう少しで、ここから出れる。
そうしたら、まず真っ先にヨツミの名前を呼ぼう。手を伸ばして、彼に触れて、抱きしめて、大好きなのだと伝えたい。愛してくれてありがとうと感謝したい。我儘だとは自覚しているけれど、ずっと一緒にいたい。
己の役割を知っているシラユキが願うには、あまりにも大層なものばかりだ。それでも、大好きな人と一緒にいられるなら――ほんの一瞬の間でも、笑いあい、寄り添いあうことができるなら、それは幸福である。
(貴方と一緒に、世界が見たい)
シラユキは、静かに祈りをささげる。
そうして、その日を夢見て眠りについた。
***
ようやく、この日が来た。
シラユキはおっかなびっくり気味に一歩踏み出す。地面のヒヤリとした感覚に身を震わせながらも、それを振り切るようにまた一歩踏み出した。
たどたどしく近づいてくるシラユキを受け止めようとするかのように、ヨツミは腕を広げる。シラユキの大好きな、優しい笑みを湛えて。
大丈夫。迷う必要はない。恐れる心配もない。シラユキは、躊躇うことなくヨツミの腕の中へと飛び込んだ。薬品の香りを吸い込んで、吐き出す。
「ヨツミ、だいすきっ」
たどたどしく紡いだ言葉に、ヨツミがひゅっ吐息を飲む音が響く。間髪入れず、シラユキの背中に腕が回された。そのまま腕に閉じ込められる。
抱擁は優しいけれど、シラユキを離さないと叫ぶが如く力強い。超感覚を使わずとも、彼が微笑んでいることは予測できた。
「私もだよ、シラユキ」
「また、私はキミに心奪われたようだ」――噛みしめるように呟いて、ヨツミはシラユキの額に口づけを贈った。
***
「す……」
『?』
「素敵です……っ! まるで、御伽噺みたい……」
シラユキの話を聞いたウィータが、キラキラと目を輝かせている。彼女の頬は淡く染まっており、恋に思いを馳せていることは容易に想像がついた。アトランティスで顔を合わせたときに比べ、今の彼女はどこか幼さを滲ませている。
それもそのはず、ウィータの年齢はシキたちと同じ18歳だ。本来なら青春真っ盛りな時期である。まだ子どもとして扱われていてもおかしくない。だが、アトランティスで発生した竜戦役によって、彼女は大人にならざるを得なかった。
大人たちの多くが戦地へ赴き、二度と帰ってこなかった。彼女の両親もそうだったらしい。残されたウィータは、弟や仲間たちを守るために水際で戦い続けたのだ。
愛や恋に現を抜かす暇もなかっただろう。昨日まで生きていた仲間が日に日に減っていくような極限状態では、その日を生き残ることで手一杯だったはず。
下層区に巣食っていたメイヘムを倒したことが、ウィータが“らしさ”を取り戻すことができた理由なのだろう。それがとても微笑ましくて、シラユキも目を細めた。
『事実は小説より奇なり、って言うからね。私にとって、ヨツミは王子様だったの。私をずっと守ってくれた。ずっとずっと、助けてくれた。……『他の誰でもない、キミと一緒がいいんだ』って言ってくれたんだ』
当時のことを思い出し、シラユキは胸の前で手を組んだ。体が震えたのは、遠い昔に刻みつけられた痛みがフラッシュバックしたためだろう。――もう二度と、思い出したくないと、思い出すことはないと思っていたのに。
抵抗することも逃げることも叶わず、悪意と欲望の捌け口にされ続けた日々。人として、あるいは女性としての尊厳をズタズタに引き裂かれて、踏みにじられ、嬲られた。
「兵器としての役割を果たせないのだから当然だ」と、シラユキを嗤った研究員の言葉は未だ消えない。奴は表に出さなかっただけで、女性への支配願望が強かった。
奴の性癖もそれを反映していたし、シラユキの弱み――件の研究員に無理矢理関係を持たされたこと――を握って、何度も脅してきたことが証拠だ。
