百花繚乱クロニクルセブン-僕らのセカイとキミのミライ-   作:白鷺 葵

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・一部のキャラクターに対して酷い言いがかりを向ける場面がありますのでご注意ください。但し、書き手にアンチ・ヘイトの意図はありません。
・人によってはアンチ・ヘイトに見えるやり取りが発生します。ご注意ください。但し、書き手にアンチ・ヘイトの意図はありません。


暗躍する気配

 水のせせらぎの音が響き渡る。メイヘムを倒したことで、クラディオンの地下水脈は完全に浄化されたらしい。集落周辺の水も、一点の濁りなく澄みきっていた。

 心なしか、この集落――クラディオンも、初めて足を踏み入れたときより活気づいているように思う。建物は相変わらずボロボロだったが、すれ違う人々の目は爛々としていた。

 

 

「メイヘムを倒したことが、集落の人々の心に希望を灯したのでしょう。……我々だけの力では、それを成し遂げることはできなかったと思います」

 

「アンタたちが東京から来てくれたおかげだよ。本当にありがとな!」

 

 

 ウィータは穏やかに微笑み、モルスは満面の笑みを浮かべて礼を述べた。イノリは慌てて首を振る。

 

 

「お礼を言われるにはまだ早いよ。本当に倒さなきゃいけない敵は、まだ潜んでるんだから」

 

「だな。俺たちの目的は、第3真竜ニアラの打倒と検体入手だ」

 

「この時代のニアラは、嘗て私たちの時代に現れたときとは違って完全な状態なんでしょう? 気を引き締めないとね」

 

 

 イノリの言葉に、ソウセイとシキが同意した。

 

 メイヘムを倒したのは『竜殺剣を手に入れるために必要な鍛冶場を取り返すため』だ。倒れたユウマに代わってイノリたちが戦い、勝利をもぎ取ったのは事実である。だが、文句なしの快勝と言い切るには疑問が残る結果であることも事実だった。

 真竜は、帝竜よりも遥かに強い。2020年に襲来してきたニアラの強さは、今でも記録に残されている。右翼を切り裂かれた不完全な状態だったにも拘わらず、奴は祖父たちを追いつめた。奴との戦いで負った傷のせいで、旧ムラクモ13班の面々は著しく弱体化した程だ。

 今回、アトランティスを滅ぼさんとしているニアラは、右翼を有した完全体である。不完全なデータしか残されていないという意味で、全盛期ニアラの能力は未知数だ。少なくとも、メイヘムとは比べ物にならないことは確かだった。

 

 

「みなさんの言う通りですね。ニアラの恐ろしさはよく知っています」

 

「そんな状況であっても、リヒトは凄いよなァ。ミオとデートの約束までしてるんだし。恋人同士、愛の力は無限大ってヤツ?」

 

「モルス。あの2人は付き合ってすらいませんよ?」

 

「えっマジなの!? どこからどう見ても交際ウン年のカップルにしか見えねーよ!?」

 

 

 会議室での会話を思い出しながら、モルスはちらりと後ろに視線を向けた。名指しされたリヒトは、どこか仄暗さを宿した険しい表情を浮かべていた。

 彼は顎に手を当て、ブツブツと何かを呟き続けている。気のせいでなければ、「首を挿げ替える」なんて物騒な言葉が漏れたように思った。

 

 それを目の当たりにしたモルスは「うげぇ」と呟き、助けを求めるようにイノリたちへ視線を向けた。翡翠の瞳は、助けてくれと訴えている。イノリたちは顔を見合わせた。

 ……正直な話、あそこまで牙を向くリヒトを見たのは珍しいことである。余程、会議室の一件――ミオに対するヨリトモの態度――が尾を引いているのだろう。

 確かに、ヨリトモはフレンドリーな性格とは言い難い。特に、ミオに対しては人一倍つんけんしていたように思う。普段とは違い、敢えて冷たくしている印象を受けた。

 

 

(……でも、解せないなぁ。ヨリトモさんとミオは、あの会議室が初対面のはずなのに……)

 

 

 ヨリトモが以前にミオと会っていて、そのときに何かがあったのなら、彼の態度にも容易に説明がつく。しかし、2人にはあそこで会う以前の面識はない。それは、ミオの様子――初対面の相手に対する自己紹介――からも明らかである。

 初対面の第一印象に何かあったのだろうか。イノリは会議室の一件をもう一度思い出してみる。アリーから促され、ミオが自己紹介。少なくとも、ヨリトモが突き放すような態度をとる原因になりそうな要素は見当たらない。謎は益々深まるばかりだ。

 

 イノリはちらりとリヒトに視線を向けた。相変わらず、リヒトは悍ましい形相を浮かべてブツブツ何かを呟いている。

 

 

「……あの眼差しには何の意図が……まさか、性癖絡み? だとしても……だが……やはり首を挿げ替えるべきか……」

 

