Fate/Grand Order 二人目の生存者(仮称)   作:biwanosin

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結構間が飽きました。他の作品なんかはさらに開いてるのでそっちの方が書くべきなんじゃないかと思いましたが、書けなかったものと、書けてしまったものは仕方ない。どうも、biwanoshinです。最近欲しいサーヴァントが引けていません。
けれどレア鯖のダブリは発生しています。今回はエリザベートさん・・・エリザベート、ハロウィン、カーミラさんで合計するとエリザベート・バートリーが九人目なのかぁ・・・こう考えると悲しくすらなってきます。


では、本編へどうぞ!今回の話は正直これ以上書ける自信&面白い自信がありません!


第五話

あの後、所長さんに無茶苦茶ルーン魔術とか言うものの説明をされたが一ミリも理解できず、かなり呆れられて開放された。しかし、魔術に一切かかわりのない一般人なんだから、仕方なくないかなぁ・・・

 

「はぁ・・・なんか妙につかれた・・・」

「お疲れ~、水瀬君」

「そう思うんなら逃げないでほしかったなぁ、水鳥さん」

「あはは~」

 

笑ってごまかされた。なお、今サーヴァントの三人は聖剣対策とやらで話しているため、近くにいるのは水鳥さんと所長。・・・水鳥さんいなかったらさらに長引いてたかもしれないのか。

 

「おい、そこのマスターお二人さん。そろそろだぜ」

「あ、はい」

「もうなんだ」

「おう、もうそろそろラストバトルだ。つーわけでこれが最後の休憩になるんだが、大丈夫か?」

 

大丈夫か、と問われたところで俺はここまで一切戦っていない。ついでにいうなら移動すらほとんどが馬上だ。酔いももうないので。

 

「俺は、大丈夫」

「私も大丈夫だよ」

「そいつぁ頼もしい」

 

と、キャスターさんは笑いかけてくる。英霊って言われてかなり接しにくい人たちの可能性も考えてたけど、この人はそう言うのがなくていい。こう、気軽に話せる・・・アニキ?的な存在感が。

 

「何を言ってるんだか」

 

と、俺達の発言のどれかを否定するような言葉が。

 

「ドクター、二人のバイタルチェックは出来てるの?顔色が悪いわよ」

 

顔色が悪い、といわれて少しビクッと来る。表に出さずにいれてるか心配だけど、大丈夫かな・・・

 

『あー、うん。これはちょっとマズいかな』

 

待って、医療スタッフのトップなんだよね、この人。その人がマズいって言うとかなり心配になるのだけれど。

 

『二人とも、突然のサーヴァント契約で、しかも魔術初心者だったからなぁ・・・これまで使ったことのない魔術回路(しんけい)がフル稼働して、脳に負担をかけてるっぽい』

「・・・え、そんなことになってるの、俺の体?」

「私も、そんな感じはしないんだけど」

『普段使ってないものだから、異常があっても感じづらいんだと思う』

 

そんなものなんだろうか。だがまあ、なんにせよ・・・

 

「さらにもう一休み、ってこと?」

「ええ、そうよ。決戦中にマスターが倒れてサーヴァントも戦えなく、なんて御免だもの」

「私も賛成です。主殿、何か気力の付くものでも取ってきましょうか?」

「気力のつくもの?」

「肉とか」

 

まさかのサバイバルだった。ここ、かなり現代に近い気がするんだけど・・・野生の動物とかいるのかな?

 

「おっ、いいね。ならオレもちょっくら猪でも狩ってくるか」

「私も同行しましょう」

「いないわよ、そんな生き物・・・それに、これから戦うってときに肉なんて食べたら吐くわよ。どうせなら果物にしてよね」

 

この辺に果物も生えてるものなのかな・・・?

 

 

 

 ▽▲▽▲

 

 

 

「ふぅ・・・なんだろう、リラックスできた気はする」

「美味しいお茶にドライフルーツ、リラックスはできそうだよねー」

 

所長がドライフルーツを分けてくれた。はちみつたっぷりの美味しいお茶も出てきた。牛若丸ぽふぽふできた。冗談でもなんでもなく牛若丸を撫でまわしてた時が一番リラックスしてたと思うあたりがあれなんだけど。あとこの空気になれてきたのか、なんか所長が怒鳴ってるのにも気にせず穏やかに見てられる。そして・・・

 

「主殿、何か黒っぽいのが来ていたので狩りました」

「あ、うん。ありがとライダー」

 

