まいったね。まさかこの事件も分かってしまうとは。若いころの私にも君たち位の頭脳が有ればね、もっと楽だったかもしれないね。
さて、ではまた名前を教えてもらえるかな? すまないね、年を取ると少し覚えが悪くなってしまうんだ。西河惟さんに、ザインさんだね。すまないね。次こそは覚えるよう頑張らせてもらうよ。
じゃあ、事件の説明をしよう。
なに、今回もそれほど時間はとりやしない。何せ、私が昔からしてきたことは、結局どれだけ真実に近づけるかではなく、どれだけ固定観念を外せるか。それが重要だったからね。一度気がつけば、どんどんと気が付くような事件ばかりさ。
さて、まずは凶器の説明より、処分方法の説明をした方が、全体像が分かり易いかな? うん、多分そうだろう。凶器を処分した方法から説明しよう。
まず、一つ君たちに思い出してほしい。私達が部屋に入った時、本来ありえない事が行われていたという事を。
そう、ストーブだ。普通、ストーブはパチパチという擬音を使うが、ゴウゴウなんて使いやしない。
そんな音を私が使ったのは簡単。ストーブの許容量以上の石炭が入っていたから、石炭が燃え盛っていたんだ。さて、これで分かるよね? そう、凶器はストーブで燃やされかけていたんだ。
それが分かってすぐに、全員で外の雪を駆け集めて、火の中へ詰め込んで消火したよ。いやはや、その所為で手が凍傷一歩手前になったね。
さて、ストーブの中で燃え盛っていた物を取り出して、一つ一つルミノール試薬を吹きかけていく。もはや、反応が返るかどうかは賭けだったね。だけど、反応はあった。燃やされて、凶器の隠滅をされるのは防げた。
さて、もう凶器についても分かるね? そう、凶器は『石炭』さ。部屋の中にたくさんあった石炭で、撲殺したのさ。それで、犯人は血にまみれてしまった石炭をストーブの中に入れて、更にいくつか入れることで火力を強めて、証拠を隠滅しようとしたんだ。それがこの事件の真相さ。
え? そういえば、あの椅子は? ああ、あれね。別に引っ掛けとかじゃないんだけど、話を聞く限り、事件の数日前にパイプイスを誤って倒してしまい、その際に壊れてしまったそうだ。
これが事件の全貌だよ。でも、あと少しでも遅かったら、この事件は解決しなかったかも知れないね。何とか解決できたのは行幸だったけど。
さて、では勝利した君たちには、約束の勝利の美酒をおごるとしよう。
マスター、後は頼んだよ。
ん? どこに行くか? 何、一寸知り合いと会う約束があってね。ここらでお先に失礼させてもらうよ。
それではまた会えることを願っているよ。
それではまた今度、謎を考えついたらお会いしましょう。