BIOHAZARD CODE:M.A.G.I.C.A.   作:B.O.A.

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・1998年11月

スペンサーによって、アンブレラ・アフリカ支部が閉鎖される。


chapter 4-6

・見滝原市、通学路。

 

 

 

時間は登校時間に遡る。

友人の志筑仁美と歩いていた鹿目まどかは、前方に美樹さやかを見付ける。

 

(…………!)

 

一昨日の事もあり、少し身を固くするまどかの横で、

 

「あら、 さやかさん」

 

仁美が声を掛ける。

さやかはその声に振り向いて、

 

 

 

 

 

「あ、仁美にまどか! おはよー!!」

 

 

 

 

 

笑顔で手を振って、まどか達に駆け寄ってくる。

 

「おはよっ! さやかちゃん」

「おはようございます。さやかさん」

 

二人も挨拶を返す。

 

「昨日はどうかしたのですの?」

「う~ん、ちょっとばかり、風邪っぽくてね」

 

仁美と話すさやかの様子は、何処かぎこちないながらも精一杯の元気を見せていた。

 

「さやかちゃん…………」

 

それでも、やはり心配になってまどかが尋ねようとするが、

 

『大丈夫。色々あって、とりあえず落ち着いたから。心配しないで』

 

さやかが念話で先回りする。

 

「…………」

「いぃよ~し! 熱も下がったし、今日も元気に…………」

 

行ってみよーー!! 、と続けようとして、

 

 

 

 

 

 

 

三人は、前方で松葉杖をつく灰色の髪の少年に気付く。

 

 

 

 

 

 

 

「あら…………? 上条君、退院なさったんですの?」

 

仁美が驚いたように呟く。

 

(…………)

 

まどかはそっと、さやかの様子を盗み見る。

さやかは黙ったまま、歩く恭介の背中を見詰め続けている。

 

(さやかちゃん…………)

 

その瞳は、何処か陰っている様に見えた。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・見滝原市、見滝原中学校。

 

 

 

「上条、怪我はもう良いのかよ?」

「家に篭ってたんじゃ、リハビリにならないしね。来週までに松葉杖無しで歩くのが目標なんだ」

「ほ~、てっきり俺はナースさんにメロメロかと思ってたが」

「君じゃないんだから。中沢」

 

クラスの男子に囲まれて、楽しそうに話している恭介。

その顔に一切の曇り無く、明るい笑顔を皆に振り撒いていた。

 

「上条君、とても明るくなりましたわね」

 

仁美が嬉しそうに言う一方で、

 

「…………」

 

何処か虚ろにそれを見詰めるさやか。

 

「良かったね。上条君」

「……うん」

 

心配したまどかが声を掛けるも、さやかは何処か元気が無い。

気持ちの整理が着いたとは言え、まだ日常の調子には戻れていない様だった。

 

「さやかちゃんも行ってきなよ。まだ、声掛けてないんでしょ?」

「あ……、いや、あたしはまだ良いや。邪魔しちゃ悪いし」

 

そう言って、自分の席に戻るさやか。

 

「さやかさん、上条君とうまく行ってないんですの?」

「へ? ……いや、そんな事ないと思うけど……」

 

急に尋ねた仁美に驚き、しどももどろになって答えるまどか。

対し、仁美は考え込む様に黙ってしまう。

それをまどかが見ていると、

 

 

 

 

 

 

 

『鹿目さん、美樹さん、今良いかしら?』

 

 

 

 

 

 

 

突然、マミの念話が届く。

 

『マミさん? どうかしましたか?』

『実は、話したい事があって……。今日のお昼に、屋上に来て欲しいの』

『分かりました。私は大丈夫です』

『美樹さんもそれで良い?』

『あたしも、それで良いです』

『二人共ありがとう。それじゃあ、またお昼にね』

 

マミの交信が途切れる。

 

(マミさんも学校来てたんだ。でも、話って何だろう…………?)

