無敵最強絶対不敗伝説   作:peacementhol

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最強の足跡

 

 

 平和を謳歌する街、磯市。オーシャン地方の磯市である。今日は磯市百年祭が行われる。

このたびの主人公、現在16歳のセイヤはこの日を待ち望んでいた。祭りは3日に渡って催される。屋台が並び、歌い、踊る。セイヤは賑わう祭りを駆け回り、腕自慢の職人が出店する美味を堪能した。オーシャン地方は全体的に食文化が進んでおり、数百年に渡って食文化の最高峰に君臨している。

「やあ、森下のおやっさん。ここいらで最高のキムチスパゲティをくれ。」

セイヤは森下の屋台でそう言い放った。

「セイヤは相変わらずだな。キムチスパゲティはあの四天王の一人、リナ様が好んだという珍味。おまえとは気が合うかもしれないな。」

時折時代劇で聞く名前だ。

 

 

リナという女剣士が悪党をコテンパンにする内容であり、最近流行りの仮面ブライダーよりもかっこいい。正確には仮面ブライダーが情けないだけだが…。

実を言えばこの祭りでもリナの銅像を崇めるイベントもある。綺麗に彫刻されたリナの像は威厳もタップリだが、なにか身近に感じるものがある。

銅像を積んだ山車が街を練り歩く。年寄り達は山車に向かって拝んでいる。

「リナって、そんなに偉いのかな?サッパリわからないや。」

リナと言えばせいぜい世界初の国民栄誉賞の取得者で剣士だったぐらいしかわからない。むしろ、スカイヤ地方を流れる、ルナ河とふたごルナ河の方が有名だ。このルナという人物はリナのライバルで、河を作ったことで有名だ。当時の女性がヘルメットをかぶり、汗臭いニッカボッカで工事でもしたのだろう。

 

ルナ河は、今のセイヤでは想像できない方法で作られている。

オーシャン地方では四天王も祀っているが、特にリナを強く信仰している。リナの教えを説く会、つまりリナを神とする宗教では、毎食をキムチスパゲティとし、箸で食べなくてはならないという風習がある。セイヤはキムチスパゲティはともかく、箸は有り得ないと宗教の勧誘は断っていた。

 

祭りもいい加減盛り上がったところでトラブルが発生した。六代目新島組が祭り…もといリナの像を破壊しようと襲撃してきた。

「その昔わしらをコケにしたリナの銅像なんて焼いてはらいますたい。」

リナの生前はこのグループもリナの傘下にあったが、リナの死後まもなく独立し、もともとの山賊に戻っていた。

祭りは一転して混乱した。逃げ回る者と抵抗する者がいる。セイヤは抵抗する者であった。

「ガキが生意気ですたい。」

新島の構成員がセイヤに襲いかかった。セイヤは体当たりをして構成員の武器を手放した。馬乗りになって、力いっぱいにひたすら殴った。

そんな揉み合いの末、警察が駆けつけ、その場は収まったがセイヤは一緒に捕まってしまった。

 

「なるほど。君は悪くないと言うのかね?殴ってたじゃないか。」

警察の尋問は理不尽にしつこい。同じ説明をするのもこれで20回にもなる。

「祭りをめちゃくちゃにされてるのに、なんで逃げなきゃならないんだ。俺は街を守っただけだ!」

セイヤはこのあともしばらく尋問されたが、一応は釈放された。

 

 

 

 いくらかのドタバタがあったものの、祭りは無事に終わった。

セイヤは静けさを取り戻した津波区で新島のような輩により対応できるように、剣術の修行をはじめた。

とはいえ、独学では成長の度合いはわからない。やはり道場に通わなければならない。

剣術道場と言えばやはり名門のライラを始祖とする道場がよかろう。そう考えてセイヤは入門した。

剣術のいろはを叩き込まれるがほとんどの話が戦争関連であり、戦争という単語すら縁の無いこの世界でなぜにやかましいのかがセイヤにはわかりかねる。しかし、剣術とは相手を滅ぼすのではなく、大事なものを守るのに使うらしい。自分から切りかかるのは人斬りと呼ばれ、孤独で苦しいようだ。

1日目の修行はみっちり6時間、竹刀に触ることすらない説明だけで終わった。

剣術を始めて数年。いいかげん道場の掃除当番も板についてきた。名門なのに掃除をするという習慣が無い道場で汚れに宣戦布告したセイヤは今日も掃除をしている。

そのかいがあってかセイヤに習って掃除をする門下生もかなり増えた。今日も創始者を超えるべく、誰もが修行に明け暮れている。

「よお、セイヤ。久々に俺とやらないか?」

セイヤの友人が誘うと、

「久々だな。いいぜ。」

セイヤは応えて竹刀を構えた。

先に動いたのはセイヤだった。怒涛の攻撃を浴びせ、反撃のチャンスを与えない。インテリな攻撃とは言えないが、カウンターに誘いこむことすらも難しい。相手のガードが崩れて、ついに竹刀を弾き飛ばした。セイヤの圧勝である。セイヤはいつしか道場では最強の実力を示していた。

 

 

さて、現在世界の話題と言えば反国家的な集団の乱立である。魁、仁義商会連合直参と名乗る団体がより集まっている。彼らは強奪を生業としているが、あくどい商売や麻薬の密輸もしている。かつて四天王が切り盛りしていた組織だが時代を経てかなり方針がねじ曲がってしまっている。

