乱世を駆ける男   作:黄粋

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第百四話 汜水関の戦い その三

 汜水関の門の正面。

 大岩による奇襲からの襲撃によって混乱する戦場にあって、ここは特に大混戦となっていた。

 門が開けっ放しである為に反董卓連合側は混乱の中にあっても逆転の一手を求めて誘蛾灯のように吸い寄せられ、董卓連合側は近付いてくる者たちを相手に防戦に奔走する。

 

 敵を油断させるために一時的に撤収していた城壁の防衛部隊は、大岩が発射されたタイミングで戻り、矢の斉射や投擲を行っている。

 その陣頭指揮を執りながら、戦場全体を俯瞰して状況を見定めている者が一人。

 孫呉の四天王『黄蓋公覆』である。

 

 彼女が放つ矢は必殺必中。

 さらにはその射手として最上と言える視野の広さ、視力の高さによって射るべき相手を正確に狙い撃ちにする事を可能にしている。

 彼女が今優先しているのは大岩の奇襲による場の混乱を少しでも長引かせる事。

 その為に混乱から立ち直りつつある者を優先的な標的としていた。

 汜水関を攻略したと気を抜いていた最前戦の兵士たちのうち、少しでも立場が上と思しき人間(着ている鎧の豪華さや兵へ指示を出している姿から判断)は粗方彼女の射撃によって負傷している。

 しかし彼女が射貫いた者の中に名だたる武将や武官は入っていない。

 そう易々と傷つけられると思えない彼ら彼女らは今回、狙撃の優先順位としては下げられていた。

 

 この圧倒的不利な戦いに勝利する為の策の一環として、この戦いでは『なるべく多くの者を負傷させる事』を目的としている。

 黄蓋らの射撃は目的を果たす上で最も有用な手段である。

 董卓連合側の武官の多くが名だたる武将たちと激突し、騎馬隊が強引にでも敵の本陣を目指す最たる理由は、彼女たちへの注目を少しでも逸らす為だ。

 

「今のところ、順調じゃが……」

 

 下で派手に暴れ回っている同僚たちの姿を順繰りに確認する。

 誰一人として欠けていない事を確認して安堵の息を吐くも、即座に切り替えて次の一矢を放つ。

 今のところ敵の意識は城壁の防衛部隊から上手く逸れているようだ。

 城壁の弓兵に構っている余裕がないほど地上の武官同士のぶつかり合いが加速している。

 特に夏侯惇と張遼が周囲の被害などまったく気にせずに戦っている事が大きい。

 

 だがそろそろ横槍が入るだろうと黄蓋は推測し、より注意深く戦場を観察する。

 そして戦場の荒々しい空気に紛れ込む、こちらを狙う僅かな戦意に気付いた。

 

「全員、攻撃止め! 隠れよっ!」

 

 黄蓋の指示に対して部下たちは迅速に従った。

 しかし何人かが今まさに矢を射る寸前であった者たちの行動が遅れてしまう。

 そこで明暗が分かれた。

 

「がっ!?」

「うぐっ……」

 

 飛んできた矢の雨に出遅れた数人が射貫かれてしまう。

 

「ち……、負傷者を砦の中へ! 決して身体を壁から出すな!」

 

 返事を待つ事無く黄蓋は、隠れる寸前に確認した飛んできた矢の方角へ威嚇として適当に矢を射る。

 素早く状況を確認した彼女は自分を真っ直ぐに見つめる者と目が合った。

 

「やれやれ、やはり貴様か。夏侯妙才」

 

 自分を見つめる涼しげな瞳に、獰猛な笑みを浮かべながら黄蓋は矢を番える。

 

「黄蓋様! 怪我人の救助終わりました!」

「良し。では儂の視線の先へ射撃、そして防御の準備じゃ。射撃手は儂が射るまで撃つでないぞ」

「「「「はっ!」」」」

 

