BIOHAZARD CODE:M.A.G.I.C.A. 作:B.O.A.
アンブレラ幹部セルゲイがアルバートの裏切りに気付き、洋館の全てのデータをR.Q.「レッド・クイーン」に避難させる。
~バイオハザード・アンブレラ・クロニクルズ~ファイル・転生
・見滝原市、ビル建築現場。
さやかと杏子が移動している頃、
「らあああああああああああ!!!」
「ーーーーーーーーーーーー!!!」
ビルの中では、“怪物”共が激しい戦闘を繰り広げていた。
「ーーーーーーーーーーー!!!!」
タイラントが引き抜いた鉄骨を竜二に投げる。
「もうソイツは見飽きたぞ!!!」
左手の触手でぶら下がった竜二は、投げられた鉄骨に右手の触手を巻き付け、投石機の様に回転して投げ返す。
「ーーーーーーーー!!!」
対してタイラントの方は鉄骨を両手で弾き飛ばし、鉄骨は下に落ちて轟音を立てる。
(クソッ……!さっきからこればかりだ…………!)
このタイラント、鉄骨を武器にしているらしく接近するとぶん回してくる。
で、遠くに離れるとぶん投げてくる。
幾ら竜二でも、タイラントに接近戦で勝つ自信は無い。
触手で拘束しても、銃撃による火力が無い上に、“スーパー化”される可能性もある。
高所から叩き落すと言う手もあるが、タイラントに致命傷を負わせるには自身の“リミッター"を外す必要がある。
(手榴弾自爆はご遠慮願いたいし、やはり援軍を待つのが最善だな)
と、丁度その時に、
『此方レズモンド! 今到着した!!』
「兵装は!!?」
『アサルトライフルにグレネードランチャー、C4爆弾をタンマリだ!! ロケットランチャーが無いのは許してくれ!!!』
「オーケー。そんだけありゃ十分だ!!!」
投げられる鉄骨を回避しながら、
「今からビルの外にコイツを叩き出す! 工事現場の敷地にありったけの火力を集中させろ!! “スーパー化"される前に蹴り付けるぞ!!!」
『了解だ!! 行くぞ野郎共!!!』
通信が切れると、竜二は下をチラリと見る。
下では二台の
『竜二! C4を仕掛けるのに時間が掛かる!! それまで引き付けられるか!!?』
「任しときな!!!」
竜二はそう返して、目の前のタイラントに向き合う。
「ーーーーーーーーーーー!!!」
「もう少し遊んでやるよ!!! 来な!!!!」
その声に合わせるように、鉄骨を持ったタイラントが突っ込んでくる。
「ハズレ!!」
竜二は真上の鉄骨に触手を巻き付け、大車輪をする様に突進を躱す。
「こっちは
その勢いのまま、後ろからキックをかます。
「ーーーーーーーーーーーー!!?」
吹っ飛ぶタイラントに対し、竜二は触手を曲げて鉄骨の側面に足を付けると、
「
タイラントに向かって、全力で突っ込む。
「ーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!???」
タイラントが鉄筋にぶつかったのと、竜二がタイラントに追い付いたのは同時だった。
凄まじい衝撃で鉄筋が凹み、放した鉄骨が吹っ飛ぶ。
悲鳴を上げたタイラントの中で異音が響き、内臓が潰れる。
それは同時に、竜二にも言える。
「がああああああああああ!!」
ぶつかった事で、肋骨や内臓が駄目になった竜二は、だが触手を動かしてタイラントに突き立てる。
「ーーーーーーーーー!!!」
絶叫を上げてタイラントは腕を振り回す。
成す術なくぶっ飛ばされた竜二は、向かいの鉄筋に突っ込む。
「…………完了っと」
だが、次の瞬間には復帰し、横の鉄骨の上に乗る。
(これで本当にぶっ潰して良いな。下はまだか?)
『準備完了だ!!』
(全く、タイミングの良い!!)
竜二は通信機を取ると、
「了解! 合わせろよ!!」
そう叫んで、タイラントに突っ込んで行く。
「ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
タイラントは、避ける事なく受け止めるつもりのようだ。
(好都合!!)
