「なっ(・・・)!」
「うっ(・・・)!?」
「(・・・)っ」
「(・・・)む!?」
「(・・・)」
記述に関して考える間もなかった。
刹那の内、5人の視界は夢から醒めるがの如く開く。高さにしておよそ4000メートルもあろうかという場所に、三人は現れた……否、放り出された。
開けた視界一杯に映るのは未知の光景。自然から建造物に到る一つ一つが現実世界じゃ到底知りえなかった御伽噺のもの。
5人はすぐに理解した。あの封書は〝招待状〟であり、呼び出されたここは────完璧なまでの異世界なのだと。
「わっ」
「きゃ!」
「………中々に面白い。」
「・・・」
アジ=ダカーハと他4人の視界は間を置くことなく開けた。
そして上空4000メートル程の位置から真っ逆さまに自由落下を開始した。
アジ=ダカーハと終わりの風以外の他三人はこの状況下で同様の感想を抱き、同様の言葉を口にした。
「ど………何処だここ!?」
眼前には見たことのない風景が広がっていた。
視線の先に広がる地平線は、世界の果てを彷彿させる断崖絶壁。
眼下に見えるのは、縮尺を見間違うほど巨大な天幕に覆われた未知の都市。
彼らの前に広がる世界は―――完全無欠に異世界だった。
―――――――――――――――
―――箱庭2105380外門居住区画、第360工房。
「………うまく呼び出せた?黒ウサギ」
「みたいですねえ、ジン坊っちゃん」
黒ウサギと呼ばれたウサ耳の少女は、肩を竦ませておどける。
その隣でジンと呼ばれた体のサイズに合わないダボダボなローブを着た幼い少年が溜め息を吐いた。
黒ウサギは扇情的なミニスカートとガーターソックスで包んだ美麗な脚を組み直し、人差し指を愛らしい唇に当てて付け加える。
「まあ、後は運任せノリ任せって奴でございますね。あまり悲観的になると良くないですよ?表面上は素敵な場所だと取り繕わないと。初対面で『実は私達のコミュニティ、全壊末期の崖っぷちなんです!』と伝えてしまうのは簡単ですが、それではメンバーに加わるのも警戒されてしまうと黒ウサギは思います」
握り拳を作ったりおどけたりと、コロコロ表情を変えながら力説されたジンも、それに同意するように頷いた。
「何から何まで任せて悪いけど………彼らの迎え、お願いできる?」
「任されました」
ピョン、と椅子から黒ウサギが跳ねる。
『工房』の扉に手をかけた黒ウサギに、ジンは不安そうな声をかけた。
「彼らの来訪は………僕らのコミュニティを救ってくれるだろうか」
「………さあ?けど〝主催者ホスト〟曰く、これだけは保証してくれました」
クルリとスカートを靡かせて振り返る。
おどけるように悪戯っぽく笑った黒ウサギは、こう告げた。
「彼ら三人は………人類最高クラスのギフト所持者だ、と」
だが、この時二人は知らなかった。人類以外でも無く人類の敵である人類最終試練の二つが紛れ込んでいることに。