 

 本気だ。リヒトは本気で、ヨリトモを社会的に殺すための算段を立てている。

 「命を奪わないだけマシな目にあわせる」と締めくくり、リヒトは顎に手を当て思案し始めた。

 薄暗い笑みを浮かべているあたり、その計略は碌でもないことであろう。イノリは薄ら寒さに身を震わせた。

 

 そんなリヒトの姿を見て何か思うところがあったようで、ミカゲが深々とため息をつく。

 隣でハラハラしているマサハルに、視線だけ向けて問いかけた。

 

 

「なあ、マサハル。東雲の系譜を継ぐ奴らって、どうして()()()物騒なの?」

 

『そんなの俺が知りたいよ……。ヒイナは欲望にまみれてるし、アイツは欲望のほかに人外趣味入ってるし、末孫はものの見事に真っ黒だし! 本当にもう、どうしたらいいのか……』

 

「いや、お前も相当だよ? 反ムラクモ派の議員が俺たちに嫌がらせしてきたときのこと、忘れたとは言わせないぞ」

 

 

 ミカゲは眉間に皺を寄せた。紫水晶の瞳は、より一層研ぎ澄まされる。

 

 

「その議員は、ある日を境に嫌がらせを止めた。そして、自身の不正をすべて公表し認めた後、『ごめんなさい許して死にたくない』と延々と繰り返すだけのスピーカーになって精神病棟にぶち込まれたんだ。そいつ、お前が見舞いに来る度に発狂して泣き叫んでたよな。――……お前、何したの?」

 

『…………』

 

 

 眼鏡のレンズ越しに見えた鋭い瞳は、深淵の闇のように思える。普段の――苦労性を滲ませた苦笑いを浮かべていることが多い――マサハルからは、想像できない表情だ。

 マサハルが浮かべている表情は、碌でもない計略を練るリヒトと通ずるものがあった。彼は無言を貫いている。ミカゲは肩をすくめた後、それ以上の追及はしなかった。

 闇を暴かれることがないと理解した途端、マサハルはすぐに苦労性を滲ませた横顔を浮かべてため息をつく。昏い影と鋭い瞳は鳴りを潜めていた。切り替えの速さに脱帽する。

 

 やはり、マサハルとリヒトは血縁者だ。2人の態度を記憶に照らし合わせた上で、イノリはひっそりと納得した。

 「自覚がないというのは幸せだな。……いや、自覚しててやってるのか? マサハルだし」等とミカゲはひとりごちている。

 

 そんな雑談に興じながら、イノリたちはクラディオン中心部にある広場へと足を踏み入れた。トグラウとエーグルをはじめとしたクラディオンの住人や、先にこの地へ足を踏み入れたISDFの3人――ヨリトモ、ユマ、ユウマたちが勢揃いしている。どうやら自分たちが最後らしい。

 

 

「重役出勤お疲れ様。ここまで時間をかけたんですもの、準備は万端以外の何物でもないわよね?」

 

「やめてください。大人げないですよ、ユマ。イノリたちに失礼です」

 

「遅くなって申し訳ありません。でも、準備はしっかり整えてきました。すぐにでも王宮へ向かえますよ!」

 

 

 勝気に笑うユマに謝罪すれば、彼女は一瞬目を点にした。途端に、ユマは罰が悪そうに視線を彷徨わせる。調子が崩れた上司の姿を見て、ユウマはひっそり噴き出していた。

 彼の反応から察するに、ユマはジョークのつもりでああいった物言いをしたらしい。からかい目的の発言に真面目な返答をされたため、どう反応すべきか迷った様子だった。

 

 

「これで全員集合だな。早速、王宮へ直談判しに行くぞ!」

 

「いいえ、俺たちはここから別行動を取らせてもらいます」

 

「Dzの収集が急務だって、上層部からのお達しでね。あと、集めたDzの一部は、ノーデンスのフロア改修用資材として提供する約束になってるから」

 

 

 エーグルが意気揚々と拳を振り上げる。だが、ユウマとユマは首を振った。彼らは彼らで“やるべきこと”があるという。

 「Dzがドラゴン由来の資材である」という用語説明を思い出したのか、エーグルは思わず眉間に皺を寄せた。

 

 

「Dzを集めて何をするつもりなんだよ?」

 

「それに関しては極秘事項だ。部外者においそれと話すことはできん」

 

 

 会議室での揺らぎなどなかったと言わんばかりに、どっしりとした口調でヨリトモは答える。彼の様子からして、Dzの使用用途は公にできないもののために使うらしい。

 イノリたち現代組は『ISDFがきな臭い機密事項にまみれている』ことは知っていた。血縁関係者の死に関する情報をまともに公表しないような組織なのだ。怪しいのは当然だ。