唐突に襲われて、そしてそれが何かをしてくる前にさらっとライダーが倒しているというこの状況にも、もう驚かない。なんだろう、一気に刺激的な体験をしすぎて自分の中での基準が下がりまくってる気がする。

 

「さて、と。なんだか色んなのが襲ってきてるっぽいし、そろそろ行くかね」

 

 

 

 ▽▲▽▲

 

 

 

「おー・・・なんだろう、禍々しい?」

「綺麗なんだけど綺麗じゃないというか・・・」

「何よこれ・・・超抜級の魔術炉心じゃない・・・!」

 

所長さんが驚いてる理由は全くわからないけど、俺達一般人の意見は大体同じなようだった。なお、サーヴァント三人は周囲を警戒してくれている。ホント、お世話になります。

と、そんなことを考えていると俺でも分かるほどに何か強烈なものが。

 

「・・・女の人?」

『うん、だけど彼女は間違いなく聖剣の担い手アーサーだ。何か変質しているようだけどね』

 

変質、といわれてもよく分からないのだけれど・・・でも、個人的なアーサーの印象として人類滅亡の手助けをするようには思えないのも事実なわけで。だとすれば、何かおかしくなってるとすれば納得ではある。

 

「見た目は華奢だが甘く見るなよ。アレは筋肉じゃなく魔力放出でカッ飛ぶバケモノだからな。一撃一撃がバカみてぇに重い。気を抜くと上半身ごとぶっ飛ばされるぞ」

「ロケットの擬人化のようなものですね。・・・理解しました。全力で応戦します」

「私も直接剣を受けるのは避けるようにしましょう」

 

ナニソレコワイ。魔力放出ってのは・・・ミサイルの燃料みたいなものとしても使える、ってことか。というか、サーヴァント二人があっさりと受け入れてるのがなんとも・・・

 

「いいか、ヤツを倒せばこの街の異変はオレを含めてすべて消える。当然、オレはもう手伝えねぇわけだが・・・ま、それはおまえさんたちの仕事だ。気張れよ」

 

そうか・・・かなり頼もしかったんだけど、そこはもう仕方ないな。ライダー・・・は、こういうことで頼れるようには思えないから、所長さんに頼ろう。

 

『主殿、少々よろしいでしょうか?』

 

と、人任せの算段を立てていると牛若丸の声が頭の中に響いてくる。これは・・・なんだろう、テレパシーみたいなものなのか?

 

『念話ですね。それで主殿、一つ許可をいただいてもよろしいでしょうか?』

『と、言いますと?』

 

念話、といわれて俺も頭の中で返してみる。これで返せるとしたらかなり便利なものなんだけど・・・

 

『はい、宝具の使用許可について、何度までなら可能でしょうか?』

 

・・・そんなことを初心者に聞かれましても、って話なわけでして、ですね・・・

 

『えーっと・・・大丈夫なんじゃないかな?何度でも』

『かしこまりました』

 

あ、あっさり終わった。まあ魔術的な補助はカルデアがしてくれるって話だし、大丈夫なはずだ。・・・よね?

と、その間にもアーサーさんが剣を構えてマシュさんに対して、告げる。

 

「さあ来い、盾の娘よ。その守りが本物か」

「壇ノ浦・八艘跳!」

 

なんか超シリアスな場面、絶対に手出し無用なはずの場面で何の遠慮もなくウチのライダーが飛び出していったのですが。それも、宝具で思いっきり。

 

「・・・ねえ、自分のサーヴァントなんだからちゃんとしなさいよ、あれ」

「俺だって、まさか宝具の使用許可を出すと同時に戦闘開始するとは・・・」

「中々過激な子だよねー、ライダー」

 

水鳥さんが実は結構な大物、という仮説が浮上してきた。あと、当然といえば当然だけど今のはしっかり防がれてる。

 

「ふむ、仕留めそこないましたか」

「一応聞いておこう。どういうつもりだ、貴様」

「これは決闘でも戦でもない。であれば、取れる時に首を取ります」

「なるほど、道理だな」

 

なにウチの子。男前。・・・じゃなくて。ってか残りのサーヴァント二人も驚いてるし、やっぱりライダーがおかしいんだよな、これ。

 

「だが、この状況でどう避ける」

「五条大橋」

 

アーサーの問いに、ライダーは行動で示す。もう見るのも何度目かになるこの宝具について、俺は『ひたすらに避けることに特化したもの』としてとらえている。ライダーもまたそれは事実だといっていた。

 

「・・・あの、キャスターさん。手は出さないんですか?」

「あ?んなもん、あんなにぴったり味方がくっついてるのにどう手を出せってんだよ」

 

ごもっとも。いやホント、ウチのサーヴァントがスイマセン・・・

 

「てなわけで俺はいつでも宝具が撃てるようにしてる。お嬢ちゃんも準備しときな」

「はい、わかりました」

「悔しくはあるが、今は接近戦が出来るのはライダーだけだからな・・・この配置は間違っちゃいねえよ」

 

ふむ、そう言うものなのか・・・うん?

