BIOHAZARD CODE:M.A.G.I.C.A.   作:B.O.A.

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・1982年3月
アレキサンダー・アシュフォードの娘、アレクシアが父に「t-Veronica」を投与。
アレキサンダーは怪物化し、公式には謎の失踪をした事になる。







Chapter 2 -Bio-organicum Tela-
chapter 2-1


・見滝原市内、巴マミ宅。

 

 

 

「あの……、お茶入れました……」

「ああ、すまないな」

 

黄色のドリルテールの少女、巴マミの入れた紅茶をカーペットに座る竜二が受け取る。

マミが若干固くなっているのは、これから始まる“事情聴取”のせいだけではないだろう。

 

「マミさん、私、やっぱ休んだ方がいいと思う」

「そうだよ。説明はあたし達がやっとくからさ。マミさんは休んでてよ」

 

一緒についてきたまどかにさやかも、緊張のためか身を固くしている。

 

「私も同意見よ。巴マミ、あなたまだショックが抜けていないでしょう?」

「……それはお前にも言えるのだけどな」

 

彼等から少し離れた椅子に座るほむらに竜二が突っ込む。

 

「私は問題ないわ」

 

結界の中での弱った様子はどこへやら、ほむらはすっかり元に戻っていた。

 

「心配してくれてありがとう。だけど、この事は私も深く関わる事だし、休んでもいられないわ」

 

自分の後輩達を見て言うマミ。

 

『それに、あの子の事もあるしね』

『あ~、確かにな~』

 

チラリとほむらを盗み見て念話を送ったマミに、同じく念話で同意するさやか。

 

「それに、美樹さんの説明じゃ伝わりにくいと思うし」

「それ、あたしがガサツだって言いたいんですか」

「あなたの説明がガサツでも、私が補足するから心配はいらないわ」

「転校生は余計じゃーー!!!」

 

喚くさやかを軽くスルーするほむら。

 

「……本題に入っていいか」

 

竜二が場の軌道修正を図る。

 

「最初に聞きたいのは、君ら二人の事だ」

 

マミとほむらを見て、竜二は言う。

 

「私が説明します。シーザーさん」

 

マミが名乗りをあげる。

 

「竜二でいい。説明を頼むぞ、巴ちゃん」

「私もマミでいいです」

 

マミによる、魔法少女の説明が始まる。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

(竜二・K・シーザーか……)

 

ここに来る前に彼が名乗った名前を反芻するほむら。

前では、マミやさやか、まどかにキュウべえも混ぜた説明が行われている。

 

(様々なイレギュラーを見てきたけど、今回のようなのは初めてね……)

 

海外から来た捜査官と名乗った竜二は、捜査の過程であの場所に迷い込んだと言った。

 

(あり得ないわ……。そんな訳がない)

 

何処の国に手榴弾を持った捜査官がいるのか。

 

(そんな事よりも、問題はどうして結界に入れたのかよ)

 

彼が言うには、入口に触れたら吸い込まれたとの事だった。

 

(そもそも魔女や使い魔、結界は一般人が見ようとして見れる物ではないのに……)

 

考えれば考える程、謎は深まるばかりだ。

 

(詳しく調べる必要がありそうね)

 

マミの入れた紅茶を飲みながら、ほむらはそう思う。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「……と言う事なのですけど……」

「…………」

 

マミ達の説明を受けて、考え込む竜二。

 

(……とんでもないのに突っ込んじまったな……)

 

彼女等の説明は全て彼の常識を凌駕する物であり、流石の彼でも理解に苦しんでいた。

 

「まあ、直ぐには理解し辛いと思いますけど……」

 

まどかがそんな事を言う。

 

「僕としては、彼が結界に入れた事が理解に苦しむけどね。彼に魔法少女の素質があるとは思えないし」

「うわ、何かそれ嫌だな……」

 

キュウべえの言葉で変な想像をしたのか、さやかが呻く。

 

「……まあ、大体理解したよ」

 

竜二が静かに言う。

 

「俺が確認したいのは、一つだけだ」

「はい、何の事ですか?」

 

マミが応じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔法少女が戦うその“魔女”と“使い魔”……、誰かが作った物ではないな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(!?)

 

予想外の質問に四人と一匹が驚く。

 

「えっと……、それは……?」

「人の手で作られたか否か、という事だ」

 

思わず聞き返すマミに、竜二はそう言う。

 

「…………」

 

ほむらは静かにキュウべえを見つめる。

 

「……まあ、“人造”ではないね」

「……そうか」

 

キュウべえの返答に竜二が呟く。

 

「でも、わざわざなんでそんな事を聞くんだい?」

「……気になっただけだ」

 

そう返すと、竜二は立ち上がって言う。

 

「この事は署に報告しよう。彼らに対処して貰うといい」

「……え?竜二さんが捜査するんじゃないんですか?」

 

まどかが見上げて聞く。

 

「俺はあくまで海外の捜査官だからな。この国の事は、この国の人にやって貰うしかないんだよ、鹿目ちゃん」

 

