ただ会話文が無いので、読みづらいかもしれません。
さてさて君達に一つ面白い事件の話をしよう。何、このバーで酒を飲んでいる爺のたわごとの一つだと思っておくれ。只、一つ賭けをしようじゃないか。私の話はいわゆる謎解き物だ。私が答えを言うまでに君達が推理して正解したら、私が君達に一杯おごるとしよう。しかし逆に答えが分からなければ、一杯おごってもらいたい。
おお、そうか。やってくれるか。では話をしよう。
この話は私が若いころ警視庁で働いていたころに実際に体験した話だよ。その頃私は鑑識でね。とある現場に呼び出されて、いたるところを調べ上げたさ。
事件が起きたのはある小さなレストランの厨房でね。まあ、何処にでもあるレストランだったが、ある問題が有った。借金だよ。料理は作れても経営はうまくできなかったのだろうな。もう、借金で首が回らない。だから起きた事件なのかもしれないな。
通報があったのは9時。私たちが現場に到着したのは、9時25分くらいだね。朝食を食べた後で、走るのがつらかったよ。事件現場は、人通りの少ない裏路地の一軒のレストラン。こじんまりとしていたけど、なかなか外装も良かったよ。唯、場所が悪すぎた。もう少し良い場所にあれば、こんな事件起きなかったかも知れないが……。
まあ、私がその現場に入ってまずひとつ思ったのは、何だこの液体は!? 最初は何かのやばいものかと思ったわけさ。けど、それは違った。
え? じゃあなんだったんだ? 慌てない、慌てない。一先ずいえることは、それは果物の果汁だったんだ。これは後で調べて分かったんだけどね。
店内にはゴロゴロと果物が有ってね、トロピカルジュースを自家製で作って売っていたらしい。パイナップル、ライチ、マンゴー。中には珍しく西瓜なんてものまであったよ。まあその材料の果物は、たくさん床にぶちまけられていたけどね。
まあ、現場の事を詳しく話そう。さっきも言った通り、床には果物が散乱していた。その中に、後頭部から血を流して一人の男が倒れていたんだ。従業員の少女が第一発見者でね、すぐに警察に連絡したんだ。如何やら何時もの通り挨拶したんだけど、返事が無い事を訝しんだ彼女は厨房に入ってあの惨事を見てしまったようだ。パニック状態でまともな話はほとんど聞けなかったらしい。
ああ、因みに従業員はこの件に全く関係ない。倒れていたのはこの店の店長であり、料理人さ。
まあ、そういった聞き込みは刑事の仕事。私は現場を調査し始めたんだ。最初は遺体を見てね。まあ、これはどちらかというと、監察医の仕事だけどね。監察医が来るまでに写真を撮っていてね。それで少し調べられたんだ。傷は刃物による殺傷ではなく、硬い物を頭にぶつけてできたんだろう。そんな感じの傷でね。まあ、他の刑事も監察医もそう判断したよ。じゃあ、今度は証拠探しだ。特に凶器は必ず探しだないといけなかった。
調理場には多くの刃物もあって、鈍器になりそうな沢山の道具もあった。その中のどれかが凶器だろう。そう高をくくって、私はルミノール試薬を吹きかけた。だけど、何処にも反応が無い。慌てた私は何度も、何度も吹きかけてブラックライトを見た。けど、結果は変わらなかった。
それなら犯人が凶器を持ちだした? いや、それは違うんだよ。これは後々犯人を捜し出して、逮捕した時、法廷でそんなものが凶器だったのかと驚かれたんだが、それはこの調理場にあったものだったんだ。
それだけじゃ、分からない? もちろんそうだろう。今から現場をさらに詳しく説明しよう。
一つ目は、遺体の様子だ。身長は165位。かなり小柄な体格だったね。うつ伏せに倒れていて、厨房の奥のほうで倒れていた。足はこちらに向いていたね。
血はほとんど出ていなく、司法解剖の結果、死因は頸椎の損傷による呼吸困難。唯、死ぬ前にはすでに意識が無かっただろうという事も分かった。つまり、ガツーンと誰かにやられた後は、被害者は既に死が決まっていて、動くこともできなかったんだよ。眠るように死んだという事だろうね。
死亡時刻は、7時すぎで8時前。如何やら、朝の仕込の最中に殺されてしまったようだ。発見者に見つかるまでずっと床に倒れっぱなしさ。後は特に気になる点はなかったね。
二つ目は建物の構造だ。レストランなんだが、食事のする場所は省くよ。今回の事件とは余りにも関係ないからね。
厨房は建物の角にあって、I字型に出来ていた。扉を開ければ、横に一直線。横長の厨房だったね。ウエイトレスに出来た料理を渡すための場所以外、とくには開けた場所はないね。出入り口は一つの扉と、料理を手渡す場所を無理やり通るくらいだろう。広さは二畳。それ以上の広さはなかったね。まあ、一人しか調理場に居ないんだから問題はなかっただろうね。
三つ目は調理場に有ったものだね。これは少し話が長くなってそまうが、勘弁してくれよ?
まず、キッチンには様々な種類の包丁が、いくつもきれいに並べられていた。切れ味は鋭かったのだろう。特に、目を付いたのはとても大きな包丁だね。長方形で、菜切り包丁に近いものだった。大きくて、硬いものに使うんじゃないかな? すまないね。私はあまり詳しくないんだ。これが銃だったら、弾丸から推測はできるがね。
話を戻そう。その大きな包丁には赤い液体が有った。唯、それは血じゃない。西瓜の果汁だった。西瓜を切っていたんだろうね。実際、キッチンには他にもさまざまな果物と、ジュースを作るためのシェイカーが有った。
唯果物は、先ほども言った通りに床にぶちまけられていた。ぐしゃぐしゃにつぶれて、果肉を捜査員たちにさらしていたよ。
鈍器になりそうな道具は、小麦を伸ばす棒に、まな板。ほかにも鍋など、料理する際に想像がつくようなものは全てあったよ。
四つ目は気になる事だね。私が気になったのは、何故か業務用冷蔵庫の、冷凍室のスペースが妙に余っていたことだ。あとは気になる事はない。
さあ、君達に推理してもらいたいものは、凶器が何であるか。そして、凶器を如何いう風に使ったかだ。
えっ? 意味が良く分からない? そうだな、じゃあ、例を上げよう。
これは一例だ。といっても、これは答えじゃない。調理場にあったものではないから、道具の条件から逸脱している。
凶器は拳で、犯人が思いっきり後頭部を殴った。これでも良い。シチュエーションは答えなくて良い。殺害方法を聞いているだけで、事故当時の現場を再現してもらう訳じゃな言うからね。
そうそう、あとヒントをいくつかあげよう。
一、冷凍庫のスペースが何故有ったのか。それがヒントだよ。
二、硬く考えない事。先入観を持つと、答えは分からない。例えば、包丁だって、柄の部分は立派な鈍器だ。
三、季節が夏だと言い忘れていたね。その事と、時間の経過を考えてほしい。時間が変わってしまった事で、変化したものもある。
四、後、最初の方に私は、もっと良い場所で開店していたらと言ったが、例え立地が良くても遅かれ早かれその店はつぶれていただろうね。何せ、アレをあんな場所にしまっていたんだからね。まあ、その所為で殺されてしまったんだから、自業自得か。
これで私から出せる話は終わりだよ。あとは君たちが答えを出すまで待たせてもらおう。君たちの答えを期待しているよ。
結構メジャーな話を軽くアレンジした程度なので、分かり易いかもしれませんが、宜しくお願いします。