BIOHAZARD CODE:M.A.G.I.C.A.   作:B.O.A.

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…………っと、隊長。準備出来ましたよ。

そうか、なら早く始めて仕舞おう。

了解。カウント行きます。3、2、1、



ここまでの、“BIOHAZARD”。



全ての始まりは、あの洋館からだった。

隊長達の事件から始まったバイオ兵器との戦い、その火種は今日本に燻っている。

合衆国のエージェント、竜二の要請を得て俺、“クリス・レッドフィールド”率いるBSAAの一隊が派遣される。

新人である俺、“ピアーズ・ニヴァンス”もそれに同行した。

俺達をそこで待っていたのは、“魔法少女”と地下に潜む“B.O.W.”だった。

その一人、“巴マミ”と知り合う隊長。彼女は戦いの辛さに苦しんでいた。

力になってやりたいとは思ったが、俺に出来るのは勇気付ける事だけだった。

彼女の為にも、俺達はこの街を守らなくてはならない。

彼女と別れ、捜査と戦闘を繰り広げる俺達に、今新たな転機が訪れようとしていた…………。



Chapter 4 -Tragoediam Duo-
chapter 4-1


・???

 

 

 

「…………ふうん、面白いわね」

 

何処かの空き部屋の一室で、女が手に持ったタブレットを操作して呟く。

そこには、昨日の“ノビスタドール”に取り付けた盗撮カメラの映像が写し出されていた。

 

「興味を持ってくれたかい?」

「ええ、“異星人さん”」

 

女が窓際に視線を向ける。

そこにはキュウべえの姿があった。

 

「じゃあ、“取引”してくれるかい?」

「“魂の物質化”と“魔力の錬成”の方法、本当にあるのでしょうね?」

「僕達は飽くまで君達より文明が進んでいるだけで、魔法少女の契約には特別な能力はいらない。つまり“技術”だ。君達にも再現できる可能性はある」

「何が欲しいの?」

「君達の“お零れ”を貰いたい」

「…………」

 

女が眉を潜める。

 

「別に君達の“技術”を盗むつもりはないよ。特別な物を用意してもらうつもりもない。君達の介入で、当初の予定と大きくズレが生じているからね。修正する材料が欲しいだけだ」

「…………分かったわ」

「あと、彼女達への後始末は任せて欲しい。君達よりも、僕の方が彼女達絡みでは上手だからね」

「それも分かったわ。貴方に任せる」

 

女がそう言う。

 

「助かるよ」

「“彼女達”の介入は、私達にも不都合だからね。直ぐに用意するわ」

「分かった。それじゃあ」

 

そう言って、キュウべえは何処かに姿を消す。

女はその後タブレットを弄って、

 

『…………どうだ?』

「“計画”に介入されるのは非常に厄介だけど、“彼女”は使えるわ」

『じゃあ、彼の取引は……』

「一度は乗っておきましょう。ただ、様子を見てその後の対応は考えるわ」

『分かった。次のステップに移ってくれ。頼りにしているよ』

「任せて」

 

タブレットをしまうと、女は次の行動に出る。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・見滝原市、工事現場。

 

 

 

工事現場内にある小さなプレハブ。そこが、クリス一行の即席ブリーフィングルームとなっていた。

ただ、今は後始末の為に殆どの隊員が出払っている。

その為、今ここにいるのはクリス、ピアーズ、竜二、レズモンドの四人だけだった。

 

「…………俺達からは以上だ」

 

竜二は昨日のタイラント遭遇についての報告をクリス等にする。

 

「タイラントまで出て来ていたとはな……」

「それも改良型だ。相手の規模はかなり大きいぞ」

「新型もタイラントも所持出来るなら、相当大きめの組織が必要だ。それこそ、国や国際企業レベルのな」

 

レズモンドが補足するように言う。

 

「じゃあ、君達は相手が企業だと?」

「バックにはそれに準ずる組織があると思う」

「そっちでは?」

 

レズモンドがクリスに聞く。

 

