退廃の風と絶対悪が英傑を求めて来るそうですよ?   作:アイ

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呼ばれし者__“逆廻の月”

ーーー?side

 

季節は初夏、あと数日でゴールデンウィークに入るという今日。逆廻十六夜は白が特徴的な研究施設紛いの建物〝カナリアファミリーホーム〟の自室にて昼寝をしている。耳にはヘッドフォンを、隣には先程まで読んでいた本が何冊か転がっている状況である。

 十六夜は自室に居るが高校の制服である。そして今は丁度真昼であり要するに、サボりである。彼は何ヵ月も登校していない不登校な問題児であり近くの不良等と一緒にされるケースが多い。彼が最後に登校したのはテスト当日。高校の範囲を高校で習っていない十六夜は点など取れるはずも無くは無かった。全て満点であり故に学校の鏡である十六夜は教師からの指図は一切無くサボり放題である。

 

 

「…………これは」

 

 

 穏やかな寝顔に日の光が差した。そして目覚めるものの寝起きのため頭が冴えない。散らかった本を見ての一言。

 

 

「……何処だ、ここ?」

 

 

 諸に寝惚けていた。

「あ~あ。カナリアファミリーホームの自室か。これは寝落ちだな。確か本の内容はアジ=ダカーハの伝承だったかな。」

十六夜の横に散っている本にはアジ=ダカーハの伝承が浅くしか掛かれていない本と世界を旅した時に手に入れた本がある。

 

〝カナリアファミリーホーム〟

 

 其処はその見た目通りに研究所……などではなく。大人には手がつけられない特異な子供達問題児を預かる児童福祉施設なのだ。十六夜はその中でも設立当初から居る古参メンバーで、彼の為に最初は作られたと行っても過言ではない。

 そのカナリアファミリーホームに今日帰ってきたのだった。昨日まで此処を後にしていた十六夜。因みに彼が寝ていたのは二階の自室。仮に誰かが来たとしても子供の気配ぐらい簡単に察知できるため隠れることなど容易いこと。

 

(下に顔を出せば餓鬼どもが五月蝿いしな。別に今は良いかな。)

そう言って部屋外の下階段を使うのを止め上階段を使い屋上に向かう。

 

直ぐに十六夜は再び暇潰し娯楽を探しに一人旅を再開しようかと考え出した。することもなく命の時間を消耗するのは勿体無いと考えたが。

 

 

「ん?」

 

 

 だがそこで、彼は一度思考を止める。止めざるを得なかった。

 妙な感覚を覚え空を仰いでみれば、そこには一通の封書がヒラリヒラリと舞い落ちてきていた。それも、風に流されるまま移ろうのではなく、ほぼ直線的に十六夜の元へと。

 やがて足下へ落ちてきたそれを怪訝な目をしながら拾い上げた。

 

 

「……ふぅん? 誰かの落とし物か、あの妙な軌道も偶然…………って訳じゃなさそうだな」

 

そう呟いた彼の口にここで初めて微かな笑みが浮かぶ。

すると十六夜は気配を感じて封書をポケットに入れる。

 

「入るわよ十六夜。その笑み(・・・)面白い事でもあったのかしら?」

屋上にきたのは車椅子に乗る茶髪の女性。

「まあな。ってな訳で当分此処を後にするが(・・・)焔達を頼めるか?」

「は~ぁ。私の見れる範囲なら(・・・)」

少し見ない内に十六夜の"  „は完成したのか。この分なら向こうに行く際の恩恵はもう贈らなくて良いわね。っと思考していると。

「どうした?まぁ良いか。なら行ってくるぜ葵。」

女性こと葵は3歩後ろに下がり十六夜を見届ける。

(実際私も長くは居れないんだけどね。)

そして十六夜は封書を開く。

 

 差出人不明の封書にはこう書かれていた────『逆廻十六夜殿へ』と。

 

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