 

「ねえ、なんかアーサーさんの構えてる剣、光ってない?」

「光ってるね」

「光ってるわね」

「光ってますね」

「思いっきり発動しようとしてんな」

 

ヤバいじゃん。

 

「宝具ですか。発動したとしても、私をとらえられないのでは意味がありませんよ?」

「何、問題ない。跳び回って避けるというのなら、その先までまとめて薙ぎ払う」

 

向こうもなんだか物騒な感じの話をしてるんですけども。

 

「ねえ、キャスター。あの宝具って発動するとどうなるの?すっごい斬撃とか?」

 

と、水鳥さんがキャスターさんに質問。あ、俺もそれは気になる。有名なアーサー王の攻撃がどんなのなのかとか、そもそもこの状況的な意味合いでも。やっぱり、アーサーの名前エクスカリバーの名前に見合うすっごいものなんだろうなぁ。

 

「ビームだ」

「「「「『・・・・・・・・・え?』」」」」

「超ド級のビームだ」

 

二回言った!?ってか、なんで剣からビーム!?どんな理屈なの!?

そして、さっきアーサーさんが言ってたまとめてっての、橋を覆うレベルのビームってこと!?

 

約束された(エクスカリバー)―――」

 

って、そんなこと考えてる間にももう発射準備整っちゃってる!?

 

「坊主、今すぐライダーを呼び戻しな。嬢ちゃんは全力で守り通す準備だ」

「はい!」

「あ、えっと・・・」

 

つまり、さっきと同じ、ってことだよな。ええと、だから・・・

 

「戻って来い、ライダー!」

 

時間があるか分からなかったため、省略。これでもちゃんと効果はあるのか俺の隣にライダーが現れて、令呪ってのが一つ減る。そして、

 

勝利の剣(モルガーン)!」

 

おそらくはギリギリのタイミングで、アーサーの攻撃も飛んでくる。あ、うん。これは確かにビームだ。どうしようもなくってか、議論の余地もなくビーム。なんでアーサーの武器からビームが発射されるのかってところが無茶苦茶気にはなるけど、今考えても仕方ないかな・・・というか、うん。

 

「ビーム、こっちに来てない!?」

「来てるけど、いい加減逃げる思考は止める!マシュ、お願い!」

「もちろんです、マスター!」

 

水鳥さんに首根っこを捕まえられた。や、さすがに今ここで逃げるつもりは無かったんだけど・・・言っても信じてはもらえないか。あと、今水鳥さんの手の甲から令呪が一個消えた。今のも命令として使ってるのか・・・

 

「宝具、展開します・・・!」

 

そして、直撃。踏ん張っているマシュさんの足元がじりじりと動いているし半透明なでかい盾もミシミシ言ってる気がするんだけど・・・それでも。

 

「はあああああああああああああああっ!」

 

マシュさんが、叫びながら踏ん張り続け、先にビームが、ほんの一瞬あとで盾が消える。つまり、耐えきった。マシュさんも肩で息をしている。

けど、防げただけでまだ倒せたわけじゃ・・・

 

灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)!」

 

そこで、背後からキャスターさんが宝具を発動する。さっきの空間では狭くてほとんど牛ぎゅう詰めだったその巨人も、この場は少しばかり広がっているためかさっきよりは小さく見える。当然ながら、向かう先はアーサーのもと。

 

「これで倒せる、って可能性はないわな・・・オイライダー、まだいけるな?」

「当然。マシュ殿、いきますよ!」

「え、ちょ、ライダーさん!?」

 

と、ライダーはなぜかマシュさんの腰を支え、構えて・・・

 

「壇ノ浦・八艘跳!」

「え、ちょ、きゃあ!?」

 

そのまま、マシュさんごと跳んでいってしまった。大丈夫なんだろうか、あれ・・・

 

「・・・約束された(エクスカリバー)

 

と、そんなことを思いながら見ていると、アーサーさんがまた宝具を発動しようとしている。少し後ろに跳んで巨人と距離を取り、ライダーたちごと消し飛ばせるような・・・!