 一糸乱れぬ動きで配下たちの準備が整うまで、黄蓋はただ一人で視線の先にいる夏侯淵を威嚇する。

 対する夏侯淵側は既に次の一斉射の準備が完了していた。

 

「総員……」

 

 無論、彼女らに黄蓋たちを待ってやる理由はない。

 

「放てっ!」

 

 自らが放った一矢に部下たちが続いて矢を放つ。

 主戦場である正門前からかなりの距離があるにも関わらず、矢の群れは城壁の上にいる彼らに勢いよく向かってくる。

 しかし黄蓋たち弓を構えた者たちは矢を番えて無防備な姿を向かってくる矢に対して晒したまま動かなかった。

 

「防御班!」

「「「「応っ!!」」」」

 

 矢を番える彼女らを隠すように両端を槍で結ばれた黒い布のような物が黄蓋たちに迫る矢の間にばっと広げられた。

 今まさに飛来する矢の群れの威力ならばただの布では壁にもならない、はず。

 次の矢を番えながら訝しげに状況を見守る夏侯淵。

 しかし彼女の予想は裏切られ、城壁に降り注ぐ矢は布に受け止められてしまった。

 

「なっ!?」

 

 自分の放った矢は勿論、部下たちの矢も威力は申し分ないはずだ。

 第一射で彼女は自分たちの放った矢が城壁にいた人間を射貫いた事からもその認識は間違っていないはずである。

 それを見た目がただの布にしか見えないもので止められたとあっては驚きの一つもするだろう。

 

「くっ、総員散れ! 敵の射撃が来るぞ! やり過ごせた者は各自の判断で攻撃を続行しろ!!」

 

 指示を出しながら夏侯淵は馬の腹を軽く蹴ってその場から離れる。

 自分を狙う矢が彼女が先ほどまでいた場所に突き刺さる。

 

「まったく、貴方方はこちらの予想を軽々と超えてくる!」

 

 矢の雨のお返しに何人かの部下が逃げ遅れた姿に、顔を歪めながら夏侯淵は番えたままの矢を放つ。

 しかしその矢は城壁に届く前に正面から向かってきた矢に弾かれてしまった。

 

「勝負じゃ、夏侯妙才。儂の方が有利な状況ではあるがそこは戦の常と飲み込んでもらうぞ」

「互いに一進一退と言うところ。しかし状況はまだまだ動く。最後に笑うのは我々ですぞ、黄公覆殿」

 

 互いの声は届いていない。

 だが矢を持って言葉を交わす一級の射手同士は確かに意思のやり取りをしていた。

 

 

 

 董卓連合は汜水関の正門を守る部隊にかなりの数を割いていた。

 大岩の奇襲である程度追い散らす事が出来たとはいえ、汜水関に侵入されてしまっては意味がない。

 最低限、飛び出していった者たちが戻るまでこの砦は守り切らなければならないのだから。

 

 そんな部隊の中に元董卓軍の武官だった『華雄』の姿はあった。

 彼女がその立場のままであったならば張遼らと共に飛び出し、好きなように暴れ回った事だろう。

 

 だが今の彼女にそれは許されない。

 主との信頼は消え失せ、同僚や同盟相手からの目は不信に満ちている。

 

 正門を抑えようと挑みかかってくる敵を片っ端から戦斧で叩き伏せながら、彼女の脳裏を過ぎるのはこの作戦が始まる直前の会話。

 張遼から指示された『何も考えずに汜水関を守れ』と言われた時の事だ。

 

「華雄、あんたはうちらが出た後に汜水関の正門を守れ。敵は一人たりとも通すな」

 

 奇襲のための準備をする為に相手に気取られないように可能な限り音を殺して動き回る砦の中、呼び止められてかけられた言葉。

 意識して感情を殺して言われた内容に、華雄は目に見えて歓喜していた。

 

 防衛戦においての守りの要を任されたのだ。

 張遼は自分に汚名返上の機会をくれたのだ。

 彼女はそんな風に考えていた。

 

