Fate/Grand Order 二人目の生存者(仮称)   作:biwanosin

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この話は・・・自分はこれかなぁ、って感じです。好き嫌いは分かれるかと。


では、本編へどうぞ!


第六話

ふと、意識が戻ったような、そんな感覚。それに導かれるように目を開くと、そこにあったのは見覚えあるはずなのに、どこなのか思い出せない場所。少し顔を動かして真っ赤な地球儀を見つけ、ぼんやりと理解した。

 

「あ、そうか。カルデア・・・」

「主殿!」

 

思い出して体を起こすと、結構な勢いで隣から何かが抱き付いてきた。いや、何か、ではない。この声はそう、

 

「ライダー?」

「はい、ライダーです!どこかおかしいところはありませんか!?」

「いや、何ともないけど・・・」

「そうか、それはよかった」

 

と、また別の人物の声が。まだどこかぼんやりとしている頭を振って、どうにか思い出せないかと思案してみて・・・

 

「あ、ドクターロマン、でしたっけ?」

「うん、あとロマンでいいし敬語もなしでいいよ。むずがゆいし。ちょっと失礼・・・」

 

と、ロマンさん・・・ロマンは俺に近づいてきて、腕を取ったりして何かを調べる。

 

「うん、君も大丈夫そうだね。梓ちゃんも気を失っているだけのようだし、一安心だ」

 

そう言うロマンの後ろには、マシュさんの膝に頭を乗せている水瀬さんの姿が。今の発言からしても、危険はないのだろう。

 

「とりあえず、マシュは彼女を部屋まで連れていってあげて、そのままお布団で寝かせておいて。服も少し緩めてね」

「はい、ドクター。私はその後どうすればよいでしょうか?」

「そのまま休んでくれてかまわないよ。デミ・サーヴァント関連の検査は後日、ということにしよう」

「分かりました。では、おやすみです。水瀬さんとライダーさんも」

「うん、お休み」

「あー・・・おやすみ、なさい」

「おやすみなさいませ、マシュ殿!」

 

と、マシュさんはそのまま水鳥さんを抱えて部屋を出ていった。体格の変わらない相手を運んでいる女の子、ってのには違和感が結構あるんだけど、ライダー・・・牛若丸も俺を抱えたりしてたし、今更だった。

しかし、こういう面ではサーヴァント化ってのも便利なものなのかも・・・や、戦いに参加するとか絶対に無理だし、うん。

 

「で、水瀬君とライダーについてなんだけど・・・君はもう休んでおこうか」

「いいん、ですか?」

「もちろんだよ。出来るならいくつかやっておきたいことがあるけれど、今のカルデアが頼ることのできるたった二人のマスターだ。体調を崩されても困る」

「・・・なら、遠慮なく」

 

まあ、正直に言えばすぐにでも自室に帰りたい。飛び出していきたい衝動にも駆られるレベルなんだけど・・・けれど、その前に。

 

「えっと、ライダーはどうするの?」

「ああ、彼女は少しの間こっちで借りるよ。君やこことのつながり具合の検査を簡単に、あと服と自室くらいはいるんじゃないかな?」

 

と、聞こえてきたのは初めて聞く女性の声。反射的にそちらに顔を向けると、長身の女性がそこにいた。

 

「初めまして。私はダ・ヴィンチちゃん。カルデアに三番目に召喚された英霊だ。気軽にダ・ヴィンチちゃんと呼んでほしい」

 

・・・確か、ダ・ヴィンチってあれだよな。かなりの変人で、画家で、男。いや、牛若丸、アーサー王の時点で性別とかは気にしたら負けか。

 

「ちなみにだけど、彼は生前は男だよ。限界する時に『女になりたい』とか思ってこの姿で出てきたらしい」

「美しいだろう?モナ・リザ」

 

しっかり変人だった。とても分かりやすく変人だった。何この人、どうしちゃったんだろう、頭の中。

 

「それでは主殿、私はあちらに行きますね」

「あ、うん。わかった、それじゃあ」

「はい、失礼します!」

 