 

「マシュ殿、宝具を!」

「え、ちょ、」

 

それを見たライダーは止まるでも避けるでもなく、勢いをそのままに抱えたマシュさんに言う。宝具、それに該当するものはマシュさんは一つしかないはず。つまり、まさかライダーは・・・

 

「急いで、マシュ!」

「は、はい!真名、偽造登録」

 

水鳥さんにも言われて、マシュさんも行動を始める。それにしたって、ライダーの考えはどこまでぶっ飛んでるんだ・・・所長さんも半ば呆れかえってるし・・・

 

勝利の剣(モルガーン)!」

仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)!」

 

だが、その考えは実行される。巨人を消し飛ばしたビームはそのまま突き進み、そしてマシュさんの展開してる壁のようなものにぶつかる。先ほど踏ん張り、おそらくは全力で構えて、さらに令呪があって防ぐことのできた一撃。素人目に見てもギリギリだったのだが、二度目で、ライダーに抱えられているという状況でどこまで持つのか・・・

事実、押されているのかライダーの移動速度もこれまでに比べたら遅くなっている。これから四艘目だっていうのに、このままで行けるのかどうか、

 

「マシュ!頑張って!」

 

と、再び水鳥さんからの声。先ほどと同じように、しかし今回は二つ分。手の甲にあった令呪は二つ消え、マシュさんへと影響を及ぼす。そして、それだけの効果はあったのか・・・少しずつ、ビームが終わった。

そして、抑えてくるものがなくなったのだから、当然ライダーの動きも戻る。

 

「その首、討ち取る!」

「なめるなよ、小娘!」

 

再び速度を上げるためかマシュさんを手放し、四、五、六と進んでいく。そして、八つめの音と同時に。金属音が、一つ。

 

「防ぎましたか」

「当然だろう」

 

衝突の瞬間は、見えなかった。だが、今目の前にある結果は分かる。アーサーの剣とライダーの刀がぶつかっているこの状況はつまり、あれだけやっても当てられなかったということ。けれど、

 

「これで、倒れて・・・!」

 

その横から、マシュさんが盾を振り被る。唐突な真横からの一撃。視界には入っていたかもしれないけれど、ライダーを相手取るためには受けるしかない攻撃。それは当たりこそしたが、鎧にヒビを付けるだけで止まってしまう。

 

「ちょこまかと、うっとおしい!」

 

アーサーから何かが吹き荒れ、二人が強制的に距離を取らされる。多分だけど、今のが魔力放出。確かに、あれを攻撃のブースターに使われたらたまったもんじゃない。

そして、再び。何度撃てるんだと思うけれど、それでも確かに剣が黒く輝きだす。

 

「アンサズ!」

 

と、そこへキャスターさんが攻撃を飛ばす。ダメージはないように見えるがうっとおしかったりするのか、その動きが一瞬止まった。

 

「大夫黒!」

 

そこに、ライダーが大夫黒を呼び出して駆ける。前足で踏みつぶそうとしてアーサーの剣で防がれ、跳び下りたライダーが後ろから突き刺そうとする。それは、とっさに横に転がることで避けられた。そして。

 

「今度こそ、倒れて・・・!」

 

その先にいたマシュさんが、再び盾を叩きこむ。転がった関係でまだ低い位置にいたそれに向けて、振り下ろされる大盾。それはまっすぐに先ほどつけられたヒビに向かい、鎧を砕いてその肉体まで至った。グチュ、というような生々しい音が一つ。反射的に目を背けてしまったそこへ再び目を向けると・・・胴体の半ばまで盾を喰いこませたアーサーが、倒れていた。

 

「霊格を完全に砕いてるわね、あれは。終わりよ」

 

所長さんの一言で、俺はやっと安心する。終わった。キャスターさんも言ってた最後の敵が、これで倒れたんだ。

 

「―――フ。まさか、最後の一撃をこんな小娘に刺されるとはな。知らず、私も気が緩んでいたようだ」

 

そんな状態でも、まだしゃべっているアーサー王。・・・これ、ホントに大丈夫なの?終わってるの?

