Fate/Grand Order 二人目の生存者(仮称)   作:biwanosin

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うん、あれだね。謎の勢いに乗ってるね、うん。

つなぎの回、要するに注目シーンとかあるわけではない回です。

では、本編へどうぞ!


第三話

「つきましたよ、主殿!」

「つ、つか、れた・・・」

 

結局あの後、俺はダンデムすると鎧が背中に当たっていたいという問題から後ろからしがみついていたわけなんだけど、もうものすっごく荒い走りだった。

いや、太夫黒が悪いというわけではない。むしろ太夫黒は俺でもわかるほどに優秀な馬だし、こんな炎まみれ、障害物だらけの道、そしてなぜか向かうのと同じ方向へと移動していく異形ども。そんな状況で進行方向にいる異形を叩き潰しながら、所詮は人間程度の力しかない俺がライダーにしがみついていて落ちない。その時点でどれだけのものなのかは明らかだ。・・・まあ、本音を言えばそもそも異形どもを蹴散らすのは後にしてほしかったけど。たまに後ろ足で蹴りつけるから、もう・・・

 

「あーっと、こいつらがあれか?さっき言ってた、もう一組の?」

「うん、そうだね」

「となるとあれか。コイツは痴女のエクストラクラスのサーヴァントでも召喚したってのか?」

「ライダーのサーヴァントです!」

 

あ、ライダーが怒った。さすがに痴女呼ばわりは怒るらしい。俺もそう思ったとしても口に出さないように気を付けないとな・・・

 

「あー、間違いなく酔った・・・ってか酔ってる・・・」

「アハハー・・・えっと、お疲れさま水瀬君。お水、いる?」

 

と、地面に座り込みながらそんな光景を見ていると、横から水が差しだされる。なんとなく聞き覚えのある声だと思ってそちらを見ると、そこにはあの時一緒にレイシフトした子がいた。えっと・・・

 

「・・・や、ありがとう。正直水は助かる」

「そっか、それはよかった。水が飲めないレベルで酔ってたとしたらかなり重症だしね」

「確かに、そう考えると水が飲めるだけマシなのかもしれないな・・・よく頑張った、俺の三半規管」

 

や、マジでよく頑張った。ガイコツとかなんか敵キャラっぽいの片っ端から乗ってる馬が蹴飛ばすとか言うありえない状況でこの程度。

 

「あー・・・ねえ、そのエネミーって」

「たぶんオレだろうなぁ。そういや、厄寄せのルーン刻んだままだった」

「ちょっと!?」

 

あ、所長さんいたんだ。そして、なんかぱっと見でキャスターだって分かる見た目の・・・サーヴァント?が所長さんのコートに指を走らせている。あれかな。『厄寄せ』とか言うどう考えてもヤバげなルーン、あそこに刻んだのかな?

 

「・・・って、そう言えばなんで俺の名前を?」

「え、あの時流れてたじゃん?」

「あの一回で!?」

「人の名前はちゃんと覚えましょう、って感じで・・・水瀬薫君、であってるよね?」

「ああ、あってる。・・・すげえな」

 

あんな状況、そしてあの一回で名前を完璧に覚えるとか、どんな記憶力してるんだよ・・・

 

「あぁ・・・こっちもこっちで、素人がサーヴァントと契約を・・・」

 

なんか所長が頭を抱えてるけど、無視で行こう。うん、無視無視。別にめんどくさそうとかは思ってないですよ?ええ、思ってませんとも。ただちょっと、気軽に話せる同年代とのお話がしたいだけで。

 

「改めて、でいいのかな?私は水鳥梓。水瀬君と同じように一般人&素人だからあれだけど、よろしくね」

 

そう言って差し出された手を、少し迷った後に握り返す。まあ、迷ったのもちょっと気恥ずかしかったってだけだし、今後長い付き合いになるだろうことを考えると友好な付き合いをしていくのがいいと思う。

と、もう一人の桃色の髪の少女に目を向ける。なんだろう、こっちの子もどこかで見た記憶があるんだけど・・・

 

「あ、私はマシュ・キリエライトです。今は説明するのも難しいほどに複雑な事情があってデミ・サーヴァント呼ばれる状態になっています」

「・・・つまり、ほぼサーヴァント?」

「そんな感じですね。よろしくお願いします、水瀬さん」

 

ふむ、まあまったくわからないわけなんだけど、大丈夫なんだろう。手に持っている大きな盾使うみたいだし、ガード要員の戦闘員、くらいでいいと思う。詳しいことは全部終わったら聞こう。

 

「えと、俺はご存知の通り水瀬薫。なんかいろいろわけ分からんままひとまず合流した。どうぞよろしく。で、こっちが」

「主殿の召喚に応じました、ライダーです。皆さん、どうぞよろしくお願いします!」

 

元気だなぁ、ライダー。

 

「・・・はぁ。まあ、仕方ないですね。水瀬薫」

「ア、ハイ。なんでしょう?」

「説明は省きますが、今回この特異点Fでは何が何でも原因を突き止めなければなりません」

 

ふむ、もう細かい説明をぶった切る流れになれてきた気がするよ。説明されてもどうせ理解できないだろうけど。

 

「ですから、あなたにはこのままマスターとして調査を続行することを命じます」

 