そして、牛若丸は「ダ・ヴィンチちゃん殿、よろしくお願いします!」といっている。うん、流石にここまで戻ってきたらあの場ほどは警戒しない方針なんだろう。仲良くやってくれそうでありがたい。

 

「それじゃ、俺も部屋に帰る。泥のように寝てるだろうから、悪いんだけど何かあったら直接起こしにきて」

「うん、了解。よっぽどなレベルの何かがない限り呼びにはいかないから、気にしないで休んでくれ」

「それじゃあ、遠慮なく。・・・明日の昼になっても起きてなかったら、生きてるかだけ確認してくれ」

 

ちょっとふざけたような口調でそう伝えて、俺は少しだけ速足で自室へと向かった。

 

 

 

 ▽▲▽▲

 

 

 

ダ・ヴィンチちゃん殿と少し話をし、部屋の鍵(だと言われた板切れ)を渡され、終わりだということなのでひとまず部屋へ向かいます。向かうまでの間にあるものも始めてみるものばかり、立ち寄りたくもなりますが・・・どうせなら、後日主殿に案内していただきましょう。

 

「この現代の服も、着心地がよい」

 

伸び縮みし、軽く、着るのが楽。これほどまでに着物ですら変わっているのだと思うと、さらに現代に興味がわきます。可能ならば人里へも行ってみたいのですが・・・それは無理でしょう。少なくとも、今は。

 

「・・・おや?」

 

と、私の部屋にたどり着く少し前。何かあった時のためにとすぐ隣にしていただいた主殿の部屋。その(ふすま)が少し開いています。閉じ忘れたのでしょうか・・・ふむ。まだ起きていらっしゃるのであれば、この服装を見ていただきたくはあります。少し覗いてみて、起きていらっしゃるのかを確かめましょう。お休みになられているのであればしっかりと戸締りをする必要もありますし。そう思い、隙間から覗き込み・・・

 

「主殿!?」

 

抱えていたものを全て投げ捨て、主殿に近づきます。私の時代にはなかったべっど、というものの上にいらっしゃいますが、そんなことより。

 

「あ、牛若丸・・・」

「どうかなさったのですか、こんなに震えて・・・!」

 

そこにあったのは、べっどの上で膝を抱え、ふるえている主殿のお姿でした。部屋の中が冷えているわけでもなく、だとすれば何かしらの原因が・・・

 

「あ、はは・・・情けないとこ、見られたなぁ。大丈夫、大丈夫だから・・・」

「大丈夫なものですか!本当に、一体どうして、」

「・・・・怖くて、さ」

 

と、顔を覗き込んだ私に対して、主殿のお言葉。

 

「情けないから、部屋まで隠してきて、寝てごまかせないかなぁ、って思ってたんだけど、もう、上手くいかなくて・・・」

「何が、そのような」

「・・・死ぬ、ってのが」

 

そして、それは・・・

 

「所長さんがさ、なんか目の前であっさり消えたじゃん?あの時はまだ何とかなってたんだけど、だんだんわかってきて・・・『ああ、マジで死ぬんだなぁ』って、そう思ったら怖くてさ」

 

その感情は、わたしにはないものでした。ですから、どうお声をかければよいのか、わかりません。

 

「それで、ずっと震えてたんだ。どうやっても思い出して、落ち着かなくて。それで」

 

ですから、言葉が分からないので、無意識に抱きしめてしまいました。言葉は、それから考えようと。

 

「牛、若・・・?」

「私は・・・牛若は、生前兄上に理解していただけなかったのでしょう。おそらくは、恐怖が分からなかったことで」

 

しかし、自分でも何を言っているのか、何を言えばよいのか、わかりません。分からない以上は、もうそのまま口にするしかないでしょう。

 

「正直に申しますと、今回のことでも、これまでのことでも、一度として・・・死ぬその時ですら、恐怖は抱きませんでした。ですから、主殿のお心のうちは分かりません」

 

これは、死んでから・・・座へとたどりつき、考え、分かったことです。本人に聞けなければ真実のほどは分かりませんが、兄上のことはおそらくこうなのでしょう。

 