 

「聖杯を守り通す気でいたが、そうもいかなかったか。・・・結局、どう運命が変わろうと、私一人では同じ末路をたどるわけだ」

「あ?どういう意味だそりゃあ。テメエ、何を知ってやがる?」

 

その言葉に何か思うところがあったのか、キャスターさんが問いかけるが。

 

「いずれ貴方も知る、アイルランドの光の御子よ。グランドオーダー―――聖杯をめぐる戦いは、まだ始まったばかりだということをな」

 

貴方、という呼び方からどこか柔らかくなったように感じた。もう戦いは終わったということで気を抜いてくれてるのだろうか?そんな俺の考えを裏付けるかのように、アーサーはだんだんと解け、そして消滅していった。

 

「オイ待て、それはどういう―――!?ちょ、ここで強制帰還かよ!?」

 

そして、戦いの前に言っていた通りキャスターさんもまた解けていく。うん、これで確信できた。この戦いは完全に終わったんだ。

 

「ああクソッ、納得いかねえが仕方ねえ!坊主に嬢ちゃん、後は任せたぜ!なんとかしな!機会がありゃ、ランサーとして呼んでくれや!」

 

そう言い残して、キャスターさんは消滅していった。ニカッ、というような笑みはこんな状況なのにキャスターさんにとてもにあっているように思う。

 

「セイバー、キャスター、ともに消滅を確認しました。・・・私たちの勝利、でいいのでしょうか?」

 

その状況の中、最初に沈黙を破ったのはマシュさんだった。俺も気になっていたそのことを、確認してくれている。

 

『ああ、よくやってくれた皆!間違いなくこれで終わりだよ!』

 

と、そう告げられた。俺はその一言に安心しきって、体中から力が抜ける。崩れ落ちる前に、誰かに支えられた。

 

「大丈夫ですか、主殿?」

「あ、ライダー・・・うん、大丈夫。安心して力が抜けちゃっただけだから」

 

このまま崩れたら心配させるかなと思って、ライダーの力を借りてちゃんと立つ。少なくとも立つことが出来ているから安心できたのか、ライダーも心配そうな顔を崩した。

 

「でしたらよかったです。許可をいただいていたとはいえあれだけ連続で宝具を使いましたので、その影響かと思いまして」

「その辺りについては大丈夫・・・な、はずだから」

 

これ以上聞かれても、俺には答える手段がない。だから何とか話題を逸らせないかなと思って他の人たちの方を見て・・・一人、様子がおかしいことに気付く。

 

「・・・冠位指定(グランドオーダー)・・・あのサーヴァントがどうしてその呼称を・・・?」

「あの、えっと・・・所長?どうかしたんですか?」

「え・・・?そ、そうね。何でもないわ。よくやったわね」

 

と、俺の問いかけで今の状況を思い出しでもしたのか、俺達にねぎらいの言葉をかけてくる。

 

「不明な点は多いですが、ここでミッションは終了とします」

 

と、所長の言葉ではっきりと終了が告げられた。さっきもドクターに言われたばっかりだって言うのに再び言われてまた安心する。まあ、また崩れるようなことはなかったけど。

 

「さ、まずあの水晶体を回収しましょう。セイバーの異常やこの街が特異点となった原因、それはあれにあるでしょうし。マシュ」

「はい、支給回収―――な!?」

 

と、アーサーが消えた辺りにある何かをマシュさんが回収しようとしたのだが・・・そこから、何かが現れてくる。

 

「いやはや、まさか君たちがここまでやるとは。計画の想定がいであり、私の寛容さの許容差だ」

 

その声には、これといって聞き覚えがない。でも、何人かが首を傾げていたり驚いたりしている様子を見ると・・・何かある、のかもしれない。

 

「一般人から集められたマスター適性者。まったく見込みのない子供だからと善意で見逃してやったら一人はこの状況に勇敢に立ち向かい、一人は怯えきっていたのにサーヴァントを召喚しここまで至った。・・・全くもって、私の失態だ」

「レフ教授!?」

『レフ―――!?レフ教授だって!?彼がそこにいるのか!?』

 

レフ教授・・・改めてその名前を聞いても、これといって覚えがない。俺の前に出て警戒している様子のライダーが知っている可能性もないだろうし、そうなると聞く相手は・・・

 

「・・・ねえ、水鳥さん。レフ教授って?」

「・・・あ、水瀬君は会ってないんだ。えっと、カルデアのスタッフ、のはずだったんだけど・・・」

「なら味方・・・ってことはない、のかな?」

「なさそう、だよね・・・」

 

小声で話している俺達の前では、なんだか諸々の元凶が彼であるかのような発言が彼自身の口で紡がれていて。

 

「どいつもこいつも統率の取れていないクズばかりで、吐き気がとまらないな」

 

