週最後の日の日曜日。レイは正門前から少し離れた場所に立っていた。なぜこんな場所に立っているのかというと・・・
昨夜、綾斗に「ユリスに街のほうを案内してもらうけど、レイも一緒に・・・」などと言われたのだ。これはレイにとってはとてもありがたい話だったのだが、綾斗に付いていったらユリスになにをされるか分からなかったので、集合場所だけ聞いて断ったのだ。
しかし、レイもこっちに来たばかりでアスタリスクについては知りたかった。なのでこうして隠れて付いていくことにしたのだ。
そうしているうちにユリスが顔を赤くしたり、綾斗の頭をなでたりしたものの、歩きだした。
しばらく歩くと、ユリスと綾斗は巨大なドーム状の建物の前に止まった。
ここがアスタリスク最大のメインステージらしい。どうやら決闘をするステージは数多くあるらしいが、普通に街中で行われているらしい。危なすぎるだろ、などと思ったがそれはアスタリスクに来る人は覚悟の上だそうだ。
(しかし、そろそろ腹へったな・・・)
そう思っていると、どうやら綾斗達もお昼にするらしい。二人はとてもにぎわっている通りに出る。そしてしばらく歩くとユリスだけある店の前で立ち止まり看板を見ていた。
どうやらあそこにするようだ。一足先にハンバーガーショップに入ると適当にハンバーガーと飲み物を買い、店を出た。そしてその店からあまり離れていないベンチに座ると、二人の様子を見ながらハンバーガーを食べた。
(それにしてもあいつら仲いいな、あれでも付き合ってないっていうんだろうな。これ知らないやつ見たらデートだよな?)
しばらくすると、ユリスの後ろからレスターが近づいていく。
もしやと思い一応警戒はするもどうやら違うらしい。レスターは綾斗を突き飛ばし、テーブルを叩きわったりしたが、取り巻きによって落ち着きを取り戻し去っていった。
「決闘の隙をうかがうような卑怯なマネ、ね・・・」
綾斗達はそれからまたどこか行くようだったが、レイは帰った。
翌日の朝、レイが席に座っていると綾斗達が何やら話ながら教室に入ってくる。
「あ、ユリス。おはよう」
綾斗が挨拶をするが、何やら手紙を読んでいるユリスは答えない。
そんなユリスに綾斗がもう一度呼んで、ようやく気づいたようだ。焦りながら手紙をしまうユリスに綾斗は不思議そうにしていたが、殺気を振りまきながら入ってきた匡子によりそれ以上の話はできなかったようだ。
放課後、やっと話ができると思った綾斗が声をかけるも、すぐに去っていってしまう。
それを見てもしやと思い、ユリスの気配をたよりについていった。
ユリスの気配を探ってみるとそこは、再開発エリアの廃ビルだった。
ユリスはやはりサイラス・ノーマンと話していた。様子を見るため物陰に隠れる。
レスターが出てきて斧型の煌式武装でサイラスのお仲間を吹っ飛ばす。しかしそれはどうやら戦闘用の擬形体だったようで防がれるが、レスターの流星闘技で三体のうち二体は破壊れてしまったようだ。残り一体は対レスター用に作られた防御型の擬形体のようで、ヒビが入った程度だった。再びレスターが煌式武装を振り下ろすが、その攻撃が届く前に柱の陰から現れた新たな人形二体に光弾の雨をくらってしまった。レスターの叫び声を聞きユリスも助けに行こうとするが、こちらもユリスのために耐熱限界が上げられておりなかなか突破できない。そおして、擬似体の数が次第に増えていき大量の擬似形体に囲まれていく。
レスターに止めを刺そおと擬似体たちがレスターに向かって襲いかかる。しかしそれらは寸前で、切られた。その切り口は燃えていた。
「はあ、間に合ったな。おい大丈夫・・じゃないな。お前は安全な場所で休んでろ。」
「あ、ああ、助かった。悪いが頼んだ。」
「なんだ、案外素直なんだな。」
「悔しいが、もう限界だ。だから俺の代わりにあいつをぶっ飛ばしてくれ。」
「ああ、任せておけ」