「こっちも進展はあったが……」

「どうした?」

「……良い方と悪い方、どっちを先に聞きたい?」

 

竜二達は顔を険しくして、

 

「良い方からで」

「下水道で、取引の関係者らしき人物に遭遇した。B.O.W.の指揮を取ってたから確実だろうがな」

「取り押さえたのか?」

「いや、逃がしたが、手がかりはあった。……そいつが、悪い方でな……」

「?」

 

不審に思う二人を前に、クリスは一旦黙ると、

 

「下水道でB.O.W.に囲まれてからな…………」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ー見滝原市地下、下水道ー

 

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアア!!!」

「ギイイイイイイイイイイイイイ!!!」

 

“ハンターⅡ”と“ノビスタドール”が咆哮を上げて飛び掛る。

だが、

 

「ガアッ!!?」

「ギイイイイイッ!!?」

 

ハンターⅡは多数の銃弾を受けて絶命し、ノビスタドールはクリスに銃底で叩き落される。

 

「…………」

「ギイイイイイイイイ!!?」

 

落ちたノビスタドールにアサルトライフルの弾丸を叩き込むクリス。

その背後から別のハンターⅡが飛び掛るが、

 

タァン!!!

 

別角度からピアーズが正確に頭を撃ち抜く。

 

「隊長! あの女は!?」

「そこまで遠くには言ってない筈だ。急ぐぞ」

 

今、クリスはピアーズと共に“ローブの女”を追っていた。

他の隊員達には、最初の場所でB.O.W.の掃討を命じてある。

 

「それにしても、数が多いですね」

「目的はまだ分からんが、それもあの女に聞けば良い」

「竜二の方も何かあるでしょうか?」

「可能性がない訳ではないな。ま、それも後で聞けば良い」

 

話ながらも、彼等は周りのB.O.W.を確実に屠っていく。

“死神”と言うあだ名が付きそうな光景だった。

と、ここで、

 

「隊長。前を」

「ああ、見つけたぞ」

 

クリス達の前方に小さく光が見える。

足を速める二人。

 

「止まれ!!」

「いやね。しつこい男は嫌われるわよ?」

「B.O.W.の所持及びその行使の現行犯で逮捕する!!」

「忙しいのよ。ご遠慮願うわ」

 

女に降伏の意志はないようだ。

クリスがアサルトライフルを構えて威嚇射撃をしようとすると、

 

「ギイイイイイイイイイイイ!!!」

「ッ! 隊長!!」

 

ピアーズが叫ぶと同時に、クリスは前に飛び込むように前転する。

直後に、さっきまで頭があった位置を消化液の塊が飛んでいく。

 

「ッチ!!」

「ギイイイイイイ!!??」

 

クリスとピアーズの十字射撃で、一瞬で蜂の巣になるノビスタドール。

その隙に女が姿を消そうとする。

だが、ここで、

 

「待て!!」

 

ピアーズがアサルトライフルを構えて、セミオートで射撃。

放たれた弾丸は、見事に女の脇数センチを掠め、

 

「きゃっ」

 

思わず身を縮こませた女が何かを落とす。

一瞬、拾うまいか躊躇していたが、

 

「!」

 

クリス等が銃を向けるのを見て、そのまま逃走する。

逃がすまいと追いすがるクリスだったが、

 

「ギイイイイイイイイイイ!!!」

「クソッ!?」

 

五体のノビスタドールに囲まれる。

 

「邪魔だ!!」

 

だが、この二人を倒すなら十体でも難しいだろう。

アサルトライフルの射撃音が断続的に響き、五体のノビスタドールが倒れ伏す。

しかし、既に女の姿は消えていた。

 

「逃がしたか……」

「隊長、これを」

 

そう言って、ピアーズは女が落とした“何か”を持ってくる。

 

「これは……無線機か?」

「ええ、ですがこれは受信しか出来ません」

「トランシーバータイプなら兎も角、受信のみとなれば……」

「……拠点の周囲を捜索する必要がありますね」

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「…………それで、付近を捜索して出てきたのがこれだ」

 

そう言ってクリスは三つの機械を机の上に出す。

 