竜二はそのまま、タイラントに突進して抱き付く。
「ーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
タイラントは抱き付く竜二に鋭く拳を叩きつける。
人間が喰らえば、確実に卒倒するようなその一撃を、
「ヌルいな」
竜二は顔で平然と受け止めていた。
「ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
咆哮を上げて殴打を繰り返すタイラントを余所に、竜二は触手を動かしてビルの外に跳ぶ。
急降下して行く先には、円形に敷き詰められたC4爆弾があった。
ズドォオン!!!
その中央に、竜二とタイラントは落ちる。
砂煙が上がり、彼等の様子が確認出来なくなる。
「ターゲットと竜二、落下!!」
「クソッ、煙で何も見えんぞ。どうなっている!?」
そこから少し離れた
「駄目です! 状況が分かりません!!」
「マズいぞ。このままでは、タイミングが…………」
ドゴン!!!!
轟音と共に、レズモンドの乗るガンビットのボンネットに着地する竜二。
それを見たレズモンドと、
「今だ!!!」
竜二の声が重なる。
そして…………。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・見滝原市、跨道橋。
四車線ある高速道路上にある小さな橋、そこは眼下の激しい往来と真逆に一種の死角となっている。
そこに距離を置いて杏子とさやかは対立する。
「ここなら遠慮はいらないよねェ。派手にやるならもってこいだ」
「そうだね。一々加減なんて考えらんないし」
チュロスを食い切った杏子は、自身のソウルジェムを掲げて魔法少女姿に変身する。
それを見て、さやかも自身のソウルジェムを手に取る。
「待って、さやかちゃん!」
「美樹さん!」
(!)
虚を突かれたさやかは、背後を振り返る。
そこには、マミとまどかがキュウべえを連れてやって来ていた。
「まどか、マミさん…………」
「駄目だよ! さやかちゃん! こんなの絶対おかしいよ!」
「私に任せてって言ったじゃない! お願い美樹さん、どうか引いて!」
必死に制止しようとする二人に対して、さやかは、
「ゴメン、マミさん。約束破っちゃって。まどかもゴメン。心配ばっか掛けて。でも、今のあたしの邪魔だけはしないで」
「そ、そんなのって無いよ!」
「これは、あたし自身の問題なんだ。ここで引いたら、あたしはあたしで居られなくなる。だからお願い、二人共、あたしの我儘を聞いて」
「美樹さん…………」
落ち着いた様子のさやかに、二人は言葉を詰まらせる。
「でも、分かっているの? 佐倉さんは、実力も経験も上なのよ。勝ち目なんてあるの?」
「…………」
黙り込むさやかを見て、マミは自身のソウルジェムを掲げて、
「…………マミさん?」
「美樹さんがそこまで言うなら、私は止めるつもりはないわ。ただ、私は美樹さんに死んで欲しくないの。これは、その為の準備よ」
魔法少女になったマミがそう言う。
「佐倉さんも良いわよね?」
「…………勝手にしろ」
いい加減待ちくたびれた様な感じで言う杏子。
と、そこに、
「…………どういう事かしら。美樹さやか」
杏子の後ろから、不意に姿を見せるほむら。
それを見て、さやかは、
「…………そうだね。あんたにも謝らなきゃ」
「謝罪されるくらいなら、直ぐにでもこの無駄な諍いを止めて欲しい物ね」
「…………ゴメン。あたしにとっては無駄じゃないんだ」
ほむらをしっかり見据えたさやかは、
「あんたが何の為に動いてるかなんて、あたしにはハッキリ分からないし、本当はそいつと同じ自分勝手な奴じゃないかって思ってるけど、あんたがあんたの目的の為に動くように、あたしはあたしに必要な事をする。邪魔するなら容赦しないよ」
「…………」
もはや止められないと悟ったほむらは、そのまま黙り込む。
「…………お仲間の許可は頂いたかい?」
「うん。待たせてゴメンね」
ようやく、二人はもう一度視線を交わす。
さやかは、自身の手の中にあるソウルジェムを掲げようとして、
ドォォォォォォォオオオオオオオオオオン・・・・・・!!!!!