今はっきりと、それまでにあったもの腰柔らかそうな印象は消え去った。

 

「人間というものはどうしてこう、定められた運命からズレたがるんだい?」

「主殿、下がってください」

「マスターも、私たちの後ろに」

 

何かを感じ取ったのか、ライダーとマシュの二人で俺達の前に立った。守るようにしているということは、明らかに危険な何かである、ということだろう。

 

「主殿、人ならざる何かを感じます。あれ、どういたしましょう?」

「・・・・・・しばらくこのまま、で。得体が知れないし」

 

今にも攻撃しに行きそうな気配を漂わせている牛若丸を制して、俺は何か知ることが出来ないかと待つ。水鳥さんも下手な手出しはできないと思っているようでそのまま動かないのだが・・・

 

「レフ・・・ああ、レフ、レフ!生きていたのね!」

 

そんな何かに、状況がおかしいことに気付いていないのか、所長はそちらに向かって足を進めていく。

 

「ちょ、所長さん!?」

「よかった、あなたがいなくなったら私、この先どうやってカルデアを守っていけばいいのか!」

 

最初は、少しずつよろけるように。しかしそんなのほんの一瞬だけで、今はそちらに向けて走っていく。俺の声も、今発せられたマシュさんの声も聞こえていないかのように、彼の元へと走っていった。

 

「所長さん、どうしてあれだけの発言を聞いたのに・・・」

「どこか、頼り切ってるようなそんなところがあったから・・・じゃないかな」

 

つまり、元々心から信用していた、ということか。だとすればこの状況も分からなくはない。そんな相手が裏切っているだなんて、そんなことを信じようとするはずがない。

そしておそらく、所長さんのそんな心境は分かり切っているんだろう。レフとやらは、再び物腰柔らかな口調へと戻る。

 

「やあオルガ。元気そうで何よりだ。君も大変だったようだね」

「ええ、ええ、そうなのレフ!管制室は爆発するし、この街は廃墟そのものだし、カルデアには帰れないし!」

 

違う、そうじゃない。

 

「予想外のことばかりで頭がどうにかなりそうだった!でもいいの、あなたがいれば何とかなるわよね?」

 

そうじゃない。何とかしてくれる相手のはずがない。

 

「だって今までそうだったもの。今回だって私を助けてくれるんでしょう?」

 

そんなことをしてくれる相手のはずがない。そう自分の中では言っているのに、それが言葉になろうとしない。この状況を、黙ってただ見てしまっている。

 

「ああ。もちろんだとも。本当に―――予想外のことばかりで頭にくる」

 

そして、その口調も崩れた。再びその声が発するのは、強い嫌悪感を孕んだ声。

 

「レ、レフ?」

「その中で最も予想外なのが君だよ、オルガ。爆弾は君の足元に設置したって言うのに、まさか生きているだなんて」

「マシュ、今すぐあの人を」

「おやめください、あの気配は・・・私たちの手には余る可能性が」

 

さすがに見ていられなくなった。そんな感じで水鳥さんがマシュさんに声をかけるけど、ライダーにとめられている。さっき真っ先に飛び出すんじゃないかって様子だったけど、今はそうではないようだ。つまり、よっぽど危険な何かだってこと、なのか?何か分かることがあるのかと、ライダーに聞こうとして。

 

「・・・・・・え?何を言ってるの、レフ?そんな、まるで全部あなたのせいみたいな・・・」

「いや、生きている、というのは違うか。なんせ君はもう死んでいる。肉体はとっくにね」

 

だが、そんな考えはどこかに飛んで行った。

 

「所長が、もう死んでる・・・?」

 

死。それは確か、俺がここにきて真っ先に感じたことだ。けれど、今も俺はここにいる。ということは、まだ生きているということだ。だったら同様にそこにいる所長さんも生きているはずで、けれどレフによれば生きていなくて、だったら俺は・・・

 

「主殿、落ち着いてください。主殿は間違いなく生きています」

 

一旦、落ちついた。ライダーがどれだけ俺にとって安心させてくれる存在になっているのかって話だけど、少なくとも俺は、たった一言でとても落ち着いた。表面上は、間違いなく。

 

「ほら。君は生前、レイシフトの適性がなかっただろう?肉体があったままでは転移できなかったんだ。わかるかい?君は死んだことで初めて、あれだけ欲しがっていた適性を手に入れたんだよ」

 

おめでとう、と言いながら手を叩くレフ。そして、

 