「今日も新聞の見出しは仁商連だよ。今回はマウントの六合町が潰されたらしい。」

「昨日はチボーンの首都だったよな」

「毎日話題が尽きないよ。政府は何をしてるんだ?」

その政府は長年の仁商連の悪行をほとんど黙認している。噂では仁商連の武力で犯罪組織をつぶして報酬を渡しているという。昨今政界には『仁義党』という政党まで現れた。なかなかにバカにはできない。セイヤがいつぞや戦っていた新島も仁義党所属、魁仁義商会の傘下にある。

 

道場主ことタケチはこの仁商連に対抗すべく、決起した。

「まずは我々が先頭に立って政権を取り、舵を取るのだ。仁商連のような、輩を野放しにはできない。武器を取れ、諸君。我々の力で世界を安寧に導くのだ。」

タケチは道場を『タケチ・剣道クラブ』から『世界勤皇党』と改名した。皇帝などどこにもいないのだが、ノリである。

道場の前を人影が通り過ぎた。ブラジャーを頭にかぶり、大型バイクで老人を追い回している。老人は恐ろしさのあまり、杖をついて後ろを振り向きもせずに、一心不乱に前を向いて歩く。タケチは号令をかけた。

「あの、不貞の輩を八つ裂きにせよ!」

門下生が一斉に木刀でたこ殴りにする。ブラジャー仮面の変態は、

「イーッ、イーッ」

と喚きながらあっさりたおれた。セイヤはこの一連の出来事がバカバカしく、

タケチ剣道クラブを辞めることにした。

 

セイヤが道場を去って数年、やはり毎日の話題は仁商連だが、セイヤの方は独自に悪者を捕まえては警察に突き出し、謝礼で生活をしていた。多くの悪者が口を揃えて仁商連の幹部を語っていたが今のところ、組織ぐるみでの報復は無い。しかし…。

「今日の問題はある男だ。我々の邪魔をし、同胞を次々に捕まえてしまう。」

筋肉質な男、名前は近藤という実質組織のトップ。その近藤の言葉に一同が耳を傾ける。

「その名をセイヤと言う。探し出して斬ろうにも腕が立つ。だが俺達が動くにはまだ小さい。」

そう付け足したのは土方である。

「殺してやるよ。俺にやらせろよ。斉藤、お前の出番はねえよ。へへへ。」

そう述べるのは沖田である。これに対し、斉藤は、

「好きにしろ。俺が自ら手に掛けるほどの大物では無い。貴様と違って俺は大物専門なんだよ、沖田。」

軽く言い合う二人に割って入るのは、山南である。

「そして私は変態二人の尻拭いと葬式の幹事をすると…。」

『山南ぃ…切腹と闇討ち、もしくは八つ裂きか、好きなの選べ!』

沖田と斉藤の声が重なる。無言の原田が口を開いた。

「そこらへん、うるさいよ?俺を怒らしたら…わかるだろ?」

しかし、誰も聞いていなかった。伊藤が唐突に口を開いた。

「近藤さん、もうすこし泳がせていい。どうせ、小物ばかりが被害にあっているだけだ。松平さんになんか言われたら考えればいい。」

「伊藤の意見に俺も賛同する。近藤さん、いいだろ?」

土方が呼応する。結局はまだセイヤを斬らず、セイヤを見たら逃げるように方針を決め、似顔絵を使って仁商連のメンバーに伝えた。

 

セイヤはまだこんな風に狙われ、警戒されていることを知らない。今日も強奪をしていた芹沢を捕まえて、役所に突き出してきたところだ。謝礼金は日本円にして合計一千万円にもなる。一年の稼ぎとしては実に大きな数字だ。生活にゆとりができたセイヤはヤヘイにある闘技場に赴いた。道場ではわからない広い世界を知るためだ。一回戦、二回戦をサクサク勝ち抜き、参加費一万円を取り戻した。参加費一万円で一勝につき五千円が支払われる。だがいずれもかなりの手練れが相手なのだ。次なる相手はなんと、女流剣士である。

「さて、次の挑戦は闘技場の主、レナの登場。レナは闘技場史上最多の216連勝中。対するチャレンジャーはセイヤ。どのような戦いになるのか?」

退屈な実況に合わせて、レナが現れた。セイヤと対峙してしばらく時間が流れた。セイヤの力はレナにはそれなりに映るようだ。

レナはなかなか動かない。

セイヤもまた動かない。

先に動いたのはレナだった。

剣を振り下ろすと衝撃波が現れた。セイヤは初めて見る現象だ。投げつけられたと考えれば良さそうだ。

ならば素早くよければよい。

セイヤは見知らぬ攻撃を凌いだが破り方はおろか、どんな技術なのかも知らない。

セイヤにはいささか不利だ。

ゆっくり間合いを詰めるがレナは素早く距離を取る。

これはおそらく接近戦を嫌っているのだろう。

レナはその証拠に足を前に出すと緊張の糸を張られたように間合いを取る。

こちらが一気にかかるところにカウンターで衝撃波をピシャリとするのが狙いだろう。

セイヤはその裏をかくなら、正面から衝撃波を打ち破るのが吉とし、突進した。

案の定衝撃波がセイヤに浴びせられる。

セイヤは飛び上がってかわし、空中からレナを捕らえた。

面の位置に寸止め、これで充分だった。

闘技場での遊戯を勝ち越したセイヤは宛ても無く旅を続けた。最近は顔を知られたせいか悪党を見かけても逃げてしまう。やはり仁商連らしき家紋をつけている。こののちセイヤは仁商連に果敢に立ち向かうことになる。

