Zero and heroic king   作:river01

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この話より、作者の独自設定による、原作に無いオリジナル要素が物語に組み込まれていきます。

原作とは一切関係のない作者の妄想ですので、間違ってもオフィシャルなどとは思わないでください。

以上の事を許容できる方は、どうぞお楽しみください。(すでに拝読されている方は、今さらですいません)


王と盗賊

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“『闇水晶』、確かに領収しました”

 

 

その一言を残し、トリステイン魔法学院の宝物庫より目的の物を盗みおおせたフーケこと、ミス・ロングビルは、学院より離れた小屋の中で、盗みだしたその品を眺めていた。

 

 

しかしそこに浮かぶ表情は、歓喜ではなく困惑だった。

 

 

「なんだい、これは・・・?」

 

 

小振りな宝箱の中に入った、学院の秘宝だという『闇水晶』は、秘宝と呼ぶには反応に窮する外見をしていた。

 

 

例えるなら、それは形をなした闇そのもの。

 

石炭などの物質よりもなお深く黒いそれは、見ているだけで嫌悪感を覚える。

 

球体の石のような形をし、向き合う自分に奇妙な焦燥のようなものを沸き上がらせていた。

 

 

「ったく、こんなもののどこが秘宝なんだい」

 

 

ただフーケが何より気にするのは、外見の不気味さよりも宝としての価値だ。

 

 

学院の秘宝と聞き、おまけに水晶などと名前が付けられた『闇水晶』を、フーケはよほど高価な宝石の類と予想していた。

 

 

だが、いざ盗み出してみればこれだ。

 

 

こんな不気味な代物、いかに魔法学院の秘宝という触込みがあろうと、高値で欲しがるキチガイな人物がいるとは思えない。

 

あれほどの潜入時間とセクハラのストレスに耐えた結果がこれでは、まったくもって割に合わなかった。

 

 

「大体、何に使うのよ、これ」

 

 

そう呟いて、フーケは何気ない仕草で箱の中の『闇水晶』へと手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予想外の出来事に中断となった春の使い魔品評会より、一夜をあけた翌日。

 

 

森の道を進む、屋根の無い、荷車型の馬車の上には、四人の人物が乗っていた。

 

 

ルイズにキュルケとタバサ、そしてギルガメッシュである。

 

 

「・・何でアンタまで付いて来てるのよ」

 

 

憮然とした表情で、ルイズは隣に座るギルガメッシュに尋ねた。

 

 

フーケによって秘宝を盗み出された学院は、その権威に大きな傷跡を付けることになった。

 

その汚名を返上すべく、この不祥事を身内の手で、すなわち自分たちの力でフーケを捕えることを学院長オールド・オスマンの名のもとに宣言された。

 

 

だが実際に有志を募る段になって、教師の誰も手を上げようとしない。

 

メイジといっても、彼らは軍人ではないのだ。

 

例えそれがトライアングルクラスであろうと、本当の実戦経験のある者などごく僅か。

 

 

そして相手は、最近トリステイン中を騒がす、高名な盗賊メイジ。

 

特に目撃者の情報にあった、三十メイルのゴーレムの存在に、皆委縮していたのだ。

 

 

誰もが杖を掲げることを躊躇う中、やがて我こそは志願せんと杖を掲げる者が現れた。

 

だがそれは教師ではなく、事件の目撃者ということで呼び出されていたルイズであった。

 

 

そしてルイズが手を上げると、好奇心から付いてきていたキュルケも対抗して手を上げ、そのキュルケを心配して、親友のタバサも志願した。

 

 

生徒にそのような危険な任務を任せることに、反対する意見も出たが、代わりに名乗りでようとする者もおらず、結局その三人に任されることになった。

 

 

そうして今に至る訳だが、ギルガメッシュの同行だけはルイズが言いだしたことではなく、本人自らが申し出てのことだった。

 

 

「何だ?我が付いて来ては不満か?」

 

 

「そういうわけじゃないけど・・・。アンタがわざわざ盗賊探しなんてするとは思わなかったから・・・」

 

 

「当然だ。我の宝物庫に手を出したのならばともかく、雑種共の罪科などこの我が自ら裁くことか」

 

 

「じゃあ、何でよ?」

 

 

「退屈だったからな。それに、『闇水晶』とやらにも少々興味が沸いた」

 

 

王であると同時に、この世のすべての宝を集め抜いた収集家でもあるギルガメッシュ。

 

秘宝と聞いては、好奇心を抱かずにはいられないのが彼の性であった。

 

 

「アンタ・・・まさか取り返した秘宝をネコババするつもりじゃないでしょうね?」

 

 

「気に入ったならば、な。それが真に秘宝足り得る価値を備えておれば、我が財に加えるのも悪くない」

 

 

「何言ってんのよ!!『闇水晶』は学院の秘宝なのよ。取り返したら、ちゃんと返すに決まってるでしょうが!!」

 

 

「フン、知らんな。欲した物は即、手にするが我の流儀。ましてそれが己の不徳で賊如きに奪われた財など、所有権の所在を問うまでもない」

 

 

「さすがダーリン♪強引で素敵だわ」

 

 

「アンタは黙ってなさい!!」

 

 

仮にも国を騒がす大盗賊を捕まえに行くというのに、一行には緊張感というものが欠片も無かった。

 

 

「ところでタバサ。方角はちゃんと合ってるの?」

 

 

そのように騒ぐ三人を尻目に馬の手綱を握るタバサへ、キュルケは声をかけた。

 

 

「近づいてる」

 

 

答えるタバサが見つめるのは、糸の先にペン先のように尖った鉱石が付けられた、振り子のような器具だった。

 

その鉱石が、あたかも磁石のように反応し、それが引き寄せられる方向へと彼らは進んでいるのだ。

 

 

この道具は、出発の際にオスマンが渡してくれた物である。

 

 

「『闇水晶』は我が学院の秘宝中の秘宝じゃ。万が一、こういう事態に備えた手立ても打っておる。これの反応を辿れば『闇水晶』の、すなわちフーケの居所まで辿り着くじゃろう」

 

 

オスマンの言葉の通りの役割を、この道具は示した。

 

吊るされた鉱石は進行方向に対し敏感な反応を見せ、十分な指針となって一行を導いていた。

 

 

そして馬車は進み、やがて一向は森のさらに奥へと続く小道に差し掛かった。

 

その時、タバサの手にする振り子が、吊るす彼女の指が痛く感じるほどの強い反応を、森の奥に対して示した。

 

 

「多分、この先」

 

 

これ以上の道は馬車では通れない。

 

一行は馬車を降りて徒歩にて行軍を再開した。

 

 

「けど、もし実際にフーケと遭遇したら、その時の作戦とかはどうするの?」

 

 

歩を進めながら、ルイズがふとそんなことを口にする。

 

 

「いらないでしょ、そんなの。ダーリンがいれば、ゴーレムなんて敵じゃないし」

 

 

「当然だな。雑種の傀儡如きに、巡らすべき策など持ち合わせておらん。我が行く手を阻むならば、ただ粉砕するまでのことよ」

 

 

あっけらんと答えるキュルケに、ギルガメッシュが不敵な笑みを浮かべて同意する。

 