そう返すと、竜二は玄関に向かう。

 

「わざわざ時間を取って貰ってすまなかったな。また縁があれば会えるだろう。それと、……しっかり休めよ、マミちゃん」

 

そう言って、竜二はマミ宅を後にした。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・見滝原市内、街道。

 

 

 

『…………』

 

通信機越しでも、ジョージの驚愕を竜二は感じた。

 

『……それは、本当なのか』

「誠に信じられんがな。あの怪物共は人の呪いから生まれた存在で、あの子達はそれを人知れず駆逐する“魔法少女”っていう奴で、あの白いペット、“キュウべえ”が素質ある奴に願い一つと引き換えにその使命を課すっていう事らしい」

『本当に、空想じみてるな……』

 

マミ達の説明をザックリ要約した竜二に、ジョージがそんな感想を付ける。

 

「だからこそ、俺も自身の“変化”に気付かなかったのかもな……」

『だろうな。魔法でも使えるようになってんじゃないのか?』

「やめてくれ。ありそうで怖い」

 

冗談を交わしていた竜二は、真面目に戻ると、

 

「けどまあ、一つハッキリしたのは、あれは全く関係なかったという事だ」

 

彼等からすれば、結局振り出しに戻ったに過ぎない。

 

『いずれ関わる事もあろうが、少なくとも今ではないな』

「“あいつ”にも伝えなきゃな。情報交換は今日の深夜だったな?」

『その事なのだが……』

 

急に押し黙るジョージ。

 

「? どうした?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『実は、二時間前に入れた連絡の返答が帰ってないんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それって……!」

『何かあったのかもしれない』

「合流地点は街外れの工場跡だったよな!?」

『頼む。直ぐに向かってくれ』

 

通信を切ると、竜二はバイクのアクセルを踏む。

道路脇から道の中央に入り、そのまま加速する。

 

(…………!)

 

嫌な胸騒ぎが竜二を支配していた。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・見滝原市郊外、工場跡地。

 

 

 

日が落ちて既に時が経っており、工場跡の建物は不気味な雰囲気を出している。

そこに竜二が踏み込むと、まず感じたのが強い血の匂いだった。

 

(…………!!)

 

 

 

目的:工場跡を探索する。

 

 

 

ボストンバッグを下ろし手早く装備を身に付けると、周囲を警戒しながら一歩ずつ奥に踏み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

工場の中はまだ撤去が進んでいないのか、廃材や機械が多く残っている。

月明かりが窓から差し込むだけで、工場の中はかなり暗い。

 

 

 

 

 

 

 

 

ライトを点けた竜二が、その中をゆっくり進んでいく。

 

(何処だ……!)

 

一歩進む強くなる血の匂いをたどって行くと、やがて床に何かが倒れているのに気付く。

そこをライトで照らす竜二。

 

「……おい!?」

 

倒れていたのは、サラリーマン風の男だった。

直ぐに近寄って生死を確かめようとして、

 

「……クソッ」

 

思わず目を背ける。

 

 

 

 

 

 

 

サラリーマン風の男の胸には、大の大人の拳が通るくらいの大穴が空いていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ジョージ、彼を見つけた。死んでる」

『……そうか』

 

ジョージは気を落とすが、直ぐに状況を聞き出す。

 

『死因はどうなってる?』

「胸に拳大の穴が空いてるな。ただ、……これは銃による物ではないぞ」

『だとすると……“B.O.W.”か?』

「恐らく。だけど……」

 

近寄って抱き起こし、傷の様子を確かめる竜二。

 

「穴の大きさが一定のまま、背中まで貫通してる。爪なんかが突き刺さった訳じゃなさそうだ」

『触手か槍か何かが刺さったのかもな』

「有力なのはそこら辺だが……」

 

辺りをライトで照らす竜二。

そして、手掛かりを見つける。

 

「工場の機材にも同じ大きさの穴が空いてる」

『機材ごとブッ刺したのか。』

「でも、何か引っかかるんだよな……」

 

機材の穴に近づく竜二。

ふと、何かに気付く。

 

「……濡れてる?」

 

確かめるために手を伸ばしかけた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

背後から気配を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(!!)

 

咄嗟に体を横に逸らす竜二。

今まで頭が有った位置を何かが高速で過ぎ、拳大の穴を機材に空ける。

 

「何だ!?」

 

振り返ってライトで照らすが、何もいない。

 

「ジョージ! 襲撃された! 戦闘に移る!!」

『了解!! こちらで付近を封鎖しておく! 存分に暴れてくれ!!』

 

 

 

目的:襲撃者を倒す。

 

 

 

通信を切ると、ベレッタを取り出す竜二。

 

「何処に隠れてる……!!」

 

呟きながら、周囲を隈なく照らす。

 

「ジャアアアアアアアアア!!!」

「!!」

 

叫び声と共に右から何かが振り落とされる。

寸前で躱した竜二が目にしたのは、

 

(尻尾!?)