「だが、君はもうカルデアには戻れない。だってカルデアに戻った時点で君は。その意識は。肉体無き魂は消滅するんだから」

「え・・・え?」

 

そして、状況が呑み込めていなかった所長は、その混乱をさらに深いものにする。

 

「消滅って、私が?ちょっと待ってよ、カルデアに、戻れない?」

「そうだとも。だがそれではあまりにも哀れだ」

 

そんな所長の様子が楽しいのか何なのか、レフの表情は笑顔そのものだ。

 

「生涯をカルデアに捧げた君のために、もうその眼で見ることのできないカルデアがどうなっているのか、特別に見せてあげよう」

 

レフはそう言って、手元に何かを出した。それは彼の上に昇って、広がり・・・どこかを、映し出す。

 

「な・・・なによあれ。カルデアスが真っ赤になってる・・・?」

 

その言葉が意味することが何なのかは、俺にはわからない。けれど、何か絶望的な状況なのは間違いないのだろう。

 

「嘘、よね?あれ、ただの虚像でしょう、レフ?」

「本物だよ、君のために時空を繋げてあげたんだ。聖杯があればこんなこともできるからね」

 

まだ、状況を受け入れられないのだろう。信じられないのだろう。だが、レフはそんなこと気にもしていない。

 

「さあ、よく見給えアニムスフィアの末裔。あれがお前たちの愚行の末路だ」

 

今、はっきりと、彼の表情が憎しみを抱かせるものになった。

 

「人類の生存をしめす青色は一片もない。あるのは燃え盛る赤色だけ。あれが今回のミッションが引き起こした結果だよ。よかったねぇマリー?今回もまた、君の至らなさが悲劇を呼び起こしたわけだ!」

「ふざけないで!」

 

初めて。今の状況になって初めて、所長さんがその声に怒りを乗せた。

もっと早く載せているのが正しかったはずのそれ。そのはずなのに、俺はむしろ違和感を抱いてしまった。

 

「わたしの責任じゃない、わたしは失敗していない、私は死んでなんかいない・・・!」

 

そして、それは正しかったのかもしれない。だって、その声が向けている怒りは、どこかおかしな方向なんだから。だって少なくとも、

 

「アンタ、どこの誰なのよ!?わたしのカルデアスに何をしたっていうのよぉ・・・!」

 

彼女はまだ、この時になっても全てを理解してはいないんだ。

 

「アレは君の、ではないよ。まったく―――最期の最期まで耳障りな子娘だったなぁ、君は」

 

その言葉と同時に所長の体がどこかに吸い込まれるような、そんな様子が生まれる。

 

「そこは今、カルデアにつながっている。このまま殺すのは簡単だが、それでは芸がない。最後に君の望みをかなえてあげようじゃないか」

「な、何を・・・体が、何かに引っ張られて―――」

「君の宝物、とやらに触れるといい。なに、わたしからの慈悲だと思ってくれたまえ」

 

何を言っているのか、俺には理解できてないな。所長さんが今漏らしていることも、全くもってわからない。けれど彼女の様子から、あれは触れたら間違いなくダメなもので。

 

「ライダー、あれ」

「・・・・・・申し訳ありません、主殿。私ではどうすることも」

 

無理、らしい。ライダーで何もできないというのなら、俺が何かできるはずもない。もちろん、ここにいるもう二人も。だから、今できるのは・・・ただ、所長の悲痛の叫びを聞いていることだけ。

 

「生まれてからずっと、ただの一度も、誰にも認めてもらえなかったのに―――!」

 

それが、最後の一言だった。ただその一言を残して、所長さんは消滅した。隣では、走って向かおうとする水鳥さんがマシュさんにとめられている。俺も何かするかもと思われているのか、ライダーが腕をつかんでいる。

 

「ほう。さすがはサーヴァントだ。私が根本的に違う生物であると感じ取っているな」

 

さっき、ライダーが言っていたこと。どうやらそれは間違いない事実であるようだ。

 

「改めて自己紹介しようか。私はレフ・ライノール・フラウロス。貴様たち人類を処理するために遣わされた、2015年担当者だ。聞いてるな、ドクター・ロマニ?共に魔道を研究した学友として、最後の忠告をしてやろう」

 

今、目の前のやつの視界に俺達は映っていないようだ。

 

「カルデアは用済みになった。お前たち人類は、この時点で滅んでいる」

『・・・レフ教授。いや、レフ・ライノール。それはどういう意味ですか?2016年が見えないことに関係があると?』

 

ドクターは、逆にとても落ち着いていた。さっきの所長さん同様知り合いだっただろうに、もう一切慌てているような様子もない。時間があったからか、あれだけのことが目の前で起こっていたことか。原因は分からないけれど。

 

「関係ではない。もう終わってしまったという事実だ。未来が観測できなくなり、お前たちは“未来が消滅した”などとほざいたな。まさに希望的観測だ。未来は消失したのではない。焼却されたのだよ」

 

消失ではなく、焼却。つまり、誰かの手によって消された、ってことか?