 

 ところ変わってセイヤに敗れたレナは闘技場を去り、武者修行を敢行した。接近戦が苦手という意識を払拭するためである。衝撃波の使用を独自に禁じ手とし、様々な武器を使う戦士をたたき伏せていった。いくら勝利を重ねてもセイヤの顔が頭をかすめていく。唯一自分を破った男である。セイヤに勝つにはあとどれほどの修行をすればいいのか?

いや、修行に限りなどあるわけも無いが今すぐセイヤに追いつき、追い越したい。衝撃波を華麗な空中殺法でかわし、

流れるように木刀を自分の目の前に突きつけた姿は見事という他に無い。

世界を巡り巡って、またヤヘイ闘技場に戻ってきてしまった。この間にセイヤに追いついただろうか?今まで誰にも真似できない、代々伝わる衝撃波を使っての勝負ではなく、あくまでも接近戦による勝利を重ねていった。中でも、相手の剣を何度もつついて砕いてしまう技などはこれまでの訓練の賜物であろう。レナはこのあとさらに技を高めて、再びセイヤの前に現れることになる。

 

「局長、やはり例の男は我々の同胞を次々に捕らえては役所に突き出している。やはり、危険因子として、討ち果たすべきだ。」

 

 

土方がかなり強い口調で近藤に言う。これに対し、近藤は手練れを向かわせて暗殺する方針を提示した。原田を呼びつけて言い放った。

「原田。貴様の槍裁きでセイヤという男を討て。必要ならば兵も貸す。」

原田は無表情で返答する。

「無用。我一人で討ち果たしてごらんに入れよう。」

仁商連では一番格下の十番隊だが隊長の実力は実に高い。仁商連が有する最強戦力がついにセイヤを狙い始めた。さらに近藤の号令の下、仁商連全勢力がセイヤを狙う。

 

さて、そのセイヤは久しぶりに立ち向かってくる悪党を役所に突き出した。

「我こそは仁商連が情報部の責任者、山崎である。貴様を討てという上からの命令だ。覚悟しろ。」

鋭い剣筋はセイヤの紙一重をかすめる。いや、セイヤが完全な見切りをしているのだ。

腹部に拳をめり込ませて山崎を気絶させれば終了。手配書には『スパイの山崎』と書かれている。たしかに実力はあるがセイヤの敵ではなかった。さらにセイヤは仁商連を名乗る剣客を次々と撃破し続けた。

ある日、セイヤの前に一人の女流剣士が現れた。レナである。

「あなたを探していた。あなたを倒します。命までは取らないから安心してください…っ」

言葉の途中にも剣を振り、たった一振りで無数の衝撃波を打ち出した。

今度は飛んでもかわしきれないし、レナには隙ができていない。

セイヤはここぞとばかりに新技を使った。

体中を使い、剣を一回転すると、空気の刃が360度を飛んでいく。

無数の衝撃波を次々に吹き飛ばしてレナを狙う。

だがレナは身を低くしてやりすごす。

素早くそのままセイヤに突っ込む。

セイヤは初めて余裕の無い勝負を経験した。

猛烈な剣さばきでセイヤを押している。

しのぐセイヤ。なんとかレナの剣筋は見えている。

レナの猛襲にほころびができた。

逃がさない!セイヤの木刀はすでに鰹節のようにボコボコだがレナの腹部にあてられた。

余裕がないとはいえ、女性の腹部を攻撃するのは男としてはいかがなものか?レナはゆっくり起き上がり、キッとセイヤを見据える。

「一応私もレディなんですよ?女の子のお腹…私のお腹は壊れたでしょうね。きっと子供が産めなくなっちゃった。お嫁にいけません。あなたのせいです。責任取ってください。」

やはり言われた。セイヤは困りながらも、

「いや、君が手加減できないくらい強くて、どうしようもなくて…」

レナは言葉をさえぎった。

 

 

「私を引き取ってください。いつか倒します。あなたを毎日24時間監視して弱点を捜しますから。」

セイヤはひたすら困り果てた。

「引き取るって…つまり…け…け…けっ…」

「そ~です!責任取って私を嫁にするの!私より強いから条件もクリア。めでたしめでたし!」

セイヤにとってはどっちもどっちだが、一緒に旅をするには充分に強いのでそばに置いた。

突然殺気が現れた。

狙いはセイヤの後頭部!

