俺が綾辻さんの彼氏か   作:杉山杉崎杉田

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第27話

 

ハイレインに向かう伊佐。相変わらずのキチガイじみた射撃で魚の間をすり抜ける。直後、ハイレインを守るようにラービットが四体現れた。

 

「ッ!」

 

「新型……⁉︎」

 

ラービット四体は、一番近くの伊佐に襲い掛かった。

 

「ちょっ……!タンマ……!」

 

「伊佐!後ろだ!」

 

出水がそう言った直後、後ろから黒い穴が出現。魚が伊佐に向かって来た。伊佐は自分の片腕を切り落として魚に当てて防ぐ。そして、後ろからのラービットの拳を回避した。その拳が前のラービットに直撃する。

その隙にスパイダーで上に逃げようとした。その足を、ラービットが掴んだ。

 

「ッ……!」

 

さらに向かって来る鳥と魚。

 

「伊佐!」

 

出水が敵の弾を弾く。伊佐はそのまま自分を捉えようとするラービットにゼロ距離でメテオラをブチ込んで、手が離れた所を脱出した。

 

「………逃げられたか。まぁいい」

 

「いいのですか?」

 

「既に奴のトリオンは残り僅かだ。このラービットを片付けた頃にはもう戦えないだろう」

 

「了解しました」

 

伊佐は出水の隣に飛びのいた。

 

「無事か伊佐?」

 

「何とか。でも、逃げられました。とりあえず、この新型を何とかしないと……!」

 

「行け、伊佐」

 

出水が伊佐にそう言った。

 

「!」

 

「向こうに綾辻もいるんだろ?狙撃手の策があるとはいえ、そんなんで仕留められるなら苦労しないって分かってんだろ?」

 

「でも、ラービットが」

 

「そこは先輩に任せろよ」

 

米屋もそう言い返す。

 

「……すみません。お願いします」

 

基地に走り出した。

 

 

修達。ボーダーの基地に近付いてきていた。

 

「……あと少しだ。みんな頑張れ!」

 

全員に声を掛けつつ、基地に向かう。その時だ。千佳がピクッと反応した。

 

「! 人型……⁉︎」

 

ハイレインとミラが現れた。そして、鳥を飛ばしてくる。

 

「あれは……!全員鳥に触れるな!キューブになるぞ!」

 

何人かキューブにされる中、修は街の家の方に千佳と綾辻を連れて逃げ込んだ。

 

(クソッ……!あと少しだっていうのに……!)

 

悔しげに人型の方を睨む修。その時だ。基地の方から弾丸が二発、ハイレインに直撃した。

 

「⁉︎」

 

「上から……⁉︎」

 

見上げると、基地の屋上からライフルで当真、奈良坂、古寺が狙っていた。

 

「………ミラ、どっかからラービットを拾って上の狙撃手を止めろ」

 

「畏まりました」

 

どこかに消えるミラ。ハイレインは攻撃を再開した。

 

「来るッ!」

 

『三雲くん。聞こえてる?』

 

「! 伊佐!」

 

『今からそっち行く。それまで持ち堪えて』

 

「分かった」

 

修は短く返事をすると、二人を連れて走り出した。

 

 

遊真・三輪vsヴィザ。鉛弾を上手く使い、ブレードの速度を落としつつ戦う。三輪にもちびレプリカが付いている。

 

「『弾』印」

 

瓦礫を飛ばす遊真。それをバラバラにするヴィザ。

 

「『鎖』印」

 

バラバラになった瓦礫から鎖が出てきて、ヴィザの動きを封じた。その隙を見て、後ろから三輪が斬りかかる。

それと共に、遊真は左手をヴィザに向けた。

 

「『射』印+『強』印」

 

すると、杖で瓦礫をバラバラにした。

 

「ッ⁉︎」

 

「!」

 

直後、三輪は後ろに飛び退いて回避。遊真の攻撃をヴィザは回避して、円周場にブレードを広げた。

ヴィザの狙いは遊真だった。左手を斬り飛ばした。

 

「どうやら、その左手が悪さをするらしい」

 

遊真の落とされた左手から、レプリカがにゅうっと脱出する。

 

(クッ……同じ黒トリガー同士でもここまで違うものか。明らかにこちらが押されている)

 

奥歯を噛みしめる三輪。目の前のヴィザはそれほど強かった。

 

(奴を倒す手はある。だが、それをやるには……!)