「これは?」

「最初の受信機と、こっちが拠点の真下の下水道の小さな配管に入っていた中継機。そしてこれが…………」

 

ゆっくりと、クリスは続ける。

 

 

 

 

 

 

 

「プレハブに仕掛けられてた、盗聴器だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

「道理でおかしいと思ってたんだ……。俺達は兎も角、竜二が“食事休み”取ってた時でさえ襲ってきたのだからな」

「その女の仕業なのか?」

「難しいな。プレハブは俺達が頻繁に出入りしているから、そんな隙は無かった筈なのだが……」

 

考え込むクリスに、竜二は、

 

「……結局は、二通りしか考えられんな」

「二通り?」

 

ピアーズが思わず聞く。

 

「一つ目は、何らかの方法で俺達に認知されずに仕掛けた、という事だ。例えば、ノビスタドールに運ばせるとか」

「“レオンレポート”を見る限りだと、ノビスタドールにそこまでの知性は無いようだ。……最も、改良されてたら別だが」

「まあ、あり得なくも無い方法ですね」

「二つ目は何だ?」

 

レズモンドが竜二に促す。

少し、竜二は顔を俯けると、

 

「二つ目は、“堂々”と仕掛けたって事だ」

「堂々?」

「…………」

 

ピアーズは聞き返し、クリスとレズモンドは察して黙る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「簡単に言うなら、内通者がいるって事だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

「此方ならまだ信憑性も高いだろう。現に、過去に実例もあるしな」

 

竜二は付け加えるように言う。

 

「だが、内通者がいたとして、俺達はどうすれば良い?」

「まあ、少なくとも俺やクリスが違うのは確定だと思うが?」

「俺も。この身に賭けて良い」

「お、俺も違いますよ!?」

「ああ、ピアーズは俺が保証する」

 

三人が言うのに、竜二は頷くと、

 

「なら、この事は四人の中で秘密にしよう」

「俺達で内通者を探せと?」

「少なくとも、信頼は出来るからな」

 

竜二がレズモンドに答える。

 

「分かった。こっちでも探しておく」

「OK。んじゃ、お開きにしようか」

「そろそろ、作業の様子を見に行かないとな」

 

レズモンドが席を立ち、出口に向かう。

 

「俺達も行こう」

「了解です。隊長」

 

クリス達も出口に向かう。

一人残された竜二は、少し遠くを見るようにして考え込む。

 

(……実際は、一つ目も現実味が薄い訳ではないがな)

 

ノビスタドールを例えに出した竜二だったが、実際にはより“確実な方法”がある。

 

(あり得ないと信じたいが…………)

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・見滝原市、見滝原中学校。

 

 

 

(とんだ邪魔が入ったものね……)

 

屋上へと続く階段を登りながら、暁美ほむらは昨日の夜を思い出す。

 

(結局、“アレ”についても分からず仕舞いだし……)

 

ほむらが戻って来た時には、“何か”は既に消えていた。

杏子が言うのは、“虫の化物”が実体化して直ぐに、内側から溶けるように消えたそうだ。

 

(イレギュラーの追う生物兵器の一つって線が濃厚だけど……)

 

ほむらはまだ竜二に連絡を入れられていない。

昨日の内に入れようとしたが、何故かメールすら繋がらなかった。

実際は、“リミッターの再設定”の為に竜二が意図的に携帯の電源を落としていたのだが、そんな事は知る由も無い。

 

(放課後にもう一度入れてみましょう)

 

因みに、さやかとマミは学校を休んでいる。

さやかの方には杏子が行くだろうが、マミは未知数である。

ほむらは、一度放課後に足を運ぶつもりであった。

 

(でもその前に、まずはまどかの方ね)

 

屋上に着くと、案の定まどかがポツンと立っていた。

側に寄り、街並みを呆然と見詰めるまどかを見て、ただ立ち尽くすほむら。

暫くそうしていると、

 

「ほむらちゃんは、知ってたの?」

 

まどかがポツリと聞く。

それに頷いてほむらは答える。

 

