出撃!マシンロボレスキュー ギャラクシーと共に   作:ザルバ

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 MRR基地保健室。そこにケン以外の候補生全員がいた。

「はい、次の人。」

 ドレッドヘアが特徴の保険医が声を掛ける。耐油とエース以外は顔をしかめ、アスルは不敵な笑みを浮かべていた。

「じゃあ次は俺がするよ。」

 太陽が前に出る。

(今日は、予防接種の日だ。マシンロボレスキューの隊員たちは、レスキューに備えて常に体調管理をしておかなければならない。予防接種も、立派な任務の一つだ。)

 候補生一同注射は苦手であった。そんな皆を見て太陽はまるでドレッドロックを見ているような心境になった。

(そういやギガロニアに行く前のワクチンプログラムですっごく怯えてたっけ。あれは見てて面白かったなー。)

 太陽がそう思っていると宮島が気付いた。

「一人足りないな。」

 その頃大志館のケンの部屋ではマリーがケンを見ていた。ケンお部屋にはペンギンのフィギアやぬいぐるみが置かれていた。

 マリーはケンから体温計を渡される。

「あら、本当に微熱がある。しょうがないわ、これじゃあ。注射は股の機会ね。」

「はい・・・・」

 ケンは熱があるふりをし、マリーは部屋を後にした。

「やったー!ありがとう、ボン!君のおかげで助かったよ。」

 ケンは懐に隠していたボンを抱き上げ喜ぶ。

「犬は人より少しだけ体温が高いから。注射なんてしなくても生きていけるし。」

 その時ケンの部屋と扉が叩かれた。ケンはすぐさま病人を演じる。

 ケンの部屋に太陽とイエローギアーズが入ってきた。

「大丈夫、ケン君?」

 大地がケンを心配する。

「まあね、すぐに良くなるよ。」

「演技が上手いな。」

「な、なにを言うんだ太陽君は!僕は・・・・」

「これでもか?」

 太陽はボンを手に取る。

「あ゛・・・・・・・」

「はぁ~、ここまで注射が嫌だなんて正直驚きを通り越して呆れるな。」

「そうですわね。」

 太陽の言葉に小百合が相槌を打つ。

「でも、今度ばかりは逃げられませんわよ。」

 小百合はそう言うと一枚の封筒を取り出した。

「え?なにこれ?骨髄バンク?」

「ああ、白血病患者に必要な骨髄を提供する・・・・・・・・・・・・てことは・・・・」

「ええ。ケンさんの骨髄が必要な患者さんが見つかったのですわ。」

「ちょっと待って!僕そんなものに登録した憶えないよ!」

「強制ではありませんが、マシンロボレスキューの隊員は全員登録しているのですのよ。」

「まさか・・・・・・・骨髄を取るって、あの・・・・」

「そう、背中にふとーい注射をするんですわ。」

 心なしか小百合の目は輝いていた。

「ま、痛いから麻酔で寝ている間に取るけどな。」

「ええ。きそくで、骨髄を提供する相手の方はわかりませんけど、ケンさんおおかげで、出れかの命が助かりますのよ。」

 その言葉を聞くなりケンは気を失った。

「息の根が止まったっすね。」

「ま、いきなりこの歳でそんな経験は嫌だろうからな。でも骨髄バンク登録ってしても青の跡が問題なんだよ。」

「え?どういうこと?」

 太陽の言葉に大地が疑問に思う。

「バンク登録してもいざ提供するとなると“やっぱりやめとく”って話が多いんだ。そういうのなら最初から登録しないでくれって思う人はいる。正直、白血病患者にとって骨髄バンクってのは風前の灯火的な物でもあるんだ。」

「へー。でも持ってるなら提供したらいいのに。」

「昔からの考えの人はご先祖からの身体を傷つけるわけにはいかないって考えもあるからな。それにあの針太いし。」

「だから提供を拒む人がいるんっすねー。」

 太陽たちはそんな話をしながら部屋を後にした。

 しばらくしてケンは息を吹き返した。

「やめだやめ、帰ろう。」

 ケンは開き直り荷物をまとめ始める。

「もともと僕はプレッシャーに弱いし、困難に直面すると逃げ出すし。夏休みの宿題は、最終日までやらない。好きなおかずだって最後まで取っとくし、ロボマスターになれなくても悔しくなかった。いや、むしろ嬉しかった。元々レスキューなんかに向いてなかったんだよねー。きっとこれも運命の導き。」

 ケンはそう言うと自分の顔を手鏡で見る。

「僕にはもって生まれた美貌がある。これを武器に別の人生を、少年モデルとして、もっと華々しい人生を生きよう!そして、スターになった僕はいつか思い出すだろう。見ず知らずの患者さん、貴方のおかげで僕は本当の人生を見つけることができました、と。」

 酷いナルシストであった。そんな光景を見ていたボンは思った。

(ケン、君はそれでいいのか?途中で投げ出して。)