 

その二人に、ルイズはやや憮然としながら反論した。

 

 

「・・・慢心はよくないわよ」

 

 

何とかそれだけ言ったルイズだったが、実際彼女もギルガメッシュがフーケに敗れるとは全く思っていない。

 

 

自身が召喚したこの男の力を目の当たりにした今となっては、もはやこの男が負ける光景というのが、まるで思い浮かんでこない。

 

事実、昨日もフーケの繰り出した破格のゴーレムを、いとも容易く一蹴してみせた。

 

フーケはおろか、このハルケギニア全土から見ても、ギルガメッシュに対抗できる存在が、ルイズには思いつかなかった。

 

 

「ねえ、何か臭わない?」

 

 

と、思考に耽っていたルイズは、キュルケのその言葉で現実に引き戻された。

 

 

「ヤダ、ホントに臭ってきたわよ。鼻が曲がりそう」

 

 

「・・・何かが、腐ってる臭い」

 

 

もはや全員が確かに感じ取れる、鼻を突く異臭。

 

それはタバサの言ったとおり、物体の腐敗臭だった。

 

 

「何よこれ。近くで動物の死体でも転がってるの?」

 

 

「・・・近い」

 

 

異臭と、振り子の反応の両方を指して、タバサは漏らす。

 

異臭がもたらす妙な雰囲気に、一行はやや緊張に身を硬くして、歩みを進めていく。

 

 

そして一行は、森の奥の木々が空けた空間へと辿り着いた。

 

 

「なに、これ・・・!?」

 

 

目の前の光景に驚愕して、ルイズが呆然とそんな事を言った。

 

驚愕はルイズのみのものではなく、キュルケやタバサも同様。

 

そしてギルガメッシュも、この光景には心底の不快感を顕わにしていた。

 

 

自分達の目の前に広がる光景、それは辺り一帯に広がる黒い“沼”だった。

 

 

目にしているだけで吐き気を催す、暗色の黒に染まった、ドロドロと蠢く何か。

 

およそ汚れという概念においてこれ以上は無いと言える、暗黒の泥がこの場の空間を支配している。

 

 

見れば、その泥が広がる先では、そこにある物質がことごとく腐っている。

 

それは土であり、草木であり、恐らくはここに生息していた動物たちも、この泥によって腐り落とされ、飲みこまれていったのだろう。

 

 

先ほどから感じていた腐敗の異臭の正体はこれだったのだ。

 

 

「・・反応してるのは、ここ」

 

 

目の前の泥にぐいぐいと鉱石を傾ける振り子に、タバサがそう言った。

 

 

「これが、『闇水晶』っていう奴の力なの・・・?」

 

 

呆然とルイズがそう漏らした、その時だった。

 

 

空き地全体に広がっていた泥の沼が、目に見える勢いで急速に退いていく。

 

退きあがっていく泥は、広がっていた面積を狭めるのに比例して、その質量を縦へと引き延ばしていく。

 

泥はやがて明白な塊となって、徐々にその形状を確かなものへとしていった。

 

 

そして泥が変態を終えた時、腐り果てた大地の上に、黒く蠢く泥の巨人が立ちあがっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フーケの、ゴーレム・・・?」

 

 

目の前に立ちあがったその泥の巨人の形を、ルイズは知っていた。

 

三十メイルという破格の大きさ、上半身が妙にずんぐりとした出で立ち、そのシルエットは間違いなく昨日この目にしたフーケのゴーレムだった。

 

 

ただ決定的に違うのは、その身体を構成している物体だ。

 

 

土で構成されていたはずのゴーレムは、今はその全身を暗色の泥によって形造っている。

 

まるで蛆虫のようにおぞましい蠢く泥によって作り上げられたそのゴーレムは、昨日のそれとは全く異なる種類の圧迫感をルイズ達に与えていた。

 

 

「醜い・・・」

 

 

皆がその異形のゴーレムに畏怖する中、ただ一人ギルガメッシュだけは、はっきりとした嫌悪感をその顔に表していた。

 

 

そんなギルガメッシュの表情を、ルイズは初めて見た。

 

これまでにもギルガメッシュは、自身の感情を自粛などすることなく、ありありと周囲に知らしめてきた。

 

それは快楽であり、殺意であり、怒りであり、無関心でありと、多様に分かれる。

 

 

だがしかし、ここまで相手の存在そのものを全否定しているかのような嫌悪は、今までも浮かべたことが無かった。

 

 

「その汚らわしさ、もはや在るだけでも不快が過ぎるぞ」

 

 

泥のゴーレムを睨みつけ、ギルガメッシュが手を上げる。

 

王の求めに応じ、空間の門より無数の宝具が出現する。

 

 

それらの宝具が迸る魔力に触発されたのか、佇むだけだったゴーレムがルイズらの元まで真っ直ぐに突進してきた。

 

 

踏みしめる毎に大地を腐らせ迫る異形の巨人に、ルイズ達は押され、思わず後ずさった。

 

 

「汚物が。この我に寄って来るな!!」

 

 

しかしギルガメッシュのみは、突進してくるゴーレムに対し堂々とその場に留まって応じ、怒声と共に展開した宝具を解き放った。

 

 

ゴーレムに振りかかる、無数の宝具による絶対破壊の洗礼。

 

昨日はその身を一瞬の内に灰燼に帰した輝ける宝具の雨が、再びゴーレムへと襲いかかった。

 

 

「なんだと・・・っ!?」

 

 

しかし、上がった驚愕の声はギルガメッシュのものだった。

 

 

迫りくるもはや汚物と化したゴーレムを粉砕するべく撃ち放たれた宝具の一斉掃射は、ゴーレムの液状のような身体を弾けさせ穿つ。

 

だが次の瞬間には、ゴーレムはまさに泥の如き特徴を見せて、あっさりと穿たれた箇所を元の形状へと戻してしまったのだ。

 

 

このゴーレムは、まさに泥だ。

 

例えどれほど破壊力の秘めた一撃であろうと、液状物質故の流体性ですべて素通りしてしまう。

 

解き放たれた宝具のどれもが、その矛先に確かな標的を捉えることはなく、ただゴーレムの泥の身体を通り過ぎただけだった。

 

 

そして、宝具の雨を受けながら全くその進行速度を緩めなかったゴーレムの拳が、ギルガメッシュに突き出された。

 

 

「ちぃ」

 

 

即座に鎧をその身に纏い、ギルガメッシュは両腕を交差して防御の姿勢を取る。

 

そこに、巨大なゴーレムの漆黒の拳が直撃した。

 

 

「ぐうっ!」

 

 

繰り出されたその拳は、泥とは思えぬほどに重い。

 

その圧力の押され、ギルガメッシュはその身を大きく後退させた。

 

 

「なにっ!?」

 

 

自らの鎧を目にし、ギルガメッシュは驚愕の声を上げた。

 

 

あの泥のゴーレムの拳を受けた箇所の鎧の表面部分。

 

そこの見るも輝かしかった黄金が、無残な赤錆色に変色しているではないか。

 

 

これまでいかなる魔法でも傷一つ付かなかったギルガメッシュの黄金の鎧。

 