「綺麗じゃなくなったお前を知ったら、お前の大好きな那雲ヨツミはどうするんだろうな」――奴からそんな風に脅されてしまえば、シラユキは泣き寝入りする以外なかった。
奴に嬲られることは屈辱だし苦痛でしかなかったけれど、ヨツミにすべてを知られた挙句、一緒にいられなくなってしまう方が何倍も怖かった。恐ろしいことのように思っていた。
(……でも、今思えば、もっと早くヨツミに助けを求めればよかった。あの人を信じればよかった)
シラユキはひっそりと自嘲し、自分の左手薬指を見る。彼から贈られた指輪は、あの頃から変わらず輝いていた。極限状態から解放され、冷静に考えれば、自分が視野狭窄に陥っていたことはよく分かる。
那雲ヨツミは、シラユキを決して裏切らない。彼はシラユキを愛してくれた。悪意と欲望に穢された体も、ズタズタにされた心も、丸ごと受け入れてくれた。自身がいくら傷だらけになろうとも、シラユキに寄り添い、守り抜いてくれた。
那雲シラユキにとって、那雲ヨツミは王子様だ。文字通りの救世主で、心の支えであり拠り所だった。シラユキの晩年――黒呪病の進行で弱っていく中でも、彼が傍にいてくれたから、穏やかに笑っていられたのに。
『私にとって、ヨツミはすべてだったの。病気の関係で私の方が先に逝っちゃうとばかり思ってたし、ヨツミも私を見送る気満々だったから、お互いに油断してたんだろうね』
「油断、ですか?」
『うん。……人間の死因が、病気だけじゃないってことをすっかり失念してた。死ぬ順番が逆になるってことも有り得るのに』
ウィータは聡明な子だから、シラユキが何を言いたいのか理解したのだろう。彼女の金色の瞳には、薄暗く笑うシラユキの姿が映し出されている。
『あの人が殺された後、私が死ぬまで、2か月もかからなかったらしいよ。……その間の記憶、一切残ってないの』
「…………」
『ミカゲが言うには、“目が覚めてるときは人形みたいに微動だにしなかったし、眠っているときはずっと『ヨツミを返して』って魘されてた”んだって』
「……それ程までに、ご主人を愛していらっしゃったのですね」
胸の前で両手を組んで目を潤ませたウィータの言葉に、シラユキは静かに頷いた。己の人生は、最初から最後まで、那雲ヨツミという男に彩られたものだった。文字通り、“運命”という劇的な要素に結ばれていたように思う。
それ故に、シラユキやヨツミは、恋愛に関する運命というものを信じていた。徹頭徹尾“綺麗な恋愛譚”ではなくても、互いを想い合えた時間は確かに存在していたのだ。幸せな夫婦がいたことも事実だし、不幸な夫婦がいたことも事実だ。
清濁ひっくるめて、那雲シラユキは己の人生を「幸福だった」と定義する。愛する人に会えて、愛する人と共に手を取って生きた。死した後も共に在れた。
そうして、今、自分の孫や戦友の孫たちと共に、世界を救うために戦っている。孫たちの成長を見守り、彼女たちの力になれるのだ。これを幸せと呼ばずして何という。
シラユキから話を聞き終えたウィータは、どこか夢心地の様子だった。金色の瞳は、何かに思いを馳せるかの如く天を仰いでいる。大方、シラユキの語った“運命”にだろう。
『ウィータにも、“運命”を信じられるような人がいるの?』
「っ!?」
シラユキの問いに、ウィータはぎくりと身を震わせた。色白の肌が真っ赤に染まり、金色の双瞼が所在なさげに彷徨う。
どうやらビンゴらしい。その表情が微笑ましくて、シラユキは思わず頬を緩ませた。
生温かい空気に耐え切れなくなったのか、ウィータは何かを言おうと眦を釣り上げ――
「――姉上に、男ができただと……!?」
大地の底から轟くような声によって、ウィータの言葉は封じられた。見れば、極限まで白が多い三白眼になったモルスが短剣を握り締めている。
青く輝く剣には凄まじいマナが迸っていた。禍々しい赤を纏った光は、おそらく『ウィータが思いを寄せる“誰か”』へ向けたものなのだろう。
