Fate/blood of Sparda   作:nami

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霊脈云々はすっ飛ばしてるから注意!


Summon

 バージルは戦場、冬木の本拠地としてハイアットホテルの一室を借りた。金ならそれなりに貯めてあった。まさかこんな事に使うとは思わなかったが。

 部屋に入ってバージルが初めにしたことは、一室その物の改造だ。借りた部屋を媒介にして魔空間を造り上げたのだ。半分以上、弟の魔力を使い、爆発的な魔力精製の応急処置にあてた。まあ、その結果、部屋の調度が赤い基調になってしまったのだが。

 さて、とバージルは出来上がった空間を見渡す。自分のイメージ通りに出来たならば、今いる部屋に四つ部屋がつながっているはずだ。

 確かにドアは四つあった。そのうち一つを開ける。中には赤いベッドが置かれていた。想像したままの造りに出来ている部屋に満足げに一度頷く。弟をベッドに寝かせる。着せている黒いシャツから覗く胸元に光るアミュレットが目に付いた。自分の首に掛けられているその半片を握り締める。

 

――次にすべきはサーヴァントの召喚だ。

 

 ベッドをおいた部屋を出てその向かいに作った部屋に向かう。召喚の為に作った部屋だ。

 召喚の基本は魔法陣と詠唱、そして特定の英霊を呼び出すための触媒だ。

 

       素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

       降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、

       王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

 

 床にかかれた魔法陣の上で、バージルは自らの腕を斬りつけた。

 

      閉じよ(みたせ)。

 

閉じよ(みたせ)。

 

             閉じよ(みたせ)。

 

                            閉じよ(みたせ)。

 

                     閉じよ(みたせ)。

 

 詠唱だけが響く部屋の中、滴る血が魔法陣へと落ちていった。

 

       繰り返すつどに五度。

       ただ、満たされる刻を破却する

       ――――告げる。

       汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

       聖杯の寄るべに従い、この意、

       この理に従うならば応えよ

       誓いを此処に。

       我は常世総ての善と成る者、

       我は常世総ての悪を敷く者。

       汝三大の言霊を纏う七天、

       抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!

 

 瞬間、青白く眩む視界。

 

「――問おう、お前が私のマスターか」

 

 残光が残る中、聞こえた声にバージルは口角をあげた。

 

「ああ、俺が喚んだ――!」

 

 

 

 時を同じくして、霊器盤に新たなサーヴァントが召喚されたことが伝わっていた。同時に五体もだ。

 

「セイバー、アーチャー、ライダー、バーサーカ――ダークナイト?」

 

 聞いたことのないエクストラが混ざっていることに少々、戸惑ったもののサーヴァントは七体揃った。

 

 

 

――聖杯戦争がついに開戦となる……

 

 

 

「まさかお前に喚ばれるとはな、バージル」

 

 バージルが召喚したサーヴァントは彼ら兄弟と同じ銀の髪を後ろに撫でつけた男だった。身に纏った紫の衣服と片眼鏡(モノクル)には見覚えがある。

 この召喚は賭けであった。召喚される英霊は触媒が無い場合はマスターとの相性によって、ある場合はその触媒とのゆかりの深さによって決定される。バージルが用いたのは己の血。彼は伝説そのものといえる父、スパーダを喚び出そうとしたのだ。生死もわからない相手を召喚できるのか、触媒は機能するか。成功の確率は未知数であった。そしてバージルは賭けに勝った。

 

「――召喚されたということは死んでいるのか」

 

 弟の寝顔を見下ろす父の背に問いかける。自分たちが追いかけた背中は今でも大きかった。

 この戦争に参加するに至る経緯を話したところ、スパーダが眠る弟の様子が見たいと言ったのだ。

 弟を見たまま父は答える。

 

「自分でもわからん。――だが、

 

 

 

この戦い、私たちの勝利に終わらせよう」

 

 向けられた父の顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

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