しかしあの腐食の巨人の泥は、その至高の鎧でさえも腐食させる威力を備えているのだ。

 

 

汚物に触れられ、更に自慢の鎧を穢されて、ここにきてギルガメッシュの嫌悪の表情は鬼相の域へと達していた。

 

般若の如き鬼の形相を以て、目の前の汚物を睨みつける。

 

 

しばしの間、その眼光でゴーレムを射抜き続け、しかしやがてギルガメッシュはゴーレムに対して背を向けた。

 

 

「退くぞ」

 

 

忌々しげにギルガメッシュの口より漏らされたその一言。

 

よもやこの男の口より“撤退”の二文字が出てくるとは思っていなかったルイズは仰天した。

 

 

「ひ、退くって、何で―――」

 

 

「なぜも何もあるか。見よ」

 

 

そう言ってギルガメッシュが指し示したのは、先ほどゴーレムの身体を貫通し、通り抜けた先の大地に突き刺さる宝具たち。

 

だがそれらの至高の逸品たる武具たちも、ゴーレムの身体に触れた今では、鎧と同じく著しく劣化し、無残な姿を曝していた。

 

 

「これ以上、あのような汚物の相手のために、我が宝具たちを穢すなど我慢がならん。もはや目に映しているのも忌々しいわ」

 

 

「でも、そしたらあのゴーレムはどうするのよ?」

 

 

泥のゴーレムを指して、ルイズは問うた。

 

指す先に肩越しのみで振り返ると、ギルガメッシュは侮蔑も顕わに鼻を鳴らした。

 

 

「放っておけ」

 

 

「ほっとくって―――」

 

 

「あの汚物に触れられた瞬間に分かったが、あれは『闇水晶』とやらの影響だ。あの汚物は『闇水晶』が核となって、形無き形骸を保っている。

 

しかしその『闇水晶』を発動させるには、意思ある人間の存在が不可欠だ。今回の場合は恐らく盗賊であろうが、それがいなくなればあの汚物は瓦解する。

 

間接的な接触であったため、それ以上の詳細は分からなかったがな」

 

 

ギルガメッシュの額に宿った『ミョズニトニルン』のルーン。

 

それは自身が触れたあらゆる魔法物質を理解する効果を秘めている。

 

その効果が、繰り出された拳を通じてギルガメッシュに泥のゴーレムの性質を教えていたのだ。

 

 

「あれは何かを取り入れているわけではない。ただ腐食を撒き散らすだけの存在だ。当然何の養分も得ておらんのだから、ほどなく寄り代の人間は死ぬ。まあ二、三日も放置しておけば自滅するであろう」

 

 

「二、三日って・・・!?」

 

 

その期間の長さに、ルイズは愕然とした。

 

 

「この近くには村だっていくつもあるのよ。あんなものを二、三日も放置してたら、とんでもない被害になるわ」

 

 

今も辺りをフラフラと徘徊する泥のゴーレム。

 

一度はこちらに猛然と襲いかかって来たそれは、すでに自分達のことなど忘れてしまったように見向きもしない。

 

 

走り出したと思ったら、唐突に止まり、木々をなぎ倒しては、また元の場所へと戻る。

 

その行動には一貫性というものがなく、目的といえるものがまるで見受けられなかった。

 

 

だが、だからといって安心出来る筈がない。

 

あの汚物の巨人が、何かの気まぐれで街にでも下れば、それこそ大惨事だ。

 

 

そんなものが目の前にあるというのに、ただ放っておくなどという行動を、ルイズは推奨出来なかった。

 

 

「お願い、何とかして!!アンタの宝具っていうのをもっと出せば、あんな奴―――」

 

 

「たわけがっ!!」

 

 

腕に縋り付いて懇願するルイズに、元より不快の極みにあったギルガメッシュは憤怒の一喝を放った。

 

 

「我が蔵の至宝を、雑種共のための柵として用いろと?あなどるな、ルイズ。我が蔵に眠りし宝は、一国にも勝る価値を備えた逸品ばかり。それをあのような汚物のために、浪費など出来るかっ!!」

 

 

先は宝具の一斉掃射を容易く受け流したゴーレムであるが、ギルガメッシュがその気になれば、その存在を今すぐに滅ぼすのは不可能ではない。

 

彼の宝の蔵の奥底に眠る秘蔵の一刀の一撃を以てすれば、あの泥のゴーレムとて微塵もその存在を残すことなく無へと帰するだろう。

 

 

しかし、彼の秘剣がその威光を知らしめるべきは、真に彼が格を認めた好敵手のみ。

 

断じてあのような穢らわしい汚物如きではあり得なかった。

 

 

「行くぞ」

 

 

もはやにべもなく、ギルガメッシュは告げる。

 

 

この場より立ち去っていくギルガメッシュに、やがてキュルケとタバサも躊躇い気味ながらも従っていく。

 

 

彼女たちとて、ルイズの言葉には後ろ髪を引かれる思いがしないわけでもなかったが、しかし彼女らは同時に戦というものを心得ている。

 

ギルガメッシュが撤退の意志を明確にした以上、もはや自分達ではあの泥の巨人をどうすることも出来ないと冷静に弁えているのだ。

 

 

そう、彼女たちは自分の力量を確かに弁えていた。

 

 

「嫌よ」

 

 

ただ一人を除いては。

 

 

「何?」

 

 

「もういいわ。アンタには頼まない。あいつは、私が何とかしてみせる」

 

 

杖を抜き凛然と立ち、ルイズは目の前のゴーレムに向き合う。

 

そのルイズを、ギルガメッシュは呆れきった目で見つめた。

 

 

「本気か?お前如きが蛮勇を振るったところで何になる?」

 

 

「そうかもしれない。けどね」

 

 

答えるルイズの言葉には、怯えも震えもなかった。

 

 

「私は貴族よ。アンタはどうかは知らないけど、真の貴族っていうのはね、力を持ちつつも、それに奢ることなく、力無き者達もため、勇敢にその力を振るえる者のことを指すの。

 

ましてこれは、学院が撒いた問題よ。そして私は、それを解決するために志願した。その私が、勝てないからって真っ先に逃げ出すわけにはいかないでしょ」

 

 

常に貴族たらんとする。

 

それは魔法の使えないルイズにとって、自分が貴族であることを証明する唯一のものだった。

 

 

トリステイン切っての名家ヴァリエール家の三女として生まれながら、魔法が使えないルイズは昔から皆に馬鹿にされ続けてきた。

 

両親や教師は才能溢れる姉たちと見比べ落胆し、平民の使用人たちからはその才能の無さに同情される。

 

そんな屈辱の毎日を送り続け、しかしルイズは弱気に走ることなく、むしろ魔法が使えない分、一層貴族たらんと生きてきた。

 

どんなに悔しくても、他者より誇りを持ち、貴族であることを重んじ、プライドに高く、そして高潔な在り方を貫いてきた。

 

 

そんな生き方をしてきたルイズが、今まさに貴族としての在るべき姿を問われている。

 

ここで逃げれば、自分はただ我が身大事に貴族が守るべき民たちを見捨てたということになる。

 

 