 しかしそんな楽観的な思考は、張遼の冷たい眼差しと冷え切った言葉で叩き潰される事になる。

 

「何が起ころうが他の事はやらんでええ。いやはっきり言うわ。絶対にやるな」

 

 その子供に言い含めるような念押しには華雄の考えていたような温情などないと理解させるには十分であった。

 与えられた役割だけをこなせ、と。

 余計な事をするな、と。

 お前に出来る事はそれだけだという現実を彼女に突きつけるモノだった。

 

「あんたに求めとんのはその斧振り回す事だけや。たとえ大将首が目の前に現れようと、相手がどんだけあんたを馬鹿にしようと、董卓様を悪しように罵ろうと、どんな状況になったとしてもお前の判断で行動すんな。……ええな?」

 

 信用を失うという事がどんなものであるかを、華雄はこの時になってようやく心の底から理解した。

 

 幼い頃から雇われて戦う傭兵稼業を生業としていた集団にいた彼女は戦って勝つ事で信用を得る事が常であった。

 そして大概の事をなんとか出来てしまう武力を持っていたが故に、今までそうして得た信用に余すことなく応えてこられた。

 

 大きくなった傭兵団を率いる事になった時も。

 その武勇が賈駆の目に止まり、董卓軍に士官した時も。

 華雄はその力だけで突き進んできた。

 突き進んでこられてしまった事が、一兵士にまで落ちぶれた最も大きな原因だったのだろう。

 

 何もかもを力でなんとかしてきた彼女は、結局のところ傭兵団の頃から何も変わる事が出来なかった。

 董卓に力とは違う威厳を感じ、惹かれ、心から忠誠を誓っていた事に嘘はない。

 しかし武官として弁えなければならない事があると知らず、そして知ろうともしなかった。

 

 自業自得だと今の彼女は理解している。

 だから彼女は張遼に「承知した」と彼女にあるまじき慇懃な口調で応えて頭を下げた。

 

 頭を上げた頃には、もう張遼は彼女に背を向けている。

 本来なら少ない時間の中で奇襲の準備を整える必要がある中、一兵卒に声をかける暇などない。

 そこを押して自分に声をかけてきたという事が何を示すのか。

 絶対に勝手な真似をするな、という釘刺しである事は疑いようもなかった。

 

「(失った信用を取り戻す、などという厚顔無恥な事を思う資格など私にはない)」

 

 武官として何もかもが足りなかったから罷免されたのだから。

 

 身の振り方を考えるのは、この戦いが終わった後の事。

 

「(忠誠を誓った主の為に、一兵卒として与えられた役割を果たす。それだけが私に許された事だ)」

 

 それだけを胸に華雄は次々と迫り来る敵に戦斧を振り回し続けた。

 たった一つの命令にのみ迷いなく振るわれる戦斧の閃きは、彼女にとって皮肉な事にかつてないほどの鋭さであったという。

 

 

 

 大岩によって引き起こされた混乱の中、殊更に悠々と戦場を駆け回る男がいた。

 既に彼の部下は戦場に散らばっており、それぞれ独自の判断で遊撃を行っている。

 故に今の彼は正真正銘、一人で行動していた。

 

 董卓連合軍による畳みかけるような強襲の中、喧噪に紛れ込むように可能な限り気配を殺した彼の存在に気付く者はほとんどいない。

 気付く事が出来た兵士らが何らかの行動を起こす前に彼自らが始末してしまうのだから尚更だ。

 しかしそれも程なく終わりを迎える。

 

 烏合の衆だと言われている反董卓連合ではあるが、それはあくまで一つの勢力としての事だ。

 各勢力ごとの統率ならば、差こそあれども取れている。

 奇襲が成立してからおよそ一刻が経つ頃には、混乱は収束しつつあった。

 混乱が収まっていけば戦場を客観的に見る事が出来る者ならば、武官同士がぶつかり合う裏側で兵士がやられている事に気付く。

 そして自軍の混乱を一早く収め、状況を冷静に分析する事が出来る者を少なくとも凌操は一人知っている。

 