 疑念は尽きぬが、ヨリトモはこちらの追及に屈することはないだろう。イノリはミカゲに視線を向ける。祖父は教え子を慮ったようで、ヨリトモを問い詰めることはなかった。

 

 ミカゲが追求しないのであれば、こちらには一切の分がない。ヨリトモの牙城を突き崩して真実を引き出すことは不可能だろう。

 

 

「……分かった。その件に関しては、もう追求しねぇよ」

 

 

 イノリが諦めたように、エーグルも大人しく引き下がる以外選択肢はなかった。不満そうではあるものの、エーグルはそれらすべてを飲み下して頷く。流石は自警団の長。引き際や他組織との円滑な共同作業を行うための心得は有しているようだ。正直、イノリたちより年下――17歳とは思えない。

 それもそうか。彼よりも年上である熟練の戦士たちは、みんなニアラとの戦いで命を落としてる。生き残っているのは、女性や子どもを筆頭とした非戦闘員や年若い兵士たちだけだ。年若かろうと、実力のある者に組織の長としての役目が与えられるのは必然であった。

 

 若くして長をまとめ上げるのだ。エーグルは、王族とまではいかずとも、兵団の指導者として優秀な才能を有していたのだろう。

 己より年上の人々を纏め上げ、自警団を結成および指揮し、極限状態の中でクラディオンの住人たちを守ってきたことが最もたる証拠だ。

 そう考えると、不穏な世界情勢とは切り離されて生きてきたイノリたちは温室育ちであったのだと実感する。自分だったら投げ出していたかもしれないのに。

 

 

「トグラウ長老。我々は、アトランティスの移民受け入れ準備を進めています。たとえニアラを倒したとしても、星晶石の大半を失ったこの国は、残念ながら、もう長くは持たないかと」

 

「酷なことを言うようだけど、この国に住み続けることは非常に難しいわ。国に殉じる生き方を貫くことだけが愛国者の証明にはならないと思うの。生きる意志がある人を、無理矢理死なせるような真似だけはしてほしくない」

 

 

 ユマの言葉をシキが引き継ぐ。夏の草木を思わせるような深緑は、どこまでも力強い輝きを秘めていた。

 

 

「私たちがニアラと戦うのは、貴方たちが諦めないことを選んだ理由が、生きて未来を掴むためだということを忘れないで。そのために、『陸の国へ移り住む』という選択肢があることを覚えていて欲しいの」

 

 

 陸のルシェたちの言葉――異国へ避難するという案に、アトランティスのルシェたちがざわめいた。

 故郷を捨てて逃げることはできないと叫ぶ者、死にたくないのだと訴える者等、彼らの選択は多岐にわたる。

 

 エーグルは陸のルシェたちの言葉を聞いて、目から鱗が落ちたらしい。感嘆の息を吐いて腕を組んだ。

 

 

「凄いな、お前ら。……正直、俺たちは、ニアラを倒した後のことなんて全然考えてなかったぜ」

 

『私たちのときも同じようなものだったよ。国や国土の存続状況はアトランティスみたいに切羽詰ってなかったけど、国を立て直せたのは、その時代を生き抜いた人たちが頑張ったからなんだ』

 

『荒れ果てた国土の復興もまた、国を想う愛国者たちの仕事だからな。殉じることだけが、祖国への愛に満ちているという訳ではない。生きて国や人のために尽くすことこそ、真の愛国者の為すべきことだと私は思っているがね』

 

「……成程。アンタたち地上の奴らは、そうやって国を立て直したんだな……」

 

 

 那雲夫婦の言葉はエーグルの琴線に触れたらしい。

 彼は納得したように頷くと、トグラウの方に向き直った。

 

 この区画に住まうルシェの命を、彼女が握っているのだ。トグラウは難しい顔をして俯いていたが、やがて顔を上げる。

 憂いの表情を浮かべる民たちを見回した後、長老は静かに宣言する。「その申し出を受けよう」――彼女の言葉を聞いたルシェたちが、わっと声を上げた。

 誰だって、生きられるものなら生きたいのだ。クラディオンの民はその想いが強いから、大きな揉め事もなくこちらの提案を受け入れた。

 

 

(じゃあ、上層部に住まうアトランティスの民たちはどうだろう)

 

 

 イノリは首都で出会ったルシェたちの姿を思い返す。

 

 玉砕推進派の息がかかった住民の中には、確かに「本当は死にたくない」と願う者もいた。同調圧力による締め付けが徹底しているためだろう。

 実際、クリュティエ姉弟やエーグルのように、玉砕派に反対した人々は首都から追放され、クラディオンに流れ着いている。

 

