悪逆皇帝と出店物の行方
クリスマスパーティー、通称クリパ。二学期最後のイベントであり、クリパが終わればそのまま冬休みに突入する。
因みに開催期間は二十三日〜二十五日までの三日間である。
俺たちも付属三年、来年はいよいよ本校生となるわけだが、今現在俺たち付属三年三組はちょっとした問題と直面していた。
クリパまでもう時間が無いというのに未だに何をするかが決まっていないのだ、その為現在我がクラス委員長である沢井麻耶が教壇に立つと。
「クリスマスパーティーといってもやる事は文化祭と変わりません、各クラス必ず出店するのが決まっています」
そこで一旦言葉を切ると。
「しかぁし!!」
委員長が教卓を叩き教卓を叩いた音がクラス内に響いた、まあ、委員長が怒るのも無理はないか。
「残念な事に我がクラスは未だに出し物が決まっていません!」
「この議題、ロングホームルームで十一月からしているにもかかわらず!!」
委員長の怒号がクラスに響く、しかし、何も案が出なかったわけではない。女子生徒達が色々と提案していたんだがいつも話が逸れてしまい結局決まらず無駄に時間だけが流れ今日に至る。
俺たちは決まれば速いがそれまでに至るのが遅い、因みにだが俺や杉並なんかは最初の方は色々と案を出してはいたんだがことごとく委員長から不採用を頂いた。
沢井曰く「諸悪の根源であるあんた達の事よ絶対裏でなにかやらかすつもりなんでしょうが!!」
まあ、委員長の言い分は分からなくもない。なんせこのクラスには生徒会に目を付けられている超問題児が勢揃いしているのだから。
俺と杉並、そして義之に渉。そして杏と茜がこのクラスにいるのだ。沢井からしては堪ったものではないだろう。
唯一の救いはそんな委員長を小恋が気にかけて色々とフォローしていることぐらいか、小恋のフォロー無ければ今頃参っているだろう。
元凶の俺が言えたことではないだろうが。
ふと視線を左に向けると義之が寝起きの様な顔で少しぼーっとしていた、いや、恐らく先程まで本当に寝ていたのだろう。
口元が若干赤みを帯びているところを見ると頬杖をついていてバランスを崩し机に激突して目を覚ましたのだろう。
そしてそんな一部始終を見ていたのだろう杉並が。
「桜内、桜内・・・」
「んあ?」
「今日の委員長はいつにも増して気が立っている、居眠りなんぞしていたら永眠させられかねんぞ」
「マッチ棒かなんかで目蓋支えとけ」
「マッチ棒持って無い」
「んじゃ〜、ほいシャーペン」
「おぉーサンキュー、って飛び出るわ眼球飛び出るわ」
「くくくっ」
「にっししし」
渉のパスに義之がつっこむ、折角だ俺も乗らさせてもらおう。
「ならばこれを使えシャー芯だ長さも申し分ないだろう」
「おお、流石ルルーシュ渉より気が利いてるな。いや、脆いわ。ポキっと折れるわ」
おお、これも鮮やかに返してみせたか。乗りのいい奴だ。
「しかし、文化祭からまだ二ヶ月しかたってないんだよな。文化祭でやりきった感があるから何も思いつかないな」
まあ、確かに義之の言い分もわからなくない。クリスマスパーティーと言っても内容は文化祭と大差は無い。
おのずと出展内容も文化祭と被るだろう、だが俺たち非公式新聞部からすればイベントが多いのに越したことはないんだがな。
「ちょっと、そこの悪の根源四人組!ちゃんと話し合いに参加しないならあんた達に決めてもらうからね!」
「四人組って・・・俺も入ってるのか?」
「当然でしょ、二人がボケであんた達がツッコミ。」
「いつの間にそんな役割に・・・心外だ」
「いや、妥当な判断だと思うぞ俺は」
「ルルーシュ、お前まで・・・。てか、お前も俺と同じ役割だからな!」
「ふふっ、ではいっそのこと四人ともボケということでどうだ?」
「そうだな、新しい世界が開けるかもな」
