ゼロの名の戦士―その未来を守るために―   作:水卵

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お久しぶりの更新です。


Episode11:VS Tortoise Imagine

 ──電王。

 その名を知らぬイマジンは、今はもういないだろう。数多くのイマジンが過去へ飛ぶ前に倒されるケースや、今回の様に過去へ飛んだとしてもその後を追ってやってくる──時の運航を守る仮面の戦士。

 それが今、トータスイマジンの前に現れた。

 M電王(ソードフォーム)は名乗り終えると、左腰に備わっているデンガッシャーのパーツ、ガンパーツとアックスパーツの二つ連結させ、上に放り投げる。

 

「さぁて、やっと出番が来たんだ。思いっきり暴れさせてもらうぜ!!」

 

 吠えるのと同時に駆け出し、右腰に備わっている残り二つのソードパーツとガンパーツ手に取り、落下してきたパーツに連結させソードモードへと変形させる。

 

「行くぜ、行くぜ、行くぜ!!」

 

 迫りくる電王の攻撃から逃れようとするトータスイマジンだが、それよりも電王の接近が早かった。既に攻撃の間合いは十分にあり、電王はデンガッシャー・ソードモードで斬りつける。

 散る火花。

 電王は攻撃の手を休める気はなく、すぐさま刃を返して斬り上げる。力任せに、荒く乱暴に斬りつける電王。正面から敵を叩き潰すという勢いのこもった戦闘スタイルが、電王・ソードフォームの特徴だ。ゼロガッシャーがトータスイマジンの体を斬りつけるたびに、火花が散る。

 まさに嵐のような攻撃だ。なんとか反撃に出ようとトータスイマジンが腕を振るうが、バックステップで躱され、すぐに空いた距離を一歩で埋めてくる。再び振り下ろされるデンガッシャー、剣撃のみならず間に蹴りを挟むことでトータスイマジンの体制を崩す。そこへ、大振りの一撃が振るわれる。早大に火花を散らして吹き飛ぶトータスイマジン。

 

「へっ、大したことねぇな。これじゃ準備運動にもなりゃしねぇ」

 

 デンガッシャーを肩に乗せ、余裕を見せる電王。

 トータスイマジンの方は先ほどの一撃が効いたのか、四肢に力を入れて立ち上がるもふらふらしていた。

 これならすぐに片付くな、と判断した電王はデンガッシャーを構えると駆け出す。敵が躱す暇さえ与えない速度で振り下ろされた剣撃は、奇麗にトータスイマジンを真っ二つに切り裂いたが、

 

 

 

 

 グニャリ、とそのまま分裂した。

 

 

 

 

「はあ!? なんだそりゃ!? そんなのありかよ!?」

 

 目の前で切り裂いたはずの敵が二対に分離し、その手に伝わってきた不気味な感触に声を上げる電王。

 

「ヘイ! ヘイ! ありなんですよっ!」

 

 分離したことで生まれたトータスイマジンはうさ耳の様なものが生えており、ピョンピョンと飛び跳ねながら電王を翻弄させる。 

 二対に分離され、しかも片方は動きが素早いと来た。

 耳のあるトータスイマジンが飛び跳ねながら電王に迫り、けん制のために振るったデンガッシャーを躱され、強いバネ生かした蹴りが電王を襲う。胸部を襲う衝撃により後ろに転びそうになるのを、足に力を入れて踏ん張る。

 ソードフォームは基本的にスピードに特化したフォームではある。耳のあるトータスイマジンはそのスピードに及ぶ素早さが備わっており、電王はやみくもにデンガッシャーを振るい迎え撃つしかなかった。

 しかし、片方にだけ手をこまねいている暇はない。

 もう片方、本来のトータスイマジンの放った鉄球が電王の背を襲った。

 

「いだっ!?」

 

『大丈夫!? モモタロス!』

 

「問題ねえ。へっ、少しは手ごたえがあるようで安心したぜぇ」

 

 弱音を吐くことなく、あくまで強がる電王。

 だが二対に分離されたことでこちらが不利になったことは確かだった。片方は素早い動きでこちらを翻弄し、その隙にゆったりとした動きの本体が鉄球を放ちダメージを与える。見事に連携が取れている。