 王族――特に、玉砕作戦を推し進める筆頭であるタリエリ――のイエスマンたちが、クラディオンの住民のように、イノリたちの言葉を素直に聞いてくれるとは思えないのだ。

 海洋帝国への愛とルシェとして――この国の頂点を極めた者の誇りが強すぎる彼らのことだから、「野蛮な陸の民の施しなど受けない」と頑なになる者もいそうである。

 そして何より、「ニアラを倒す」という自分たちの言葉も、彼らからしてみれば妄言に過ぎない。数多の希望を打ち砕かれ、敬愛すべき王を失ったという絶望の爪跡は癒えてない。

 

 

『この調子で、首都に残ってる住人達も説得できれば……!』

 

「そいつは難しい問題だと思うぜ? 貴族連中が俺たちの話を聞いてくれるとは思えない。宮殿にいる奴らが御触れを出さない限りはな」

 

「……民を動かすには、まずは指導者を篭絡しなければならないということか。ならば、まず真っ先に直談判という話が出るのは当然だな」

 

『成程! 徹底的なトップダウン方式か。なら、それに従って働きかける方が効率がいいよね!』

 

「と、トップダウン? なんだよそれ? 魔法の呪文?」

 

 

 後ろの方からリョウスケ、ソウセイ、モルスの会話が聞こえてきた。彼らの会話を聞く限り、エーグルが真っ先に述べた「王宮へ直談判」という方法は最善であるらしい。

 不完全な竜殺剣を引き取ったタリエリも王宮にいるし、おそらくはウラニアもいるだろうから、どの道“宮殿に乗り込む”必要は出てくるわけだ。

 

 

「ウィータさま。フルーツの運び込み、終わりました」

 

「ありがとうございます。長老、クラディオンのみんなに配ってください。陸の国で採れた果実です」

 

「なんと……」

 

 

 別の方では、果物を持ってきたコンシェルジュにウィータが頭を下げていた。そうして、持ってきたフルーツたちを長老へ指し示す。

 

 トグラウは陸の果物をまじまじと眺めていたが、すぐに頷いてみなに配り始めた。クラディオンのルシェたちは物珍しそうにフルーツを観察しては、おっかなびっくり気味に手を伸ばす。

 皮をむいて、生のまま齧りつく。途端に、ルシェたちは目を輝かせた。「おいしい」という言葉を零しながら、彼らはむしゃむしゃと果物を食べ進める。中には分け合っているルシェたちもいた。

 果物を食べている誰もが、眩しい笑顔を浮かべている。つい先日まで、諦めを滲ませていた人々と同一人物には思えない。みな、瞳に「生きる」意志を宿しながら、フルーツの甘さを噛みしめていた。

 

 果物を配り終えたコンシェルジュは一礼し、街の入り口の方へと引き返す。

 おそらく、現代に繋がるゲートに戻ったのだろう。彼は一般人のためだ。

 

 

「それでは、イノリたちは王宮へ。執政官のタリエリと交渉して、竜殺剣を手に入れてください。俺たちはDzの回収および確保に向かってきます」

 

「分かりました。……ユウマさん、無理しないでくださいね」

 

「はは、信用ないなぁ。俺はもう大丈夫ですよ」

 

 

 イノリの言葉を聞いたユウマは悲しそうに苦笑した。イノリの気遣いは、図らずとも「メイヘム戦で倒れてしまった」というユウマの負い目を刺激してしまったらしい。

 

 

「ごめんなさい! 私、そんなつもりじゃなくて、その……」

 

「大丈夫ですよ。キミが、俺を責めるつもりでそう言ったのではないことくらい、きちんと分かっていますから」

 

 

 弁明しようとするイノリをやんわりと抑えて、ユウマは笑う。

 

 

「俺のことを心配して、気遣ってくれたんですよね。……ありがとう、イノリ」

 

「ユウマさん……」

 

「謝るのは俺の方です。キミにそんな顔をしてほしかったわけじゃない。……ただ、その……」

 

「?」

 

「……笑ってほしいな、と……」

 

 

 酷く照れくさそうに視線を彷徨わせながら、ユウマは弱々しい吐息を零した。あまりの発言に、イノリは一瞬呆気にとられる。

 それはユウマの方も同じだった。酷く難しい顔をして唸った後、困ったようにため息をつく。

 

 

「……ああもう。俺は一体何を言ってるんでしょうね。なんだか、すみません」

 

「いいえ! 私は大丈夫です。そちらはお任せしますね」

 

 

 ぽろりと零したユウマの願いを叶えるべく、イノリは微笑んだ。自分が笑うことでユウマが安心してくれるなら、笑顔の1つや2つ惜しくはない。

 イノリの笑顔を見た途端、ユウマの口元が綻んだ。気のせいでなければ、彼の表情は1段階明るくなったように見える。――嬉しそうだ。すごく。

 「はい」と返事をしたユウマの声は、何かを噛みしめるような響きを宿している。イノリの目の錯覚でなければ、彼の周囲に花が舞っているように思えた。

 

