そこは実にのどかなところだった。
小高い丘の上に一軒の建物煙突から煙の代わりに影が。
影は町に向かって颯爽と飛んでいった。
もう少し建物に近づくと、今度は犬が二本足で立ちラジオ体操をしている。
中に入ると丸い顔のオッサン、ジャイアント馬場よりもはるかに長い顔の少女が、パンを作っていた。
やがて待ちにUFOのようなものが襲ってくる付近住民は一日一回必ずこれに出くわし
UFOは
一日一回必ず煙突の影と戦い一日一回必ず煙突の影を追い詰め
一日一回必ず復活した影にぶっ飛ばされるのである。
こうして一日が終わっていく世界にあの男が現れた。
浦島太郎との戦いを終えた桃太郎である。
あくる日の昼下がりUFOが飛来した。
中には真っ黒い人物が搭乗している。
「今日こそヤツの妨害が入る前にこの街をつぶす。20年もヤツにぶっ飛ばされ続けたが今回ばかりは番外編なんだから勝ってもいいだろう。」
UFOからはおびただしい数のレーザーとミサイル。
いろんな動物たちが2足歩行し喋り馴れ合うという奇妙な街をUFOは破壊した。
そして颯爽と我らのヒーローが現れた。
UFOに強烈な一撃そして男は名乗った。
「我が名は桃太郎!拳を極めし者也!!!」
乗り物の中から真っ黒の人物を引きずり出し再び攻撃を開始。
腕がもげ足がもげ体中の骨を砕かれながら真っ黒はひたすらに悲鳴を上げる。
やがて悲鳴が断末魔を経過して、痙攣状態になったところで先の煙突の影が現れた。
「これは…」
普段ならUFOが20年間の人攫い破壊活動を通して今までに一人も殺した事がなければ、物を破壊した事さえない事は周知のとおりである。無論影が毎度ぶっ飛ばすがここまでの惨状はお目にかかったことがない。
そしてまもなくいつもの真っ黒い男が変わり果てた姿でそこにいる事を確認。
その傍らに桃太郎がいた。
「汝が真の力。我に示せ。」
今回の敵はただ事じゃないと悟った影はマントを翻し空中から必殺パンチを放った。
しかし顔面にカウンターの一撃を食らってしまった。
顔が吹き飛んでしまった。だが片目と鼻の辺りを残し立ち上がった。
「くっ、顔がもげては力が…」
この男顔が半分削ぎ取られても力が入らないだけですむのである。
桃太郎は手に付いた餡を見て黍団子を思い出していた。
どこからともなく影と似たような顔つきの人面車に乗って丸い顔の翁と理不尽なまでに顔が長い少女と二足歩行の犬がやってきた。
「新しい顔だ!」
そういって本当に顔を投げつけた。
やがて新しい顔は影の顔面に当たり首を撥ね、新しい顔になった。
「元気100倍!!」
そして再び必殺パンチを繰り出すが再びカウンターが入った。今度は桃太郎の番である。
青白い光の球を投げつけ、一瞬で全身打撲にするという大技を駆使し、さらに相手の頭上にテレポートして
頭上から強烈な一撃を与えるというなんとも恐ろしい技を放った。
しかし!
「まだまだ!新しい顔だ!」
丸い翁がさらに新しい顔を投げた。
「元気100倍!!」
こんなやり取りが200回ほど繰り返された。
ここまでくれば、平べったい顔の影や、スカトロが好きそうなラグビー顔がいてもいい気がするが面倒なので(どうせこの実力差じゃぁねぇ…)。
桃太郎は丸い顔の翁、縦長顔の少女を葬り去った。
「丸い顔にして奇妙な物の怪よ。後はないぞ。」
そして一閃。