遠くから響いた轟音と共に、周囲の街頭がチカチカと点滅する。
「きゃっ」
「な、何?」
「…………」
まどかは悲鳴を上げ、マミは不安そうに周囲を見渡し、他の三人は無言で周りに注意を向ける。
そして、気付いてしまう。
さやかの顔の直ぐそばに、ボンヤリと光の玉が浮かんでいる事に。
「ギイイイイイイイイイイイ!!!!」
「うわあああああああああっ!!!!」
「!!?」
透明な“何か”がさやかに飛び付き、そのまま押し倒す。
その拍子にソウルジェムが宙を飛び、下に落ちて行って、
「ッ!! マズい!!」
偶々下を走ってたトラックの荷台に乗って、一瞬で彼方に運び去られる。
「きゃあああああああああああああ!!!」
「ッ!」
「美樹さん!!」
悲鳴を上げるまどかの前で、杏子が“何か”を蹴り飛ばし、マミが捕縛するというファインプレーを見せる。
それを見届けたほむらは、トラックを追うべく姿を消す。
「ギイイッ、ギイイイイイイイイイイ!!!」
「な、何なんだよコイツ!!?」
「美樹さん、大丈夫!!?」
捕縛されて藻掻く“何か”に気圧される杏子を余所に、マミは倒れたさやかを抱き上げる。
「えっ…………」
蒼白になった顔で、マミはさやかを見る。
「ま、マミさん?」
「どうしたんだ?」
「…………嘘でしょ…………」
尋ねた二人を見ずに、マミはポツリと、
「…………死んでる…………?」
「…………な…………?」
「嘘、嘘だよね…………?」
杏子は驚愕に目を剥き、まどかは呆然とさやかに駆け寄る。
「さやかちゃん、ねぇ、さやかちゃん…………起きて、ねぇ? ……………………ねぇ、ちょっと…………どうしたの? ねぇ!? 嫌だよ、こんなの…………さやかちゃぁん!!」
「…………そんな…………嫌よ…………」
「…………ッチッキショウ、テメェェェ!!!」
マミとまどかは呆然とし、杏子は怒り露わに槍を“何か”に突き出す。
「ギイイイイイイイイィィィィィ…………」
槍は透明な空間に突き刺さり、“何か”は緑色の体液を撒き散らす。
そして、それが止まった時に、
「なあっ…………!?」
突然実体化し、灰色の虫のような“怪物”が姿を見せる。
その異様な姿に唖然とする杏子。
と、ここで、
「やれやれ、彼女は相当不幸者のようだね」
今まで何も喋ってなかったキュウべえが呆れたように話し出す。
「テメェ、何が言いたいんだよ…………!」
「よりにもよって、ソウルジェムを手に持ってた瞬間に襲われるなんて、そうとしか言えないよ」
「何?」
キュウべえの言葉に、三人が顔を上げる。
「彼女は文字通り、自分の命を手に持ってた時に、襲われたんだよ。滅多にない事故だからね…………」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・見滝原市、ビル建築現場。
竜二達の前で、巨大な火柱が立っている。
有りっ丈のC4爆弾とグレネードランチャー、アサルトライフルの掃射によって、タイラントの落ちた場所は火の海になっていた。
「やったのか…………?」
横でレズモンドが呆然と言う。
竜二も眼前を注視しているが、動く物はない。
「…………ああ、恐ら」
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「!!?」
二人が前を向くと、炎の中からゆっくりとタイラントが起き上がって来ていた。
左手は根元から裂け、まるでノコギリの様にその断面から爪が伸びている。
右手はまるでトゲ鉄球のようであり、恐ろしく太い。
2m程の身長も倍近くまで大きくなり、全身の皮膚は黒い岩石の様な甲殻状に変化している。
「トドメを刺しきれなかったか…………!」
「…………」
悔しそうに呟くレズモンドの横で竜二が無言で通信機を取る。
「…………ジョージ」
『…………どうした』
「“半分”解除してくれ」
『…………ああ、クソッタレ』
竜二は自分の中の何かが外れる感覚を覚える。
それを確かめた後、レズモンドを見て、
「アレは俺が潰す」
「…………」
「手を出させるな。自分から危険に突っ込む奴まで面倒見切れん」
「…………済まん」
そう言うと、竜二はタイラントにハンドガンを撃つ。
「ーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
甲殻に弾かれる銃弾に気付いたタイラントが咆哮を上げる。
「いい子だ。だから、ついて来い!!」
「ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
大きく跳躍してビルの中へ入る竜二を追って、タイラントも一気に跳び上がる。
触手を使って高速で頂上まで上がった竜二は、後ろを振り返って、
「!?」
鉄筋を垂直に駆け上がって、目前まで迫るタイラントに唖然とする。
「ーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「ッ!!」
振り降ろされる右手の鉄球を、触手を鉄筋に突き刺し身体を大きくずらして躱す竜二。
直後、
バキィ!!!!