 随分と幼い笑い方だ。実年齢が12歳であると考えると、その理由がしっくりくる。ユウマも年相応に笑うことができるのか――と、イノリはひっそりと安心した。

 ユウマ本人に失礼であることは100も承知であるが、自身を強く律していた彼の様子からして、彼を取り巻いている環境からして、それが難しいことのように見えたのだ。

 

 

(――よかった)

 

 

 胸を満たした深い安堵。奥底から湧き上がってきた温かな気持ちを、何と言えばいいのだろう。イノリにはよく分からない。分からないけれど、この気持ちを大切にしたいと強く思った。

 

 

「王宮には俺が案内する。ついて来てくれ」

 

「ありがとうエーグル。任せるわ」

 

「お、おう! ばっちり案内してやるからな!! こっちだ!」

 

 

 いい笑顔で親指を立てたシキの表情を真正面から目の当たりにした途端、エーグルは声のトーンを上げた。若干不自然である。

 文字通り大張り切りなエーグルは、大仰に頷いて歩き出す。彼の背中を見て、ブリキの人形を連想したのは何故だろう。

 

 

「エーグル。そっちは逆方向だぞ」

 

 

 追い打ちとばかりに響いたトグラウの指摘に、エーグルは盛大に躓いた。転ばなかっただけマシと言えるくらい、派手な躓き方だった。

 エーグルが落ち込まなかったのは、ひとえに案内役としての矜持があったからだろう。なけなしのそれを振りかざし、彼は改めてイノリたちを先導する。

 イノリはユウマに向き直った。ユウマも静かに目を細める。時間が止まればいいと思ったのは事実だが、そんなことはあり得ないと知っていた。

 

 ――だからこそ。

 

 

「それじゃあユウマさん。また後で」

 

「ええ。また後で合流しましょう」

 

 

 また後でと言いあえることが、とても尊いことなのだと、知っていた。

 

 

 

■■■

 

 

 

 

ミカゲさんの教え子(ヨリトモ)さんって幼女愛好家(ロリコン)なんですか?」

 

 

 不意打ちで頭をぶん殴られたような衝撃に、ミカゲは真顔で噴出した。

 

 教え子に対し、自分たちの希望の1つが何やら変な疑いを抱いている――この事実を知ったのは、つい最近のことだった。

 会議室で対峙したヨリトモとリヒトの様子が、互いに対する不信感を剝き出しにしていたのがその証拠である。

 

 身体の調子は絶好調だというのに、首がうまく動かない。どこからか軋んだ音が聞こえてきたように思う。ぎぎぎ、という不穏な音を聞きながら、ミカゲはゆっくりリヒトの方を向いた。

 穏やかな微笑を湛える好青年はどこにもいない。代わりに、爪と牙を研ぐ獣がいた。刃のような鋭さを孕んだ眼差しは、この場にいない人物――十中八九ヨリトモだ――へと向けられている。

 リヒトはヨリトモのことを知りたくて、ヨリトモと関わりを持つミカゲに質問してきたのだ。彼が抱いたヨリトモへの疑惑を解消したいというのも分かる。ミオへの態度に違和感を感じていたのだから、こうなることは予測できていた。

 

 ……だが、まさか。

 こんな質問が飛んでくるとは思わなかったのだ。

 

 

「……どうしてそんな疑惑に行きついたんだ?」

 

「初めて彼と出会ったとき、彼はずっとミオに対して不埒な視線を向けていました。今回は彼女に対して辛辣な態度でしたが、その割には、ずっと彼女を気にしていたんです。そこに違和感を感じまして、もしかしたら『頼友(ヨリトモ)東吾(トウゴ)氏は幼女愛好家(ロリコン)ではないか』という疑惑を抱くに至りました」

 

 

 ミカゲはリヒトに問い返す。リヒトは訥々と答えた。

 

 予測可能。但し予測の範疇を軽々超えたという意味では予測不可能、勿論回避も不可能だった。リヒトのぶっ飛んだ推論は確かに間違っているのだが、ある意味では()()()()()()()のだから恐ろしい。

 最も、それは結果的に()()()()扱いになっただけだ。ヨリトモ個人の性癖なんぞ、ミカゲが知るはずもない。性癖関連で唯一知っていることは、『ヨリトモの初恋の相手がユイである』ことくらいだ。

 ヨリトモはれっきとした良識人であるし、態度は固いが根はとても優しい男である。まかり間違っても、リヒトが抱くような疑惑――幼女愛好家――とは無縁だ。こんな誤解と疑惑は早々に雪いでおくに限る。

 

 

「あいつはお前が思ってるような奴じゃない。性癖云々はともかく、トウゴは不器用だけど優しい男だよ」

 

 