モルスの鬼気迫る形相は、明らかに殺意で満ち溢れていた。翡翠色の瞳は、件の相手を完膚なきまでに叩きのめすという意志で燃えている。
「モルス! 貴方、一体何をするつもりですか!?」
「姉上、一体どこのどいつなんです!? 姉上を弄ぶそのクソ野郎は!? 出て来い不届き者め! エグゾーストブレイブソードブチかましてやる!!」
「貴方、刺し違えてでも息の根を止めるつもりでしょう!? やめなさい!」
マナが込められた短剣を振りかざす弟を、鎌を持った姉が羽交い絞めにする。力関係では弟が優勢だろうが、恋する乙女を舐めてはいけないのだ。部屋を出るまでに、あっという間に姉優勢になる。
「止めないでくれ姉上ェェェ!」「落ち着きなさいと言っているでしょう!? いい加減になさい!」「ぐぇぅッ」――遠くなる喧騒が最後に伝えたのは、ウィータがモルスを力技で黙らせた瞬間であった。
それと入れ違いに、ヨツミが部屋に戻ってくる。彼はクリュティエ姉弟のことを気にしていたようだが、すぐにシラユキの方に向き直った。
彼はシラユキの隣に腰かけた。こちらを見つめる紫苑の瞳はどこまでも柔らかで優しい。宝玉に魅せられるように、シラユキはヨツミにしな垂れかかった。
最初からすべてを予期していたみたいに、ヨツミはシラユキを腕に収める。フード付きのパーカーから漂う薬品の香りが鼻をくすぐった。
『ヨツミ』
『どうした?』
『誰にだって、運命はあると思うんだ』
愛おしい人の腕に包まれている幸福を噛みしめて、シラユキは笑う。
『シキやイノリたち、ウィータやモルスにも、素敵な運命が訪れるといいね』
『……そうだな』
ヨツミも頷いて、シラユキに寄り添う。
互いの温もりが心地よくて、愛おしくて、シラユキはゆるりと目を細めた。
『――この心拍が枯れるまで、彼らが幸せでありますように』
囁くように呟いて、シラユキは祈る。ヨツミも同じ気持ちだったらしく、抱擁がより一層強くなった。
■■■
ノーデンス・エンタープライゼスは、社員を使い潰すことで成り立っているような超絶ブラック企業である。チカは確証を持っていた。
サービス残業当たり前、会社に缶詰泊まり込みは当然のこと。ノルマが終わるまで帰れません帰させません、ノルマ消化後に仕事追加も日常茶飯事だ。
そんな企業方針だから、多くの社員やパートアルバイトが倒れた。それでも、会社の経営方針は
求められることはただ1つ。躊躇うことなく、立ち止まることなく、ひたすら前進し続けること。ただひらすらに、飛躍を続けることだけだ。飛べない鳥、あるいは飛べなくなった鳥には用がない。
飛べない鳥という例えは、ある意味で自分たちにも当てはまる。用がないとされる存在にカテゴライズされているにも関わらず、未だに飼い殺されているのは、まだ使用価値があるためだ。
「仕事、仕事ー! 仕事は本当に楽しいなー!!」
「…………もうムリなのです…………」
リッカがヘタクソな歌を歌う。確か、曲名は“楽しい社畜ライフ”だろうか。徹夜明けの頭では、もうまともに思考することなど不可能だ。
チカは虚ろな気分で書類と向き合っていた。急な仕事――主にフロア改修が追加されたためである。用途は資料室、スカイラウンジ、アトランティスの避難民受け入れだ。前者2つはすぐに改修できたが、後者はまだ未定である。
アトランティス避難民の受け入れが実施されるか否かは、明日の交渉にかかっている。女王ウラニアに「避難民の保護と引き換えに竜殺剣製造を依頼する」作戦のため、フロア改修が始まるのは、交渉の結果次第なのだ。要するに未定であった。
だが、その分の資材と場所はきちんと確保しておかなくてはならない。チカは現在、各種の改修手続きでヒイコラ言っていた。今日は布団で寝れると思っていたので、それが遠のいたと確定した瞬間といったら、ない。