レナがとっさにセイヤの後頭部に剣をかざし、攻撃をさえぎった。

「誰っ!?」

「我が名は原田。貴様に暗殺命令は無い。消えろ。」

原田の攻撃がさばかれたため、原田は距離をあけた。これに対し、レナが対峙した。

「セイヤ、手を出さないで!」

「邪魔をするなら仕方がない。」

原田は槍をレナに向けた。じっとにらみ合い、両者は動かない。セイヤはレナの後方に気を配りながらも木刀を構えてレナを援護できるように構える。

レナが動いた。

原田の射程圏に入る前に衝撃波を見舞う。

原田は横にそれながらも穂先でレナを捕らえに行く。

レナが射程圏に入る。

原田の槍をギリギリでかわし、振り切った剣は原田の腕をかすめる。

原田が後ろに下がるのを見越して衝撃波を見舞う。これはさばききれない。

原田を確かにとらえてレナの刃は原田を完全に追い詰めた。

勝負あり。レナの勝ちだが原田はレナの油断を見逃さない。

レナは肩を貫かれてしまう。

これは試合では無い、殺し合いである。

原田の二撃目にはレナの心臓を貫かんとした。

槍は弾かれた。セイヤである。

「関係無いやつを殺すな!」

セイヤは木刀で原田を猛襲した。

 

顔面にピシャリ、わき腹を打ち据え、足払いをかけ、全力で振り下ろす。原田は虫の息だ。

セイヤはとどめを刺さず、レナを病院に連れて行った。

 

「命に別状はありませんが、安静が必要です。」

医者の言葉でセイヤは胸をなで下ろした。

眠るレナを眺めながら、セイヤは、

『後で怒られるな…はぁ…』

ため息をつくと、いきなり

「怒らない。ありがとう。ごめんね。セイヤ。」

聞こえていたようだ。

「実戦は初めてだったか?実戦は相手を動けなくするまで勝負はつかない。死と隣合わせなんだ。」

セイヤはやや口調を強くしてレナを諭した。レナは黙って聞くばかりだ。

「とにかくケガをなんとかしよう。また仁商連が襲ってくるだろうから、離れていたほうがいいと思うけど?」

セイヤの考えは堅実だ。しかし

「やだ。ちゃんと私を守って。私を見くびらないでよね。片手でも強いんだから!」

レナの甘えをセイヤは拒否できなかった。

「仕方ない。そういえば君は…」

セイヤとレナの甘々な会話が始まった。今夜は長くなりそうだ。

 

「報告!ただいま、十番隊隊長の原田殿を回収し、病院に搬送!全治三週間とのことです!」仁商連の中ではとんでもない騒ぎだ。十番隊とは言え、隊長の強さは一般戦闘員にして二十人分の強さを誇る。

 

 

「原田を倒すということは、局長直属部隊に所属できるレベルだ。鈴木と藤堂を呼べ。この二人をぶつければ勝てるだろう。兵士は必ずつけろ。舐めてかかるな!」

土方の命令で即座にセイヤ討伐の師団が結成された。

一方、近藤は原田の見舞いに訪れていた。

「お前が戦ったのはセイヤ一人か?集団か?」

近藤の問いに対し、

「ターゲットは女をつれていた。女の方もできる。」

原田は答えた。これを聞きつけた近藤は急いで土方に電話をかけた。

「ターゲットは二人に変更だ。セイヤには強い女がついている。」

土方は落ち着いて答えた。

「鈴木と藤堂の二人に兵士をつけた。間違いないはずだ。」

この動きがあと1ヶ月早ければ確かに間違いはなかった。

鈴木、藤堂の二名はセイヤ達を探索するところから始めた。原田が倒れていたポイントから最寄りの街を探す。

原田の報告によれば、セイヤ達は必ず一番近い医者にいるはずだ。

もし、違ったらセイヤは士道にあるまじきヤツに違いない。そこでここ1ヶ月の間にケガをした女と付き添いのヤローが来なかったかを聞き出した。

「ああ、知ってるよ。入院してたんだ。なかなかカッコいい男がエスコートしてて…」

ボーイッシュな看護婦が頬を赤らめて話していたが、続きはよくわからない…もとい興味も無いので、さらにセイヤ達の足取りを追った。

セイヤは一言言えばレナも気づく。

「お二人様ご招待ね。」

二人は構えた。

「出てこいよ。じゃなきゃこっちから行くぞ。」

正面から二人現れた。藤堂と鈴木である。

「原田が世話になったな。だが、我々は原田のように弱くは無い。」

藤堂が凄みを利かす。

「そりゃあ、二人もいてヤツより弱けりゃ世話無いな。」

セイヤもなかなかに言う。戦いの火蓋が切られた。

レナが鈴木に切りかかる。

鈴木はさばいていくが押されている。

藤堂が助けに入る。

レナは藤堂を巻き込んでたたみかける。

鈴木、藤堂が距離を取った先にセイヤがいる。

セイヤは二人をガツンと叩いた。

膝をつく二人。

レナは原田との戦いを忘れない。追い討ちをかける。

鈴木、藤堂は完全に気絶した。

二人の快進撃はとどまることを知らない。まだまだよゆうを残している二人である。

 

「報告。藤堂、鈴木の二名が負傷。例の二人組みはやはり討ち取れません。」

仁商連に届いたのは不運な報告であった。

「近藤、隊長を三人負傷させるとは何事か?申し開きはあるのか?」

松平の耳にも入ったらしい。松平とは仁商連のスポンサーである。近藤は仁商連の最高責任者として咎められていた。

「私も二人と見くびっていたようです。しかし、谷、および井上を差し向けたので、今回は間違いありません。彼らは先の三人より数倍上ですから。」

近藤の説明で松平は引き下がるが、

「隊長クラスを倒す二人だ。慎重に行くべきではないのかね?」

松平の指摘は間違ってはいなかった。

 

