同日、杉並との接触があった日の学園内では明日の体力測定の話で盛り上がりを見せていた、特に男子生徒が張り切っていた。
唯の体力測定でどうしてここまでやる気を見せているのか理解に苦しむ、しかし、男子生徒がここまでやる気を見せている理由が今朝杉並から教えられた。
どうやら俺の知らぬ間に体力測定で一位となった男子生徒には教育実習生でやって来た高松先生からご褒美のキスが貰えるそうだ。だがこれは本来草案段階でのものであり本決まりのものではなかったらしい。
まあ、あの杉並がそんなヘマをやらかすとは思えん。杉並の意図的な工作なのではないかと思える。
そんな本人もあずかり知らぬ所でそんな話題が出てしまった以上は杉並も無視することはできないようだ、なので現状高松先生と一番親しくしている人物。
桜内 義之に高松先生の説得を頼んだそうだ。なんと言うか彼の身近にいる女性は学園では注目の的であったり憧れの人物であったりと、第三者の立場から見ればかなり羨ましい繋がりを持っていると言えよう。
その交渉の御蔭か高松先生からOKを貰うことが出来たそうだ。しかし。その代わりに二つの条件を出されたそうだ。
内容はシンプルで一つは義之が総合一位を取ること、そして二つ目はキスを忘れる程の事を起こすことだそうだ。
時刻は放課後、俺は杉並が指定した喫茶店へと向かっていた。当の杉並は遅れて来るそうだが、喫茶店には既に義之がいるそうだが。
目的の喫茶店に来た俺は迷わず入り口の扉を開ける、開けると喫茶店でよく耳にする音の後店内を見渡すと。
「あっ。」
「むっ。」
「おっ、ルルーシュじゃんか。おーいこっち来いよ。」
入り口から少し奥に行った四人掛けの席に義之と渉が居た。大きく手を振っている渉は無視し俺は二人のいる席へと歩みを進めた。
「よぉ、ルルーシュ。こんなとこで何やってんだ?お前も誰かと待ち合わせか?」
「そう言うお前は他のクラスの友人たちと帰って居た筈だが?」
「へへっ、こいつは他の奴等と違ってよ中々鋭いツッコミするんだよ。こういう奴って中々いねぇからな親睦を深めようって思ってよ。」
「そうか。」
渉も彼に何かを感じ取ったのだろうか?まあ、今回の事には渉にも手伝わせるつもりだったわけだしな。ここにいてもらうのは都合がいいかもしれないな。
「ところで、ルルーシュは何でここに?本当に誰かと待ち合わせしてるのか?」
「ああ、義之。君と同じで杉並とな」
「えっ!?」
「うお、マジかよ。」
義之と渉、両者共に驚きの表情を浮かべる。立ち直りが早かったのは渉であった。
「つーことは、ここにいた方が面白い事に一枚嚙めるってことだな。」
渉はそう言って座り直す、どうやら居座る気のようだった。まあ、こちらとしては人手が手に入るので願ったり叶ったりだ。
「えーっと、ルルーシュ。今回の事どの位知ってるんだ?」
義之が何かを探るような視線をこちらに向けてきた、義之が訪ねて来たのは恐らく高松先生の件だろう。
「ああ、そのあたりの事情も杉並から聞いている。」
「そうか、ならいい。」
俺の解答に満足したのか義之は視線を自分の手元にあるカップに移す。
「なあなあ、二人で何の話しをしてたんだ?」
話の真意がわからない渉が聞いてくるが俺は答える気が無いので適当に誤魔化そうとする、その時。
「いや〜待たせてすまんなぁ。」
主役がいつの間にか其処に立っていた、全く気配を感じなかった。こいつは本当に謎が多い奴だ。最初の出会ったばかりの頃のC.Cの様だ。
「遅いぞ」
「どうせ何かの仕込みをしてたんだろう、それを込みの話もしてもらうが。取り敢えず今後の事について詳しく話して貰おうか」
「まあ、慌てるな。ところで同志ルルーシュよ。俺の見間違えではなければそこにいるのは板橋 渉で間違いないか?」
「ああ、人手は多い方が良いだろう。何かあれば俺が責任を取ろう」
「ふむ、まあ。同志ルルーシュがそう言うのであれば俺からは何も言わん」
「へへっ、最近退屈してたんだよな。やっと面白そうなことになってきたぜ!」
「フフッ。わかるか」
「へへっ、当然。」
板橋の参加は杉並からも認められた、という事で早速俺たちは本題に入る。先程杉並から聞いた話を改めて渉に話す。高松先生からキスの許可を取り付けた事を知ると義之を神だと言い始めた。
それはさておいて、ここで一つちょっとした問題が発生した。杉並曰く後二〜三程人手が欲しいそうだ。下手をすれば生徒会に目を付けられかねない程の事をしようとしている俺たちに好き好んで進んで関わろうとする人などそうは居ないだろう。
しかし、俺にはアテがある。あの二人なら快く引き受けてくれるだろう。そう思っていた時喫茶店の扉が開く音が聞こえ音が鳴り止むのと同時に聞き慣れた声が聞こえた。
「あれぇ?」
「あら。」
「あっ、義之。あれ板橋君もいる。」
「小恋」
「あれ、月島?」
杏と茜と一緒にやって来た女子生徒を見て義之と渉が反応する、そしてその女子生徒の名前を聞いてピンときた。
彼女が茜たちが言っていた月島 小恋なのだろう。パッと見た印象ではこれまた義之に似て人の良さそうな感じである。俺がそんな事を考えているといつの間にか杏と茜が近くにやって来ていた。そして。
「こんな面白そうな集まりに私達を呼ばないなんてルル君酷い。」
「そうね、その三人も関わってるんなら私達にも声を掛けてほしかったわね。」
二人とも言っている事はキツイが顔は満面の笑みを浮かべていた、わかっているのに言っているなこれは。
「そう言う訳だ杉並、この二人も参加で良いか?」
「構わん、寧ろ好都合だ。悪女と小悪魔の手腕を間近で見れる良い機会だ。ところで月島嬢はどうする?」
「ふぇ?」
義之と話をしている途中で唐突に話を振られたせいか月島はポカーンとした表情をしていた。
「えーっと、何のお話?」
「とても楽しい事よ、折角のお誘いなんだから月島さんも一緒にどうかしら。私達も参加するんだけど・・・どうかしら?」
「そうだよ、折角のお誘いなんだし。それに桜内君も参加するみたいだしね。」
「えっ・・・そうなの義之?」
「まあ、そうだが。」
「・・・うん、月島も参加する」
少し悩んでいたがどうやら月島も参加する事になったようだ。誘い方に作為的な物を感じたのは気のせいだろうが。
「ふむ、参加メンバーはこれで決まりのようだな。ではこれから話す事は他言無用で頼むぞ」
杉並から今後の行動について話しを聞く、明日を本番に控えたスポーツテスト。仕込みは今夜だ。久々の催しもの更に参加メンバーは一癖も二癖もある曲者揃い、楽しくなりそうだ。
俺は確信にも似た何かを感じていた。