魔法の無い自分が、貴族としての在り方までも失ったら、本当になにも残らない。

 

その思い故に、ルイズはこの目の前の脅威に対して、無駄と理解しつつも、立ち向かう道を選んだのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決意を胸に、ルイズは杖を振るう。

 

唱えた呪文は『ファイヤーボール』だったが、やはり起きたのはいつもの爆発。

 

 

昨日の通常だったゴーレムにすら通じなかったそれで、この穢れの巨人に通用するはずがない。

 

それがこの場の者達の共通見解であり、本人でさえ実際に効果があるとは思っていなかっただろう。

 

 

「む・・・!」

 

 

そう思っていただけに、ギルガメッシュは爆発に対するゴーレムの反応に眉を顰めた。

 

 

これまで、彼の宝具の一斉掃射を受けてなお意に介さなかったゴーレムが、生じた爆発に対しては明らかな反応を見せた。

 

直撃もしていない、ただ眼前で起きた爆発に、ゴーレムはまるで怯んだかのように後ずさったのだ。

 

事実、まるで目的の定まっていなかったゴーレムが、今度は爆発を起こしたルイズへと狙い定めて直進している。

 

 

毒々しく蠢く泥を纏う三十メイル級の巨人が迫る中、なおも退かずにルイズは立ち塞がる。

 

戦闘の技術を学んでいないルイズには、こうして逃げずに意地を示すこと以外にやり方など無かった。

 

 

やがてルイズの眼前まで迫ったゴーレムが、その巨大な拳を振り上げる。

 

その拳がまさにルイズを捉えんとした時、その首根っこをギルガメッシュが掴み、彼女の身体を引き上げた。

 

 

「ぐえっ!」

 

 

ルイズの首根を掴んだまま、ギルガメッシュはゴーレムから逃れるように飛び退き、更にもう一度跳躍してその距離を離す。

 

そうして標的が離れてなお、ゴーレムは迷うことなくギルガメッシュ、あるいはその手にあるルイズへと向かってきた。

 

 

「フン、随分と拘るではないか、汚物。どうやら相当にあの爆発が忌まわしいと見える」

 

 

笑みを浮かべそう言いながら、ギルガメッシュの双眸に再び殺意の意志が宿る。

 

 

一度は自身の宝を汚すだけしかない行為の馬鹿らしさに放置を決定したギルガメッシュであったが、自分の身にその穢れた手で触れるという最上の不敬を働いたあの汚物は、もはや一秒たりとも現世に留まらせておきたくないという考えも、また本音である。

 

自身の宝を汚すことなくあれを抹殺出来るなら、それに越したことはない。

 

 

「おい、ルイズよ」

 

 

「・・・・・」

 

 

「ん?」

 

 

反応がないルイズに、ギルガメッシュは怪訝そうに自分の手に掴まれるルイズを見た。

 

 

「きゅー・・・」

 

 

英雄の力によって思い切り首根っこを引っ張られ、その首を締め上げられたルイズは、完全に落ちていた。

 

 

「フム・・・」

 

 

白目むくルイズの顔を、ギルガメッシュは自分の顔元まで持ってくる。

 

 

そして―――

 

 

ビタンビタンビタンビタンビタンビタンビタンビタンビタンビタン

 

 

「ハッ!」

 

 

「目覚めたか、ルイズよ」

 

 

「ギルガメッシュ!?な、何故かしら。なんか両頬がものすごく痛いんだけど」

 

 

「気にするな。今気にすべきは、あれだ」

 

 

そう言って、ギルガメッシュはルイズの後ろを指し示す。

 

そこには、中途にある木々を悉く腐り散らせながら向かってくるゴーレムの姿があった。

 

 

「あれを滅ぼしたいのだろう?お前の滑稽な諦めの悪さに免じて、今一度手を貸してやる」

 

 

「滑稽って・・・、私は貴族としての誇りのために―――」

 

 

しゃべるルイズを遮り、ギルガメッシュはもう一度跳躍してゴーレムとの距離を作る。

 

そして虚空より、一本の宝剣を取り出した。

 

 

「この一本のみ。我はあの汚物の駆除に、この剣のみを用いる」

 

 

「一本?一本だけであいつを倒せるの?」

 

 

「無理だな」

 

 

あっさりと答えるギルガメッシュに、ルイズは思わずコケた。

 

 

「先ほども言ったが、あれを滅ぼすにはその存在を繋ぎとめる核を破壊する必要がある。だがその核の位置が、あの泥に阻まれ把握出来ぬのだ」

 

 

「じゃ、じゃあどうするのよ?」

 

 

「決まっていよう。お前があの泥の露払いをするのだ」

 

 

ルイズの鼻先に指を突き付け、ギルガメッシュは言った。

 

 

「原理は知らんが、あの汚物、お前の爆発に対してのみ怯えを見せている。お前の爆発であの泥を払い、露出した核を我が貫く。すべきことはこれだけだ」

 

 

「え、えぇ~~~!!?」

 

 

ルイズは仰天した。

 

ギルガメッシュでさえどうにも出来なかったゴーレムの泥を、自分が?

 

 

「それしか手はあるまい。当てずっぽうで投げて、剣が核を貫く奇跡に期待を託すのは、少々夢想が過ぎるであろう」

 

 

「で、でも、私の魔法なんかで・・・」

 

 

「出来なければ、それまでだ」

 

 

冷たく、ギルガメッシュは言い捨てた。

 

 

「この一本の宝具の使用ですら、我からすれば相当の譲歩なのだ。一応とはいえ、この我を召喚したお前への義理立てと思ってのな。

 

これに失敗するようならば、我は先の決定通りあの汚物を放置する。別に我としてはどちらでも構わんのだぞ」

 

 

ギルガメッシュは宣告するが、ルイズはまだどうしても決心がつかない。

 

 

先ほどはほとんど意地に近い誇りを以て意気込んでいたが、いざこうした重役を背負わされると、どうしても尻込みしてしまう。

 

それはこれまで失敗ばかりを繰り返してきた、彼女の長年のコンプレックスによるものだった。

 

 

それにルイズにとって、自分の魔法、正体不明の爆発だけ起こすあの現象は、まさに不名誉の象徴だ。

 

そんなものにあのゴーレムを倒す力があるなどと言われても、どうしても信じることが出来ない。

 

 

「ほれ、あまり悩んでいる時間は無いぞ」

 

 

「え?」

 

 

促されて見ると、ルイズの視界に開かれていた距離を猛然とした勢いで詰めて迫るゴーレムの異形が映った。

 

 

「あの汚物、よほどお前が疎ましいようだな。これでは仮に逃げ出した所で、飽きることなく追いすがってくるであろう。

 

ああつまり、お前はもうどの道後には退けんということだな」

 

 

ゴーレムに向ける侮蔑と殺意とは別に、どこか試し見るような好奇の色を浮かべ、ギルガメッシュは告げる。

 

その様子には先ほどのようにルイズを連れて後退してくれるといった気配はない。

 

これ以後はあくまで、ルイズ一人にやらせるという意図らしい。

 

 

そうしてすでに後は無いことを思い知ったルイズであったが、しかしどうしてもその口から呪文が出ない。

 

 

もしいつものように失敗したら?