 ケンがMRR基地を去ろうとすると警報が鳴り響いた。

「・・・・・・・・・・・関わら居ない内に行こう。」

 そう思った途端、指令室に向かっていたマリーと出くわした。

 

「なながだけ村から、至急患者を搬送して欲しいという要請があった。」

「現状はすごく天候が荒れてて、村への道は土砂崩れでと俺にらしいの。」

「それでウィングライナーでの出場ってわけですね。」

 宮島とマリーが説明すると太陽は納得した。

「今回君たちは主治医から安静にするように言われている。この場で注射を打っていないのはエース、ケンの二人だけだ。太陽、君のチームを・・・・」

「すみません、佐々木教官。実は今日ワクチンプログラムをインストールしたばかりで・・・・・・まだインストールしてないのがファングウルフだけなんです。」

「そうか・・・・・・・・・・仕方ない。エース、ケンはファングウルフと共に七賀だけ村に出場。至急患者を搬送せよ。」

「了解!」

 エースは佐々木の指示に敬礼をして答えるが、ケンは違っていた。

「なんでこんな時に・・・・」

「ケン、仮病はバレてるから。」

「・・・・・・・・・マジ?」

「マジ。」

 ブラッドが答えた。

 

 MRR基地からウィングライナーが出場、ファイヤーチームとファングウルフが出場する。

「エース、お前はなんで注射を打っていないんだ?」

「血管が細いから専用のじゃないとって。」

「痛かっただろう。」

「まあね。でも太陽が“レスキューで人を救えない痛みよりかはマシだろ”って言ってさ、なんか注射されなかったことがどうでもよくなった。」

 エースとファングウルフが話をする中、ケンは髪を弄っていた。

 そして二人は患者がいる木造の病院に到着する。ファイヤーチームが降ろされ、ファングウルフがトランスフォームする。

「直ぐに患者を連れてくるよ。」

「頼んだぞ。エース、ケン。」

「これ以上天候が悪化すると手遅れになるかもしれないからな。」

 ファイヤーロボとファングウルフの言葉に親指を立てながらエースは「OK。」と言った。

「行くぞ!」

 そんな状況にケンは溜息を吐く。

 

「さあ、いい加減駄々をこねないで出てくるんだ。」

 病室を高齢の医者が看護師と共に病室に閉じこもっている患者へ話しかける。

「いやだ!絶対ここから出る物か!」

「どうかしましたか?」

 そこへエースとケンが駆け付けてくる。

「君たちは?」

「マシンロボレスキューです。患者さんの搬送を依頼されました。患者さんは?」

「それが手術は嫌だって出てこないの。」

 看護師の言葉にエースは驚く。

「なんだよ・・・・・・・・・すぐ終わると思ったのに。」

 ケンが愚痴を言うと別の看護師が来た。

「先生、別の患者さんが!」

 そんな状況を察してエースが言った。

「説得だって立派な任務です。ここはエースに任せな!」

「それじゃあ、この場は任せたよ。」

 医者はそう言うと別の患者の方へと向かった。

「君、名前は何て言うの?」

「ひさし!」

「歳はいくつだい?」

「八歳!」

「ひさし君、みんな君を心配している。そこから出てくるんだ!」

「いやだ!」

 そのことにエースは血管を浮かべる。直後、雷鳴が轟いた。

「ねえ君、君のワガママに付き合ってる暇はないんだよ。」

「だったら帰れ!」

「だって。」

「説得されんなよ!」

 エースはケンに向かって怒る。そんな時エースのK-BOYに通信が入った。

『エース。』

「太陽!」

『なんか立て込んでいるようだが、ネゴシエーター代わろうか?』

「頼む。」

『なあ、ひさし君。俺はこの場にいないけど大空太陽って言うんだ。話を聞いてもらえないか?』

「・・・・・・・・・・・・いいよ。」

『ひさし君はなんで出たくないのかな?もしかして手術が怖いの?』

「違うよ・・・・・・・僕知ってるんだ!手術したって治らない病気なんだって!」

 その言葉に一同衝撃が走った。

「こうなりゃ力づくだ!扉をぶち破るぜ!」

「うん!」

『お前ら!交渉の途中に話をムチャクチャにするな!』

 太陽の言葉もヌなしく二人は扉を壊した。しかし、ひさし君は窓枠に腰掛けると二人に舌を出し、そして崖の方の木造ハウスへと逃げ始めた。ケンがひさし君と同じように窓枠から追いかけるが途中にあった木の枝が折れ、ケンは尻餅を着く。