それが自分の仕事なのだ。唸りながらも、チカは必死になって己を奮い立たせる。
自分には逃げることなど許されない。こんなことは、早く終わらせてしまいたい。
「やらなきゃ、終わらないのです……。終わらせるためにも、仕事をしないと……ううう……」
いつもと変わらぬデスマーチ。なのに、どうしてか、涙が溢れてきた。泣いている暇なんてないのに。
辛い、苦しい、もう嫌だ――普段は押し殺していた感情が、堰を切ったように溢れ始める。
「チカ? ……大丈夫か?」
カウンター越しに聞こえてきた声に、チカは思わず顔を上げる。目の前には、小さな風呂敷包みを抱えたソウセイがいた。慌ててチカは涙を拭う。
「な、なんでもないのです。ちょっと、頑張りが報われなくて辛いなと思っただけなのです」
「……もしかして、フロア改修の申請のせいか?」
大量の書類を見て、ソウセイの表情が曇る。改修セクションにフロア改修を申請したのは、他ならぬソウセイだからだ。
彼にそんな顔をさせてしまうのはチカの本意ではない。仕事をしている以上、休みが潰れることは仕方がないのだ。
チカは慌てて弁明しようとしたが、ソウセイが頭を下げて謝罪する方が早かった。紫苑の瞳は悲しそうに揺れている。
嫌な沈黙が広がる。折角、ソウセイが声をかけてくれたというのに。
チカがおろおろしていると、ソウセイは何とも言えない顔をして風呂敷包みを解いた。そこから姿を現したものに、チカの目線は釘付けになった。
一口サイズの和菓子だ。紫陽花を象ったもの、西瓜を象ったもの、夏の夜空をイメージしたもの、清流で泳ぐ魚の様子を象ったもの――どれも、夏の風物詩を取り入れたものだ。
「疲れたときには甘いものだと言うだろう? ……和食しか作れないから、こんなものしかできなくてな」
「……これ、ソウセイの手作りなのですか?」
「ああ」
ソウセイは静かに頷いた。
……確かに、ソウセイは「和食しか作れない」と言っていた。言ってはいたが、まさかこんな和菓子が出てくるとは思わなかった。しかも手作りである。
何も言われなければ、高級和菓子店で売られている商品と見間違ってもおかしくない出来栄えだ。チカは思わず感嘆のため息をついた。
「……仕事を増やした詫びに足りないと言うのは承知しているが……」
「そ、そんなことないのです!」
落ち込んでしまったソウセイに対し、チカは思わず声を張り上げた。チカが大声を出すとは思っていなかったようで、ソウセイは目を瞬かせる。
驚かせてしまったことに謝罪して、チカはもう一度和菓子の詰め合わせを見つめた。どの和菓子も美しい見た目だ。見ているだけでも心が弾む。
「……見てるだけでも、なんだか元気が出てくるのです」
「そうか」
「はい。今日はもうちょっと、頑張れそうな気がしてきたのです。ありがとう、ソウセイ」
チカは微笑み、和菓子の入っている箱を受け取った。中に納められた和菓子が宝石ならば、さしずめこの箱は宝石箱である。そんな煌びやかなものとは無縁だと思っていた分、じわじわと込み上げてくるものがあった。
和菓子を受け取ったことに安堵したようで、ソウセイはふっと目を細めた。口元はマスクで覆われているけれど、多分、嬉しそうに綻んでいるのだろう。
その様子を思い浮かべるだけでも、チカの疲れが一気に吹っ飛ぶ。リッカではないけれど、今日は何が起きても仕事を成し遂げられる気がしてきた。
ソウセイはチカに会釈し、自室へと戻っていく。その背中を見送った後で、チカは和菓子の入った箱へと視線を戻した。
さて、どれから食べよう。どの和菓子もきらきらと煌めいていて、何と言うか、食べるのが勿体ない。
仕事を始める前に1つ食べようと思ったのだが、本当に悩ましい。ううむ、とチカは唸る。
「仕事、仕事ー! 仕事は本当に――ああっ、チカ!」