「どうして……教えてくれなかったの?」

「前もって話しても、信じてくれた人は今まで一人もいなかったわ」

 

まどかがこちらをゆっくりと向く。

その虚ろな瞳にほむらは心を痛めるが、逢えてそれに冷たい視線を向ける。

 

 

 

 

 

「あいつは、酷いとさえ思ってない。人間の価値観が通用しない生き物だから、何もかも、奇跡の正当な対価だと、そう言い張るだけよ」

 

 

 

 

 

「さやかちゃんは……元の暮らしに、戻れないの?」

 

 

 

 

 

「感謝と責任を混同しては、駄目よ。あなたには、彼女を救う手立てなんてない。引け目を感じたくないからって、借りを返そうだなんて、そんな出過ぎた考えは捨てなさい」

「…………どうして?」

 

 

睨むように言うまどかに対し、無言で佇むほむら。

 

「ほむらちゃん、どうしていつも冷たいの?」

「…………」

 

ほむらは全てをぶちまけたい衝動に駆られる。

自分の目的も、これから起こるだろう事も、その全てを言いたくなる。

だが、それを喉の手前で押し留めて、

 

「……そうね……」

 

ほむらは、それを押し留めてしまえる自分を卑下する。

気の遠くなるような繰り返しの果てに、彼女の心はここまで冷酷になれて仕舞えていた。

 

(…………ロボットってのも、間違いではないわね)

 

まどかを救う。

その目的の為、全てを捨てた少女は、何処か悲しそうに言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは、きっと……もう、人間じゃないから、かもね」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・見滝原市、工事現場。

 

 

クリス達が外に出てから、竜二は一人ずっとプレハブの中で待機していた。

否、待機せざるを得ないという方が正しいかもしれない。

 

「……あ~、クソッ。早く落ち着いてくれ」

 

誰に話す訳でもなく、椅子にもたれて天井を見上げながら言う竜二。

こうなっているのは、“再設定”から身体が再び馴染むまでの、暫くの間動き辛い状態に入っていたからである。

 

「まあ、これでも短縮できた方なんだがな」

 

実は今までなら、馴染むまで丸一日寝込んでいたのだ。

まだ行動出来るだけましである。

と、ここで、

 

 

 

 

 

 

 

prrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「?」

 

無線機ではなく携帯電話が鳴り、不思議に思う竜二。

手に取って見ると、

 

(うおッ!?)

 

着信:暁美ほむら×8

メール:暁美ほむら×3

 

(な、何だ!?)

 

不審に思ってメールを開くと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

件名:なし

 

美樹さやかが怪物に襲われた。

佐倉杏子曰く、灰色の虫のような奴だったらしい。

あなたの追ってる物かもしれない。

意見が欲しい。見たら直ぐに連絡して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(!)

 

顔を険しくし、竜二は他の二件を開く。

 

(同じ内容だ。余程焦ってたのか?)

 

時刻を確認する。四時ぐらいだ。

ほむらに電話を掛けると、

 

『やっと繋がったわね』

 

数コールでほむらが出る。

 

「済まん。仕事の都合で切ってたんだ」

『まあいいわ。で、本題に移って良いかしら』

「頼む」

『佐倉杏子が美樹さやかに喧嘩を吹っかけて、跨道橋の上で戦う事になった時に、突然さやかが透明な“何か”に襲われた。私が目を離している間に、杏子が殺したみたいだけど』

「死体は?」

『ドロドロに溶けて消えたらしいわ』

「…………」

 

黙り込む竜二に、電話からほむらが、

 

『……やはり、“あなた達”側の物のようね』

「本当に済まない。俺達の不手際だ」

『その不手際で、こちらがどれだけ迷惑していると思っているの?』

 

若干険の入った言い方をするほむら。

 

『一体だけだったからまだ被害は小さかったけど、あなた、こんな調子で本当に解決出来るの?』

「…………」

 

痛い所を突かれて竜二は黙ってしまう。

 

『……まあ、この事はこちらで誤魔化しておくから。呉々も同じ事を起こして欲しくないわね』

「……本当に、済まない」

 