人形をつぎつぎに切り伏せていくレイ。サイラスは驚いた表情でレイを見ている。
レスターの周りにいた人形をほとんど切り終えてユリスのほうを見ると、二体の人形に壁に押さえつけられサイラスに傷を思い切り蹴られていた。助けに行こうとするレイだったが、何かに気づき再び人形たちのほうを向いた。
そして一体の人形が巨大な戦斧を振りかざしたとき、
「ごめん、遅くなった」
「遅いじゃないか綾斗、ほらさっさとお前のお姫様を助けてやれよ」
「なっ!お、おいレイ!」
どうやらあっちは感動的な話をしているようだったが、こちらは待ってくれない。
綾斗の周りを人形たちが囲む、
「おいおい、今綾斗とユリスがいいところなんだちょっと待ってやれよ」
レイが人形たちと綾斗の間に立つ。
「綾斗、お前はサイラスをやれ。こいつらは俺に任せろ」
「じゃあお言葉に甘えさせてもらうよ。でも囲まれてるけどどうするの?」
「それは、こうするんだよ!」
レイの持つ刀が青黒く染まっていく、そして綾斗の頭上に飛び上がった。
「焔火一刀流,炎舞」
一瞬刀が紅く光ったと思うと、次々に炎を纏った斬撃が周囲の敵を呑み込んでいく。
炎が治まると、そこには擬似体の一部と思われる物が転がっているだけだった。
サイラスはこんなに簡単に自分の擬似体がやられると思っていなかったようで、驚いた表情で見ていたが、次第にそれは恐怖に塗り替えられた。
だがそれは綾斗達も同じようだった。いきなり血だらけで現れ、今まで決闘も何もやってもなかった者がこのような圧倒的な力を持っているなんて・・・
「レイ今のは?僕には斬撃が飛んだように見えたけど?」
「まあ、そんなことより今はこっちに集中するべきじゃないか?ほら、サイラスなんてもう逃げだしてるぞ」
「レイ・クローリーあなたがここまで強いとは想定外でした、ここはいったん退かせてもらいます」
そう言い綾斗達とは逆方向に駆け出すサイラス。おそらく時間稼ぎにしかならないだろうが、人形達が行く手を阻む。いや時間稼ぎにもならなかったようだ。たった今綾斗に切られた。
「レイばっかに任せてたら、せっかく助けに来たのに来た意味なくなっちゃうじゃないか」
本当にわずかな間だった。いくらレイの攻撃で減ったといっても五十体はいたはずだ。
対レスター用に作られた重量型も地面に転がっており、対ユリス用に耐熱処理を施された黒い人形達も焦げてばらばらになっている。
「・・・・馬鹿な・・・・・こんな馬鹿なことが・・ありえない・・・ありえるはずがない・・・」
「ゲームはおしまいだよ、サイラス」
「ま、まだだ!まだぼくには奥の手が・・・」
サイラスが腰砕けになりながらも大きく腕を振った。
するとその背後にあった瓦礫の山が吹き飛び、中から巨大な人影が姿を現す。
「は、ははは!さあ、僕のクイーン!やってしまえ!」
サイラスの命令により、巨体に似合わぬ素早い動きで綾斗に襲い掛かる。しかし綾斗は小さくため息をついただけで《黒炉の魔剣》を構えなおした。そして巨大な拳が迫る刹那――その剣が閃く。
「五臓を裂きて四肢を断つ――天霧辰明流中伝,九牙太刀!」
黒炉の魔剣が煌いたと思うと、巨大な人形は両手足を切断され地響きを上げて倒れていた。
近くで見ていたユリスでさえどのような攻撃で何回も剣を振るったのか分からなかった。
だがレイは感心したように見ているところから、綾斗の攻撃が見えていたようだ。
「――――」
サイラスにいたっては言葉も出ないらしい。綾斗が近づいていくと、顔を引きつらせながら逃げ出した。
「ひ、ひぃぃ!」
そんなサイラスに綾斗は呆れたように眉をひそめていたが、その顔が険しくなっていく。
人形の残骸にすがりついたサイラスの体がふわりと浮いたのだ。
このままだと確実に逃げられてしまうだろう。
「ふん、だったら私の出番だな」
「「えっ・・・?」」
二人とも突然のユリスの発言に驚いた。
「行ったはずだぞ?足手まといになる必要はないとな!」