「リッカ……!」
「何してるの、手が止まってるよ!? 差し入れを食べるのは仕事が終わった後なの! これは没収だよ!」
「だ、ダメなのですっ! これは、ソウセイがチカのためだけに作ってくれたものなのです……! このお菓子が、今日の仕事を終えるか否かの生命線なのです……!」
悩んでいたせいで、手を止めていた現場を片割れに見つけられる。ワーカーホリックでチカのことなど眼中にないと思っていたのに、なんでこんな時に限って見つけるんだ。
取り上げようと手を伸ばしてきたリッカから、チカは必死になって和菓子を庇う。特に後者――“今日の仕事を終えるか否かの生命線”を強調すれば、リッカは渋々離れた。
「ちゃんと仕事をしてよ? 絶対だよ!」と念を押して、リッカは仕事へと戻った。相変わらずヘタクソな歌を歌いながら、彼女は恐ろしいペースで仕事を片付けていく。
チカは差し入れの和菓子へ視線を戻す。散々葛藤した後で、紫陽花を象った和菓子を選んだ。一口サイズの紫陽花を、チカはわざと少しづつ咀嚼した。餡の甘みがじんわりと沁み込んでいく。今度は違う意味で涙が出そうだ。
この仕事が終われば、箱の中で宝石の如く煌めく和菓子たちを食べることができる。どの和菓子も美味しいに違いない――チカは自己暗示しながら書類と向き直る。
書類は相変わらず山積みになっていて、心が折れてしまいそうだ。己を奮い立たせるように、チカは和菓子の入った箱へと視線を向ける。整然と並んだ和菓子が煌めいた。
「――よし」
チカは気合を入れるように手を叩き、ペンを取った。
仕事を片付けた後、この和菓子を食べる未来を手にするため。
ひいては、この和菓子の感想をソウセイに伝えるために。
***
「……美味しい……」
和菓子特有の上品な甘さが、酷使した頭と体に沁みわたる。それだけで涙腺が刺激されてしまうあたり、自分は相当崖っぷちにいるのだと
現在、深夜の1時過ぎ。ようやくノルマが片付いた。今回は珍しく、仕事の追加はないらしい。これ幸いと言わんばかりに、チカは和菓子を食べている。ささやかな至福の時だ。
仕事が足りないと喚き散らしていたリッカも、「じゃあ、後は休むのが仕事だね」と渋々自身に言い聞かせて仮眠室へと消えていった。我が片割れながら、難儀な奴である。
誰からも咎められることなくアフターを過ごせるなんていつぶりだろう。
それは、つい数時間前に思い浮かべていた未来そのものだった。
和菓子の甘さと共に、望む
「幸せには縁遠いと思っていましたが、それを齎してくれる相手は、とても近いところにいたのですね……」
ソウセイがくれるもの1つ1つが煌めいていて、愛おしい。彼から何かを受け取るだけで、チカは夢を見ることができた。その瞬間だけは、
いつだったか、リッカが披露した営業トークの中に『マザーグース』の詩に因んだ話があった。確か、「女の子はお砂糖、スパイス、素敵な何かでできている」だったか。
自分には無縁だとばかり思っていた詩だが、今ならそれが身近なものだと言える。幸か不幸かと問われれば、チカは口を噤んでしまうだろう。喜ばしいことでもあるし、
この痛みを抱えるのがチカだけなら別に構わない。かけがえのない時間を貰い、夢を見ることができたのだ。その代償なのだから、チカが我慢するのは当然と言える。
けれど、もし。代償の矛先が、チカだけで収まらなかったら――チカに沢山のものをくれた張本人であるソウセイに向かってしまったら。……それは、嫌だ。
「――チカ。ああよかった、まだ起きてたんだな」
そんなことを考えていたとき、不意に声をかけられた。顔を上げれば、小さなタッパーを持ったソウセイが目元を綻ばせていた。
口元はマスクで覆われていて見えないが、恐らく笑っているのだと思う。一度見ただけだというのに、彼の笑顔を頭の中で再生できる自分自身に驚愕した。