 

思考を巡らすまどかの様子を、

 

(…………)

 

暁美ほむらは、静かに見詰めていた。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・見滝原中学校、屋上。

 

 

 

お昼休み、まどかとさやかは約束通り屋上に来ていた。

 

「二人共、お弁当食べながらで良いからね」

 

そう言いながら、屋上のベンチに腰かけてパンを取り出すマミ。

だが、二人の注目はそっちに向いておらず、

 

 

 

 

 

「……私がいる事が、そんなに珍しいかしら?」

 

 

 

 

 

ベンチ脇に佇む、ほむらに向いていた。

 

「暁美さんは私が呼んだの。今回の事を、この中では多分、一番良く知っているから」

「今回の事?」

「二日前の夜、覚えてる?」

 

二日前、と聞いてまどかは顔を曇らせる。

対し、さやかは何かに気付いてハッとすると、

 

「ひょっとして、その…………、“びー・おー・だぶりゅー”って奴の事?」

「知ってるの? 美樹さん」

 

マミが驚いた様に聞く。

 

「あーいや、昨日あいつ……杏子にもう一度話がしたいって呼び出された時に、竜二さんが後からやって来て、そこで話をしたんです」

「そう。なら、話は早いわね」

「え、えと…………?」

 

話に付いて行けずに、オドオドするまどか。

 

「端的に言うわ」

 

ほむらは一旦、間を置いて、

 

 

 

 

 

 

 

「鹿目まどか、暫く私達から離れていて」

 

 

 

 

 

 

 

「…………へ?」

 

予想外の言葉に、まどかの思考が一瞬停止する。

 

「離れてって、…………何で?」

「実は、私達魔法少女はあの“怪物”を造った組織に狙われているの」

「え…………、ええ!?」

 

マミの言葉に、まどかは思わず大声をあげる。

 

「信じられないかもしれないけど、あれは人が造った“兵器”。使い魔とは違う、人間の“悪意”その物。だからハッキリ言って、人を食べる為に襲ってくる使い魔や魔女よりも厄介なのよ。探知も出来ないし、バックに“人間”がいるから行動も読めない」

「幸い、気を付けていれば対処出来る相手らしいから、自分達の身を守る分なら問題無いのだけど…………」

「…………」

 

その先を理解して、まどかは俯いてしまう。

その間に、ほむらはさやかを見て、

 

「今後は、基本的に単独での魔女狩りは禁止。あなたは巴マミと行動しなさい」

「…………分かったよ」

 

ほむらに言われるのは不服であったが、さやかは流石に口には出さなかった。

それを知ったか知らずか、ほむらはもう一度まどかの方を見て、

 

「…………あなたを守れる程には、私達は敵を知らない。残念だけど、分かって欲しいの」

「…………大丈夫、だよね?」

 

ポツリと、まどかが溢す。

 

 

 

 

 

 

「みんな…………、いなくなったり、しないよね…………?」

「…………」

 

 

 

 

 

 

誰も言葉を発せず、屋上に重い空気が漂う。

 

 

 

 

 

 

 

「……あーもう! 空気重い!!」

 

 

 

 

 

 

 

それをぶち破ったのは、さやかだった。

 

「要は、余分な敵が増えただけでしょ? そいつ等が魔女と組んだりする訳じゃないし、油断さえしなきゃ、あたし達が負ける訳無いでしょ」

(…………)

 

その油断で死にかけたお前が言うか、とほむらは思ったが、かく言う自分も殺されかけたので黙っていた。

 

「……まあ、確かにそうだけど……」

 

違う事とは言え、油断で死にかけた事のあるマミも、余り強く言えない様だ。

 

「なら、大丈夫だよ。いなくなったりしないって」

「本当……?」

「ホントホント、さやかちゃんは不滅なのです!!」

 

戯けた様に言うさやかに、ようやくまどかは笑顔を見せる。

その様子を、マミも微笑みながら見ている。

 

(…………)

 

それを、何処か難しそうに見ているほむら。

改めて、彼女はまどかの方を向いて、

 

「分かってくれた?」

「うん。……私は、みんなを待ってるよ」

「そう。じゃあ、これからの事だけど」

 

三人の視線を浴びて、ほむらは続ける。

 

「私達は兎も角、恐らくまどかの顔も割れているだろうし、あなたを一人にするのは抵抗がある。だから、“護衛”を用意したわ」

「護衛?」

 

首を傾げる三人に、ほむらは携帯を出して、

 

「竜二・シーザーに依頼したの。彼に、あなたの登下校時の護衛をして貰うわ」

「えっ、でも、大丈夫なの……?」

「心配無いわ。彼も了解してくれた」

 

次に、ほむらはさやか、マミの順で見て、

 

「強制はしないけど、出来るだけ、私生活でも単独行動は控えて欲しいわね」

「分かったわ」

「あたしも」

 