 

悩みながらも三輪は遊真に通信を取った。

 

『おい、近界民』

 

『重くなる弾の人?』

 

『三輪だ。おい、奴を3分引きつけろ』

 

『ミワ先輩はどうすんの?』

 

『奴を倒す。それだけだ』

 

『………了解』

 

すると、三輪は基地の方に向かって行った。

 

『レプリカ、ケンスケとチカは大丈夫か?』

 

『無事だ。二人とも基地の目の前だ』

 

『……めずらしくつまんないウソつくね』

 

『目の前の敵に集中しろということだ。ちなみに二人とも無事ではある。ただ、チカの方は黒トリガー二人に狙われている』

 

『まださっきのラービットは作れるか?』

 

『作れる。一体だけならな』

 

『なら、そっちに行ってチカを守れ』

 

『私がいなくなって大丈夫なのか?』

 

『こっちにレイジさんととりまる先輩が向かってる。ミワ先輩もウソは言ってなかった。あの爺さんを3分止めるだけなら、俺だけで十分だ』

 

『……了解した』

 

すると、レプリカは修の方に向かった。

 

「おやっ、お一人で戦うつもりですか?」

 

「他の所もピンチだから。あんた一人に何人も割いてられない」

 

「ほう、しかしよろしいのですか?」

 

そう聞いた直後、ヴィザはブレードを纏って突っ込んで来た。それを避ける遊真。

 

「私は誰が相手でも手は抜きませんよ」

 

「上等」

 

 

修、綾辻、千佳。家の中を通って逃げていた。

 

「修くん、前から来る!」

 

「! そこ右!」

 

千佳のサイドエフェクトでなんとか動きを予測して逃げてる状態だ。

 

「あきらめなさい」

 

だが、目の前にミラがワープしてくる。修の脚に小窓が突き刺さった。

 

「ッ! 綾辻さん、下がって!」

 

修は天井を破壊し、後ろに下がった。別の道を進んだ。だが、目の前にはハイレインが立っている。

 

「ッ!」

 

「諦めろ。黙って金の雛鳥を寄越せ」

 

「………!」

 

後ろに下がろうとしたが、ミラがいる。

 

(ここまでか……!)

 

そう思って諦めかけた時、家に何かが降って来た。黒いラービットだ。

 

「⁉︎」

 

「こいつは……!」

 

直後、そのラービットがミラに殴りかかる。直後、修はその隙を逃さずに逃げ出した。

 

「逃がすか……!」

 

飛んで来る魚に修はシールドを向けた。

 

「スラスターON」

 

シールドモードにして飛ばし、魚を相殺すると、走り出した。

 

「レプリカか!助かった!」

 

『ユウマの指示で助けに来た。正解だったようだ。私が逃げ道を指示する。ラービットも長くは保たない。さっさと基地に向かうぞ』

 

「分かった!」

 

 

遊真vsヴィザ。ヴィザの斬撃が遊真を襲う。

 

「グッ……!」

 

身体を掠め、少しずつトリオンが漏れて行く。

 

「二つに分かれたのは失敗だったのでは?」

 

そう言うヴィザの攻撃をギリギリ凌ぐ。

 

『近界民、奴の足を止めろ。攻撃はいつでも出来る』

 

『分かった』

 

遊真がそう言った直後、脚が落とされた。

 

「ヤバっ……!」

 

「これで、終わりです」

 

トドメを刺そうとした時、ヴィザの身体を車が跳ねた。

 

「ッ⁉︎」

 

杖でガードしたものの、大きくぶっ飛ばされた。

 

「……やれやれ、また新手ですか」

 

そう言った直後、ヴィザに五発の斬撃が走った。

 

(⁉︎ 斬撃……?何処から……!)

 

辺りを見回すと、三輪が風刃を持ってこっちを睨んでいた。

 

(逃げたと思わせて、この機会を待っていたわけか……!)

 

直後、ボンッとヴィザが爆発した。

 

「無事か、遊真」

 

声を掛けたのは、車に乗った烏丸だった。レイジが運転席に乗っている。

 

「レイジさん。これまだ動く?」

 

「動くけど、どうした?」

 

「オサムとチカが危ない。急いで」

 

「分かった」

 

レイジは遊真を乗せて車を走らせた。

 

 

「⁉︎」

 

「ヴィザ翁⁉︎」

 

ハイレインとミラが声を上げた。

 

『申し訳ありません。突破されました。「星の杖」は無事です。お気をつけ下さい。敵に黒トリガーがもう一人います』

 

「了解した。ミラ、ラービットを引きつけつつ、拠点の前に大窓を張って待機。俺が金の雛鳥を捕らえる」

 

「畏まりました」

 

ミラは消えて、ハイレインは引き続き修達を追った。

 

「! 修くん!人型がもう一人こっちに来た!」

 

「クッ……!」

 

(今度こそ、雛鳥を捕らえる……!)

 

魚の群れを出して飛ばすハイレイン。だが、その魚の群れが一瞬でキューブになった。

何事かと弾の飛んで来た方を見ると、伊佐がハンドガンを向けて立っていた。

 

 


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