ソウセイはタッパーを指示す。何事だろうと視線を向ければ、中には湯気を漂わせたおにぎりが詰め込まれていた。紫蘇と梅の香りが鼻をくすぐる。
「それ、どうしたんですか?」
「作った。……やはり、あれでは仕事を増やした詫びにならないと思ったから」
ソウセイは罰が悪そうに視線を彷徨わせた。あまりの言葉に、チカは絶句する。
「……わ、わざわざ作ったんですか……!? そのためだけに、こんな時間まで……!?」
「一応睡眠はとったぞ」
「で、でも……! 悪いです、こんなにしてもらって……」
「俺が勝手にやったことだから気にするな。……それとも、迷惑だったか?」
「そんなことないのです! 凄く嬉しい……のです。だから、その……い、いただきます」
正直、ソウセイが捨てられた子犬みたいな目をするとは思わなかった。それに押し切られるような形で、チカはおにぎりを手に取る。熱すぎず、かといって完全に冷たくなったわけではない。丁度、食べやすい温度だ。
紫蘇と梅の香りが食欲をそそる。和菓子だけでは足りなかったらしく、チカの腹の虫が鳴いた。それを聞いたソウセイは目を丸くしたが、微笑ましそうに目を細めた。正直恥ずかしい。チカは誤魔化すようにしておにぎりを口に運んだ。
程よい塩加減。噛めば噛むほど、酸味と塩味が絶妙なハーモニーを奏でる。がらがらだったお腹が満たされていく感覚に、チカは思わず息を吐いた。
体が求めるがままに、チカはおにぎりを口に運ぶ。ものの数十分で、タッパーの中のおにぎりは空になった。
ごちそうさまでしたと手を合わせれば、お粗末さまでしたと返事が返ってくる。そんなささやかな出来事が、チカの胸を満たした。
「それじゃあ、おやすみなさい」
「ああ。おやすみ、チカ」
挨拶を交わし、チカは仮眠室へ向かう。ソウセイは自室に戻って、休息の続きを取るのだろう。
明日から、また仕事だ。様々な食事の差し入れも、彼との語らいも、まだまだ積み重ねられていくのだ。
――
(どうか、どうか。……私の心拍が、枯れるまで――)
誰も聴き届けることがないと分かっていても、尚。
チカは、願わずにはいられなかった。
■■■
待ち人が来たのは、カフェテラスが閉まってから数時間が経過した後――時計が深夜2時近くを指したときのこと。デスマーチで残業している
アリー・ノーデンスは珍しく真顔である。半ば船を漕ぎだしたの受付嬢に、“花見の件”の伝言をしてきた人間の行方について訊ねた。うつらうつらしたまま、受付嬢は青年の姿を探す。彼女はすぐに青年を見つけ、指さした。
受付嬢に礼を言ったアリーがこちらへ歩み寄ってきた。床を蹴る靴の音が、どこか焦燥を滲ませているように聞こえる。薄らと開眼した紫の瞳は、計画に横槍を入れるであろう存在――青年を射抜いていた。
「アリーに会いたいと言うのは、キミのこと?」
「そうだね」
剣呑な眼差しが突き刺さる。そんなアリーを、青年は懐かしさと親しみを込めた眼差しで見返した。
敵意を滲ませていたアリーが、ほんの一瞬、目を見開いた。驚いたように瞬きを2回繰り返し、今度は興味津々の眼差しでこちらを眺める。
「……キミ。どこかでアリーと会ったことない?」
何か確証を得ているけれど、それは是非とも青年の口から聞きたい――細められた瞳は、そう訴えている。
「“俺”は、“アンタ”に会うのは初めてだよ。アリー」
青年はニヤリと笑いながら、自信満々にうそぶいてみせた。青年の答えはアリーのお気に召したのか、彼女はぱあっと表情を輝かせた。
子どものように無邪気な笑みは、段々と恍惚とした笑みへと変わる。成長こそ愉悦と語るアリーにとって、青年の存在は嬉しいものだろう。
彼女のテンションが上がって
青年は、受付嬢に残した伝言をそのまま口にした。