二人は頷いて答える。

 

「私は今日は佐倉杏子と行動する。何かあったら連絡して」

 

言い残して、ほむらは屋上を去って行く。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・五郷市、白鴎女子高等学校。

 

 

 

「…………以上が、此方で分かった事だ」

『なるほどな……』

 

高機動作戦車両(ガンビット)内にて、レズモンドに報告するクリス。

 

『まさか大臣が首謀者なんてな……』

『“テラグリジア・パニック”の再発って事か……』

 

クリスの前のパソコンには、二人の人間が映っている。

丁度、テレビ中継で会議をやっている感じだった。

 

「如何せん、中高一貫校だったのが痛かったな。生徒だけでも1/4、警察も含めればあの場の半数近くが犠牲になった」

『……一応言っておくが、“俺達”じゃないぞ』

「分かっている。が、現状は疑いが強いのも事実だ」

『俺達は兎も角、“上”が黙ってないだろうな……』

 

ジョージの言葉に、クリスとレズモンドが返す。

この時、三人の事件への見解は一致していた。

 

『恐らく、敵の本当の狙いは、お前達の排除だ』

「大臣が自ら志願したか、嵌められたかは不明だがな」

『……そういえば、大臣の身体の方はどうだ?』

 

テレビ越しに、ジョージがレズモンドに尋ねる。

 

『調査しているが……、恐らく新型だろうが、殆ど分からん。細胞レベルで変異してしまって、元の原型が掴めない。ウィルスは無かったが、死亡直後に消滅した可能性もある』

「そうか……」

『“砂虫”の方も同様だが……、ただ、両者に一つだけ共通点があってな』

『何だ?』

『“青色”の、コアらしき物が幾つか出来ていた。それと、これは“スライム”だけだが、虹彩が“青く”変色していた』

『青?』

『目立たない違いだったが、一応報告しておく』

 

レズモンドの報告を受けて、クリスは、

 

「了解。引き続き、調査を頼む」

『分かった。任せておけ』

「所で、竜二は何処に行った?」

 

クリスがジョージに尋ねると、

 

『彼なら、今頃“お迎え”の時間だろう』

「……エージェントに思えんな」

『同意するよ』

「“暴走”の反動は?」

『彼の“身体”は特に問題は無かったが……』

『…………触れないでやってくれ。彼奴は、余り本心を他人に見せたがらないんだ』

『……分かった』

「じゃあ、そろそろそっちに戻るよ。大臣の家も捜査しなくてはならないからな」

『了解』

 

二人の応答を最後に通信を切り、ふと、クリスは空を見上げる。

天気予報では夜から雨になるらしいが、その通りらしく分厚い雲が空を覆っていた。

 

(…………)

 

詳しくは知らないが、“あの時”も夜から雨が降ったらしい。

 

 

 

そう、あの日、あの夜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地図上から、一つの街が、“消滅”した。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・見滝原市、見滝原中学校校門。

 

 

 

まどかは困っていた。

 

「…………」

 

自分で、自分の口元がヒクついているのが分かる。

 

「…………」

 

隣では、親友のさやかも同じ表情をしていた。

その少し向こうでは、マミが若干哀れな目を向けていて、

 

「…………はぁ」

 

その隣で、ほむらが溜息を付いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、お兄さん誰を待っているの?」

「いや、この学校の子だけど…………」

「不思議なコートですね。何処に売ってたんですか?」

「これはオーダーメイドだけど…………」

「さっきのすっげえカッコ良かった! 何か拳法やってたんすか?」

「一応、中国武術をサラッと…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

前では、竜二が女子男子問わず大量の生徒に群がられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の発端はこうである。

 

「…………まだか?」

 

竜二は、校門前でまどか達を待っていた。

既に下校する生徒がゾロゾロ出てきていたが、一向に彼等は出てこない。

 

「遅っそいな…………」

 

壁にもたれて愚痴を吐く竜二。

実はこの時、まどかのクラスのホームルームでは、街で見かけた“ゴリラを引きつれた美青年”について延々と語られており、マミは自教室で自習しつつ彼女等を待っていた。

付近の生徒は時たま此方をチラリと見るが、不機嫌そうな竜二の態度に直ぐに目を逸らしていた。

と、ここで、

 

 

 

 

 

「ぎゃはははははははははは!!!」

「マジかよソレェ!! 信じらんねェよ!!!」

「イヤイヤマジマジ。すんげェーどんくせェのソイツ」

(……あん?)