 那雲夫婦から聞かされた話――きな臭くなるISDFから、Nav.シリーズの系譜を継ぐ愛娘を守るためにミオを手放したこと――を思い返しながら、ミカゲは噛みしめるようにしてヨリトモを擁護した。

 ヨリトモは、愛娘にどのような態度で接すればいいのか考えあぐねているだけなのだ。幼い頃に娘を置いて出ていった父親が、今更出てきても仕方がないだろう。理由はどうあれ、娘から存在否定されてもおかしくないことをしたのだから。

 

 その事実を他者に聞かせるなんて不義理な真似はできない。娘や他の誰かに対しても黙っていて欲しいというのは、ヨリトモたっての頼みである。

 すべてを話せば誤解は解けるのだろうが、東雲一族の系譜を継ぐリヒトがどんな暴挙に出るか。その予測がつかないのもやりづらいところだ。

 下手したら、ISDFの暗部と東雲財閥がヨリトモの娘を巡って真正面から殴り合いを演じることになりかねない。世界にどれ程の被害を齎すか、未知数であった。

 

 ミカゲの言葉を吟味するように、リヒトは顎に手を当てて唸る。鋭さを孕んだ眼差しが僅かに緩んだ。

 

 

「……分かりました。()()()()()()()()()()()、僕の勘違いなんですね」

 

 

 とりあえず、ヨリトモの性癖に関する汚名は雪げたらしい。リヒトの疑惑は尽きない様子だが、教え子が不名誉を被るような目に合わなくてよかった。ミカゲは胸を撫でおろす。

 幾分か表情を緩ませたリヒトは、何かを思案するように「ふむ」と呟く。エーグルに先導されるイノリたちの背中を追う足取りが、幾分か軽くなったようだ。

 

 

(ああ、よかった。変な汚名に発展しなくて済みそうだ)

 

 

 ミカゲはひっそりガッツポーズをとる。教え子の汚名を雪いでやるのも、師匠としての務めなのだ。

 

 達成感に浸っていたとき、不意に肩を叩かれた。振り返れば、那雲ヨツミが何とも言い難そうな表情を浮かべている。

 苦々しいというか、忌々しそうというか、何と言うか。ミカゲの経験則上、こういうときのヨツミには嫌な予感しかしない。

 

 

「……どうした、ヨツミン」

 

『ロリコン疑惑でふと思ったんだ』

 

「何を?」

 

『ヨリトモくんが“あの子”に手を出したとき、“あの子”はまだ生後3年弱だったよな、と』

 

 

 間違っているけど()()()()()()()の由来はここからである。注釈しておくが、ヨツミの言う“あの子”――もとい、ヨリトモの妻であるミハル(旧姓那雲ミハル)はNav.シリーズの系譜を継ぐ人工生命体だ。

 生後3年弱当時、ミハルの肉体年齢は20代前半程。下卑た話ではあるが――「体が弱い」という点を除けば――生殖行為も問題なく行えた。人工生命体の成長促進技術は、嘗てエメルが用いたルシェクローンの応用である。

 何度でもいう。ヨリトモはロリコンだったのではない。ミハルが人工生命体であることも知っていたけれど、共に在るうちに彼女を愛するようになっただけだ。愛した相手が齢3歳の人工生命体だっただけなのだ。

 

 いいや、それはヨツミだって同じではないのか。彼がシラユキに惚れた時期を聞いた限りでは、シラユキは生後半年にも満たなかったはずである。

 いくら同意だったとはいえど、ヨツミがシラユキと結ばれたとき、シラユキの年齢は1歳にも満たなかったではないか。本日の「お前が言うな」はここであった。

 

 ヨツミがぼそりと囁いた直後、周囲の温度が一気に下がったような錯覚に見舞われた。振り返れば、ヨリトモに対し強い疑念を抱いていたとき以上に敵意溢れる鋭い眼差しを宿したリヒトが、ヨツミとミカゲを見つめている。

 

 

「――その話、詳しく訊かせていただけませんか?」

 

 

 ああ、これはもうだめだ。

 

 

(ヨリトモ、すまん)

 

 

 ヨリトモに対し、途方もない汚名と疑惑が向けられることを――そしてその汚名と疑惑を、ミカゲでは雪ぐことが不可能になってしまったことを察して、思わず俯く。

 この謝罪は、教え子に届くことなど絶対に無いだろう。ヨリトモはこんな事態に陥ったことなど露知らず、ISDFの提督として、前線で指揮を執っているに違いない。

 

 己の無力さを噛みしめながら、ミカゲは人知れず項垂れたのであった。

 

 

 

■■■

 

 

 

 アクツがユウマたちにDz収集を命じたのは、Dインストールに絡んだユウマの調整のためだ。

 

 ユウマがインストールしている竜検体は、真竜や帝竜だけではない。雑魚竜も含まれている。雑魚竜をインストールしても戦闘能力を飛躍的に上げることはできないが、検体による身体強化を行うには、手っ取り早く手が届く。

