初音島の悪虐皇帝   作:帰ってきた

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悪虐皇帝と鈍感少年

「すまないな、いきなり相席をお願いしてしまって」

 

 

「ああ、いや。別にいいよ。さっきまで一緒にいた人が居たけど用事があるって言ってもう行っちゃったし。」

 

 

俺が相席をお願いした男子生徒は声をかけた時はぼっとしていたが、少しの間の後許可が出た。現在俺は渉が来るのを待ちつつ男子生徒、いや。

 

 

高坂先輩が言っていた噂の弟君こと桜内 義之と当たり障りの無い会話をしていた。

 

 

第一印象では中々の好青年だ、相席をお願いしても嫌な顔一つせずに了承した。

 

 

だが、中々に興味深い人物だ。一見平凡そうに見えるがどこかカリスマ性と言うのかどこか惹きつけられる魅力を感じる。

 

 

(この手の人間は自然と人の輪の中心になっている人間だろう、本人には自覚は無さそうだが。)

 

 

高坂先輩が危惧する理由がわかる気がする、彼が俺のような問題児と何かしらのことを起こすとなると周りに与える影響は計り知れないものとなるだろう。

 

 

それと何故だろうか彼とは妙なシンパシーを感じる。

 

 

俺がそんなことを考えていると。

 

 

「オイーッス、持ってきたぜルルーシュ。」

 

 

渉がトレイを二つ持って歩いて来た、一つを俺の前に置くと俺の隣に座った。

 

 

「何処にいんのかわかんなくってちょっと探したぜ」

 

 

「ああ、すまなかったな。」

 

 

軽く会話を交わしたところで渉は俺の隣に座る、そこで初めて渉は向かいの席に座る桜内に気がつく。

 

 

「んっ、そいつ誰だ?」

 

 

「彼が相席を了承してくれた生徒だ」

 

 

「ふーん、てか。一人飯かよ寂しい奴だなぁ」

 

 

物凄い酷い一言を本人の前で言う渉、案の定桜内の表情が若干険しくなっていた。やれやれ。

 

 

「渉、失礼だぞ。それにどうやら彼は先程まで誰かと食事していたようだしな。」

 

 

「およ、そうなのか。いや〜悪かったな。なんか好き勝手言っちまってよ」

 

 

「まぁ、気にしてないよ。」

 

 

渉の謝罪に少しは怒りを収めたようだ。

 

 

「じゃーさ、お前。誰と一緒に飯食ってたんだ?」

 

 

「あー、高松先生だよ。学校の案内とか頼まれたんだよ。」

 

 

高松?ああ、高松久美子『たかまつくみこ』教育実習生か。今朝渉がなんやかんや言っていた人か。

 

 

しかし、驚いたなまさかこの短時間の間にもう交流を持つ仲になっていたとは。

 

 

俺が内心少し驚いていると、隣の馬鹿は先程の言葉に敏感に反応する。

 

 

「なにぃ!?あの久美子先生ともう一緒に食事する仲にまで発展してんのか?!」

 

 

「いや、ただ案内をお願いされただけでそこまで仲良くはなってないぞ」

 

 

「くっそぉー、案内に託けて仲良くなる。その手があったか。」

 

 

渉はブツブツ呟きながら首を捻っていた、こういう時のこいつは碌なことをしない。また馬鹿みたいなことを考えているのだろう。

 

 

「なあ、なんかブツブツ言ってるけどどうしたんだ?」

 

 

「気にしないでくれ、いつものことだ。」

 

 

桜内が、聞いてきたので適当に流す。渉が真面目に考えている時は結果碌でもないことやたいしたことのない事を言い出す。

 

 

なので基本的に放置するのだ。

 

 

そして渉が勢いよく顔を上げる、さて今回は何を言い出すのやら。

 

 

「よし!お前。今日から俺と親友な」

 

 

「はっ?」

 

 

唐突の親友宣言に言葉に詰まる桜内、言った本人は何処か満足そうな笑みを浮かべている。大方桜内と仲良くしていれば高松先生とも仲良くできると考えたのだろう。浅はかな奴だ。

 

 

「いや、今日初めて会った奴といきなり親友とかおかしいだろ?それに俺はお前の名前も知らないし」

 

 

「ああ、俺は板橋 渉な。んでこっちがルルーシュ・ ランペルージな。まあ、よろしくなえーと遠藤!」

 

 

「いや、遠藤じゃないし。桜内だ。桜内 義之『さくらい よしゆき』」

 

 

「応、よろしくな桜内!」

 

 

「まあ、悪い奴じゃない。ただ面倒くさい奴だがよろしくしてやってくれ。義之と呼ばせてもらうぞ」

 

 

「ああ、まあ、よろしく。んっ?ルルーシュってもしかしてあのルルーシュか?」

 

 

義之が俺の方を見て言う、どうやら俺のことは知ってはいるようだ。

 

 

「改めて紹介するが、悪童と言われているルルーシュ・ランペルージだ。噂の弟くんと出会えるとはな。」

 

 

「噂って・・・そんなたいした人間じゃないぞ俺?」

 

 

「ふふっ、自分のことは実は自分が一番分かっていないこともあるということだ。」

 

 

俺の言葉に首を傾げる義之、なんというか自分の事となると本当に鈍いな。そんな会話を繰り広げていると。

 

 

「おやおや〜悪餓鬼が揃って悪巧みかしらぁ〜」

 

 

学食の入り口方面から一人の人物がやって来た、高坂まゆきであった。とても『良い笑顔で』俺たちの居るテーブルへとやって来た。

 

 

「ま、まゆき先輩・・・。」

 

 

「うお!マジか!!あの高坂先輩に声をかけられたのか?!くっはー!!俺今日死んでもいい!」

 

 

片や明らかに嫌そうな顔をし、片や馬鹿みたいにテンションが上がっていた。同じ人を前にしたリアクションでは無いな。

 

 

そうこうしている内に高坂先輩は俺たちの居るテーブルへとやって来る。

 

 

「やっぱり、先ずは懐柔しやすい弟くんから接触したわねルルーシュ。」

 

 

「高坂先輩が何を言っているのか判りかねますね、彼と会ったのは偶然ですよ。」

 

 

「どーだかね、あんたのことだから何か裏があるじゃないの?」

 

 

「ご想像にお任せしますよ、ですが」

 

 

一度言葉を切って俺は義之を見る、見られた本人は少し驚いていた。

 

 

「高坂先輩が危惧する理由を知れたことは有益でしたよ」

 

 

俺はそう言って立ち上がる。

 

 

「では俺はこれで失礼しますね、渉。先に行っているぞ。」

 

 

「えっ。お前いつの間に!」

 

 

渉の慌てる声をバックに俺は学食を後にした、桜内義之。面白い奴だ。

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