S級ヒーローの中にハジケリストたちがいる。   作:にゃもし。

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進撃のマルゴリ

  

 

本来なら人で賑わっているであろう繁華街。しかし今は人の気配が感じられず、まるでゴーストタウンのように静まり返っている。その道路のど真ん中で仁王立ちする大小様々な影が四つ。

 

 

「あれがマークしていた筋肉兄弟なのか、イナズマックス?」

 

 

一番大きな影――ボーボボが傍らにいるイナズマックスに確認を取る。それもそのはずヒーロー協会がマークしていた兄弟は人間。少なくとも身長200メートルを越す者を人間とは呼ばない。そして件の巨人は彼らの視界の遥か先、山間の合間を縫ってこちらに向かって歩を進めている最中だ。

 

 

「おそらく兄が弟を改造、もしくは危険な薬品を使用したんだろう」

 

 

ところてんの肉体を持った限りなく不死に近い男、天の助が憶測を立てる。事実、兄が作った薬品を弟が飲んで怪人――巨大化したのだ。

 

 

「どちらにしろ俺たちがあの巨人を止めることに変わりはない!」

 

「首領パッチさん、止めるったってどうやって止めるんですか?」

 

 

意気込む首領パッチに水を指すようにイナズマックスが質問する。当然と言えば当然だが、そんなイナズマックスに対してボーボボは何か確信でもあるのか自信満々に答える。

 

 

「大丈夫だ。私にいい考えがある」

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘による被害を極力減らすために街の入り口付近に移動したボーボボ一行。迫り来る筋肉兄弟を前にしてボーボボは拡声器片手に警察官の制服を着用、首領パッチは中年の女性、天の助はメガネにスーツ姿で待ち構える。

 

 

『――犯人に告ぐ、それ以上の進行を直ちに止めなさい。あなたたちの両親が泣いてるぞ?』

 

 

ハンカチで目元を拭いながら啜り泣く首領パッチにそっと抱き締めて慰める仕草をする天の助。

 

 

「イヤイヤ、無理でしょ!? コレ!」

 

 

――とイナズマックスが手をパタパタと振るが…

 

 

「パパン? ママン?」

 

 

巨人は彼らの前で足を止めて、確かめるように声をかける。

 

 

「めっさ、騙されてる!?」

 

 

あの変装で騙せるとは思ってなかったイナズマックスは至極驚いた。

 

 

(――でも、これであの巨人と戦わずに済むんだ。儲け物と考えた方がいいな…)

 

 

イナズマックスが内心で考えを改めると、いつの間にか筋肉兄弟の兄――フケガオが地面に降り立っていた。

 

 

「騙されるな弟よ! そいつらは偽者だ!」

 

 

怒りで顔を赤く染め上げる兄は女装した首領パッチ、その唇を指差して…

 

 

「よく見ろ! こいつは口紅が濃い!」

 

「判断基準、そこ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念だったな…よくできた変装だが、この私を騙せるほどではない」

 

 

勝ち誇った顔でボーボボたちを「ウキョキョキョ」笑うフケガオ。それに対して悔しそうに顔を歪ませるボーボボたち。

 

 

「やってしまえ弟よ! 我々、兄弟を騙そうとしたコイツらを痛めつけてやれ!」

 

 

兄の号令の下、雄叫びを上げながら巨大な拳を振り下ろす弟のマルゴリ。ボーボボたち三人は避ける間もなく拳の直撃を受けて下敷きになる。

 

 

「ボーボボさん!?」

 

 

身を案じたイナズマックスの呼びかけに応じて拳の下から這い出る三人。しかし、その体は一枚の板のように潰されていた。

 

 

「スゴいぞ、S級が束になっても敵わない! 我々、兄弟を止めることができる者はいないぞ!」

 

「はたして、そうかな?」

 

 

ぺらぺらになった体を起こして立ち上がるボーボボたち。

 

 

「弟の攻撃をまともに受けて死ななかったのは流石だが、その身体で一体何ができるというのだ?」

 

 

自分たちの勝ちを揺るぎないと確信したフケガオはボーボボたちに嫌らしい笑みで問う。

 

 

「いや、まだだ! 今の俺たち、三枚の板だからこそできる事があるハズだ! 考えろ! 今の俺たちにできる事を! 行くぞ、首領パッチ! 天の助!」

 

 

ボーボボが叫び二人が頷くと首領パッチ、天の助、ボーボボの順に空中に縦一列に浮かび上がり、光が迸る。

 

 

『真ゲッター1、参上!!! なんとかギリギリ足りたぜ!』

 

 

光が収まるとコウモリのような羽を持った赤と白のツートーンカラーのロボットが誕生した。

 

 

「ボーボボさん! どう見ても板三枚じゃできませんよ、それ!」

 

 

『構わず、ゲッタービィィィ――――ッム!!!!』

 

 

ロボットのお腹から淡いピンク色の光の束が発射され、マルゴリの巨体に直撃、巨人の姿が跡形もなく消失。いや、クレーターの中心に人影――元の姿に戻ったマルゴリが力なく頭を垂らしていた。そこに合体を解いたボーボボが近づいていく。

 

 

「マルゴリよ、お前と拳を合わせてわかったぞ。お前の先程の巨人の姿はお前の望んだ姿ではないことをな…」

 

「ボーボボさん…」

 

「大方、お前の兄が喜ぶから実験に付き合ったのだろう。正直、お前にとっては兄の望みなど二の次じゃなかったのか?」

 

「……………………」

 

「だがそれは大きな間違いだ。家族なら間違ったことをしたなら叱ってやれ、本当に家族を思う気持ちがあればな…幸い、人的被害は出てなかったようだし、大きな罪にはならないだろう」

 

 

マルゴリに背を向けるボーボボ。その先には弟の元へと駆けつけてきたのであろう息を切らしたフケガオが立っていた。

 

 

「ただしフケガオ、お前はダメだ!」

 

「ぎゃぁぁ――――っ!?」

 

 

二本の鼻毛をムチのように長く伸ばしてフケガオを十字に交差するように打ち付ける。

 

 

「「ええ――――っ!?」」

 

 

「ちょっとボーボボさん!? 何でうちの兄さんを!? 大きな罪にはならないだろうって言ったばっかりじゃないですか!?」

 

 

「うきょきょきょが腹が立つんだよ、あと何かキモい。ヘドが出るぜ」

 

 

ペッと地面に唾を吐いて悪態をつくボーボボ。

 

 

「「ヒデぇー!!!!」」

 

 

こうして巨人襲来事件は幕を閉じた。

 

 




 
 (´・ω・)にゃもし。

 ここまで読んでくれて、Thank You
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