「ようやく捕捉出来ましたね」

 

 予想通りの人物『曹操孟徳』と彼女麾下の親衛隊が彼の前に立ちはだかる。

 

「流石だ。……もう少し数減らしをしておきたかったんだがな」

 

 たった一人の人間を確実に囲い込む為に鶴翼の陣を敷きながらゆっくりと近付いてくる曹操に対して、凌操は観念したように言葉を返す。

 

「お一人で音も無くこれだけ暴れられてしまっては、こちらも黙っているわけには参りません」

 

 曹操が派手な戦いに隠れながら兵士に狙いを絞って襲撃されている事に気付いたのは、その被害が目に見えて多くなってからだった。

 傍観していた戦場に飛び込んだ当初、彼女は混乱に乗じて反董卓連合の旗頭である袁紹が狙われると考えた。

 側近である夏侯惇に敵の武官の迎撃、夏侯淵に汜水関の弓兵隊の対処を指示して別れた後にどうせ戦場のど真ん中に意地でも居座っているだろう袁紹の元へ向かう。

 しかしそこにはキーキー喚いているとても元気な袁紹とそれをなんとか諫めようとしている兵たちの呆れるほどに元気な姿しかなかった。

 大混戦の状況であるにも関わらず不自然なほどに袁紹の周りに被害が出ていないのだ。

 曹操はその時点で反董卓連合の狙いが『総兵力を削る事』であることに気づき、それぞれの軍のぶつかり合い以外で倒された兵士がいないかの索敵を開始。

 彼女の指揮の下、精鋭部隊は瞬く間に戦況を洗い出し、董卓連合側の兵士だけが倒されている箇所を複数発見した。

 

 見つかった死体の多くは一撃で倒されており、逃げる暇などなかった事が見て取れる。

 悲鳴すら上げられず、何が起きたかも分からずやられた者も少なくなかった。

 

 予想していたとはいえ報告される被害の量にぞっとしながら曹操は、攻撃された場所を照らし合わせ、次の襲撃がどの辺りで行われるかを推測。

 今、こうして下手人を捕捉する事が出来たのだ。

 

「このまま包囲を狭めつつ追い詰めよ! 相手は一人だが、決して油断はするな! 万の兵を相手する心積もりで当たれ!」

 

 もしもこの場に袁紹などがいれば曹操が出した指示に驚いただろう。

 迅速果断、大胆不敵の体現者である彼女がたった一人の相手に臆病とすら言える慎重な指揮を執ったのだから。

 指示通りにじりじりと距離を詰める親衛隊を相手に、凌操は包囲されないように後退していく。

 そして程なく凌操は汜水関の絶壁に追い込まれ、逃げ場を失ってしまう。

 

「問答をする気はない、か」

「貴方が我々の本陣へ来ていただけるのであれば幾らでも……。ですのでどうかおとなしくしていただきますよう」

 

 彼の戦績と実際に話した時の印象が、どれほど有利な状況であっても油断や慢心をしていい相手ではないと思わせていた。

 曹操は凌操に『時間を与える事』をこそ危惧していたのだ。

 包囲は慎重に慎重を重ね、しかし相手に何かをする時間を与えない。

 

 曹操は現状で凌操を捕える為に出来る最適解を実行していた。

 

「断る」

「弓兵隊! 殺すつもりで射よっ!」

 

 曹操の号令による一斉射。

 凌操は三本連結した棍を風車のようにその場で回す事ですべて叩き落とした。

 

「流石です。ですが絶壁を背後に背負われた状態でこの包囲を抜けられるとお思いですか?」

「真っ正面から突破する必要はない」

 

 あえて外していた四本目の棍を背後の壁に投げつける。

 土壁に上手く突き刺さった事を確認し、凌操はその壁目掛けて駆け出した。

 

「なにを……っ!? 弓兵、彼は上から包囲の外へ跳ぶつもりよ! 撃ち落としなさい!!」

 