「“千鳥ヶ淵の、花見の件”。――さっきみたいに深く考えなくていい。文字通りの意味だ。……アンタ、花見好きだろ?」
「――うん! 夜のお花見も楽しそうだねっ☆」
青年の眼差しに込められた意味を正しく理解したようで、アリーはこれ以上ないくらい嬉しそうな笑みを浮かべた。
呻きながらデスマーチに励む
大声を出してはしゃぎそうなアリーを制するのは、本当に大変だった。
***
花満開の千鳥ヶ淵を見たアリーは、まるで子どもみたいにはしゃいで野原を駆け回った。年甲斐もなく声を上げて笑う様子に、ため息が出たのは気のせいではない。
暫し駆けずり回った後、満足したらしい。アリーはその場に腰かけて、青年に向けて手を振る。呼ばれているのに逃げる理由はないので、青年は彼女の隣に腰かけた。
「単刀直入に訊くけど、キミ、
「ああ」
「…………あらー、やけに素直ね。あなたの性格上、ゼッタイ御託を並べて理論武装すると思ったのに」
「誤魔化す理由はないからな。まあ、そういう意味では成長したと言ってくれ」
半眼でこちらを見ていたアリーだが、一応、彼女なりに納得してくれたようだ。成長は愉悦だと笑いながら、彼女は手近に咲いた花をかき集める。
「キミは未だに成長し続けている。しかも、これ程
「お褒めいただき光栄だよ、アリー・ノーデンス。命育む2番目の慈母。命への愛を貫くために、己の命すら食物連鎖に放り込む極論をぶち建てるアンタに褒められるってことは、俺も相当なところにきちゃったってトコかな」
「……あれ? なんだか、前会ったときよりキレがないよ? まさか退化しちゃった!?」
「…………『成長した結果、語彙力が貧弱になりました』とだけ」
「なんで!?」
「そんなの成長じゃない!」と叫び散らすアリーは、ノーデンスのCEOでもなければ極北の2番目を冠する慈母ですらない。不快なものを目の当たりにした子どもと同じ反応だった。
進化する手段の中には「結果的に退化する」ことも含まれているのを、彼女は知らないのだろうか。それを説明したところで、進化こそ至高なアリーが納得するはずがないか。
素直に吐くのが吉かと思ったとき、突如、青年の真上から花が降り注いだ。見れば、アリーがその辺から集めた花で即席フラワーシャワーなるものを作ってくれたようだった。
「なにこれ?」
「頑張ったで賞。あらゆる意味で
アリーはどこか寂しそうに微笑む。遠いものを見つめる紫水晶の意味を、それに込められた理由を、青年はよく知っていた。
成長が大好きな彼女が“7番目のために礎になる”という計画を推し進めるのに、躊躇いがなかったわけではない。
命を失うということは、成長し続ける姿を見れないことと同義だ。故に、命がたどり着く先を、彼女はいつも見届けることができない。
母親が子よりも先に死ぬとき、我が子の行く末を憂うものだ。もっともっと見たいものがあったと叫び、嘆くものだ。アリーはいつも成長に喜びながら去って逝くけれど、本人が口に出さない――あるいは自覚できない――だけで、どこかではそんな寂しさを抱いていたのだと思う。
彼女が去るとき、彼女はいつも“子どもたち”から否定されていた。「その愛の形は受け取れない」と拒絶されても尚、アリーはそれを貫くことしかできない。そんな愛のカタチしか知らないからだ。神の愛は、下位生物にとっては毒にしかならないためである。
文字通り、すべてを捧げて愛していた子どもから否定されて、何とも思わない母親はいない。手渡した善意が振り払われたとき、多くの知的生命体は反感を覚える。自分はこんなに相手を想っているのに、と、声を荒げてもおかしくないはずだ。声に出さずとも、どこかで悲しみが燻っている。
「なんだろうなぁ。キミを見てるとね、誇らしいと同時に、ちょっとだけカナシイんだ」
「アリー」
「……おかしいね。成長と進化は最高の愉悦なのに。もしかしたら、アリーも退化しちゃったのかも」
