こちらの世界に来て三日目の放課後
今、綾斗は幼馴染だという沙々宮と話をしている。綾斗と沙々宮はお互いにアスタリスクに来たのを知らなかったようで、昨日再開したばかりだという。その二人にユリスはわざとらしく咳払いをし、声をかけた。
「あー、こほん。そろそろ準備はいいか?」
「ああ、ユリス。じゃあ、よろしく頼むね」
「し、仕方がない。約束は約束だからな」
そんなことを言いつつも、視線の端では綾斗を捉えていた。
(こいつ、まさか綾斗に気があるのか?)
しかし、沙々宮はユリスの約束という言葉が気になったのか綾斗に聞いた?
「約束って?」
「今日はユリスに学園内を案内してもらうことになってるんだ」
「リースフェルトに?なぜ?」
「それは・・・・まあ、いろいろあったのだ。沙々宮には関係ない」
「・・・・・むー」
その言葉に不満そうに眉を寄せる沙々宮。
「さあ、行くぞ」
「ああ、じゃあ紗夜、また明日・・・・」
「・・・・待って。だったら、私が綾斗を案内する」
「なっ!」
「ええっ?」
突然の沙々宮の言葉に驚く綾斗とユリス、多少は、話を聞いていたレイも驚いたようだが。
「案内くらいは私にもできる。リースフェルトは仕方ないって言った。だったら私が代わっても問題ないはず」
綾斗に案内をしたいが素直になれないユリス。ユリスと綾斗を二人っきりにさせたくない紗夜。その二人の間にバチバチと盛大に火花が散った。そしてどうしてそういう考えになるのか、綾斗は、
「あっ!そういえば、レイも昨日来たばかりだったよね?せっかくだからいっしょにどう?」
(まったくこいつは、これじゃあ火に油を注ぐようなものじゃないか・・)
「なっ!私はお前を案内すると言っているのだぞ!」
「激しく同意」
さすがにそこまで言われるとは思っていなかったのか、激しく落ち込むレイ。
それを見て申し訳なさそうにする二人。
「でしたら、私が案内して差し上げますから、元気を出してくださいレイ」
その言葉に一瞬泣きそうになるレイ。
「うっ、クローディア。ありがッ!」
だがそれも、後ろからレイに抱きつくような格好で、そのたわわな胸を背中に思い切り押し当ててきたことにより吹っ飛んだ。
「ちょ!クローディア?その、あ、当たってるんだけど・・」
「ふふっ、なんのことでしょう?」
「とにかく、いっかい離れてってば!」
「それは残念です。それでは、先に要件をすませることにしましょう」
クローディアは名残惜しそうに離れると、綾斗に書類の束を差し出す。
どうやらそれは綾斗の純星煌式武装の適合率検査についての書類だったようだ。
用が済むと、クローディアはレイのほうを見ると、
「それでは、どうしますか?私が案内しましょうか?」
「えっ?ほんとにいいの?」
「ええ、レイでしたらかまいませんよ。」
そう言うクローディア、しかし綾斗が、
「レ、レイは、俺といっしょに案内してもらうんだよな、な!」
どうやら、この二人の間に一人でいるのは、避けたいらしい。
「あ、あぁ、俺は別にいいけど・・、そっちの二人はいいのか?」
「お前がそう言うなら、かまわんが・・」
「別に、構わない」
どうやら良いみたいだ。
「そうゆうわけだから、ごめんな、クローディア」
そう言うと、残念そうにするクローディア。
「そうですか、それは残念です。」
「で、でも、さっきは嬉しかったぞ!ありがとな。」
「そうですか、なにか困ったことがあったら言ってくださいね。」
一瞬、驚いたような顔をしたが、すぐにいつものような笑みを浮かべ、教室から出ていった。
「じゃあ行こうか、よろしくね二人とも」
こうして四人で学園内をめぐることになったのだが、
「ここがクラブ棟だ。一部のクラス以外あまり活発ではないが、報道系のクラブなどに文句を言いたい場合ここに足を運ぶこともあろう」
「・・・・ふむふむ」
「ここは委員会センター。福利厚生に関する要望・クレームはここを通す必要がある」
「・・・なるほど」
「食堂は・・・・・今更案内する必要はないか。一応学園内をにはカフェテリアを含めて七つのの食事処があるが、ここの地下は比較的空いていることが多いので活用するといい」
「・・・・それは初耳」
「沙々宮、私は別におまえを案内しているわけではないのだがな?」
中庭のベンチで一休みしていると、ユリスは紗夜に向かっていった。
「私、方向音痴だから」
それでよく案内するなど言えたものだ、などと考えていると綾斗が飲み物を買ってくると言い出した。
「レイは?」
「俺はいいや」
綾斗は噴水を回り込むように高等部校舎のほうへ走っていった。
そして紗夜がユリスに借りができた理由にを聞いていたが、レイはこちらを狙っているものがいることを見聞色で感じ取っていた。
「おい、沙々宮、リースフェルト、それぞれ横にとべ!」
二人はレイが何を言っているかわからないという感じだったが、二人とも横によけると次の瞬間、二人が座っていたベンチの背もたれに、矢が突き刺さった。