 トータスイマジンは強がる電王をあざ笑うと、飛び跳ねながら再び迫る。蹴りが電王の動体を捉えるのと同時に、振り下ろされたデンガッシャーが火花を上げた。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 ゴトリ、と音を立てて瓦礫がひっくり返る。そして起き上がる一つの影。

 

「危なかったー」

 

 瓦礫の下から出てきたのはデネブだった。先ほど詩音に頼まれてイマジンへと向かったデネブだが、詩音の叫びを聞きそちらに視線を向ければ、少女に向かって走り出す真姫の姿が目に入った。しかも、その近くには今にも倒壊そそうな建物がある。最悪の事態を考えたデネブは急いで二人に向かって駆け出し、瓦礫に潰される寸前のところで滑り込んだのだ。

 結果、二人を瓦礫から守ることに成功した。普通の人間ならば潰されるはずだが、デネブはイマジンだ。このようなことで潰されるほどやわな体ではない。

 

「デネブ!」

 

 瓦礫を科していると、詩音が叫びながらやってきた。その表情には焦りの色がはっきりと表れており、もしもの最悪の事態に脅えている様だった。

 デネブが振り返るより先に肩を掴んだ詩音は、激しくうろたえている。

 

「アイツは無事なんだろうな!?」

 

「大丈夫だよ、詩音。ほら」

 

 え? と言ってデネブが向いた方に視線を動かす詩音。そこには確かに小さな子供を抱きしめながら瞳をぎゅっとつぶっている真姫の姿があった。デネブが瓦礫から守ったからなのか、多少服が汚れているだけで目立った外傷はない。真姫もしばらくして自分が瓦礫の下敷きになっていないことに気が付くと、目を開けて辺りを見回す。

 

「あれ? 私たち──」

 

「ばか野郎がっ!!」

 

 真姫が現状を把握するより先に、詩音が大声を上げて真姫に飛びついた。

 

「お前が死んだらアイツの思う壺なんだぞ!! そう簡単に危険な行動に出てるんじゃねぇよ!!」

 

 普段の真姫ならば何かを言い返しているだろう。

 しかし、今回だけは言葉を発することが出来なかった。

 詩音が、泣いていたのだ。

 その瞳にうっすらと涙を浮かべている姿は、今までの詩音からは想像できない姿であり、その姿に驚いた真姫は言葉を発することが出来なかった。

 詩音は自分が涙を浮かべていたことに気づいたのか、慌てて真姫から離れると袖で目元を拭った。

 

「そっちの子は大丈夫なのか?」

 

「……ええ、見たところ怪我はないみたい」

 

 詩音の様子に戸惑いつつも、真姫は自分が抱き締めていた少女の状態を確認する。服が少し汚れているが、大きな怪我は見当たらない。擦り傷や打撲なども見当たらないので安心する真姫だったが、少女が何かを呟いていることに気が付く。

 

「──」

 

「え、なに?」

 

 その声は少女が泣いているためうまく聞き取れない。

 真姫は少女の口元に耳を寄せる。

 

「──ま」

 

「ま?」

 

「ママが……」

 

「お母さんがどうかしたの?」

 

 少女は『ママ』と確かに呟いた。おそらく先ほどまで母親と一緒に行動していたが、この騒動によってはぐれてしまったのだろう。まだ幼い少女にとって母親と離れ離れになってしまうことは、とても恐ろしいことだ。しかも今は怪物が暴れている状況だ。その身に感じる恐怖はいつも以上だろう。

 泣きながら『ママ、ママ』と呟く少女。真姫は辺りを見回して少女の母親らしき人物を探すが、どこにも見当たらない。

 

(まさか……)

 

 と、最悪の事態が脳裏を横切るが、

 

「詩音! こっちだ! こっちに人が倒れている!! たぶんその子のお母さんだ!!」

 

 デネブの声が聞こえ、詩音と真姫は一斉に振り返る。

 そこには瓦礫をどかして一人の女性を救出しているデネブの姿があった。おそらくあの女性が少女の母親だろう。

 真姫の代わりに詩音がデネブの元に駆け寄る。倒れている女性の顔つきは少女と似ているところがあるため、この人が母親で間違いないだろう。

 