 一方エースは病院内から降りて追いかけようとしていた。

「ファイヤー、ひさし君が!」

「わかった。私が連れ戻す。」

 ファイヤーが先行し、ひさし君を追いかけようとストファイヤーロボを狙うかのように雷が落ちる。

「っ!これは落雷なんかじゃない!」

 少し離れたところでステルスロボがジェイと共に雷鳴轟く暗雲をバックに見下ろしていた。

「いい所で会ったぜ、ファイヤーロボ。」

「行け、ステルス!」

 ステルスロボはファイヤーロボに向かい一直線に向かう。ステルスロボがファイヤーロボにタックルしてくるところをファングウルフが阻止する。

「貴様・・・・・・・・・・何者だ!」

「俺はサイバトロンのファングウルフ!悪いが邪魔をさせてもらう!」

 ファングウルフはそう言うとステルスロボを投げ飛ばした。

「エース!」

「イエッサー!ファイヤーロボ、ハイパーモード、合体はじめ!」

 エースのK-BOYの顔が開き、目が光る。

「ハイパーモード、合体はじめ!エイダ―ロボ各機へ、ハイパーモードへシステムを移行!ハイパーモード、合体準備、よし!起動、各部異常なし!レスキュー合体、ハイパーファイヤーロボ!」

 ハイパーファイヤーロボになるとジェイもそれに対抗するように合体指示を出す。

「ステルス!ハイパーモード、合体開始!」

「ハイパーモード、合体開始!ブラストオフ!タンクロボ各機へ、ハイパーモードへシステムを移行!合体準備、よし!三号機OK!二号機OK!四号機、五号機OK!起動、各部異常なし!ハイパーステルスロボ!」

 その光景にエースは驚く。

「あれが、ハイパーステルスロボ!」

「相手にとって!」

「不足なし!」

 ファングウルフとハイパーファイヤーロボはハイパーステルスロボに攻撃を仕掛ける。その光景を高みの見物をしているジェイが言った。

「お前らごときにはハイパーテルスが負けるわけがない。」

 ハイパーステルスロボに落雷が落ちる。するとハイパーステルスロボのパワーが増大する。

「な、なんだこのパワーは!」

 ハイパーファイヤーロボは押し倒される。

「コイツ・・・・・・・・・・・強い!」

「させるか!」

 ファングウルフが剣を振るい、ハイパーステルスロボをハイパーファイヤーロボから離す。

「ファイヤー、ゾーンを展開しろ!こいつはエネルギーの変換が上手い!」

「そうか!ゾーン、展開!」

 ハイパーファイヤーロボはゾーンを展開する。

「これまで受けた屈辱、倍にして返してやる!」

「倍返しだけしかできない奴に負ける気はしない!」

 ファングウルフとハイパーステルスは激しくぶつかり始めた。

「貴様!何故それだけの力を持っていながら人々に危害を加える!」

「それが俺の存在理由だからだ!デザスターのマシンロボとして、お前たちのレスキューの邪魔をする!」

「力による支配か!そんなこと、俺は認めない!」

 ファングウルフがハイパーステルスを押す。だがハイパーステルスロボのビームがファングウルフに炸裂する。

「ぐぁあああ!」

「ファングウルフ!」

 ハイパーファイヤーロボはすぐに援護に向かおうとするがエースから通信が入った。

「ファイヤー!山火事が発生した!すぐに消火を!」

「なんだと!ぐぁっ!」

「ファイヤー!」

 ハイパーファイヤーロボをハイパーステルスロボのビームが襲う。

「このままでは山火事が広がってしまう・・・・・・・・・・・それでもお前は!」

「そんなこと知ったことではない!」

 ハイパーステルスロボがハイパーファイヤーロボを蹴り飛ばす。

「ファイヤー!貴様・・・・・・・・」

「救助用の奴とでは性能に差がある。所詮、お前たちの負けは決まっているのだ。」

「違う!俺たちはここの能力をどう活かすかによって、弱き者を助け、強き脅威から救う!お前は後者だ!」

「そんなのは理想に過ぎない!」

「違う!俺は仲間のため、平和のために戦った王者を知っている!アイツは昔、今のお前のようだった!だが掛け金の無い仲間と出会い、奴の考えは変わった!」

「そいつは意志が弱かったのだ!」

「違う!アイツは誰よりも考えていた!その意思は、誰よりも強く、折れないものだ!」

 ファングウルフはハイパーステルスロボを吹っ飛ばした。

「ぐっ!・・・・・・・・・・・・どこにこんな力が・・・・・・」

「守るために使う力は、相手を倒すための力とは格が違う!フォースチップ、イグニッション!パワーファング!」

 ファングウルフはパワーファングでハイパーステルスの装甲に傷を付ける。

「今だ!ファイヤー!」

「よし!フィンガーフラッシュ、パー!」

 ハイパーファイヤーのフィンガーフラッシュが炸裂した。直後、ハイパーステルスロボは自らゾーンの外へと出た。その先には落ちているジェイを助ける姿があった。

「何故だステルス!」

「マシンロボを倒す機会は、いくらでもある。」

 ハイパーステルスロボがそう言うと苦虫を噛潰した表情でジェイはケンを見た。

 

 その後、ひさし君は勇気を振り絞って手術を受けることを決意し、ケンもまた骨髄提供の手術を受けることにした。

 

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