「なっ!」
二人とも驚いているようだったが、今はそれどころではない。すぐにその犯人を見つけて武器をを構えようとする二人、だがまた驚かされることになった。隣にいたはずのレイがすでに黒づくめの格好をした襲撃者と距離を詰めていたのだ。星脈世代がいくら身体能力が高くても、噴水とユリスと達がいるところではかなり距離がある。それを一瞬で移動するのは不可能だ。
そしてレイは、すでに出していた刀で切りかかろうとしたが、襲撃者の仲間と思われる者に斧形の煌式武装で防がれた。追撃をしようとするレイ、だが真横にとんで距離をとった。そしてレイがさっきまでいた場所を光弾が通った、着弾とともに炸裂したそれは噴水を木っ端微塵に吹き飛ばした。
襲撃者がすでに逃げたのを確認すると、レイは辛そうにして膝をついた。
「お、おい大丈夫か?」
「あ、ああ問題ない、悪いけどちょっと疲れたから俺、先に帰るな。ああ、あとこれ、きとけ。」
そう言って、レイは羽織るものを二つ取り出すと二人に渡してその場を離れた。
自室に戻るとベッドに倒れこんだ。
「やっぱり自身の空間移動は負担が大きいな。」
そう言って眠った。
そしれどれくらいっただろうかもう空が暗くなったころ、レイは目を覚ました。
(帰ってきたころは、まだ夕方だったから三、四時間か・・・・)
時計を見てみるともう食堂は閉まっている時間だった。
「夜ご飯どうしようかな・・・」
と考えていると、ドアがノックされ、ドアを開けるとそこに立っていたのはクローディアだった。
「クローディア?どうしたの?こんな時間に。」
「ええ、ちょっと心配になったものですから。食堂にも顔を出してないと聞いたので・・・あのサンドイッチを作ってきたので、食べませんか?」
「ああ、ありがとう。ご飯をどうしようかと思ってたんだよ。」
レイはクローディアを部屋にいれた。そしてレイはベッドの上に座りクローディアがその横に座る。
「はい、どうぞ。サンドイッチです。」
「いただきます、・・・おいしいね。ちょっと調子が悪かったからちょうどいいや」
「そうですか、それはよかったです。」
そう言い、嬉しそうにに笑うクローディア。
「ユリスから聞きました。あなたが一瞬で犯人の元まで移動したと、それには二人ともかなり驚いていた様子でしたよ。・・・それと膝をついて苦しそうにしていたと。」
「ああ、ちょっと今日は調子が悪くてな。」
「レイの能力は自分自身の体をとばすときは体に負担がかかるのではないですか?」
「・・・・・・」
「だから、あの時もあんなにケガしてたんではないですか?答えてください、レイ。」
「ああ、そのとおりだよ。俺の能力は自分自身が移動するときは、自分と移動する場所との距離を捻じ曲げてそこを自分が通るんだ。だけどその、距離が長くなればなるほど体に負担がかかるんだ。あの距離でこれだから、こっちの世界に来るときもあんなになってしまったんだ」
そう言うと、クローディアがいきなり抱きついてきた。その勢いでベッドに倒れてしっまた。
「お、おい、クローディアいきなり抱きつくなってこの前から言っ「心配、したんですよ。今回はよかったかもしれませんが、次はどうなるか分かりません。だから、もうあまり使わないでくださいね。」
クローディアは胸にうずめていた顔をあげた。目が潤んでいるところを見るとよほど心配してくれたのだろう。
「ああ、悪かったよ、できる限りあれは使わない。でも誰かが危険な時は使うからな。」
「ふふっ、はい。」
そして、また胸に顔をうずめた。
「あのー、クローディア?そろそろ離れてもらってもいいかな?」
「私が抱きつくのは嫌ですか?」
「いや、そんなことはないけど。そろそろ帰らないとやばいんじゃない?もう遅いし」
「じゃあ、泊まっていきます。」
「はぁ!?」
「嫌ですか?」
そう言い、目を潤ませるクローディア。
「うっ、い、嫌じゃないけど。で、でも俺も男だぞ、そ、その襲うかもしれないぞ。」
「いいですよ。レイなら。それに、レイはさっきの影響で体の調子が良くないのでしょう?だったら、看病しないといけませんしね。」
「はぁ、わかったよ。じゃあ俺床で寝るから、ベッド使って。」
「いっしょに寝ればいいじゃないですか、さあ早く。」
レイをべッドに押し込み自分も入る。そこまで広いベッドではないので、どうしても密着してしまう。いやこれはたぶんわざとだろう。
「おやすみ、レイ」
「あ、ああ、おやすみクローディア。」
そして、すぐに、寝息をたてはじめるクローディア。
(・・・寝れねぇよ、こんな状況じゃ。)
クローディアの顔を見ると、その表情は初めて会ったときと同じく、苦しそうにしている。
なにか怖い夢でも見ているのだろうかと思いながらも目を閉じる。
はい、3話終わりましたー
レイが血だらけの状態できたのは、白鬚やドフラミンゴとの戦闘の影響もありますが、
悪魔の実の能力の副作用的なものが原因でした。
それではまた次回。