 

 

 

 

 

竜二が見ると、少し校門前の歩道を、いかにもな不良が三人歩いて来ていた。

歩道を横に並んで歩いてる分には、まだ百歩譲って良かっただろうが、

 

(おいおいおい……)

 

この不良共、横にスクーターを引きずっていた。

その所為で歩道が完全に塞がれており、生徒達は車道にはみ出ていた。

 

(…………)

 

妙に出来たワンシーンに、竜二は嫌な予感を感じる。

 

 

 

 

 

 

それは、現実となった。

 

 

 

 

 

 

プァァァァァァァァアアアアアアアアン!!!!!!

「きゃっ」

 

車道を通る車のクラクションに怯えて、中1ぐらいの女子生徒が歩道側に逃げる。

当然、そこに不良共が歩いていて、

 

「いたァ!?」

「うおッ!?」

「あだッ!?」

 

玉突き事故を起こして、不運にも、

 

ズガガッ!!!!

 

スクーターの車輪が歩道の側溝に嵌って大きく傷付く。

 

 

 

(…………あ~)

 

 

 

最早、呆れて何も言えない竜二。

 

「な!? 俺のスクーター!!」

「ッチ、テメェ! 何処見てやがる!!」

「ドーシテくれるんやコレェ!!!」

「ひぃぃッ!!!?」

 

と、前で“お約束”が始まった。

不良共は一旦スクーターを道に立てて、

 

「見て、分かる? 思いっきり傷入ってんけどォ!!」

「取り敢えず、家の住所教えてくれるかなぁ!?」

「キッチリ落とし前付けて貰うからな」

「え、あ…………だ、誰か…………」

 

絶望に満ちた表情で女子生徒が助けを求めて見渡すが、皆関わりたくないのか、近付く者はいない。

そんな中、竜二はと言うと、

 

(ほー…………)

 

どうやら多少は知恵がある様だ、と感心していた。

とは言え、女子生徒の方は一杯一杯な様であり、このまま不良共が突沸しないとも限らないし、第一教えてしまったら色々アウトである。

 

(…………はぁ)

 

どっかで勝手に破滅する分にはご勝手にと思うが、流石に目の前で起きるのは虫が悪い。

それも、一発で解決する方法があるなら尚更である。

竜二は壁から体を放し、四人の元に向かう。

 

 

 

 

 

 

ガンッ!!!!

「!!?」

「おっと」

 

そして、そのままスクーターを蹴り飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

ガッシャアアアァァァアアアン!!!!!

「なあッ!!?」

 

スクーターが横に倒れて、大きな音を立てる。

 

「テメェ!!! どういうt「アイヤーーー!!! ホンット済まなかったね君達~!!!」」

 

いきなり大声で叫ぶ竜二に、四人が思いっきり身を引く。

それを自覚しながらも、

 

「完っ全に俺のミスだよ!! 俺が悪い!! だよなぁ!!!」

「な、さ、触るな!!!」

 

思いっきり不良の一人の肩をバシバシ叩く竜二。

“キチガイ”に会ったと思ったらしく、不良共が面倒そうな表情になる。

と、ここで、

 

「んで、物は相談なんだが」

 

急に真面目な口調になった竜二が、ポケットから財布とペンを出して何かを書き始める。

書いた“それ”を不良の一人に渡して、

 

「それで、その子の分の傷も含めて手を打ってくれないか?」

「な!!?」

「ど、どうした!?」

 

三人が顔を寄せて“それ”を凝視する。

 

 

 

 

 

 

 

「さ…………30万!!?」

「十分な量だろ?」

 

 

 

 

 

 

 

竜二の渡した小切手の額に驚愕する三人を見て、悪い笑みを浮かべて竜二は言う。

 

「ほ、本当に良いのか!!?」

「当たり前だ。じゃなきゃ渡さん」

 

あっけらかんと返答した竜二は、背後で呆然とする女子生徒に体ごと振り向いて、

 

「ほら、早く行きな。次は気を付けろよ?」

「え、あ、有り難うございます!!」

 

花が咲いた様な笑顔で女子生徒はぺこりとお辞儀して、小走りに去ろうとする。

 

 

 

 

 

 

「おい、ちょっと待てや!!」

 

 

 

 

 

