俺が綾辻さんの彼氏か   作:杉山杉崎杉田

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第24話

 

 

出水が国近に連絡を取った。

 

「柚宇さん、柚宇さん。奴の情報ちょうだい。米屋と緑川の分も」

 

「ほ〜い、東さんたちの戦闘記録送るよ。詳しいことは東さんたちに聞いてね」

 

すると、3人に戦闘データが流れてくる。

 

「ゴツいのに意外と射撃系じゃん。いずみん先輩と同じタイプだ」

 

「弾バカ族だな」

 

「誰が弾バカだ槍バカ。

 

そこを注意してから、今度は東と連絡を取る。

 

「東さん、出水です。米屋と緑川も一緒です。角付きと戦るんでサポートお願いします」

 

『わかった。相手の射撃トリガーは性能が段違いだ。射程、威力、弾速、速射生も高い。撃ち合うなら足を止めるなよ。火力勝負になると厳しいぞ』

 

「だいじょうぶです。弾避けが2個あるんで」

 

「「おいこら」」

 

すると、別の声も混ざって来た。

 

『敵はイーグレットを止めるレベルのシールドを持っている。ブレードも防がれるかもしれない。単発で崩すのは難しいぞ』

 

「荒船さん、了解です」

 

『そこの建物のデータあったから送るね。『旧・三門市立大学』」

 

「おっ、柚宇さん気がきく」

 

データが揃ったところで、米屋が言った。

 

「よし、行くか。作戦はマップ見て考えよーぜ」

 

「作戦って……このメンバーじゃ突撃しかなくない?」

 

「どう突撃するかを決めんだよ」

 

「相手が弾タイプってことは、近づかなきゃジリ貧でしょ」

 

「人数で勝ってるから挟み討ちだな。動き回って裏取れたやつが当ててく感じで」

 

「これ建物とか壊しちゃっていいの?」

 

「俺らが壊さなくても向こうが派手にぶっ壊すだろ」

 

「そっか」

 

「まぁとりあえず一発ぶっ放すから、あとは臨機応変に」

 

「結局それな」

 

「了解〜」

 

そして、出水は片手にメテオラ、もう片方にバイパーを出して混ぜた。

 

「メテオラ+パイパー=トマホーク」

 

開戦した。

 

 

南西部。ヒュースが磁力のライフルのようなものを作った。それを、千佳に向ける。

 

「!」

 

発射された。ものすごい勢いで、予想外の早さに伊佐は反応が遅れた。だが、修が腕を伸ばし、なんとか千佳をガードする。

 

「三雲くん。俺が人型とやる。新型を何とかしてくれるかな?」

 

「何とかって……!」

 

修が伊佐の顔を見る。いつもの無表情だ。

 

「どういう意味だ」

 

「C級を一人も減らさずに殺されないようにラービットを何とかするって意味」

 

「本気か⁉︎そんなこと……!」

 

「三雲くんじゃ人型相手に3秒保たないのは目に見えてるでしょ」

 

「………ッ、わ、分かった」

 

伊佐はヒュースに向かっていった。

 

「何とかって……!」

 

『オサム』

 

「レプリカ。どうすれば……!」

 

『それを考えるのはオサムの仕事だ。だが、私は不可能だとは思わない』

 

「! どういう意味だ?」

 

『幸い、ここにいるのはトリオンが黒トリガー並の千佳に、C級トップクラスの実力を持つ3人が揃っている。それに、ユウマと迅もこちらに向かっているし、近くまで来ている。ラービットを倒すことまでは及ばずとも、それまでの間に時間を稼ぐことは、可能性は低くとも0%ではない』

 

「……………」

 

正直、気休めに近かった。だが、修を奮い立だせるには充分だった。

 

「………やるしかないな」

 

『了解した。私も知恵を貸そう』

 

 

一方、伊佐は両手にハンドガンを出した。

 

「ハルちゃん、俺の背中の後ろに」

 

「へっ?」

 

「ぶっちゃけあの辺に任せるくらいなら俺が守る」

 

「でも、その辺の民家に隠れていても……」

 

「ラービットの巻き添えでクタバりたいの?正隊員の1部隊でも敵わない相手×6匹相手じゃC級が何人いても勝てない」

 

「……じゃあ先に逃げるのは?」

 

「トリオン兵が何処にいるか分からない状況で何処に行く気?死にたいの?」

 

「………わかった」

 

綾辻は伊佐の後ろに回った。ハンドガンを構えると、ヒュースも攻撃態勢に入る。

 

「『蝶の楯』」

 

ヒュースは自分の周りに磁石による盾を纏わせた後、磁石の矢を飛ばした。

その矢をアステロイドで撃つ。アステロイドは弾かれた。

 

「っ!」

 

綾辻の手を引いて回避する伊佐。

 

「届いてないよ、ケンくん」

 

「充分」

 

伊佐の撃った弾は弾かれた後、ヒュースの周りの盾に反射する。

 

「っ⁉︎」

 

慌てて回避するヒュース。だが、さらに弾丸が迫って来ていた。

 

「っ!」

 

伊佐の予測アステロイドだ。それを跳ね返す盾。帰って来た弾に伊佐はさっき飛んで来た磁石の矢を投げてぶつけた。それによって、弾はさらにヒュースに跳ね返る。

 

「グッ……!」

 

「さて、ここからだ」

 

更に伊佐は左右のアステロイドとバイパーを組み合わせて攻撃した。アステロイドによる相手の反射を利用した攻め、こちらに跳ね返ってきた弾はバイパーで撃ち落とす。

 

「チィッ……!」

 

どんなに跳ね返しても、その倍の数の弾が返ってくる。ヒュースはイラだったが、下手な反撃はしなかった。相手に武器を与えるだけだと分かっているからだ。

 

(ヴィザ翁の仰った通り、厄介な相手だ。だが……、こちらのトリガーの方が性能は上だ!)

 

ズアッ!と蝶の楯の範囲を広げるヒュース。磁石の道を作り、伊佐と綾辻を覆うようにした。

 

「「‼︎」」

 

「お前らはここで始末する!」

 

「ハルちゃん、動かないで」

 

それでも、伊佐は落ち着いてアステロイドを向けた。ヒュースは自分のレールの上を動き回り、攻撃をして来る。それを伊佐は回避しつつ反撃した。

 

 

修達。

 

「C級のみんな!今、ラービットに通用する弾丸を撃てるのは千佳だけだ!ラービットをほんの一瞬でいい、引きつけてくれ、そこを千佳が落とす!」

 

修は全員にそう言うと、自分も囮になるべく突っ込んだ。だが、ラービットの一撃が炸裂し、修は家に吹き飛ばされる。

 

(グッ……!こんなんじゃ、囮にすら……!)

 

だが、千佳の砲撃がラービットを吹き飛ばした。

 

「! 千佳……!」

 

その感じで、次のラービットに狙いを定めた。

 

 

本部。

 

『侵入警報、侵入警報』

 

「基地内部に未識別のトリオン反応!通気口から侵入されたようです!」

 

「通気口だと⁉︎また例の小型トリオン兵か!」

 

「いえ、これは……人型です‼︎人型近界民侵入‼︎」

 

「な……⁉︎」

 

「黒トリガーか‼︎」

 

エネドラが侵入した。

 

 


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