 

 

結局自分は、何も出来ない『ゼロ』のルイズのままだったら?

 

 

そんな思いが、まるで鎖のようにルイズの身を縛っていた。

 

 

「ああもう、何やってるのよ、『ゼロ』のルイズ!!」

 

 

そんな時、ルイズの耳にギルガメッシュではない、ライバルと目するキュルケの声が響いた。

 

見れば、キュルケはタバサと共に、迫り来るゴーレムに対し、それぞれ炎と吹雪の嵐を吹きつけていた。

 

 

「なんだかよく分からないけど、アンタにしては珍しく見せ場が回ってきたのよ。ウダウダ悩んでいる前に、いつもみたくチャッチャとやっちゃいなさいよ」

 

 

叫ぶように言いながらキュルケは、更に自身の魔法を強くする。

 

キュルケの全霊を振り絞った炎に、ゴーレムはその足を止めた。

 

 

あのゴーレムの身体は液状物体。

 

ギルガメッシュの宝具のような固定物質による攻撃ならばただ貫通してそれまでだが、炎や冷気のような連続的に吹き付けられる気体による攻撃ならば、僅かながらも効果はある。

 

今回に限っては、彼女らの魔法はギルガメッシュの宝具以上の効果を上げていた。

 

 

その仲間たちの勇敢な姿に、ルイズは手に力がこもるのを感じた。

 

 

「ルイズよ。かつての我の言葉を覚えているか?」

 

 

そしてルイズの背を、ギルガメッシュの言葉が最後の一押しをする。

 

 

「お前の魔法は成功しているのだ。あの爆発は単なる失敗ではない、まぎれもないお前自身の魔法。『ゼロ』と罵られるお前が持つ、唯一の財だ。

 

ならば今こそ、その価値を示すがいい」

 

 

その言葉に、ルイズの決心が固まる。

 

 

杖を振り上げ、意識を集中し、ルイズは呪文を口ずさむ。

 

 

呪文の種類は『錬金』。

 

あの爆発は、『ファイヤーボール』のような飛ばして投げるというイメージよりも、対象に直接効果を及ぼす『錬金』の方がイメージしやすい。

 

 

自身の意識に埋没するルイズに、ついにキュルケとタバサの魔法を振りきった汚物の巨人が迫った。

 

しかしそれでも、ルイズの集中力は途切れない。

 

 

これまでの人生で、自分の不名誉の象徴であった、爆発のみが起こる自分の魔法。

 

物を壊す事以外に用途など無い、全くもって役立たずな自分でも意味不明な魔法。

 

誰よりも努力してきたと自負する自分を嘲笑うかのように、常に自分に付き纏ってきた魔法。

 

 

それが自分の魔法だというのなら―――

 

 

この爆発こそが、自分の魔法の結果だというのなら―――

 

 

―――今こそ自分のために、その真価を示してみろ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

振り下ろされた杖に呼応し、ゴーレムの目の前で爆発が起こる。

 

 

それは紛れもなく、これまでルイズを『ゼロ』と貶める最大の要因であった、失敗魔法。

 

しかしこれまでとは、爆発の規模と質が明らかに違う。

 

 

生じた爆発は、やがて光の球のようになって広がっていき、ゴーレムの三十メイルもの巨体すべてを飲み込んだ。

 

 

球の内より放たれる無色の輝きに、ゴーレムの穢れに満ちた身体が塵となって霧散していく。

 

そしてギルガメッシュは、拡散していく泥の中より露出した、その存在を構築する中枢を確かに見咎めた。

 

 

「ハッ、よくやったぞ、ルイズ。とりあえず、褒めておいてやる」

 

 

確認した中枢目掛けて、ギルガメッシュは手にする宝剣を勢いよく投擲した。

 

放たれた宝剣は一筋の閃光となって走り、ゴーレムの核たる『闇水晶』を過たず貫いた。

 

 

ルイズの魔法によってその身の大半を削り取られていたゴーレムは、更に中枢を失ったことで、その存在を完全に瓦解させた。

 

 

「や、やったぁ!!」

 

 

消滅していくゴーレムの姿に、ルイズは自身の魔法が為し得た成果に喝采を上げる。

 

しかしそれも、消え逝くゴーレムの中より現れた人の姿により、すぐに驚愕へと変わる。

 

 

「あ、あれって、ミス・ロングビル!?」

 

 

駆け寄って確認したその顔は、まぎれもなく姿の見えなかったオールド・オスマンの秘書、ミス・ロングビルであった。

 

 

随分と衰弱している様子だが、とりあえずは息もある。

 

 

「けど、どうしてミス・ロングビルがここに?」

 

 

「あの汚物より出てきたということは、その女が盗賊なのだろう」

 

 

ルイズの疑問に答えるギルガメッシュではあったが、その実、彼の意識はミス・ロングビルには全く関心が無かった。

 

 

ミス・ロングビルを介抱するルイズらの横を通り過ぎて、ギルガメッシュは自らが今さっき投擲した宝剣の元へと向かう。

 

そして地面に突き刺さる宝剣のすぐ横に転がる、二つに割れた『闇水晶』にその視線を向けた。

 

 

「フン」

 

 

最後に侮蔑の一瞥をくれて、ギルガメッシュは『闇水晶』を踏み砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅむ、『闇水晶』がそのような現象を引き起こすとはの・・・」

 

 

ルイズらの報告を聞き、彼らと向き合う学院長のオールド・オスマンは重々しく唸る。

 

 

ミス・ロングビルの身柄を押さえたルイズ達一行は、すぐに魔法学院へと戻り、この一件の旨をオスマンに伝えた。

 

その後、ミス・ロングビルの身辺調査が行われ、彼女がフーケであると正式に判断され、すぐに城の衛士に引き渡された。

 

 

事が一段落したところで、今回の一件に関わったルイズら四人は『闇水晶』の詳細をオスマンに尋ねたのだ。

 

 

「あれのことはわしにも詳しいことは分からんのじゃ。物の詳細など何も聞かされず、当時の王家に学院にて預かるよう依頼されただけでの。ここは知っての通り、メイジ達の巣窟じゃから、そこいらの宝物庫などよりもはるかに安全だからの。『闇水晶』という名称も、わしが形式のためにつけたものじゃ。

 

ただ聞いた話だと、あれはどうやら始祖ブリミル所縁の品であるらしい」

 

 

「始祖ブリミルの!?」

 

 

始祖ブリミルといえば、すべての魔法使いにとっての祖であり、このハルゲギニアでは神にも等しい信仰の対象だ。

 

 

それの所縁の品と言われる物は数多く存在し(そのほとんどが贋作であるのだが)、その伝承が確かであるほど宝としての価値がつく。

 

このトリステインでは、王家は所有する『始祖の祈祷書』が有名な所だ。

 

 

「うむ。それも贋作などではない、れっきとした本物のな。故に秘宝としての価値がついておったのじゃが、まさかあれがそんなにも危険な代物であったとはのぅ。

 

ともかく、一歩間違えば未曾有の大惨事になりかねなかった事態を君たちは未然に防いでくれた。今回の事はあまり公には出来んが、君たちにはわしの名で十分な褒美を取らすことを約束しよう」