「収集つかんだろうが」
「だが、結局義之がツッコミにまわるはめになりそうだがな」
気が付くとクラス内が騒めき始めた、恐らく俺たちが騒ぎ出したからだろう。
その証拠に委員長が怒気の宿った目で俺たちを見ていた、その様子は何時ぞやのカレンを彷彿させる程のものであった。
「静かに!!」
教卓を力強く叩いた音が響くと、教室内の騒めきも一瞬で静まる。みんなもこれ以上委員長を怒らせるのは不味いと判断したのだろう。
「今決まらなければ、放課後まで残ってもらうことになるけどそれでも良い?」
委員長のこの一言によりクラス内の騒めきは一瞬にして静まり返った、まさに鶴の一声というやつだろう。
流石に放課後まで時間を取られるのは俺たちも望む所ではない、俺たち非公式新聞部も活動がある。クリパの仕込みとかがな。
「人形劇・・・」
「んっ?」
「人形劇なんてどうかしら?折角のクリスマスだしファンタジーものなんてどうかしら?」
「な、成る程・・・。」
杏の提案に委員長だけでなくクラス中が関心を示す、すると。
「はい、はい、はーい!!私も人形劇がいいと思いまーす。」
「こうロマンチックなやつがいいんじゃないかなぁ〜、聖夜を彩るラブロマンスなんてどうかな~。」
茜が色気を振りまく様にその身体を揺らす、その仕草を見た男子生徒たちは軒並み骨抜きにされて賛成の意を示す。
「俺も賛成だ!!」
渉、お前は本当に分かりやすいな。茜との付き合いも長いだろうに。何故こうも引っかかってしまうのやら。
取り敢えず杏の案は人形劇、杏は演劇部に所属している。シナリオの構想もあらかたできているそうだ、肝心の人形も裁縫が得意な茜がいるしなんとかなるだろう。
そして、杏は義之を主役にそして小恋をヒロイン役に推薦した。こういった所は分かりやすいなあからさまに小恋に義之と中を取り持とうとしているのが丸わかりだ。唐変木の義之を除いてだが。
委員長もこの案には良い反応を示した、問題児の一人が大役を担えば厄介事が減ると考えたのだろう。
しかし、このまますんなり決まるなんて事は無くいままで沈黙していた杉並が新たにお化け屋敷を提案してきたのだ。
結局杉並の提案であるが時間が無いため委員長も渋々といった様子で杉並のお化け屋敷の提案を飲む事となった。
協議の結果多数決を取る事になった、まあ、妥当といえば妥当だ。しかし、このクラスの生徒数は奇数だ。
その為もしかすると票が真っ二つに割れ、最後の一人の投票によって我がクラスの出店物が決まる。なんて事態に成りかねない。
まあ、余程のことがなければそんな事態に陥ることなぞ無いだろうが・・・。
今俺の目の前でその事態が起きている、人形劇とお化け屋敷とで票が真っ二つに割れているのだ。人形劇には主に女生徒がお化け屋敷には主に男子生徒が入れていた。
そしてどちらにも投票していない生徒は只一人、周囲の生徒も自然とその生徒に視線を向ける。
「桜内、早くしてくれない?」
「はえ?」
委員長に声を掛けられ義之が委員長を見る、そのまま義之の視線は委員長の背後にある黒板の人形劇とお化け屋敷の文字の下に書かれている両案同数の正の文字を見ると。
「嘘、俺の一存で決まるの?」
クラス中の視線が義之に向けられる、義之の左隣から杏からの無言の圧力と二つ前から杉並の意味深な笑みを向けられていた。
俺が同じ立場であったら堪ったものではないが、それでも義之はしばし黙ると。
「俺は・・・お化け屋敷がいいな」
義之のこの一言により、残念がる声がいくつか上がるがそれも直ぐに収まる。切り替えの早さもイベント好きの風見学園生には必須のものだろう。
こうして我ら付属三年三組の出し物はお化け屋敷に決定した。さて、どうなる事やら。
復活のルルーシュがくるぅ〜、一体どんなストーリーなんでしょうか気になりますね。