鉄筋が右手の一撃で折れる。
(ッ!? このバカ力が!!)
支えを失って落下した竜二は、下の段の鉄骨に触手を伸ばす。
「ーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
タイラントは鉄筋に垂直に立ったまま、“その場で”方向転換して垂直に駆け下りてくる。
よく見ると、足の指が肥大化しており、それで鉄筋を挟み込んでいた。
(いい!!?)
嫌な予感がして、竜二は慌てて触手で鉄骨を叩いて反対側へ跳ぶ。
タイラントは左手のノコギリバサミのような手で鉄骨を挟み、
バッチン、と鉄骨を寸断する。
(…………)
もはや、言葉が思い付かない竜二。
タイラントはこちらに向かって、鉄骨に沿って向かってくる。
(飛んで来ない辺りはまだマシか)
それでも、相当な速度である。
だが、竜二は打開策を見付けていた。
(斜めに動けば、引き離せる!!)
触手を使い、螺旋状に上に向かって移動する竜二。
それを追って同じ階をグルグル回り出すタイラント。
(良し!)
ある鉄筋の頂上で止まる竜二。
そこは、二つの鉄筋の間に一本の鉄骨が渡してあった、その一角だった。
そこに向かって、タイラントは鉄筋を駆け上がる。
「…………」
竜二が右手を横に真っ直ぐ伸ばす。
その黒いコートの裾から、パチンパチン、と何かの留め具が外れる音がする。
その裾を触手が押し退けて反り返らせ、竜二の肘から先が露出する。
「ーーーーーーーーーーーー!!!!!」
タイラントが咆哮と共に目前に迫る。
「…………こいつは、不用意に乱発出来んしな」
右手から凄まじい異音が聞こえて、手首から花弁状に展開する。
肘から先の皮膚が裂け、筋組織を露出しながら膨張して行く。
「ーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
眼前に迫ったタイラントが、右手を振り下ろす。
直後に、竜二は反対側の鉄筋に刺してあった左手の触手を使い、鉄骨上を滑る様に移動する。
右手を空振り、鉄筋の頂上に立ったタイラントに右手を向けて、
「一撃で、決める」
高速道路を走るトラックの後ろを、ほむらは連続で時間停止を使って追う。
やがて、トラックの荷台によじ登って、そこに乗っている青いソウルジェムを見付ける。
それを手にとって、引き返そうとした時だった。
ドガンッ!!!!!
トラックの前方に何かが落ちて、運転手は急ブレーキを掛ける。
「ッ!?」
トラックの荷台に立っていたほむらは、衝撃で投げ出される。
「あぐゥ!!!!」
背中を強かに打ち付けるほむら。
「くっ…………?」
起き上がって見ると、トラックの前に斜めに小さな穴が空いていた。
ドサッ!!
「!」
何かが落ちた音を聞いて、ほむらは辺りを見渡す。
高速道路の側の建造中のビルの上に、人影があるのに気付く。
(!!!?)
その直後に、背筋が急激に寒くなるのをほむらは感じる。
本能が、それを見てはいけないと言っているような錯覚を覚える。
余りの衝撃で、辺りに臭う火薬の匂いにすら気付けなかった。
「…………」
暫く留まっていた人影だが、突然そこから飛び降りる。
「!?」
身を固くするほむらだが、先程の様な音はならない。
(…………何だったの…………?)
目の前で起きた事の衝撃に、ほむらはただ呆然としか出来なかった。
また、ある所では、
「魔法少女との契約を取り結ぶ僕の役目はね、君達の魂を抜き取って、ソウルジェムに変える事なんだよ」
三人の少女達が、隠されていた事実に呆然としていた。
そして、
「隊長、これ…………」
「ああ、…………間違い無い」
事態は、大きく動き出そうとしていた。
遅くなりました。B.O.A.です。
今回を持って、本編の更新速度が遅くなります。
それでも続けていくつもりですので、応援の程宜しくお願いします。
それでは、ここまでにして。
次回、また会いましょう。
感想等、お待ちしてます(^-^)/
PS:タイラント戦BGM2 ~バイオハザード5より「Majini Ⅱ」
・スーパータイラント戦BGM ~バイオハザードディジェネレーションより「Degeneration」