・・・そういえば、命令は絶対順守、でしたね。もうすっかり忘れてた。

ってか、そう考えると仮にも今カルデア側に残ってる中で最高クラスの立場になるロマンをあんな扱いだったのは問題になるのだろうか・・・たぶんならないな、うん。

 

「もちろん、まだ訓練を積んでいない一般人に重荷を背負わせるつもりはありません。カルデアに戻り追加の人員が来たらすぐに別のマスターと契約を結ばせます。ですから今回だけは、このままマスターとして」

「お断りします」

 

と、所長の言葉をぶった切る声が。あんな命令口調で話しているのをぶった切れるとかマジパネエと思ったけど、よくよく考えてみたら・・・

 

「私を召喚し、契約したのは主殿。故に私の主殿は主殿ただ一人です。他のものと契約を結ぶつもりはありません」

 

牛若丸って、超が三つついてもいいくらい有名な、武士なんだよな。そら、口もはさめる。

 

「で、ですがライダー。追加人員を待てば、彼なんて比べ物にならない腕を持つ魔術師が来ます。そちらと契約していただいたほうが」

「二度目です。お断りします。三度目はないと思ってください」

 

はっきりとした、拒絶。それを口にする牛若丸の気配に、俺は気圧される。圧倒される。自分に向けられたものではないのに、むしろ自分だけがマスターだと認めてくれているのに、恐怖に似た感情を抱いてしまう。

 

「そ、それは・・・」

「なんでしょうか。続きによっては、」

「ストップ、ライダー」

 

でも、それでも。ライダーが俺のことを主だと認めてくれているのだから、マスターらしく止めるべきだと、そう思った。

 

「ライダーがそこまで思ってくれてたのはうれしい。けど、所長も立場上判断しないといけないことがあるんだ。だから、この件についてはこれ以上言わないで」

「・・・主殿が、そうおっしゃるのなら」

「うん、ありがとう」

 

若干まだ何か言いたげではあったが、それでもライダーは引き下がってくれた。やっぱりかなり神経を逆なでしてしまっているようだけど、これ以上俺にできることはない。いずれライダーが許すまで待つしかないだろう。そして。

 

「あー、所長。さすがに俺じゃあ役不足、ってかその追加人員とは比べ物にならないくらいポンコツなのは分かってるんですけど、こういうことらしいので・・・」

「・・・・・・・・・わかった、わよ」

 

うっわぁ、なんか俺睨まれてるー。ホント真面目に、所長さんと普通に会話をすることが出来る日は来るのだろうか?

そしてついでに、無言の空気が流れる。もうマジでヤダ、なんなのさこれ・・・あー、うー・・・

 

「薫、っつったか。おもしれえな、オマエ」

 

と、もういっそロマンを使ってこの空気をぶち壊そうかと考えていたら、あと一人自己紹介をしていなかったキャスター(仮)さんの方から声をかけてくる。

 

「おもしろい、ですかね?」

「ああ、かなり面白い。それに、自分に向けられているわけじゃないとはいえサーヴァントが放つあの気配の中で口を出せたってのはスゲエよ。そっちの嬢ちゃんたちと言い、いいやつらがそろってんじゃねえか」

「あ、ども・・・」

 

なんか、急に褒められてかなり照れた。え、なんなのこれ。何なのこの状況。確かにさっきまでの空気感は消えたけども、個人的にはそれ以上の混乱に飲み込まれそう。

 

「オレはキャスターのサーヴァント。この地で行われた聖杯戦争の・・・ま、正規の生き残り、ってとこだな」

「聖杯戦争?」

「万能の願望機、聖杯の奪い合いだ。細かいことはまた全部終わってから詳しいやつに聞きな」

 

俺、英霊相手でも細かい用語解説とかしてもらえないのね。いいけどさ。いいけどさ!おかげで俺どんどん現実味を失っていくんだけど!?

 

「なんにせよ、その聖杯戦争で奪い合う大聖杯ってもんがあって、その前にもう一人の生き残り、セイバーが陣取ってやがる」

「えっと・・・全くもって細かい事情とか分からないんですけど、そのセイバーさんをどうにかして大聖杯にたどり着ければミッションクリア?」

「ま、この時代であれほどまでに重要なもんはねえ。この時代でこの地に来たってことは、あれによっぽどの何かがあるんだろうさ」

 

よし、もう全くもって情報が理解できてないけど、隣で頭を撫でられてるライダーも理解できてなさそうだけど、ひとまず目的地と目標物は分かった。そこにいってこの状況で生き残ってるらしいセイバーって人と戦うことになるんだろう、ってことも分かった。絶対無茶苦茶強いよね、その人。こう、どう考えてもラスボスポジションだよね。

 

「あ、主殿。できれば、もうしばらくこうしていただけると・・・」

「・・・や、そろそろ大聖杯に向けて出発だぞ」

 

キャスターの一言に、ライダーはプクッと頬を膨らませた。なにこのワンコ、無茶苦茶可愛い。けど、うん。さすがに状況が状況なので出発しましょう。

 




うん、やっぱりこれくらいの長さの文章が一番自分にはしっくりきます。
さて、次回以降どうなるんだろうなぁ・・・何度も言うようですが、これは作者がただ『牛若丸書きたい!出てくるの待てん!』と思って書きだしたものです。プロットと呼べるものがどこにも。それこそ自分のイメージの中にすら存在しません。

・・・・・・大丈夫かな?
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