「おい! 大丈夫か!? しっかりしろ!」

 

 詩音は女性の元にしゃがみ込み、意識があるかないかを確認する。返事は返ってこず女性の目は閉じたまま。詩音は急いで脈に手を当てる。脈はある。どうやら気絶しているらしい。口元に手を近づけ、呼吸の有無を確認すると掌に微かな感触が伝わってくる。

 呼吸は大丈夫だ、と判断。

 額から血が流れ出てはいるが、それ以外に血が流れているところは見当たらない。何かの破片が刺さっている様子もない。詩音は素早く額から流れている血の止血を行う。

 

「デネブ、タオル!」

 

 詩音の声に合わせるようにデネブはきれいなタオルを差し出してくる。さらに詩音はパーカーを腰から解くと女性の頭の下に置き、回復体位に情勢の向きを変える。

 それから次々と冷静に応急処置こなしていく詩音。

 その姿に真姫は驚いていた。普通の人ならば、額から血を流している人を見て冷静に対処できるはずがない。さらに現状が現状だ。それを踏まえた上でも詩音が冷静に、しかも応急処置のお手本の様に次々とこなしていく姿を見れば、医者の関係者を身内に持つ者なのかと考えてしまう。

 

「よし、あとは救急隊に任せるか」

 

 ある程度の応急処置を終えると、やってきた救急隊に後を任せて詩音はその場を離れる。

 真姫も少女を救急隊の人に預けると詩音の後を追った。

 

「あなた、もしかして医者の関係者?」

 

「……ああ、家系がな」

 

 ビルの影に隠れた詩音は真姫の問いに答えつつも、先ほどの親子を見ていた。少女と女性が救急隊に助けられたところを確認すると、詩音は安堵の表情を浮かべるが、すぐさま切り替えてデネブへ真剣な表情を向ける。

 

「……デネブ、カードはあと何枚だ?」

 

 静かに、だが確かに怒りがこもった声音で詩音はデネブに問う。

 

「詩音?」

 

 その只ならぬ雰囲気を感じ取ったデネブは戸惑う。

 過去に何度か詩音から怒りを感じることがあったが、ここまでひしひしと伝わってくる『怒り』は初めてだ。

 それほどまでに怒っているのだろう。

 詩音から感じる怒りに、真姫も息を飲む。

 

「わかってる。今回の敵はゼロノス(おれたち)の敵じゃない。電王がイマジンを倒せば、()()()()のもわかってる。だけどな」

 

 詩音はデネブの横を通り過ぎ、瓦礫が散乱し、破壊された街の風景を見渡すと、最後にイマジンと電王が戦っていると思われる方角を見据える。

 そしてデネブの方へと振り返り、

 

「こんな光景見せられて黙ってられるほど、俺は大人しくない」

 

「詩音……」

 

「自分でも馬鹿げてると思ってる。関係ないことでカードを一枚使うんだからな」

 

 そう言って詩音は一歩前に出ると、取り出したベルトを腰に装着する。

 話に付いて行けずに置いてけぼりを食らっている真姫だったが、会話の内容についていけないのが正直なところだし、何より詩音から感じる並みならぬ『決意』が真姫に言葉を発せさせない。

 デネブも詩音の背中から感じた揺るがない決意に負け、「あと六枚」と告げた。

 

「そうか」

 

 短く返すと、詩音は何のためらいもなくカードを取り出し変身した。

 

『Charge And Up』

 

 ゼロノスへの変身が完了するのと同時に、デネブもデネビックバスターへと変形。ゼロノスはデネビックバスターを掴み引き寄せると、真姫の方に一度振り返る。

 

「お前は適当に隠れてろ」

 

 真姫にそう告げると、ゼロノスは走って行った。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 二対に分裂したトータスイマジンを相手に、M電王(ソードフォーム)は苦戦していた。動きが俊敏である耳のある方が電王を翻弄し、隙があれば鈍い方のトータスイマジンが背後から電王を狙う。