「・・・なんとなく、何かがズレてるとは思ったけど・・・その辺りなんだな」

「はい、おそらくは。そんな牛若ですが、それでも・・・主殿のサーヴァントとして、誠心誠意つくさせていただきたい。その思いは、間違いなく本物なのです」

 

魔術師ではなく、お心も弱く、そして流されやすい。結局のところ主殿が今でも、そしておそらくはこれからもここに残るのは、ただ始まりに居合わせてしまったというだけのこと。残りたくないでしょうに、この命がけへの恐怖があるのに、言いださない。そんなところを含めた弱さが、むしろ自分にはなく、とても魅力的にすら見えます。

 

「むろん、主殿が嫌だというのであればこの牛若、これ以上主殿を巻き込まないためにも自害しますが」

「・・・それは、ないよ。牛若丸でよかったと、思ってる。俺を守ってくれるって、そう信じてる」

 

このお言葉に牛若も泣いてしまいそうになりますが、こらえます。今それでは、本当に何もできなくなる自信があります。甘え倒します。今の主殿に対してそれは、ダメでしょう。

 

「そう言ってくださるのであれば、牛若はこれからも、主殿につかえる、主殿のサーヴァントです。恐れることのできない牛若の分も、主殿が恐れてください。二人分だと考えればちょうどいいはずです」

「そんな単純なものじゃないだろ、これは」

「そうですね。ええ、その通りです」

 

互いのことを真に理解できない。そんな関係では、どうなるものか分かりません。バカみたいな話です。が、主殿のお気を紛らわすくらいのことはできるのではないでしょうか。そう言う目的であるのならば、これくらいの話の方がよい・・・と、思います。

 

「少し、楽になった」

「でしたら、牛若もうれしいです」

 

ちゃんと効果はあったようで、牛若は安心します。そして、主殿を抱えたまま体を横に倒します。

 

「主殿には、牛若が付いています。どのような脅威からも、必ず牛若が守り抜きます。たとえこの命に代えてでも、主殿に死を近づけさせはしません。ですからどうか、お休みください」

「・・・言ってることの前後のつながり、なさすぎないか?」

「話し下手でして・・・どうか許していただきたく」

「そっか・・・なら、仕方ないな。俺も人のこと言えないし」

 

そう仰られた主殿は、体をこちらに預けてくださいました。

 

「あの時言ってた、契約の内容だっけ。俺は、牛若丸を信じてる。絶対に何があっても守り抜いてくれるって、心強い味方だって、そう信じてる。だからさ、俺からも一個だけお願いしていいか?」

「無論、いくらでも。なんでしょうか?」

「絶対に、死なないでくれ。無事全部終わったら別れが来るのかもしれないけど、それでも・・・その本当に最後の瞬間までは、一緒にいてくれ」

「・・・ありがとうございます、主殿」

 

一緒にいてほしい、と。そのお言葉は、牛若にはもったいなく、そしてこの上なくうれしいものです。

 

「今日だけ、このまま一緒に寝てくれないか?だいぶ落ち着いたんだけど、まだ寝れる自信がなくってさ。・・・なさけないな、ホントに」

「かまいませんよ。では・・・お休みなさいませ」

「うん、お休み」

 

ほんの少しして、主殿の寝息が聞こえてきたのを確認して、牛若も瞳を閉じます。

 

 

 

 ▽▲▽▲

 

 

 

しばらくの後、そのマスターの部屋には二つの寝息が響いていた。静けさの中に響く、規則的な二つの音。

片や、それまでの恐怖を納め、抱きつつも安心している男のもの。

片や、腕の中の愛おしさを抱き、それに安心を与える女のもの。

ちぐはぐ故に互いを欲し、必要とするその主従は、今後の戦乱に対する思いを一時忘れ、ただ安らかな眠りに身をゆだねた。

 

・・・なお、起きた瞬間に一瞬で赤面し、顔を合わせられなくなる主と、その心のうちを読むことが出来ず首を傾げる従者の姿があるのだが、それはまた別のお話。

 




こんな感じになりました。そしてさらに、こういう感じの話になるだけあって、この主人公は基本ビビリです。ずっとこんな感じです。改善はされるかもしれませんが・・・ビビリなのです!


あ、次の話が12時に投稿されます
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