 対して、帝竜は雑魚竜より手が届きにくいが、戦闘能力や身体強化にそれ相応の効果がある。爆発的且つ飛躍的に能力を上昇させるのは真竜検体だ。ユウマの戦闘力の大半は、5年前に現れ討伐した第4真竜――フォーマルハウトによる恩恵であった。

 

 だが、真竜検体をインストールした弊害も出てきている。メイヘムの一件のようなことを最小限に抑え、安定して能力を発揮するために、他の竜検体は必要だった。

 雑魚だろうと帝竜だろうと、無いよりはあった方がマシであるのは事実。ISDF極東支部がDzを欲するのは、専ら対竜兵器関連――その大半がユウマ関連――だ。

 『如月ユウマ』という殺竜兵器のために、多くのDz資材が投資されている。アクツ総司令は、投資した分の成果を求めているのだろう。

 

 

(もし、結果を出すことができなければ……)

 

 

 そこまで考えて、首を振った。使えない兵器の末路は、その中で篩にかけられてきた己自身が一番知っているではないか。

 「使えない」と烙印を押された命が、翌日、部屋から跡形もなく消えている――蟲毒(こどく)のような実験場で、唯一残ったのがユウマだった。

 

 

(明日は我が身、とは、よく言ったものだな)

 

 

 必死になってあそこから抜け出したのに、今、ユウマは存在意義が危ぶまれる立場にある。不適合の烙印を押されて消えていった命たちも、こんな気持ちだったのだろうか。

 

 

「……何を考えているんだ。集中しろ。これは単独任務なんだ」

 

 

 自ら暗闇の中に突っ込んでしまいそうな思考回路を是正しつつ、ユウマは大きく深呼吸した。己自身に言い聞かせ、崩れてしまいそうになる心を奮い立たせる。ヨリトモやユマと一緒に行動していた期間が長いためか、1人になるといろいろ考えてしまいがちだ。

 最近、アクツから単独任務を言い渡されるようになった。アクツ本人は「兵器としての適性検査」と頑なに主張しているが、何かしらの意図があるのは確かだ。彼が無意味な命令を出すことは殆どない。ユウマに読み取れないだけで、アクツにとって利があるからこその単独任務なのだろう。

 疑問に思う余地はあっても、それを追及する権利はない。ユウマに求められることは、粛々と任務を果たし、いずれ復活するであろう第7真竜――VFDを打ち倒すことだけだ。己が人類最強であると証明する。確固たる意志を持って、ユウマは顔を上げた。

 

 周囲を見回す。メイヘムを打ち倒した後も、クラディオン近辺には多くの雑魚竜が蔓延っていた。どの竜も、ユウマの実力であれば難なく狩れるだろう。

 早速攻撃を仕掛けようとして――刹那、雑魚竜たちがびくりと身をすくませた。命の危機を察した獣のように、カン高い呻き声を上げる。

 

 

(――ッ!?)

 

 

 何があったのか、分からない。ほんの一瞬のことだった。

 

 膨大なマナが爆ぜるような感覚。びりびりと頬を刺す殺気。一歩遅れて、雑魚竜たちが次々と崩れ落ちていく。断末魔の悲鳴を上げることさえ許されない。

 この場は嫌に静かだった。心臓の音や生唾を飲み干した音が、やけに耳を打つ。ユウマは警戒を崩さず、竜の死骸が転がる広場へ踏み出した。

 

 死体に目立つ傷跡の多くが刀傷だ。刀だけで竜を狩るなんて芸当、旧13班や新13班のサムライ――ミカゲとイノリ、あるいは上官のユマくらいしかできないだろう。

 そもそもアトランティスは地上と文化体系が全く違う。日本固有の文化であるサムライの技術が、1万2000年前のこの時代に存在しているとは思えなかった。

 雑魚竜の群れを一撃で仕留めたのは、恐らく現代(U.E.77年)からやって来た人間だろう。これ程の技量を持つ手練れとなると渡来ミカゲが挙げられるが、状況的に除外される。

 

 

「……では、誰が――」

 

「――申し訳ございません。あまりにも邪魔だったもので。……僭越ながら、片付けさせていただきました」

 

 

 かつん、と、音がした。洞穴に相応しくない靴――おそらくはローファーだろう――の音だ。足音は背後から聞こえてきた。ユウマは慌てて振り返る。振り返った先にいる人物を見て、ぎょっとした。

 小奇麗な燕尾服は、どこからどう見ても戦闘行為に向いていない。絹を連想させるかのように艶やかな銀髪は、紫の髪紐で一つに束ねられている。目には緑のサングラスをかけており、詳しい表情は伺えない。

 