 元々一つである彼らの連携攻撃は、正に阿吽の呼吸と言っていいほどに合っていた。

 

「ほらほらどうしたぁ? 動きがちょっと鈍くなっちゃったんじゃないの?」

 

「うるせぇ……」

 

 デンガッシャー・ソードモードを構え二体のトータスイマジンと対峙する電王。体に蓄積されていったダメージにより、体は少し重い。出てくる声にも少し迫力がなくなってきている。

 

『(モモタロス、大丈夫?)』

 

「問題ねぇ、ちょっと休憩中なだけだ」

 

『(でも、まだ昨日のダメージが残ってるでしょ?)』

 

 電王──正確にはこの肉体の持ち主である青年の声が頭の中に聞こえてくる。

 モモタロスと呼ばれた、現在電王として戦っているイマジンは確かに昨日の戦いのダメージが体に残っている。だが、それを理由に引くわけがないし、この戦いから降りる気はさらさらなかった。

 

「あれ~? 来ないならこっちから行っちゃうよ!」

 

 耳のあるトータスイマジンが、電王目掛けて飛翔する。

 構える電王。

 だが、

 

 

 

 

 横から飛んできた赤銅の戦士の蹴りが、トータスイマジンを真横に吹き飛ばした。

 

 

 

 

「ったく、なに苦戦してんだ」

 

 着地した赤銅の戦士──ゼロノスは電王の方へ振り返ると呆れた声音で言う。

 

『(詩音!)』

 

「テメェ、一体今までどこに居やがった!」

 

「うるせぇ。それより今はアイツらの相手が先だろ」

 

 青年が驚きの声を上げる中、電王は今まで姿をくらましていたゼロノスに詰め寄るが、それどころではないと判断したゼロノスに押し返される。

 そして視線をイマジンの方へと向けると、先ほど蹴とばされたトータスイマジン(耳あり)が立ち上がり、ピョンピョンと跳ねながらこちらの様子をうかがう。

 

「ゼロノスだ! ハハハッ! ゼロノスだ! ゼロノスだ!!」

 

「喚くな! テメェの相手は俺がしてやるよ!」

 

 ゼロノスはデネビックバスターを構えると、耳のあるトータスイマジン目掛けて駆け出す。

 トリガーを引き光弾を発射。

 トータスイマジン(耳)は高くジャンプしてそれを交わすが、ゼロノスも負けていない。元々機動力に長けている基本フォームから強化されたゼロフォームならば、簡単にトータスイマジンに追いつける。

 同時に飛翔したゼロノスがトータスイマジンを叩き落とし、光弾を連射。火花の中に埋もれていくトータスイマジンは、同時に自分の機動力が負けたことに驚きながら落下する。

 

 一方、ゼロノスの登場で反撃の始まった電王も、徐々にトータスイマジンを追い詰めていった。元々機動力のあまりないトータスイマジンの本体とも呼べる方、連携攻撃が無ければ電王が圧勝できる。

 しかし徐々に疲れが見えてきたのか、電王の動きが戦闘開始時より鈍くなっている。おそらく先ほど青年が心配した、前回の戦いのダメージがここにきて響いてきた感じだろう。

 

『センパイ、ボクに変わって』

 

 と、電王の脳内に別のイマジンの声が聞こえてくる。

 

「ああ?」

 

『そんなカリカリしないで。センパイここ最近連戦で疲れてるでしょ? 少し休んだらっと思って』

 

「別に疲れてなんか──」

 

『──それに、あいつボクとキャラがかぶってるからちょっとむかつくんだよね』

 

 と、最後の方をやや強調して聞こえてくるイマジンの声。

 ……明らかに最後の一文が戦いたい理由だろう。何せこの声の主の名前は『ウラタロス』。宿主の青年曰く『浦島太郎に出てくるカメがイメージなんじゃないかな』とのこと。

 トータスイマジンの方も見た目的にカメがモデルだろう。彼の言った通り、もろにキャラが被っている。

 

『(それが理由なんだ……)』

 

「……はぁ。ったく、気がそれた。好きにしていいぜ」

 