忌避すべき事象が自分に発生しているかもしれないと呟く慈母の横顔は、どこか憔悴しているように見えた。
“完全なる生命体を自称する存在に、欠陥なんて存在しない”という前提が崩れている。アリーは明確に気づいている訳ではなさそうだが、どこかでそんな予感はあるのだろう。
極北に至った6つの命の中で――比較的ではあるが――彼女は柔軟な思考の持ち主だからだ。……まあ、行動はアレだが。青年はひっそりとため息をつき、片手間に動かしていた手を止めた。作業が終わったためである。
「進化するために、命は最適化される」
「そうだね。それが命の真理だ」
「最適化するために、必要ないものは切り捨てられる」
「当たり前のことだね。それで、何が言いたいの?」
首を傾げた我らが慈母様に、青年はぼすりと花冠を被せる。眼鏡越しの紫水晶は、真ん丸に見開かれた。
「つまり、退化も進化の1つだよ。アリー」
「…………」
「嘗てアンタが“極点へ至るために切り捨てたもの”に気づき、認識し、理解した。――それは、紛れもない成長だ」
青年の言葉がきっかけになったのか、アリーの表情が引きつった。自分に何が起こっているのか、頭と心の理解がまだ追いつかないのだろう。
彼女が自覚していなかっただけ――あるいは目を逸らし続けていた事象を突きつけられて、完全だった“自身の在り方”が揺らいだのだ。
「あれ? あれ?」と紡ぐ声は、困惑で震えている。天下の慈母様も、こんな表情を浮かべることがあるらしい。青年は静かに目を細めた。
「……おめでとう、
長らく伝えられなかった未練は、青年自身が思う以上に、簡単に口から零れた。
こちらを見上げたアリーは紫水晶の双瞼を大きく見開いた後、思い切り体当たりをかましてきた。
攻撃の威力に逆らうことなく、2人はそのまま花畑の中に倒れこむ。互いの瞳は、獲物を逃さないと言わんばかりに研ぎ澄まされていた。――場違いなほどに、甘ったるい空気を孕みながら。
「――ここまでやったんなら、責任とってよ。それくらいは成長してるでしょ?」
「お任せを。アンタの心拍が枯れるまで見守りますよ? アンタの花道を盛大に飾ってやるし、誰にもそれを汚させはしない」
「私が育てた子がこんなに立派になって! アリーはとっても嬉しいなー」
「俺としては、子ども扱いはもう嫌なんですけどー。できれば対等がいいなぁ」
「んふふー、言うようになったねー。下剋上はいつでも大歓迎だよー?」
「わぁ寛大。じゃあ早速」
「わぁ大胆☆ お手並み拝見だね!」
軽口を叩き合いながらじゃれ合う。噛みつかんばかりのそれは、さながら獲物を捕食する肉食獣のようだ。いや、実際、そういう意味も込められている。
極点に至った命が導き出す、歪で不格好な愛のカタチ。きっと、完璧だと思いこんでいただけの不器用な命と、永遠に未完であり続ける命には相応しい。
花は咲き誇り、星が瞬く。空の向こうが僅かに白み始めているのを感じながら、下剋上と洒落こむ。この場に咲いた花だけが、互いを貪り合う命の饗宴を見つめていた。
切れ端状態だったお話に丸々加筆修正したお話。結果、全体的にお砂糖過多になりました。極め付けとして、アリー社長のキャラクターがぶっ壊れる始末。全国の社長ファンのみなさま、本当にごめんなさい。
改定前では触れられていなかったシラユキ(=那雲夫婦のアレコレ)とクリュティエ姉弟、改定前の場面に+αを加えたソウセイとチカ、書き手も理解不能な境地にたどり着いてしまったアリーと誰かさんの3本建てです。
これにてChapter2.5は完結。漸く改定前の時間軸に追いつきました。次回からはChapter3、原作における金ぴか真竜との決戦へと向かいます。きっと、今まで以上の困難が待ち受けていることでしょう。みんなの行く末を、生温かく見守って頂ければ幸いです。