 

「カルデアスが深紅に染まった時点でそれは確定した。貴様たちの時代はもう存在しない。カルデアスの磁場でカルデアは守られているだろうが、外はこの冬木と同じ末路を迎えているだろう」

 

外は、つまりカルデアの外は、元の時代に戻ってももうない、ということだ。俺がこれまで通っていた学校も、帰っていた家も、何もかもが。

 

『・・・そうでしたか。外部と連絡が取れないのは通信の故障ではなく、そもそも受け取る相手がどこにもいなかった、ということですね』

「ふん、やはり貴様は賢しいな。真っ先に殺しておけなかったのは悔やまれるよ」

 

二人の会話が、いやになるほど俺の頭の中に流れ込んでくる。

 

「だがそれも虚しい抵抗だ。カルデア内の時間が2015年を過ぎれば、そこもこの宇宙から消滅する。もはやだれにもこの結末は変えられない。なぜならこれは人類史による人類の否定だからだ」

 

まったく、言ってることが分からないってのに、おかしなもんだ。

 

「お前たちは進化の行き止まりで衰退するのでも、異種族との交戦の末に滅びるのでもない。自らの無意味さに!自らの無能さ故に!我らが王の寵愛を失ったが故に!何の価値もない紙クズのように、跡形もなく燃え尽きるのさ!」

 

レフのその言葉が終わるのとほぼ同時に、振動が伝わってくる。

 

「おっと。この特異点もそろそろ限界か。・・・セイバーめ、大人しく従っていれば生き残らせてやったものを。聖杯を与えられながらこの時代を維持しようなどと、余計な手間を取らせてくれた」

 

今更ながらだが、彼女の願いはこの時代が消滅しないこと、だったのか。だとすれば、もしかしたら。ほんの少しのきっかけで、彼女をこちらに引き込めていたのかもしれない。

 

「では、さらばだロマニ。そしてマシュ、二人の適性者。こう見えても私には次の仕事があるのでね。勝手に消えていく君たちの末路を楽しむのはここまでにしておこう」

 

消えて、行く?

 

「このまま時空の歪みに飲み込まれるがいい。私も鬼じゃない。最後の祈りくらいは許容しよう」

 

そんな言葉を残して、レフは消えていった。なんだか色々と言いたいことがないわけではないんだけど、今それどころじゃないのは間違いないわけで。

 

「地下空洞が・・・いえ、それ以前にこの空間が崩れます!ドクター!至急レイシフトを!このままでは全員・・・!」

『分かってる、もう実行しているとも!でもゴメン、そっちの崩壊の方が早いかもだ!その時はあきらめてそっちで何とかしてほしい!ほら、宇宙空間でも数十秒なら生身でも平気らしいし!』

「「「ドクターちょっと黙ってて!」」」

 

こんな時に何言ってんだもう!

 

「主殿、それに水鳥殿にマシュ殿も!少しでも崩壊の基点から逃れます!こちらへ!」

 

そう言いながらライダーは俺の手をつかんで放り、二人も同様にする。弓に何をするのかと思ったが、ちゃんと考えられていたようで三人そろって大夫黒の上に。いつの間に召喚されていたのかは分からないがライダ―の言いたいことは理解できたので、俺は馬に捕まった。その後ろから俺に捕まってくる感覚も、体重がかけられる感覚も、合計二回。

 

「って、ライダーは」

「私の俊敏はA+です、自分で並走します!」

 

ライダー馬いらないじゃん、とか思ったけどそんなことを口には出せなかった。なんせもう既に走り出していて、今しゃべろうものなら間違いなく舌をかむ!

 

『最悪でも意識だけは強く保つんだ!たぶん、それでなんとかサルベージでき・・・!』

 

そして、ほんの一瞬。ドクターの言葉を聞ききる前に、音が聞こえなくなった。

 




長いうえに駄文ってもう救いようがないよネ!
はぁ・・・あ、次回で冬木編が終わります。
ついでに、7時頃に投稿されます。


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