 曹操の声を背に、彼は壁に突き立てた棍目掛けて地を蹴って跳躍。

 その間、散発的に飛んできた矢は棍と手甲でもって叩き落としていた。

 そして突き刺さっている棍を右手で掴むと、腕の力だけで一回転して手を離す。

 彼は回転の勢いを利用して曹操の包囲の遙か頭上を飛び越えてしまった。

 

「追いなさいっ!」

「「「「はっ!」」」」

 

 曹操は想定外の行動で逃れられた事への驚愕を瞬時にねじ伏せ、後を追うよう指示を出す。

 親衛隊が走り出し、足止めにと矢を放つのを横目に彼女は歯噛みした。

 

「ここであの方を逃しては、被害がさらに広がってしまう。なんていうことっ!!」

 

 完全に出し抜かれた屈辱に、彼女は八つ当たり気味に絶壁を睨み付ける。

 突き刺さったままの棍の一部だけがそんな彼女を見下ろしていた。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……。なんとか、逃げ切れた……な」

 

 曹操の包囲網を逃れた後、彼は脇目も振らず汜水関まで撤退していた。

 彼女は戦場に紛れてまた他軍を襲うだろうと戦場の中を捜索していたのだが、その予想に反して真っ直ぐ撤退する事を選んだ為に撒くことが出来たのだ。

 

 曹操には決して気取られないように余裕のある態度を装っていたが、実のところ彼は限界に近かった。

 彼女に捕捉されるまでずっと戦場を走り回り、目に付く反董卓連合の兵士を倒してきたのだからそれも当然だろう。

 少なくとも曹操軍の親衛隊とぶつかる選択肢が取れない程度には疲労困憊であった。

 

 砦内に置いてある水樽から柄杓で水を掬い、頭から掛けながら物理的に興奮状態の心を宥める。

 

「無事に戻ったか、凌操」

 

 背後から聞こえてきた妻の声に、彼は疲労で震える手を軽く挙げて応える。

 

「ああ。曹操に追われたよ。あの子はこちらの思惑に気付いているぞ。思ったよりずっと早く見つかったから間違いない」

 

 柄杓で掬った水を飲み干しながら、彼が掴んでいる戦況を指揮官である黄蓋へ伝える。

 

「ふむ、そうか。あちらの本隊は馬家の部隊が上手く牽制してくれておるから本格的にこちらに来るのはまだ少し猶予があるじゃろうが……」

「……そろそろ捨て時か? 総指揮官殿」

 

 予定されていた汜水関の放棄、撤退。

 汜水関の戦い、その幕引きの時。

 

 黄蓋は戦闘が始まる前に張遼と話し合い、形としての総司令は張遼としつつも軍の指揮の頂点を黄蓋とする事でまとまっていた。

 張遼本人の気質が前線向けの為、いざという時に周りを見るだけの余裕があるか分からない。

 だからこの戦いに限って張遼は総指揮の権限を現場の判断で黄蓋に譲っていたのだ。

 よって汜水関での進退は黄蓋の判断によって決められる。

 

「武官同士で張り付くのはそろそろ限界じゃろう。もう少しと欲を掻いて次へ響くような事になっては元も子もない」

 

 戦はここで終わりではないという前提からの言葉は些か不満な声音だが、彼女はしごく冷静に現状を見極められていた。

 

「よし、汜水関を放棄する。すまんが凌操、休憩が終わったらまた出てくれるか。可能な限り味方を連れ戻してくれ。無論お前も無事に戻ってくるんじゃぞ」

「了解。引きずってでも連れ帰ってくるさ」

 

 最後に水を顔にぶつけるようにかけてすっきりさせると、凌操は汜水関から出撃していった。

 程なくして汜水関における全ての戦いが終わりを迎える。

 結果だけを見れば董卓連合は砦を捨てて退却、反董卓連合の勝利となった。

 しかしその結果だけを見て勝利に酔うような軍勢はほとんどいなかったという。

 

 


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