 青年が呆れた声音で言うと、電王も戦う気力がうせてしまったのか体から力を抜く。

 突然の戦意喪失に戸惑うトータスイマジンを他所に、電王はベルトの青いスイッチを押してパスを通す。

 

『ロッドフォーム』

 

 アーマーが外れていき、赤いイマジンと入れ替わる形で青いイマジンが憑依する。アーマーも別の形で展開されたのが装着され、仮面も桃を模したものから亀を模したものに変わる。

 フォームチェンジが終了すると、先ほどまでとは戦闘スタイルががらりと変わった電王・ロッドフォームが誕生する。

 

「お前、ボクに釣られてみる?」

 

 ソードモードだったデンガッシャーを変形させ、素早くロッドモードにする。

 ロッドモードとなったことにより、リーチが先ほどの倍以上に伸びたデンガッシャーを振るい、トータスイマジンを攻撃する。

 機動力は落ちたものの、先ほどより遠い距離からでも襲ってくる攻撃に、翻弄されるトータスイマジン。しかし距離がある分鉄球を放てる隙はあるのでタイミングを見て鉄球を放つが、そのすべてを叩き落される。

 

「ほらほらっ、どんどん行くよ」

 

 距離を詰めると突きによる攻撃が襲ってくる。フォームチェンジされても戦いの流れは変わらないとように見えるが、武器のリーチが長くなったことで近づけばある程度の反撃が出来る。

 何とか躱して反撃の手に出ると、以外にもあっさりと膝を着いてくれた。

 

「っつ」

 

 電王からも声が漏れたのを確認すると、背後から追撃を行うトータスイマジンだったが、電王は器用に手首だけでロッドモードのデンガッシャーを操り、死角からトータスイマジンを襲う。

 

「千の偽り万の嘘ってね。意外と簡単に騙されてくれたね」

 

 どうやら猿芝居だったらしくダメージを受けた様子は全く見えない。

 悔しがるトータスイマジンをロッドの一撃でさらに飛ばすと、

 

「そろそろ釣り時かな」

 

 ライダーパスをベルトにかざす。

 

『Full Charge』

 

 エネルギーがデンガッシャーに集中していき、すべてのエネルギーが溜まるとイマジン目掛けて突き刺すように投げる。デンガッシャーが貫通するとイマジンの動きは封じられ、正に捕縛された状態となる。トータスイマジンがどんなに四肢に力を入れようと、この技に囚われたのならば、もう抜け出すことはできない。

 最後に電王は助走してからキックを叩き込む。

 必殺の一撃を受けたトータスイマジンは悲鳴を上げて爆散した。

 

 

 ちょうどそのタイミングでもう片方のトータスイマジンが転がってきたが、すでにゼロノスが必殺技を放つ体制になっていたため、手出し無用だった。

 共にイマジン撃破が成功し、しばらくの静寂がその場に流れる。

 

『(ウラタロス、ちょっと)』

 

 青年の声が頭に聞こえてくると、電王はゆっくりとベルトを外し変身を解いた。

 変身を解いた青年は、その瞳でゼロノスを見据える。

 ゼロノス──詩音も青年に続いて変身を解くと、両者ともに睨み合うような形になった。

 

「詩音、きみに聞きたいことがあるんだけど」

 

「答える必要はない」

 

 そう言ってその場から去ろうとする詩音だったが、青年が素早く詩音の前に移動し立ちはだかる。

 

「わるいけど、今回ばかりは逃がさないから。ちゃんと説明して、今起こってること、全部」

 

「だから、話しても無駄だって前にも言ったろ。お前はお前の役目を果たしてればそれでいい」

 

 尚も答えない様子の詩音に、青年は一言、その青年にしては珍しく声を張って叫んだ。

 

 

 

 

「じゃあ、なんでみんな君のことを忘れているのさ!!」

 

 

 

 

 そして、その一言は今まで表情を変えなかった詩音の表情を、少しだが確実に動かした。

 一度目を見開き、そして、

 

「……あぁ、やっぱり、忘れてるんだな」

 

 そう、呟いた。

 




次回、Episode12に続きます……。
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