それだけ言って、携帯を切ろうとした時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………ん?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってくれ、お前さっき何て言った?」

『だから、こちらで誤魔化しておくから……』

「その前だ」

『? 一体だけだったから、被害は小さかったって……』

「本当に、一体だけか!?」

 

急に大声を出す竜二。

 

『ええ。でも、それが…………?』

「……………………」

 

顔を顰めて竜二は溜めると、

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前達の存在が、敵に知れている可能性がある」

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………ッ!? …………』

 

電話の向こうでほむらが息を飲む感じが竜二に伝わる。

 

『どういう事……!?』

「最初は、群れを逸れた一部の個体が地上に出たのかと思ってた。でも、それは数体いたと思ってたからだ」

『一体だけと何が違うの?』

「お前が見た怪物、“ノビスタドール”は通常群で行動する。群れから逸れる事はあれど、基本単独では行動しない」

『だから?』

「コイツ等の群れは下水道にいた。幾ら群れを逸れたからと言って、地上より上の跨道橋にまで一体だけで這い上がったとは考えにくい。だけどな…………」

『?』

「コイツがお前達の様子見を命令されたなら、全てに納得が行く」

『っ…………! それは、幾ら何でも……!」

 

飛躍し過ぎだ、と言いかけて、ふとほむらは考え直す。

あの時、さやかに大きな外傷は無かった。

杏子が直ぐに動いたとは言え、さやかに喰らいつくには十分な時間があった筈である。

 

(それに、幾ら何でもあのタイミングで襲ってきたのは出来過ぎている。……でも、どうやって…………っ!?)

 

彼女達の事を知っていて、あの場所を知っていて、かつ、これで得をする存在がいる。

繋がりを持っても、おかしくない存在がいる。

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、久しぶりだね。」

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

竜二が顔を上げると、窓の外にキュウべえがいた。

電話の向こうのほむらからも、驚いた様な気配が漂っていた。

 

「ひょっとして、僕の事を話してたのかい?」

「…………今更、何の用だ」

「君に挨拶をしたくてね」

「挨拶?」

 

眉を潜めた竜二に、キュウべえは笑顔を作ると、

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日から、僕は“グラン・フォート”の一員だから、宜しくね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「な!?」

「僕の用は以上だ。じゃ、戻らせて貰うよ」

「待て!! 何故それを俺に!!?」

 

竜二の問いに答える事なく、キュウべえは姿を消す。

 

『……“グラン・フォート”……?」

「…………“トライセル”無き今の、製薬企業連盟の纏め役。実質のトップだ」

 

竜二は軽く頭を抑えて言う。

 

『何故キュウべえがそんな企業に?』

「BSAAへの多大な無償の援助、そして、製薬企業連盟の発言力の削減に努めたって、かなりの良企業で有名なんだが…………、一つ、黒い噂があってな」

『…………?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「元の母体の会社が、“トライセル”の子会社だったっていう噂があるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トライセルって?」

「簡単に言うと、二代目“アンブレラ”」

「ッ!? それって…………!」

「妬まれて流された、根も葉もない噂だって思ってたが……、何かあるみたいだな」

 

竜二はゆっくりと立ち上がる。

どうやら、“リミッター”が馴染んだようだ。

 

「こっちで調べてみる。お前達は自分の身を守れ。多分、奴等に目を付けられてるぞ」

『彼女達にはどう伝える?』

「名は出すな。“デカイ組織に狙われてる”って大まかに伝えるんだ」

『分かったわ』

 

電話を切って、竜二はプレハブの外に出る。

日の光を浴びて前を見ると、停車したトラックからレズモンドが出てきた所だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(さて、何が出てくる事やら…………)

 

そちらに歩きながら、竜二は静かにそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、B.O.A.です。

意外と早く書き上がったので、入れました。
まあ、これがいつまで続くかも分からないんですけどね。

次回は、ムービーシーンの回かな。
それでは、また次回。
感想等、お待ちしてます(^-^)/
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