「はい、お弁当。全部食べてね。」

満面の笑みでセイヤに弁当を押し付けるのはレナだ。

黒い塊をセイヤは頬張る。ひたすら苦い。

「どう?唐揚げの味は?」

『唐揚げだと?黒こげだからなにがなんなのかわからないじゃないか。レナ…いつか覚えてろよな…』

「うん。ヤッパリ鶏肉は唐揚げが一番だよね☆」

セイヤは苦笑いでコメントした。

「これは豚肉だよ?セイヤ??」

やってしまった…

「このフライはいいね。サクサクしててさ☆」

「それ、漬け物だよ?セイヤ??」

これはヤバい。

「おーー、このビーフシチューは素晴らしいよ。レナ☆」

「そ・れ・は・お味噌汁!」

その後、セイヤがどうなったかは筆舌が困難である。

『筆者は絶対に理不尽だと思う。かわいそうなセイヤだ。』

筆者のパソコンがフリーズしてしまった。

さて、のどかな二人が向かう先は、チボーン地方である。チボーン地方は特に地名が存在しない。魔法の研究が進んでいる地方だ。セイヤ、レナの二人は魔法を少し習うことにした。

覇気を炎に変えたり、殺気を鋭い刃にしたりする。これらの加減具合では津波を引き起こしたりもできる。四天王の一人、チャッピーはこれらの技で世界最強の戦士の一角を担っていた。

セイヤ、レナの二人は講師の説明するままに次々と術を覚えて行く。かつてこのアカデミーではライ、アイラの二人が立ちより、いきなり禁術を発動してしまったという珍事件がある。この二人は今でも、この世界を作り出したライラの両親、最強夫婦として有名である。もともとは最凶夫婦だったが、現代では最強の文字になっている。

 

セイヤ達が術を習っているころ、谷と井上はチボーンに向かっていた。

「あの二人が確かにこのあたりを通ったのか。」

井上が不安げに言う。

「目撃情報は間違いない。このあたりだ。」

谷が自信ありげに言う。どちらも原田達に比べられば大分強い。これにセイヤは狙われている。

「チボーン魔術アカデミーにあの二人が入っていく姿を見たという情報がある。行くぞ、谷。」

井上が勇んでアカデミーに入る。

「仁商連である。セイヤ、レナがいれば差し出せ。さもなくばこのアカデミーに血の雨を降らせるぞ。」

谷が啖呵を切った。

アカデミーの生徒は誰一人動じない。むしろ殺気を二人にぶつけまくっている。

「甘くみるなよ?チンピラぁ。」

アカデミーの生徒は意外に凶暴だった。

「報告!谷、井上をチボーンにて回収。重体です!」

近藤のもとに入った報告によると、セイヤを探しだす前にケガをしたらしい。

これで6番以下は全滅だ。

「俺が行く。松平にどやされちゃかなわない。ついて来い!土方っ!」

いきり立ったのは近藤である。仁商連の絶対不敗、近藤がついに動く…前に待ったが入った。

「私が松原を連れてセイヤとやらをしょっぴいてきましょう。6番隊を預かる私と5番隊の松原で必ずや…。」

得意げに話すのは武田だ。

「本当に大丈夫なんだな?」

話す近藤の顔は青筋がたっている。仁商連はかなり追い込まれつつあるようだ。

 

さて、セイヤとレナの二人は仁商連の襲撃(?)に気がつかないままに術を覚えていく。

「セイヤ、才能無いね。私のほうが大きいよ。」

レナが自慢げに言う。セイヤは確かに負けていた。

「なんかチマチマして苦手なんだよ…。」

セイヤの言い訳は見苦しい。だが事実、魔術はレナの方が明らかに上である。

「ファイヤー!」

セイヤとレナが術をぶつけ合う。勝ったのはレナだ。セイヤは黒こげである。

術の研究はアカデミー生が協力してくれる。二人は魔術を実戦投入するべくさらに研究を重ねた。

 

そのころ、武田と松原はアカデミーにたどり着いた。

「そこの優等生よ、待ちたまえ。私達はセイヤ君の知り合いだ。セイヤ君がここにいると聞いて立ち寄ったのだが、セイヤ君はいらっしゃるかな?」

 

武田が丁寧に話すと、生徒はすんなり教えてくれた。

セイヤは体育館で、魔術を織り交ぜた、新スタイルを研究しているらしい。

仁商連の武田と松原は当然戦うわけだが結果は仁商連にはますます気の毒な結末を迎える。

 

「セイヤちゃん!あたしよ!あたし。タケちゃんよおおぉ」

武田が知り合いのフリをして、セイヤに抱きつく。

「ちょっと、この女だれよ?あたし意外のコに興味があr…」

言い終わる前にセイヤの拳が武田の顔を潰す。

「セイヤ!女の子になにするのっ!?ってかこの女はだれっ!?」

レナがセイヤに言う。青々としたヒゲを見てもレナは女だと信じきっている。

「これのどこが女じゃっ!」

 

セイヤと松原は仲良く絶叫した。そして、松原は武田を引っ張ってその場をあとにした。

 