 

 

オスマンの言葉に、ギルガメッシュを除いたルイズら三人の顔がパッと輝いた。

 

ルイズとキュルケには、『シュヴァリエ』の爵位申請が為され、すでに『シュヴァリエ』の爵位を持つタバサには精霊勲章の授与が申請された。

 

 

だが事の話題がギルガメッシュに移ると、彼は褒美の話をにべもなく一蹴した。

 

 

「たわけが。褒美とはすなわち、高みに立つ者が下々に賜す栄誉の意を指す。我に褒美を賜すことなど、例え天上の神々とて無理なことよ」

 

 

祈りを捧げ、崇めるべき存在たる神でさえ、自分の上には立っていないと豪語するギルガメッシュ。

 

明らかに度の過ぎた彼の言葉を聞きながら、しかしその場の誰も彼の言葉を嗤うことなど出来はしなかった。

 

 

やがて話も終わり、事件の解決によって予定通りに開かれることになった『フリッグの舞踏会』に参加するべく、ルイズ達は学院長室を後にする。

 

 

ただ一人、ギルガメッシュだけは話があると言われ、オスマンの元に残った。

 

 

「さて、ギルガメッシュ殿、と申したな。呼び止めてしまってすまんの。君とは一度、直に話し合わなければと思っておったんじゃ」

 

 

「前置きはよい。要件を話すがいい」

 

 

「ほっほ、せっかちじゃのう。では・・・」

 

 

オスマンは二人きりとなった室内で、ギルガメッシュに問いかけた。

 

 

「君は・・・一体何者なのかね?」

 

 

先日のギーシュとの決闘騒ぎの折、目の当たりとすることになった、筆舌し難い力を有するミス・ヴァリエールの召喚した使い魔の青年。

 

 

一体この人物は何者なのか。

 

何においてもまず、そのことを尋ねなければならなかった。

 

 

「何者、か。我が拝謁の栄に浴してなおこの面貌を知らぬと抜かすなど、本来ならば相応の不敬であるが、しかしここは異界の地。我に問いを投げかける無礼は、まず許そう」

 

 

彼ならではの傲慢な観点からそう前置きし、ギルガメッシュはオスマンの問いに答えた。

 

 

「我はこことは違うどこか、原初の可能性より枝分かれした全く異質の世界より来臨した者。そしてかつての世界では、この世のすべてを我が手にした原初の覇者。

 

英雄王ギルガメッシュ。まずこの威名を、その心根に刻みつけるがいい」

 

 

「異質の世界・・・!?では君はこの世界の人間ではないのかね?」

 

 

答えられた言葉に驚き、オスマンは再び問いを投げた。

 

 

「左様。なかなか理解が早いな、雑種」

 

 

「ふ、ふうむ。では、やはり元の世界に戻る手段を模索している、ということかね?」

 

 

やや混乱気味ながらも、オスマンは問いを続ける。

 

 

全く理解の及ばない、自分の知る世界ではないどこかに跳ばされたとしたら、誰でも元の世界に帰りたいと願うだろう。

 

実際にそんな人物と会ったこともあるオスマンの、そう予想しての問いかけだった。

 

 

しかし、目の前のこの男は、そのような常識的な考えなど全くアテにならない規格外であった。

 

 

「元の世界に帰りたい?なぜだ?」

 

 

「いや、それは―――」

 

 

「貴様は我の言葉を聞いていなかったのか?我はかつての世界において、この世のすべての財を手にしたのだ。得るべき物を得た世界に、今さら何の未練を懐くというのだ?」

 

 

「し、しかし、君は王と言っていたではないかね?王が民衆を置き去りにしては―――」

 

 

「それがどうした」

 

 

にべもなくあっさりと、ギルガメッシュは言い捨てた。

 

 

「民草とは、王にその身命を捧げ、そしてその身を以て王に奉仕すべき存在。

 

王が笑えといえば笑い、王が踊れといえば踊り、そして王が死ねといえば疾く自害するが民草の役目であろう。

 

その民共のために、何故我が自重などせねばならん」

 

 

そのギルガメッシュの言葉を聞きながら、オスマンは目の前の青年との話が噛み合っていない事を感じていた。

 

 

恐らく自分とこの青年とでは、人の上に立つ事に対する姿勢に決定的な所で差異があるのだろう。

 

それは慎みを重んずるトリステインで理想とされる、統治者としての高潔な在り様とは相反する、暴君としての在り方だった。

 

 

その事を十分に理解した上で、オスマンはこの問答で最も重要な事柄になるであろう質問を口にした。

 

 

「君は・・・、このハルケギニアをどうするつもりかね?」

 

 

この男が途方もない存在であることはよく分かった。

 

だがここで問題になるのは、その存在がこのハルケギニアに及ぼす影響である。

 

 

いまだ容量の知れないこの男が、今後どのような態度を以てハルケギニアに接していくのか、それこそがオスマンに限らずすべての人々に関係する事柄だ。

 

そしてその答え如何によっては、オスマンは目の前の存在を滅ぼすことも厭わぬつもりだった。

 

 

老いに伴い、体力こそ落ち込んだものの、百を超える年月の中で蓄積されてきた魔力はいまだ健在だ。

 

目の前の男の理外の力は理解しているが、しかしただ敗れるつもりは毛頭ない。

 

 

この老体の余命すべてを懸けてでも、ハルケギニア最大の災厄かもしれないこの男を滅ぼしてみせる。

 

 

そう身構えるオスマンだったが、拍子抜けなほどあっさりとギルガメッシュは答えを返していた。

 

 

「どうもせん」

 

 

自身の命も投げ出す覚悟をしていたオスマンは、その答えに肩透かしをくらったような心地となった。

 

 

「天下に君臨し、あまねく雑種どもを支配する。そんなものは、かつて飽きるほどに堪能し尽くした。

 

万物とはな、いかなる価値を持つ物であろうと、所持し続けておればいずれは飽きるものなのだ。

 

あらゆる物を自由に出来る権力も、優美を極める衣食住も、そして不老不死であろうともな。

 

かつて我はこの世のすべてを手に入れた。それ故に、あらゆる物に飽きを覚えてしまった」

 

 

どこか空虚さを感じさせるギルガメッシュの言葉。

 

 

それはこの世のすべてを極め、天上に君臨する者のみが懐く、超越者の憂鬱だった。

 

 

「しかしながらこの世界は、すべてを堪能し尽くした我が世界とは全くの別物だ。それ故に、触れるすべてに新鮮さがある。

 

ならば早計に我が色に染め上げるよりも、我が手によらぬ過程で積み上げられた、この世界の形を堪能し尽くすのが先決だ。それでこそ我が遊興の慰めにもなろうというもの」

 

 

ギルガメッシュの言葉の内に愉快さが灯る。

 

 

その口から放たれる傲岸なる言動一つ一つがオスマンの中に浸透し、畏怖の感情を芽生えさせた。

 

 

「まあ、その後のことは保障せんがな。何しろ我の気性は、我自身でさえ掴み切れぬ。あるいは何かの気まぐれが働いて、この世界を我が物としてしまうかもしれん。

 

