俺が綾辻さんの彼氏か   作:杉山杉崎杉田

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第31話

 

 

数日後、嵐山隊作戦室。記者会見で修が大暴れしたのをテレビで見ながら、伊佐はソファーでボンヤリしていた。

 

「お、これ三雲くん?」

 

隣の綾辻が声を掛けた。

 

「うん。遠征のことバラしてる」

 

「あーあ……。でも、三雲くんかっこ良かったなぁ〜」

 

「あー、そういえば三雲くんにハルちゃん守ってもらったお礼してないや」

 

「そうだねー。今度三人で何か食べいこっか?」

 

「いやー、あいつ今B級のランク戦で忙しいから、何かお菓子あげるとかでいいんじゃないかな。お中元的な」

 

「いや意味違うからそれ」

 

「まぁとにかく、テキトーなお菓子持って行こうよ。ちょうど、そろそろ玉狛に行かなきゃだったし」

 

「じゃ、一緒に行こっか。手でも繋ぐー?」

 

「うん」

 

「えっ?つ、繋ぐの?」

 

冗談のつもりで言ったのが間に受けられ、基地内を移動するときに恥をかいた綾辻だった。

 

 

とりあえず二人でお菓子を買いに行った。

 

「うーん……何がいいかなぁ?」

 

「テキトーに見て回ればいいんじゃないの?」

 

「そうだね。とりあえず、あの店行こうか」

 

綾辻の指差す先は和菓子屋だった。

 

「りょーかい」

 

「ふふっ」

 

「?」

 

「デートだね」

 

「? そーだね?」

 

「………もう少しさ、照れるってことを覚えようよ」

 

「………? 今のやり取りの何処に照れる要素が?」

 

「………なんでもないよ」

 

二人は和菓子屋に入った。

そのまま、他の店にも入ったりして修に買うプレゼントを二人で選んだ。と、言っても侵攻後で街もほとんどぶっ壊れていたので、回る店も少なかった。結局買ったのはどら焼き。

 

「さて、少し遅くなっちゃったけど、玉狛に行こっか」

 

「ハルちゃん」

 

「ん?」

 

「はい、これ」

 

伊佐が渡したのはグミだった。ちょっと高そうな。

 

「わっ、これどうしたの?」

 

「さっき買ったんだ」

 

「ありがとう……」

 

二人は玉狛に向かった。

 

 

玉狛支部。

 

「なんかここ来るの久々な気がする」

 

「いやいや、毎日来てるじゃん、ケンくんは」

 

「いや、なんか、こう……感覚的な問題で」

 

そんなことを思いながら中に入った。まず見えたのは小南だった。

 

「あ、賢介。と、綾辻さん?」

 

「こんにちは。小南さん」

 

「こんにちは〜」

 

「三雲くんいますか?」

 

「いるわよ」

 

と、話しながら中へ。作戦室に入ると、本当にいた。

 

「三雲くん。会議中?」

 

「伊佐。と、綾辻さん?」

 

「こんにちは、三雲くん。はいこれ」

 

ほいっと買って来たどら焼きを渡す。

 

「あの、これは?」

 

「この前、私の事助けてくれたでしょ?」

 

「い、いやいや、あれはボーダー隊員として当然の事をしたまでで……!」

 

「それに、学校でもケンくんとお友達なんでしょう?だったら、その事も兼ねて、ね?」

 

「や、学校ではあんまり……」

 

「正直、ケンくんに友達が出来てることのが驚いてるから」

 

「ハルちゃん?どういう意味?」

 

伊佐の台詞を無視して、修は渋々どら焼きを受け取った。

 

「あ、でも伊佐。良いところに来てくれた」

 

「? 何か用?」

 

「僕達に、力を貸してくれないか?」

 

「…………へっ?」

 

「実は、僕達は訳あって遠征部隊を目指してるんだけど、僕は弱い。この前の大規模侵攻で逃げるしか出来なかった。実質、僕達の部隊で点を取れるのは空閑だけだ。だから、頼む」

 

「……………」

 

「良かったじゃん、ケンくん。ようやく部隊に入れるじゃん」

 

綾辻に背中を押され、伊佐は玉狛第二のメンバーとなった。

 

 

太刀川隊作戦室。

 

「ふーん、じゃあお前玉狛第二に入ったんだ」

 

「はい。まぁ、俺は作戦とか立てませんけど」

 

「へ?そうなの?」

 

「基本的には三雲くんと空閑くんと雨取さんの部隊ですからね。俺はお手伝いということで作戦に従うだけです」

 

「ほーう。まぁ、お前と白チビがいればまず負けることはないだろうけどさ」

 

「いやー、俺こう見えて協調性ないんですよね。従わせるのは得意ですけど従うのはあんまり」

 

「プライドって奴か?」

 

「そんなものはハルちゃんと付き合った日からケツからひねり出してトイレに流しました。ただ、こう……自分の為なら困るのは自分だけだから何も思わないんですけど、他人の為となるとプレッシャー掛かって……」

 

「よく言うぜ。大規模侵攻であれだけ戦えてた癖に」

 

「まぁ、ケースバイケースですよ」

 

「や、意味わかんねーから。意味分かってて使ってる?その言葉」

 

「そういえば最近、ハルちゃんにまた国語教えてもらいましたよ。『なんでこんなのも出来ないの?』って言われました」

 

「ふぅーん。まぁお前作者の気持ち分かれとか無理そうだもんな」

 

「選択問題で4番の『締め切りヤベーな』を選んだら『ふざけるなら教えてあげないよ?』って言われましたね」

 

「お前が悪いだろ」

 

「真面目に答えたんですよ?」

 

「訂正、お前の頭が悪い。問題文見てなくてもその解答だけは間違ってるってわかるわ。つーかなんでそんな選択肢用意してんだよ」

 

「出水さんは勉強どうなんですか?」

 

「まぁまぁ」

 

「それ頭悪い奴の回答ですよ」

 

「うるせー。お前に言われたくねんだよ」

 

「英検準一級ですけどね俺」

 

「漢検は?」

 

「随分前ですけど5級落ちました」

 

「なんでだよ。もっかい言うけどなんでだよ」

 

「難しいんすよ」

 

「いやいやいや、漢検5級って小学生レベルじゃん。多分。お前本当に日本人?」

 

「ワタシハニホンゴワカリマセーン」

 

「カタコト上手いな」

 

「それより、そろそろじゃないですか?」

 

「そろそろだな」

 

すると、ウィーンッと作戦室の扉が開いた。国近と綾辻だ。

 

「ヤッホー」

 

「うーっす」

 

「じゃ、やりますか」

 

「今日は勝つからね」

 

スマブラ大会だ。

 

 


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