「だめだ!ライバルの女はいいとして、私のカンペキな女装を見抜く。おそるべし、セイヤ!」

武田が悔しがった。

「いや、カンペキなわけないし…」

松原が身も蓋もないことを言う。

「よし…あの女も厄介だからあの二人をケンカさせるぞ。」

武田は二通の手紙を作った。

『愛するレナへ。

はじめまして。私は観柳斎。

将来君の旦那さんになる者だ。いやはや、君を始めて見た時から張り裂けそうな胸の中君に会いたくて、会えなくて……』

 

 

 

もう一通は

『☆ぁぃするせぃゃさま☆

久しぶりに会えて嬉しかったわ。変な女と何をしてるか知らないけどあなたとあたしの赤い糸は切れないわよ。いつだってあたしはあなたを…旦那さまのことしか……』

レナ宛ての手紙をセイヤに、セイヤ宛ての手紙をレナの荷物に仕込んだ。明日か明後日には二人は戦争状態になるであろう。

翌朝。

武田と松原の泊まっている宿にセイヤとレナは押しかけた。

二人の息はぴったりに武田を締め上げた。

「…なんのつもりだ?」

武田が声を絞り出す。

「レナにはなぁ…」

「セイヤにはねぇ…」

二人の声が重なる。

「あんな手紙が来るわけないだろっ!(でしょっ!)」

 

「報告!武田、松原の二名をチボーンの宿場町にて回収。危篤です。」

もはや仁商連も楽観はできなくなった。情報を受け取ったのは斎藤だった。斎藤は近藤には言わなかった。

「やっと、俺用のエサが出た。セイヤ…レナ…コロシテヤル。」

今作最強の戦士がついにセイヤを狙いだした。

 

そのころ、セイヤ達はオーシャンにいた。食の町オーシャンにてセイヤもレナも食事を楽しんでいた。

「やっぱりキムチスパゲティに限るわ。美味しい!」

二人で4人前のキムチスパゲティを注文し、食べ続けているのだ。二人はなぜかスパゲティを箸で食べる。誰に習うわけでもなく、先祖代々こうしてきたのだ。特にレナの家庭では先祖代々キムチスパゲティこそ至上の料理として好んでいた。

「なんで箸なんだ?」

フォークでウッカリ巻きすぎたセイヤはすでに十回はまき直している。セイヤはご先祖様のように口が大きくないので、チョロチョロとしか食べられない。

「うちはいつも箸だよ?おかしい?」

レナが堂々と言い放つ。堂々と言われると自分が間違えているような錯覚を起こす。セイヤはついつい箸に持ち替えた。

その時である。窓ガラスが割れ、賊が侵入した。

従業員も客もその場で切り捨て、真っ直ぐにセイヤを狙う。

セイヤは応戦した。狭いレストランだが敵は容赦ない。

「仁商連の斎藤だぁ!ここにいるやつぁ皆殺しだ。ヒャハハ!」

四番隊の隊長であり、仁商連随一の剣士である。

ガツガツとセイヤを追い込む。

レナが黙っているはずが無い。切りかかる。

斎藤は振り向きもせず足を後ろに突き出し、レナをはじく。

その間もセイヤに反撃の糸口がつかめない。

斎藤の攻撃は雨を剣で防ぐように難しい。

レナが魔法を使った。

斎藤はジャンプしてセイヤを盾にする。

セイヤは魔法を斎藤の方にはじく。

斎藤は剣で魔法を切り刻む。

そのままセイヤを捉えに行く。

レナが妨害。

2対1の位置関係ができた。

セイヤとレナの攻撃を一手に受ける。

先ほどに比べればラクだが、斎藤の隙が見えない。

レストランにはもうこの3人しかいない。

机も椅子も切り刻まれている。

その時だ。レナに異変がおきた。

 

黄色く輝く目…黄色眼である。黄色眼は千人に一人の才能である。

「黄色眼の女かぁ?こりゃあ沖田の野郎でも手ぇ焼くかもなぁ!」

斎藤は歓喜と期待をこめて言い放つ。

レナの姿が消えた。

斎藤の全身にピシリ、ピシリと傷がつく。

セイヤにも影を追うのが精いっぱいである。

斎藤は急所だけはしっかりかばいながら応戦する。

黄色眼は千人に一人の才能で開花すれば数段上の相手を軽々倒せる。セイヤには無い力だ。その代わりにセイヤには代々伝わる六気がある。六気とは闘気、覇気、殺気、鉄壁、見切り、切り返しによる気で、いずれか一つ使えれば最強クラスとされ、2つ以上を使えれば天才の中の天才である。

六気をすべて、しかも同時に使えたのは最強夫婦とその子にして世界を作ったライラだけである。セイヤはそれ以来の使い手である。

レナは斎藤を徐々に追い詰める。

斎藤はまだまだ弱る気配が無い。

そこにセイヤが入りこんだ。

レナが間を開け、セイヤが斎藤をガシガシと押して行く。

斎藤も徐々に動きが鈍りだした。

もうレストランはおろか、街並みも跡形も無い。

セイヤの剣が斎藤をついに捕まえた。

とうとう斎藤は倒れた。

 

 