まったく、我ながら訳の分からぬ、厄介極まる性よな。その時は許せよ」

 

 

笑みを漏らしながら言ってくるその言葉に、自分はどのような言葉を返せばよいというのか。

 

 

世界を我が物にせんという、誰もが一度くらいは想像し、そして馬鹿げた妄想と嗤い捨てる野望。

 

それさえもこの男にとっては、単なる気まぐれの行為であるという。

 

 

それはまさしく、英雄王のみが有する傲岸不遜の感性論理。

 

もはや常人とは、スケールの次元が違いすぎる。

 

そう納得するしか、オスマンには無かった。

 

 

「まあ幸いなことに、当面はこの異界の散策のみで我が無興は慰められそうだ。それに、あの召喚者もなかなか退屈させん奴だしな」

 

 

「ミス・ヴァリエールが?」

 

 

ギルガメッシュが出したルイズの名を、オスマンは意外に思った。

 

彼にとってルイズとは、努力する姿勢は認めるが、才能が伴わぬ不憫な生徒という印象しか無かったからだ。

 

 

そんなオスマンに、ギルガメッシュは苦笑しながら語り出した。

 

 

「あれはな、この我と対等になろうとしている。我に対して媚びるでもなく、隷従するでもなく、あくまで対等な立場であろうとしているのだ」

 

 

メイジと使い魔。

 

両者の間にあるその関係が、ルイズにその矜持を引き出させている。

 

 

どのような中傷をその身に受けながらも、決して膝をつくことをしなかったルイズのこれまでの生き様が、自身の使い魔たるギルガメッシュに謙る態度を許さないのだ。

 

 

「全く、とんだ愚か者だ。生涯で無能と罵られ続けてきた身の上でありながら、この我の威光を目の当たりにしてなお、我の高みと同じ地点に立とうというのだからな。

 

身の程を弁えず、いつもうるさくキャンキャンと吠えおって。まったくもって、度し難き愚かしさよ」

 

 

罵りの言葉を口にしながらも、しかしギルガメッシュの口元には微笑が浮かんでいた。

 

 

「まあ、それ故に退屈せんのだがな」

 

 

言いながらギルガメッシュは、先日のモット伯の屋敷での一幕を思い返す。

 

 

この自分の眼光にさらされながら、なおも臆さず王たる自分を堂々と糾弾してみせたルイズの姿。

 

その時の彼女の姿は、ギルガメッシュの脳裏に、ある過去の記憶の光景を甦らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原初の時代、いまだ世界がひとつきりであったころ、たった一人の王がいた。

 

 

神の血肉を受け継いで生まれた王は、他の人間の誰よりも精悍で、誰よりも賢く、誰よりも力に優れ、そして誰よりも欲深かった。

 

 

王は自らが治める地で自身の欲望を満たすために権勢を振るい、民草を苦しめた。

 

民は憤るも、王に逆らおうとする者は一人としていなかった。

 

 

王こそは半神半人の魔人として、人間の域を超えた超越者であり、絶対の支配を敷く君臨者であったのだ。

 

 

その王に対抗できる者が、果たしてどこにいるだろう。

 

王の暴政に苦しみつつも、民は絶対者たる王に逆らえず、ただただ苦渋を舐め続けた。

 

 

そしてその欲望に歯止めをかける者のいない王は、己が欲望に従い、この世の快と悦の限りを尽くした。

 

対抗者のいない、あまりに思い通りにいきすぎる世界に、一抹の虚しさを感じながら。

 

 

そんなある時、王は一人の女を見初めた。

 

国でも有名な美しい容姿と心を持ったその女を、王は一目で気に入り、その肢体を味わいたいと考えた。

 

 

しかしながら、女にはすでに愛する男がいた。

 

男との婚礼を真近に控えた女は、その純潔を男に捧げるものと、神に誓いを立てていた。

 

 

だが傲慢なる王は、そのような相手の尊い誓いなど気にも留めない。

 

むしろ愛さぬ男に処女を奪われた女の嘆きの涙を是非見てみたいと、喜び勇んで女の元まで出向いた。

 

 

王の所業に民は心に怒りを懐くも、やはり何も出来ずに苦渋を舐めるだけだと思われた。

 

しかし王が女の元へ向かう途中、『国の広場』にて、誰も逆らえなかった王の前に立ちはだかる一人の男が現れた。

 

 

立ちはだかったその男に、王は不快に顔を歪めて言った。

 

そこを退け、と。

 

 

これまでの王の記憶では、男はすぐに道を開けるはずだった。

 

例えその内心でどれほどの不信を抱こうと、ひとたび王の一瞥を受ければ、誰もが即座に恐怖に身を震わし、王に阿り、許しを乞いた。

 

 

だがその男は、立ちはだかるのを止めようとはしなかった。

 

それどころか、誰もが怯まずにはいられない王の眼光を正面から見返し、堂々たる態度で言葉を返した。

 

 

「いいや、退かない。彼らは僕の大切な友人なのだ。その彼らが嘆く事を見過ごすなど、僕には出来ない」

 

 

それこそが、唯我独尊の王がその生涯でただ一人自分の隣に立つ事を許した、唯一無二の親友との最初の邂逅であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそこまで自分という個を見失わぬ気高き在り様。この我に抗する反骨精神。あれはなかなかに得難い人材だ」

 

 

モット伯の一件でルイズがギルガメッシュに見せた、朋友との出会いの記憶。

 

その情景は、彼が下した絶対の決定すらも、覆すに足る価値があったのだ。

 

 

「あれの行いは実に我を飽きさせん。あるいは、この我に更なる好奇を抱かせるやもしれぬほどにな」

 

 

泥より生まれ、獣の中で生きてきた不遇の身の上でありながら、自分という超越者に対抗せんと向かってきた道化者。

 

自分の隣に立ち、その最期の瞬間まで自分を飽きさせることの無かった、自分の財のすべてと比類してなお勝る価値を持つ唯一人の男。

 

 

召喚した日の夜、そして先日のモット伯での一件で、ルイズはその男と僅かに同じ気配を感じさせた。

 

あれもまた、自分という存在を飽きさせぬ道化者となるのではないかと。

 

 

その期待こそが、英雄王ギルガメッシュをして、使い魔の立場に甘んずるという許容を与えていた。

 

 

「君は、ミス・ヴァリエールをどうするつもりなのかね?」

 

 

呆然とした面持ちで、オスマンはそう尋ねた。

 

その問いに、ギルガメッシュは軽く肩を竦めて一笑してみせた。

 

 

「さてな。あれが真に、我の抱く無興を満たすに足る器か否か、それを決めるのはすべてあれ次第なのだから」

 

 

人の生こそ最大の娯楽と謳う、人の悦楽を極めし英雄王ギルガメッシュ。

 

彼の目に留まった以上、ルイズのこれよりの生は、彼の遊興を満足させるための物となるだろう。

 

 

情愛と殺意が等しく同居する、気まぐれにして無軌道なギルガメッシュの気性。

 

それが与えるであろう遊戯の如き試練は、一歩足を踏み外せば即座に奈落の底へと転落する危険と隣合わせである。

 

 