 

大きな黄色い尻尾だった。

ただ、その上部には鰻のヒレの様な皮膜が付いている。

竜二が銃を向けるより早く、尻尾は素早く動いて廃材の裏に隠れてしまう。

 

「待て!!」

 

追いかけた竜二が裏に回り込むが、見失ってしまう。

 

「すばしこい奴だ……!」

 

今度は左から気配を感じる。

地面に転がる様にすると、高速で飛来した何かが工場の床を抉る。

 

(なんっつう威力だ……!!)

 

立ち上がった時には、既に気配は消えていた。

竜二は抉られた床を注視する。

 

 

 

 

 

 

(やはり……!)

 

 

 

 

 

 

床の穴には液体が溜まっていた。

確信を持って、竜二は通信機を掴む。

 

「奴の攻撃は水だ。あいつは水圧カッターで殺されたんだ!」

『水圧カッターだと……!? そんな攻撃手段のあるB.O.W.は前例が無い!!』

「間違いないな……! コイツこそが“新型”だ!!」

 

辺りを隈なく警戒しながら、竜二は続ける。

 

「恐らく、取引を嗅ぎ回るネズミを払うつもりで放たれたんだろう。連中、なかなか粋な事をしてくれる……!」

『あいつはここまでやって来て、新型に殺られちまったという事か……!』

 

静まり返った工場内を、竜二は慎重に進む。

 

「さて、問題は“新型”をどう倒すかだが……」

『……奴の武器は水圧カッターだろう? それだけの水の供給が必要なはずだ』

「いきなり冴えてるな。ただ、体に蓄えてるんじゃあ、あの速さは説明できないぞ」

 

後ろから気配。

同じように転がって躱そうとする竜二。

だが今回は、相手が上手だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

新型は右から左になぎ払うように水流を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

(ッ!?)

 

転がっていた竜二には躱す手段がないように思われたが・・・、

 

「……ジャア?」

 

捉えたはずの相手がそこにおらず、新型は間の抜けた声を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Over here(こっちだ)

 

その声は、“天井”から響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上を見上げた新型に、短機関銃“H&K MP5”の弾が降り注いだ。

 

「ジャアアアアアアアアアアアアア!?」

 

頭部を撃たれ悲鳴を上げると、新型は身を翻して暗闇に姿を隠す。

 

『……どうだった?』

「姿を確認出来たよ」

 

“天井の梁”に左手でぶら下がった竜二は落ち着いた感じで言う。

 

「ベースは蛇。大きさまでは分からなかったが、15メートルは下らないだろう。右の牙の付け根に大きな穴があった。あれが発射口と見て間違いないな」

 

 

 

 

 

語る竜二の両目の瞳に赤い血管が浮き出始める。

 

 

 

 

 

『蛇となると、毒がある可能性が高いな』

「今回は低いかもしれない。あの穴の位置は毒腺の所だ。そこが水のタンクになってるかもしれない。……左の方は分からんが」

 

 

 

 

 

中心の細い一部を残して、赤い血管は竜二の黒い瞳を覆い尽くす。

 

 

 

 

 

「だけど、これで一つハッキリしたな」

『何がだ?』

「水圧カッターの水源だよ。頭部や胴体は割と細かったし、あれなら狭い穴でも入り込めるだろう」

『……下水道……!!』

「ご名答」

 

 

 

 

 

爬虫類のようになった両目が、闇に赤く輝き出す。

そのまま天井の梁を離して、竜二は地上に降りる。

 

 

 

 

 

「恐らく、サラリーマンも不意を討たれたんだろうな・・・・・・。背後のマンホールから飛び出して、水圧カッターで一撃」

 

 

 

 

 

かなりの高さから落下したのに、何でも無いように竜二は歩き出す。

 

 

 

 

 

「ただ、種はもう割れた」

 

 

 

 

 

向かう先は先程まで新型がいた場所。

撃たれた為に地面に残った血溜りに竜二は右手を置く。

 

 

 

 

 

「奴の“特異性”も、これで割れた」

 

 

 

 

 

血溜りの血が、“その右手に吸い込まれていく”。

 

 

 

 

 

「後は、奴を片付けるだけだ」

 

 

 

 

 

血を吸い切った右手を離して、竜二は言う。

 

 

 

 

 

『でもどうする。下水道なんて何処に潜んでいるか分からんぞ』

「この際、背に腹は変えられん」

 

蓋の開いたマンホールを見て、竜二は言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“アイツ等”を呼ぼう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、工場の入り口に潜んでいた誰かが去っていったのには、彼等は気付かなかった。

 

 

 

 

 




B.O.A.です。

チャプター2始動しました。

今回登場したB.O.W.は完全にオリジナルです。
予定では後2~3体ほどオリジナルが出る予定です。
勿論それ以外も出ますが、少しいじったりするつもりです。




廃工場BGM~バイオハザード ディジェネレーションより「Breakthough」
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