 斎藤が倒れたという話は即座に仁商連に広がった。仁商連最強と言われる斎藤が敗れたのだ。無理も無い。

「斎藤が倒れたってかぁ!?オイオイ、ヤバいじゃないか!!」

豪快に永倉が言う。

「ジャアイヨイヨ俺ノバンダナ」

不気味な顔で沖田がニヤリと笑う。

「隊長クラス二人一組に行動するべきですな。局長。」

伊藤がインテリに言う。山南もこれに同意する。

近藤は高らかに言い放った。

「これより私は土方を副将とし、隊を預かる。全員続け。沖田は、山南を連れて先発しろ。セイヤ及び、レナを叩け。」

山南は伝統ある道場で敵なしと呼ばれ、沖田は斎藤を越えるだろう、仁商連のホープである。仁商連は本格的な戦争の準備を進めていた。

「セイヤ、エリが立ってるよ。」

そう言いながら、セイヤのエリを直すのはレナである。

「セイヤ、私、お洋服がほしい。」

おねだりするのはレナである。セイヤは頭痛を覚えた。しかも無駄金に対するものではなく、レナに逆らえない自分に対してである。

なぜ、レナに逆らえないのか?

理由はわからない。セイヤがお子様なだけである。仁商連と本格的に戦い始めたあとは仁商連を名乗る輩を血眼になって探しては捕まえ、役所に突き出し、懸賞を荒稼ぎしていた。なので遊び放題である。

「なあ、ほとんどの服は実家に送りつけるのやめたら?」

セイヤが渋く言う。

「オシャレは女の子にとっては真剣なの。お金もあるんだし、好きな服はちゃんと買わなきゃ!」

レナの熱弁に何度逆らったか数知れない。しかし、レナはセイヤが逆らえない、なにかを持っている。これだけは間違いない。

「あ!このリングいいな~セイヤ!」

まただ。たかが指輪になにを熱くなっているやら、セイヤにはわかりかねる。さらには自分の分まで買わされた。

同じ指輪をはめるのがそんなに大事なのか?セイヤの疑問はやがて愚問になる。

「レナ。指輪をつけて殴るとよく効くって知ってるか?」

セイヤの質問は言い終わらないうちにレナの鉄拳による回答を得た。

「レナ…なんで…」

伸びてしまうセイヤ。レナはセイヤを引きずって次の街に向かう。

その時だ。沖田と山南がセイヤ達の前に現れた。

「オマエラカ。斎藤ヲヤッタノハ…」

ただならぬ殺気…レナはセイヤをすばやく起こした。

「あなた達はやりすぎました。覚悟はいいですね?」

山南が冷たい口調で言う。静かな敬語だが眼光のするどさはまさに突き刺さるような視線だった。

先に動いたのは沖田である。

あまりにも早い。

狙いはレナだ。

レナは黄色眼を開いて応戦する。

互角だ。スピードだけなら斎藤以上だ。

剣の舞を高速化したようにガキガキと打ち鳴らす。

セイヤは山南にぶつかる。

北辰一刀流の師範こと山南は軽やかにセイヤの攻撃をさばいて行く。

セイヤは先祖代々に伝わる六気を山南にぶつけてみた。

山南の剣先がよくみえる。

先読みして山南の顔面に攻撃が入った!

打つべし打つべし。セイヤの勝ちだ。

レナはどうだろう?姿は見えない。

だが、心配は無用だ。レナがいない。

正確には見えないと言うべきであろう。

沖田は全身に傷ついて膝をついている。

沖田の後頭部にレナの攻撃が入り、KO。

 

この知らせは近藤に直通した。

 

「沖田、山南の二名が負傷。命だけは取り留めました!」

仁商連はいよいよピンチである。沖田が敗れるとは、近藤直下の精鋭でさえ、難しい相手であることに他ならない。

「松平さんになんて説明すりゃいいんだ…。」

近藤の代表としての悲鳴である。

残るは近藤、土方、永倉の三名になった。

「この三人と俺の部隊で一気に倒す。沖田、山南を打ち破るレベルだ。気を引き締めろ。」

近藤の激で仁商連は最後の戦いに備えた。

 

 

