秘封倶楽部三人目のメンバーは英雄の妹 作:シャイニングピッグEX
柊零の小説から来た方はこんにちは。
ぜのぎんと申します。
実はあの方に妹がいらっしゃったんですね。
「うう・・・お兄ちゃん・・。」
少女は部屋の中で大粒の涙を流して泣いていた。
「なんで私を置いて行くの・・。私を一人にしないでよ・・。」
少女は自分と青い髪の少年が写った写真を手にしていた。
すると、その母親らしき女性が少女の元に近寄った。
「奈央、お友達が来てるわ「イヤ!今は一人にさせて!」「奈央・・・。」
奈央と呼ばれた少女は母親の言葉を遮って叫んだ。
母親は何も言わず、居間へ戻って言った。
そして、奈央はもう一度先程の写真を見た。
「零兄ちゃん・・。」
奈央はもう一度あのたくましい背中に抱きつきたかった。
あの大きな背中を見ていたかった。
喧嘩をしたときも、時には悪い人に連れ去られそうな時も、いつも一生懸命助けてくれた。
どんなに傷だらけになっても、決して弱音を吐かず、いつも素敵な笑顔で笑ってくれた。
自分の一番の理解者だった。
でも、ーーーーもうその兄はいない。
どうして、気付いてあげれなかったんだろう?
どうして、ありがとうの一言も言えずに別れが来たんだろう?
私が一番の理解者だった筈なのに、どうして気付けなかったんだろう?
『大丈夫、これくらい慣れっこさ。あいつら何度追い返しても懲りずに来るんだよな~。困った奴らだろ?』
さりげなく得意げな零の声。
『良かった・・。奈央が無事で・・・。」
事故にあった時はベッドでずっと看病していたっけ。
あの時、涙を流しながら笑っていた顔は今も鮮明に思い出せる。
そして、今年は東京に旅行に行こうと誘ってくれた。
大丈夫?って聞いたら、『大丈夫。旅費なら既に貯めてて、もうすぐで充分な額になりそうなんだ。』って、無邪気に微笑みながら返してた。
『お兄ちゃんの小遣いを出せば、もう東京へ行けるぞ。父さんも、母さんも許してくれたし、ついに行けるぜ!』って、はしゃいでた。
お兄ちゃんは?何も買わないの?って聞いたら、
『俺は次で良いよ。東京で好きな物買いな。』
って、優しく言ってくれた。
そして、本当なら今頃楽しく新幹線で・・・。
なのに、兄は段々陰湿に、残虐に苛められ、ついに命を絶ってしまった。
いつからかお兄ちゃんは傷付きながら夜遅くに帰って来るようになって、どうしたの?って聞いたら、何も言わずに頭を撫でて、自分の部屋に入ったきり出てこなくなってた。
訳を聞いたら、傷だらけの顔で、『何でもないよ。』ってこっちを向かずに呟いた。
そして、ある日、家にも帰ってこず、学校から電話があって・・。
『ーーーー誠に残念ですが、柊零君はーーーー」
その日が初めてかも知れない。
家が静寂に包まれたのは。
お父さんとお母さんは何も言わなかった。
何時帰ってくるの?って聞いたら、お母さんは何も言わずに涙を流していた。
お父さんはただ無言でコーヒーを飲んでいた。
でも、そのカップを持つ手は、小刻みに震えていた。
そして、お兄ちゃんが死んだ事を知ったのは、次の日。
担任の教師から呼び出され、人気のない廊下へ移動した。
どうしたんですか?私のお兄ちゃんは?何時になれば帰ってくるんですか?
すると、担任の教師は膝から泣き崩れ、真実を話した。
その話はあまりにも衝撃的すぎて、一瞬冗談を言われたのかと疑ったが、後にそれは本当の事だと知った。
学生服を着させられ、葬式の棺桶の中を見て、ようやく実感した。
私のお兄ちゃんは死んだのだと。
何回か友人が訪ねて来たが、お兄ちゃんを失ったショックが大きく、部屋の隅でいつも泣いていた。
心の中にはポッカリと大きな穴のようなものが出来、中学生最後の夏休みは他人と会うことは今のところ無い。
こんな日常がこれからも待っているのだろう。
兄と言う大きな存在を失ったのだから。
いつも兄がいる部屋にいっても、いつもくちゃくちゃな布団の上で寝転びながらスマホを弄っている兄の姿はもう無い。
片付けられる気配の無い机の上には、何冊もの辞書やらマンガ本やらがズラリと並んでいた。
ああ、あれで私を教えてくれたんだな。
奈央の頭の中に、勉強の風景が甦った。
勉強の時はいつも楽しく、分かりやすく教えてくれた。
私が分からない所は、私に合わせて教え方を考えたり、例を出して説明してくれた。
すると、机の脇に掛かった帽子を見つけた。
それ女の人用だよ?って忠告したけど、
『良いの良いの。俺はこのデザイン大好きだし、黙ってりゃ俺ほぼ女じゃん? 』
そう言っていつも被っていたのを思い出す。
帽子を手に取って眺め、顔に近付けたが、洗剤の匂いしかしなかった。
机の上には、いつから書いていたのか、遺書らしき物が乗っていた。
やっぱり、書いてたんだ、と奈央は思った。
その遺書を何気なく手に取って読んだ。
すると、とある一文を読んで、奈央は驚いた。
兄の願いが書いてあった。
その願いを叶えるため、奈央は決意した。
「お兄ちゃん・・私、お兄ちゃんの願いを叶えて見せる。それが私の出来る事だから・・!」
そして、奈央は猛勉強を始めた。
そして、そんな日常の中、奈央はある夢を見た。
「・・・?」
奈央は真っ白な空間にいた。
透けるように白く、空にいるかのように高いような場所に立っていた。
「ここは・・?」
すると、銀色の翼を生やした、青いロングの人物に出会った。
「奈央・・・。」
顔は見えなかったが、声や青い髪は生前の零とよく似ていた。
「え・・?」
「待ってる。ずっと・・、ずっと・・。」
そう言ってその人物は踵を返して歩き去った。
その背中は、零の背中とよく似ていた。
「お兄・・・ちゃん・・?お兄ちゃんなの!?」
しかし、その人物は光の中に消えて行った。
そして、そこで目が覚めた。
奈央の枕元には、零の帽子が置いてあった。
「・・・!」
奈央はその帽子を強く握った。
そして、数年後。
「奈央、お互い頑張ろうね!」
「うん!お兄ちゃんの為にもね。」
そう言って奈央は零の帽子を取り出した。
「あれ?お兄さんの帽子持って来たの?」
小百合は帽子を指差しながら聞いた。
「そりゃそうよ。私とお兄ちゃんの絆だもの。」
「お兄さんも合格することを願ってると思うわよ。頑張んないとね。」
「ええ。それじゃ。」
二人はそれぞれ試験会場の部屋に入り、試験を開始した。
二人は見事合格し、京都の大学へ入学した。
そして、それに伴い、奈央は一人暮らしを始めた。
少し大きいが、一人で住むには充分だった。
大学からも近く、登下校には困らなかった。
早速、奈央は入学に備え、準備をした。
そして、奈央は入学し、部活を選ぶ事になった。
その中で一つ気になる部活を見つけた。
「秘封倶楽部・・?」
奈央はまだ知らなかった。
これが運命的な出会いだとは・・。
今回はここまでです。
長さはその度その度に変わるので、一定的な長さは無いと思います。
これから宜しくお願いします。