ユリスは綾斗の背中に万応素を集中させ、焔の翼を作り出した。
二人は爆発的な速度で吹き抜けを飛び出していった。
「さて、俺は落ちてったサイラスの回収でもするか」
クローディアが来ていることを知らないレイはサイラスをのもとへ向かった。
サイラス・ノーマンは足を引きずるようにしながら、再開発エリアの路地裏を必死に逃げていた。一刻も早くアルルカントに保護してもらうため、連絡用の携帯端末を繋げようとするが応答はない。
「僕が捕まって困るのはあっちも同じだろうに・・・・!」
「それは少々自分を買いかぶり過ぎではありませんか?ノーマンくん」
「ひっ!?」
闇の中からサイラス行く手を阻むように現れたのは、金色の髪を持つ少女 クローディアだった。
その両手には一本ずつ、不気味な形状剣が握られている。純星煌式武装《パン=ドラ》。その能力は未来予知、実際に見るのは初めてだったがサイラスもその能力は知っていた。
そしてサイラスはクローディアに取引を持ち掛ける。しかしクローディアにはサイラスのだした条件が気に入らなかったのか、もとからその気がなかったのか取引を断った。
サイラスは絶叫と共に最後の奥の手を解放した・・・・・
「えーと、たしかこの辺に落ちてったよな?もしかしてもう逃げられたか?」
レイは、綾斗の攻撃で落ちていったサイラス・ノーマンを探していた。そんな中ふいに絶叫が聞こえてきた。
「今のは!?仕方ない行ってみるか」
叫び声が聞こえたところに行ってみると、サイラスが血を吹き出しながら膝から倒れこむところだった。サイラスの背中側にレイはいるので、誰がそれをやったのかは分からない。
警戒しつつも話している者たちに近づいていく。
そしてそこにいたのは、凍てつくような冷徹な目でサイラスを見下ろすクローディアだった。
「ッ!」
あまりのことに慌てて隠れてしまうレイ。だが気配を隠し切れなかったようで気づかれてしまった。
「ッ!誰ですか!?そこにいるのは分かっています、出てきてください」
レイはゆっくりと柱の陰から出る。
「ッ!レイ!?なぜあなたがここに?」
「すまん、クローディア、矢吹。見るつもりはなかったんだけど、サイラスを探していたら叫び声が聞こえて、それで・・・・」
「そうですか・・・」
「その、この現場を見てしまったら俺も殺されるのか?」
そうしていつでも戦えるように刀を出すレイ。
「そんなことはありません!」
「本当か?ならいいが、まあ、黙ってはおくよ」
しばしの沈黙の後、
「仕事がんばってな、学校ではこのことは話さないから安心しろ・・・じゃあな」
そう言い去っていくレイ。
レイが去っていってから、矢吹がクローディアに言った。
「・・ばれちまったな。どうする?会長。」
「このことは私に任せてください。サイラスの処分についてはあなたに任せます。」
今にも消え入りそうな声で言うクローディア。
そんなクローディアになんといったらいいのか分からず、ただ黙っている矢吹。
自室に戻ったレイは先ほどのクローディアのことを考えていた。
(あんなに冷たい目をするクローディア、初めて見たな。やっぱりクローディア裏につながってるのか?やっぱり少し警戒しておいた方がいいのかな)
今まで自分見てきたクローディアは全て嘘だったのではないかと考えてしまう。あの自分に向けられる笑顔も嘘で塗り固められているのではないか、と。
(じゃあ、あの時言ってくれたことも・・・・、クローディアへの気持ちは忘れたほうが良いかもな・・・)
ベッドに入ったレイは一晩中そのことを考えていた。
まあこんな感じでかいてみました。
ちょっと書いてておかしいかなって思ったんですけど、みなさんの感想待ってます。
オリ主の能力については
超人系であらゆるものを捻じ曲げることができるのうりょくです。
名前が思いつかないのでいい感じのあったら教えてください。
では、感想待ってます!!