 

「ッ!!?」

 

女子生徒が振り向くと、ニヤニヤ嗤う不良共が、

 

「これでスクーターの分は手を打ったる。けどなァ、まだ俺達の慰謝料残っとるんだけどォ!!」

「ッ!!!」

 

再び絶望に落とされる生徒。

 

(…………)

「さあ、落とし前付けて貰おうかァ!!」

 

不良共が大声で叫ぶ。

と、ここで竜二が、

 

「うーん、今日の俺は気分が良い。サービスに性を出してみるか」

 

不良共に背を向けたまま、そんな事を言いながら再びペンを走らせ、

 

「さっきと同じ30万、これで倍になる」

「30万? それで足りるt「しかも、だ」」

 

そのまま、近くの街路樹の幹に左拳を付ける。

野次馬も含めて、その場の全員がその行動に疑問を覚えた瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッッッッッッッッッ!!!!!!

「…………今なら、“無料送迎”も付けてやろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!???」

 

凄まじい衝撃が響き、全員が驚きに目を剥く。

竜二がそっと拳を放すと、木の幹に拳大の“凹み"が出来ていた。

俗に言う“寸勁”と言う技であった。

 

「さて、どうする?」

 

不敵な笑みを浮かべ、彼等を振り返る竜二。

ただ、その目は一切笑っていない。

 

「ヒィッ!!!?」

 

最初の女子生徒の様な声を上げる三人。

 

「遠慮はすんなよ? 欲しいだろ?」

 

ゆっくり振り向いて、竜二は一歩踏み出す。

 

「ご、ご遠慮しまァァァァァァァァすッッッ!!!」

 

スクーターを手に、不良共は一目散に退散していった。

 

「……はぁ」

 

彼等が見えなくなってから、一つ溜息を付く竜二。

一応、格闘技もある程度出来る竜二だが、今まで使わなかったのには訳がある。

 

(本気で手加減しないと、殺人拳になるからなぁ)

 

対人戦で使うには、手加減を意識しないとあっさり殺してしまう。

かと言って、B.O.W.戦だと銃や“あっち”の方が効率が良い。

竜二が使う時は、大抵弾切れかこういう街中の威嚇ぐらいであった。

 

(ま、立ち回りで参考にはしてるけどな)

 

そう思って、ふと振り返る竜二。

 

(……ん?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、目を輝かせる大量の生徒達がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、今に至る。

 

「…………あれ、竜二さんだよね…………」

「うん…………」

「大変そうね…………」

「…………」

 

無言だったほむらが、竜二の元に近付き出す。

それに気付いた竜二が、

 

「暁美ちゃん! やっと来たか!!」

「…………何やってるのかしらあなたは…………」

「不良追い払ったら懐かれたんだよ!!」

 

生徒の包囲網から抜け出して、ほむらの元に近付く。

 

「それで、俺は鹿目ちゃん達の護衛をすれば良いんだよな?」

「最悪、鹿目まどかだけで良いわ。そもそも私と巴マミは方向が違うし、美樹さやかも途中までだし」

「分かった」

 

そう言って、竜二は近くに寄って来たまどかに目を向ける。

 

「宜しく頼むよ。鹿目ちゃん」

「此方こそ、よろしくお願いします」

 

お互いが挨拶をするのを見届けたほむらは、

 

「じゃあ、私はマミと帰るから、後は頼むわね」

「美樹さん、また後でね」

「うん。またね! マミさん!」

「マミさん、ほむらちゃん、バイバイ!」

 

四人で挨拶を交わし、二人が去って行く。

それを残った三人が見届けた後、

 

「じゃあ、俺達も行くか」

 

竜二の言葉に、二人が答えようとした時、

 

 

 

 

 

 

 

 

「さやかさん、まどかさん」

「!」

 

 

 

 

 

 

 

振り向くと、そこには緑の髪の少女、志筑仁美がいた。

彼女は二人を交互に見て、そして決意した様な眼差しで、

 

 

 

 

 

 

 

「少し、お話があるのですけど……、いいかしら?」

 

 

 

そう、言った。

 

 

 

 

 




どうも、B.O.A.です。

さて、問題のあの場面が近付いて来ました。
ここから暫くは、大した戦闘も無いシーンが続く予定です。

さて、彼女達の運命や如何に。
次回も頑張って行きます。
感想等、お待ちしてます(^-^)/

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