「セイヤ。あーんして。」

セイヤ達は現在食事中である。レナがホクホクな雰囲気でセイヤに食べさせてい

る。

セイヤ、なんとうらやましいと先走ってはいけない。セイヤが食べさせられてい

るのはカツオ出汁につけたパスタなのだ。

うまいはずがない。が、レナの見えない力によって無理やり食べさせられている

のだ。

「おいしい?」

レナの微笑みが恐ろしさを駆り立てる。

「イーッ、イーッ!」

セイヤは限界に近いようだ。

「今日は渋い顔してるよ?セイヤ?」

レナの鋭い洞察である。

「いやいや、なんでもないよ。おいしいよパスタ☆イーッ!イーッ!」

せめてキムチパスタにしてほしいセイヤであった。

店を出ると数十人に囲まれた。近藤ら仁商連である。

セイヤ達は誰もいない荒野まで逃げた。街中で戦うわけにもいかない。

「往生際が悪いぞ。賊徒セイヤ!」

土方が挑発する。しかし、この挑発がいけなかった。

セイヤは六気を放出した。

レナは黄色眼を開いた。

黄色眼と六気に兵卒が耐えられない。

永倉がセイヤを攻撃。

セイヤは軽やかにかわす。

セイヤのカウンターが決まり、永倉撃沈。

土方がレナに攻撃。

しかしなんなく手玉に取られ撃沈。

近藤がセイヤに攻撃。

セイヤに当たる前にレナが妨害。

セイヤが渾身の力で近藤を撃沈。

すんなり終わってしまった。

増援が来襲した。

沖田、斎藤、松原の三名だ。

斎藤の攻撃はセイヤを容赦なく攻め込む。六気にもひるまないあたり、今作最強の敵キャラだ。

レナは沖田と松原を一手に引きつける。誰か一人がセイヤを狙えばたちまちセイヤは死ぬだろう。

沖田の攻撃をレナは飛び上がってかわし、松原に一撃を見舞う。

松原は撃沈した。残るは沖田だ。

セイヤの方はやはり斎藤が優勢である。だが、セイヤはまだ平気だろう。

レナが沖田を倒すのは時間の問題だ。しかし、起き上がった永倉がレナを攻撃する。

レナは両手に剣を構えた。

「リナ式二刀流の奥義よ。閃!」

レナの姿が消えた。永倉、沖田の全身に傷が現れた。

レナは斎藤に向かうことはできない。セイヤを巻き込む可能性があるからだ。

セイヤがやはり間を詰めると斎藤はスッと引く。

一定の距離がたもたれたまま、斎藤のペースが崩せない。

レナが切りかかる。

ついにレナは沖田、永倉を倒したのだ。

「セイヤ!離れてっ!」

またあれをやる気だ。

セイヤすら影を追うのが精一杯の『閃』をやる気だ。

セイヤは距離を取るが後方に強い殺気があらわれた。

武田、井上、谷の三人だ。

セイヤもレナも仁商連の隊長達との戦いで消耗している。

よって、中堅クラスでも苦戦は免れない。

そんなセイヤのピンチに気づかないレナでは無いが、斎藤の力の前にレナもまた苦戦を強いられた。

「閃!」

レナはまた消えるが、斎藤はピシャリとレナを捕まえてしまった。

レナの剣と斎藤の剣がガシイと音を立てる。

こちらはまだ長引きそうだ。

さて、くたびれているセイヤに残酷に立ちはだかる三人、武田、井上、谷は一斉にセイヤに切りかかった。

谷が斬りつける。

セイヤははねのけ、蹴りを加える。

武田が斬りつけると、セイヤは腕を捕まえて投げ飛ばす。

井上の猛襲を全力でかわす。

今のところセイヤは攻撃できていない。

さらに井上は追ってくる。

セイヤは六気を高めて、井上を迎え撃った。

途中、谷が加わり、武田も加わる。セイヤの方はピンチだが、レナもまた劣勢である。

セイヤはレナと合流することにした。

三人に背中を向けて、まっしぐらに斎藤に切りかかる。

極めて重い、衝撃波を伴う一撃が斎藤に直撃した。斎藤もこれには膝をついた。

「先祖代々に伝わる秘剣、豪だ。残り三人だ。レナ、頼むよ。」

斎藤が倒した今、二人でかかればこの三人は倒せる。が、その時だ。さらなる増援が現れた。藤堂、鈴木、原田の三名だ。

6対2…、セイヤ達がこの上ないピンチに追い込まれている。レナも消費が激しく、閃はもう使えない。

 

黄色眼と六気だけで6人を睨みつけると、武田が司令塔となって、5人に指示を飛ばしていく。原田、藤堂、谷の三人がセイヤに切りかかる。

同時に、井上、鈴木がレナを襲う。

絶対のピンチの中、セイヤに異変が起きた。黄色く輝く目、黄色眼である。

横なぎに豪を飛ばすと、原田、藤堂、谷が吹き飛んだ。

レナは黄色眼からさらに六気を織り込み、こちらも、井上、鈴木を吹き飛ばした。

残るは武田一人だが、武田は逃げ出してしまった。

 

決着はセイヤ達の勝利に終わった。

仁義商会連合、通称仁商連はここに倒産した。

次に二人が向かったのはヤヘイ闘技場である。数々の戦いを経て、互いの力を確かめようという話だ。

お互いに尊敬しあう二人。どちらが強いのか?仁商連を壊滅した二人の夢の対決がヤヘイ闘技場をさらに熱狂させる。

 

「かの仁商連をたった二人で壊滅したコンビがこれからナンバーワンを決める、時間無制限の一本試合を開始します。」

今回の実況は実にやる気が無い。二人はそれぞれの花道を通り抜け、歓声に包ま

れた。

試合前にレナが耳打ちする。

「あたしが勝ったらあなたは専業主夫だからね。」

「じゃあ俺が勝ったら?」

「あたしが専業主婦になるのかな?」

「どっちだっていい。幸せな家庭になるようにしたらいいさ。」

互いに距離を取った。

「睨み合いはどちらも引きません。さあ、ゴングが鳴りました!!」

 

Fin

 

 

 




今回はそんなに長くないが、まずはここまで至ってくれた方に御礼申し上げます。
とある歴史の組織が悪役になって壊滅させられるようすを迫力満点でお届けしたわけだ。
また、私の苦手な恋愛要素を取り入れた。書いてるときは一生懸命であると同時に楽しんで書いているので、気づかないが、あんまり迫力がなかった。新訳、桃太郎のような、爽快感が足りない。手直しも考えたが、戒めにあえて公開し、ディスられるのも結構。
ディスられるということは、読んでもらったことにほかならない。
一番悲しいのはディスられることすらないこと。街頭演説のように見向きもされないのが作品作りにおいて一番悲しいことである。
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