病院に居る彼女の部屋に誰か来たようだ。
「耀、遅くなってすまないな」
「大丈夫だよ、父さん」
約束の時間とは多く擦れがあるが其より会えたことに意味がある。
「そうか」
安心したように父が答える。
「今日はお前の誕生日だ。プレゼントを持ってきたぞ」
「ありがとう、父さん」
「だが、これを簡単に渡すわけにはいかない」
真剣な眼差しであった。
「これを受け取ったらお前は歩けるようになるだろう。しかし受け取ったらお前の前に多くの苦難が現れることになる。中には命がかかるようなものもあるかもしれない」
「そこまで深く考えなくてもいい。これはここに置いていく。欲しかったら勝手に受け取れ。しかしこれだけは覚えておけ。“自分の事は自分で責任を持て。大きな力には大きな責任が伴う”。…俺はもう行く」
「うん。またね、父さん」
父親の大きな背中を見送る。
そして私は父に近づくためにプレゼントの箱に手を伸ばした。
~時が流れて~
季節は既に紅葉の全線にあり葉の色彩が美しく色褪せる季節。
其れを見ようと着替える春日部 耀に近寄る三毛猫。
(……何だろう?あれ)
春日部が見たものは紙類であった。
すると三毛猫が春日部に話し掛けて。
「お嬢お嬢。空から手紙が降りてきとるがな!」
「そんなの?」
三毛猫と会話する春日部。
三毛猫は特別な猫では無く特別特殊なのは春日部。
猫と会話し鳥と会話したりと動物なら殆んど話せる。
「本当の事でせえ。ワシは嘘は言わん。」
「分かってる。三毛猫は嘘を付くのが下手だからね。」
そう言って撫でた後に手紙が落ちた場所に行く。
「私に手紙か。懐かしいなお父さん以来かな。」
等と昔を思い出しつつ指を差し込み丁寧に封を切る。そして、中の三つ折りにされた便箋をゆっくりと広げた。
ーーー
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能ギフトを試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの〝箱庭〟に来られたし』
ーーー
「なっ(・・・)!」
「うっ(・・・)!?」
「(・・・)っ」
「(・・・)む!?」
「(・・・)」
記述に関して考える間もなかった。
刹那の内、5人の視界は夢から醒めるがの如く開く。高さにしておよそ4000メートルもあろうかという場所に、三人は現れた……否、放り出された。
開けた視界一杯に映るのは未知の光景。自然から建造物に到る一つ一つが現実世界じゃ到底知りえなかった御伽噺のもの。
5人はすぐに理解した。あの封書は〝招待状〟であり、呼び出されたここは────完璧なまでの異世界なのだと。