 青年は背筋をピンと伸ばし、粛々とユウマの元へ歩み寄ってくる。彼の姿には見覚えがあった。つい先程、クラディオンの民たちにフルーツを運んで来たコンシェルジュである。

 

 彼は丸腰で、武器らしき武器など所有していない。この場に闊歩する雑魚竜を倒したのだから、通常では何かしらの得物――刀を持っているはずであろう。だが、何度見直しても、青年は得物と呼べそうなものを何も持っていなかった。

 人当たりのいい笑顔を浮かべる青年の様子に、得体の知れぬ危機感を覚えたのは何故なのか。先程感じた殺気のようなものは存在していないにも拘わらず、身体は戦闘態勢を取ろうとする。先程、訳の分からぬまま狩られた雑魚竜たちのように。

 しかし、丸腰の人間に攻撃を仕掛けるような真似は許されない。軍人としての常識であるし、人類を救うための兵器が人類を傷つけるような真似をするなどあってはならない。そんなことをすれば、即座にユウマは処分されてしまう。

 

 

「何やら1人で悩んでいらっしゃる様子なので、心配になったんです。気になって後を追いかけてみたのですが、話をする環境が整っていなかったもので」

 

「……話すことはありませんよ。一般人である貴方には、関係のないことです」

 

「まあまあ、そう仰らずに。私はISDFのことも、貴方のことも存じていますよ? ――I()S()D()F()()()()()()()()()()()()()()()”、如月ユウマさま」

 

 

 青年の物言いにぞっとした。ユウマは弾かれるようにコンシェルジュを凝視する。コンシェルジュは何がおかしいのか、くつりと笑った。

 

 ユウマのことを知っている相手は、ISDFの上層部――主にアクツ派の官僚たち――やユウマの預かり先である部隊の僅かな人間――ヨリトモやユマ――に限られる。一般人では、渡来イノリにしか自分の正体を明かしてはいない。

 イノリは第3者に誰かの秘密を話すような性格ではなかったし、ユウマを裏切るような人ではない。短い付き合いではあるが、彼女の人柄は把握している。なら、他の誰かがコンシェルジュに漏らしたのだろうか。

 ――あるいは、“コンシェルジュが己の持ちうる情報網や人脈等(すべて)を駆使して、ユウマのことを嗅ぎつけた”という可能性が挙げられる。……正直な話、あまり考えたくないことだった。

 

 

「ISDF極東支部は、他のISDF支部よりもDzに執着していますね。何でも、対竜兵器につぎ込むために必要なのだとか。対竜兵器のためだけに、Dz関連予算の大多数が投入されてるという話も耳にします。それだけではなく、『復興に回されるべきDz資材も不正に使われている』なんて噂話もありますね。……まあ、火のないところに煙は立たぬと言いますが」

 

「…………」

 

「貴方ご自身は、対竜兵器……いいえ、語弊がありますね。人類戦士計画というモノに対し、どのようなお考えをお持ちなのですか?」

 

「答える義理はありませんし、そもそも貴方が言うような思考など不要です。俺は人類戦士計画を成し、VFDを倒すために生まれたんだ。それに疑問を持つ必要はない」

 

「成程。それが、()()()()()貴方の答えなのですね」

 

 

 敵愾心を剥き出しにしたユウマの眼差しにも、コンシェルジュは穏やかな微笑を崩さない。

 こちらが警戒を最大まで強めたとき、コンシェルジュは不敵な笑みを湛えた。その笑い方には覚えがある。

 

 ……以前、そうやって嗤う男と、ユウマは対峙したことがあったはずだ。首都アトランティカで出会ったあの男も、ふてぶてしい笑みを浮かべていたように思う。

 

 

「…………つかぬことを訊きますが」

 

「何でしょう?」

 

「貴方、以前どこかで会いませんでしたか?」

 

 

 9割9分9厘の確証を持ったうえで、ユウマはコンシェルジュに問う。

 コンシェルジュは綺麗な笑みを崩すことなく答えた。

 

 

「先程の会議室やクラディオンを含めて、()が貴方とお会いしたのは、今回で3回目になります。――“()()()()()()”の如月ユウマさま」

 

 

 




今回はクラディオン~ベルク海洋宮殿へ向かう道中、および別行動をするユウマが中心となっています。小ネタや伏線を張り巡らすのは楽しいですよね。あとはきちんと回収できるよう計算しておかないと……。
これでもかと言わんばかりにヨリトモさんがヤバいことになってますが、ミオ関連ではこういうシーンを書きたかったんです。Chapter3以降に放り込もうと煮詰めていたネタを形に出来て満足してます。がんばれヨリトモくん!
それはさておき、前回登場したコンシェルジュが怪しく動き始めました。ラストの台詞で、おそらく大半の人が彼の正体を察するでしょう。だからといって蜻蛉眼鏡の出番がなくなるわけではないので、ニートの暗躍も見守ってあげてください。
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