その傍らに在りて、自身の主を試し続ける。

 

それこそが、ルイズとギルガメッシュという二人の、メイジと使い魔の関係にあるものだった。

 

 

「努その在り方を損なわず、矮小なる体躯を背伸びして、せいぜいこの高みに挑むがいい。

 

我を退屈させるな、ルイズ。さすればあるいは、褒美にこの世界を賜してやってもよいぞ」

 

 

この場に居ないルイズに向けて、ギルガメッシュは心底愉快そうにそう告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アルヴィースの食堂』の上の階層に位置する、パーティー用の大きなホール。

 

このホールこそ、今夜のメインイベントである『フリッグの舞踏会』の会場なのだ。

 

そこでは生徒達が一同に会し、それぞれに着飾り、歓談を楽しみ、ダンスを申し入れている。

 

 

年に一度の大イベント。

 

男子も女子も、各々に気合を入れて今回のパーティーに臨んでいた。

 

 

それらの華やか雰囲気から距離と取って、ギルガメッシュはワインの注がれたグラスを片手に、バルコニーで一人双月が煌めく夜空を見上げていた。

 

 

「よう、旦那。どうしたんだい?こんな所で一人でよ」

 

 

「勝手に出てくるな。フン、我とて宴の席は嫌いではないがな。だがこれはちと慎ましすぎだ。我の好みではない」

 

 

虚空よりニョキリと顔を出すデルフリンガーに、ギルガメッシュはいまいち気の乗らぬ様子で答えた。

 

 

「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな~~~り~~~!!」

 

 

衛士がルイズの到着を告げ、ホールの壮麗な扉からルイズがその姿を現す。

 

彼女の姿を見た途端、男子の生徒達が一斉に歓声を上げた。

 

 

ホワイトのパーティードレスに身を包んだそのルイズは、いつもの彼女からは想像も出来ぬほどの可憐さを振りまいていたのだ。

 

 

いつも馬鹿にしてノーマークだった女子の思わぬ美貌に驚いて、男子達が群がって我先にダンスを申し込む。

 

しかしルイズはそれらの誰の誘いも断ると、バルコニーにて佇むギルガメッシュの元へと歩み寄ってきた。

 

 

「フム。馬子にも衣装だな」

 

 

着飾ったルイズの姿に、ギルガメッシュはとりあえずそう感想を口にした。

 

 

「うるさいわね」

 

 

唇を尖らせて、ルイズが応じる。

 

 

「どうした?随分と誘われておったではないか。お前も存分にこの宴を楽しむが良い」

 

 

「え、ええ・・・。なんか、いつになく素直ね、アンタ」

 

 

「宴の席で無粋はせぬ。そのような所業は王の権威に関わるからな」

 

 

そう答えるギルガメッシュに、ルイズはもじもじと照れた様子で彼と向き合う。

 

視線を逸らしつつも、チラチラとこちらの様子を窺うその仕草は、明らかに何かを言いたげな様子だった。

 

 

その様子には無論ギルガメッシュも気づいていたが、あえて何も言わず、笑みを浮かべてルイズの言葉を待った。

 

 

やがて腹を決めたのか、ルイズはドレスの裾を恭しく両手で持ち上げると、膝を曲げてギルガメッシュに一礼した。

 

 

「わたくしと一曲踊ってくれませんこと。ジェントルマン」

 

 

普段とは比べ物にならぬ優雅さと清楚さで、ルイズはダンスの誘いを申し入れる。

 

 

それは今日の一件、自分を認め、背を押してくれたギルガメッシュに対する感謝の表れだった。

 

 

その姿をギルガメッシュはしばし無言で見つめていたが、やがて苦笑混じりに―――

 

 

「断る」

 

 

その申し出を断った。

 

 

「へ?」

 

 

「当然だ。お前如きでは、我の相手をするには女が足りぬ。そも、このような小奇麗すぎる宴など、我が出席すべき宴ではない」

 

 

そう言ってギルガメッシュは、呆然とするルイズの横を通り過ぎ、ズカズカと無遠慮に舞踏会の中心へと歩を進めた。

 

いきなりのギルガメッシュの登場に、生徒達は慌てて彼に道を譲る。

 

 

会場の中心に堂々と立ち、ギルガメッシュは高らかにその手を上げた。

 

 

「今宵は無礼講。退屈が過ぎるこの宴席を、王たる我がこの世の桃源郷へと変えてやる」

 

 

パチンッと、ギルガメッシュの指が鳴る。

 

その瞬間、空間の門が会場の所々に開かれ、生徒らの前にいくつもの酒樽が出現した。

 

その中の液体が醸し出す甘美にして芳醇な香りは、皆の嗅覚を一瞬で虜とした。

 

 

「王が振る舞う極上の酒だ。遠慮なく飲むが良い」

 

 

ギルガメッシュの宣言と共に、この場にいる誰もが、まるで誘蛾灯のように一斉に酒樽へと向かう。

 

神代の創造物たるギルガメッシュ秘伝の酒は、飲み干した者達の理性を剥ぎ取り、あっという間に泥酔の失楽園へと導いた。

 

 

「さあ、飲め喰らえ!!歌え踊れ!!今宵の宴に礼節など不要。王である我が許す。衆愚どもよ、存分に欲望のままに振舞い、醜態を曝すがいい!!」

 

 

マナーなど無視して、小太りな生徒がテーブルの食事をかっ喰らう。

 

 

楽士たちが、それぞれに選曲の違うまま勝手に楽器を奏でだす。

 

 

貴族平民区別無く肩を組み、陽気な歌を歌い出す。

 

 

どこかの集団が殴り合い、物を投げる喧嘩を始める。

 

 

突然テーブルの上に登った男子生徒が、服を脱いで全裸となって踊り出す。

 

 

いきなり女子生徒がストリップを始め、男子が歓声を上げる。

 

 

格式ある伝統行事『フリッグの舞踏会』は、もはやその形態を失い、狂乱の宴会席と化した。

 

 

「な、な、なぁ~~~っ!!?」

 

 

バルコニーに居たルイズは、愕然とその光景を見詰めていた。

 

 

もはや貴族も平民も、教師も生徒も関係ない、何もかもがムチャクチャな舞踏会。

 

そしてその中心で、この世のすべては自分の物だとばかりに両手を広げ、皆の醜態を肴に高笑いする自身の使い魔。

 

 

その姿に、ルイズの中で何かの線がプツリと切れた。

 

 

「こ、このぉ~~~」

 

 

自分がこれだけ気合いを入れて着飾って、勇気を込めてダンスの誘いをしたというのに、にべもないあの対応。

 

そして今夜も格式ある舞踏会をぶち壊した、召喚してからの自分の胃を痛め続ける、勝手気ままな行動。

 

 

最近随分上がりやすいルイズのフラストレーションゲージは、再び臨界に達した。

 

 

「馬鹿使い魔ぁぁぁぁぁ~~~―――!!!!」

 

 

色々な意味で壊れきった舞踏会会場に、とどめとばかりに打ち込まれる大爆発。

 

その爆発は先のゴーレム戦と比してなお大きく、自らも含めたこの場のすべてを飲み込んだ。

 

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