MRR基地格納庫。そこで太陽はコンボイの状態を見ていた。
「状態は良好だね。」
「ああ。ワクチンプログラムが働いている。それより大志館で休まなくてもいいのか?」
「休むって言っても、休む方法をよく知らないしさ。それより他のトランスフォーマーの反応は?」
「それが今はまだ。」
「そっか・・・・・・・・でも味方が増えたら嬉しいんだけど。」
「難しいだろうな。それにデストロンがこちらの世界に来たらレスキューどころではなくなる。」
「そうだな・・・・・・・・・・ごめん、変なこと言って。」
「気にするな」
二人はそんな話をしながら時間を過ごした。
翌日の新東京駅。そこでは超特急リニア・タキオンの開通式が行われていた。
「それでは。テープカットをお願いします。」
進行を促すと代表者がテープカットをする。直後、久寿玉が割れ、紙吹雪が舞う。
その光景をブルーサイレンズが佐々木と共に管理室から見ていた。
「誠はポリス、進はジャイロと共にそれぞれ地上と空から追尾しろ。強はサイレンギャリーで先行して待機。アリスは列車に乗って不測の事態に備えろ。以上が今回の任務だ。」
『はい!』
「で、アリス。その恰好は一体なんのつもりなんだ?」
アリス以外がMRRの制服を着ている中、アリスだけがおしゃれをしていた。
「誠が、アリスは女優をやってろっと言ったので従ったまでです。」
アリスははブテながらもそう言った。
「彼女にはお似合いの格好だと思います。」
誠が嫌味たらしく言う。そんな誠にアリスは眼を飛ばす。そんな光景を見て佐々木は溜息を吐く。
「いいか!こんな調子で大きなミスをしてみろ!向こう半年間はトイレ掃除だぞ!」
少し離れたところで誠はポリスロボと話をしていた。
誠とアリスが喧嘩をしているのはアリスが誠の考えた訓練が嫌で、演技をしているのを誠が見抜いたところから始まった。誠自身も悪気があってやっているのではないが、それでも一直線に通してしまう。
「どうした誠?こんな状態では、チームが上手く機能しないぞ!」
「俺はちゃんとやりたいだけなんだ。でもアリスがいるとどうしてもやっているように見えなくて・・・・・」
「ほっほっほ、若いな。」
「「誰だ!」」
突然聞こえて来た声に二人は警戒する。
「安心せい、敵意はない。ただお前さんと話をしたいだけじゃ。お前さん、自分がやっていることがすべて正しいと思っているじゃろ?」
「そうだが・・・・・・・それがなにか?」
「若いな。確かにお前さんお考えは正しい。だが、お前さんは他の人のことを考えてはいるか?」
「え?」
「皆が皆同じなのか?人一人、個々の考えがある様に体も作りも違う。ならばその声に耳を傾けるのもまた、君のリーダーとしての必要な要素の一つではないのかね?」
その言葉に誠は言い返せられなかった。
「ではわしはここから去ろう。またいつか、会う日は来るといいのう。」
そしてその声の主はそこから去って行った。
そして時間となり、タキオンが出発した。
しかし、そこで予想外に事態が起きた。モニターが砂嵐になった直後、黒服の男二人と機長の席に一人が座っていた。機長は拘束され、身動きができない状態になっていた。
『よく聞け!このタキオンは俺たちが乗っ取った!』
『列車には爆弾が仕掛けてある。俺たちに逆らったら即爆発する。』
『列車が200km/hに落ちても爆発するからな。無理に止めようとしても無駄だぜ。』
現在のタキオンは700km/hであった。その状況にアリスは思ったことを口にした。
「トレインジャック!」
そのことに乗客は動揺する。
「なんてことだ!」
佐々木も動揺していた。
「ポリス!出来るだけ接近するぞ!」
誠はビークルモードのポリスロボに乗り、タキオンへ接近する。
「こいつはDangerousだぜ!」
ジャイロロボも追いかけ始める。
MRR基地にもそのことが入電された。
「長官、アリスへの通信許可を!」
「許可します。」
太陽の申し出が通り、太陽はアリスに通信を入れる。
「アリス、声で話すとマズいからタップで返事をしてくれ。はいなら一回、いいえなら二回。分かったな?」
トン
「よし。トレインジャック班は何人かタップで示してくれ。
トントントン
「三人か?」
トン
「そいつらは頭がいいか?」
トントン
「OK。じゃあ・・・・・・・・・・・・人質は取られているか?」
トン
「何人かタップで。」
トントン
「二人・・・・・・・・機長も含まれているか?」
トン
「よし。・・・・・・・・・・アリス、土壇場で演技は出来るか?」
トン
「よし。作戦を言うぞ。至ってシンプルに、か弱い女を演じろ。」
操縦室の前で黒服二人組が見張りをしていた。アリスは恐怖する少女を演じる。
「キャ――――!」
「ど、どうした!」
アリスが男の足にしがみ付く。
「い、今窓の外に何かが!お化けみたいなのが!」
二人はアリスの言葉を信じる。
二人は恐る恐る窓の外を見る。そんな二人をアリスが備え付けられていた消火器で頭を殴り気絶させる。
「ごめんなさいね。」
その頃誠はジャイロにぶら下がりながらタキオンに乗り込もうとしていた。
「気を付けろよ、誠!」
ジャイロロボがそう言うと誠は親指を立てて応える。誠は700km/hのタキオンの天井に降りる。あまりの速さに振り落とされそうになるが何とか天上にしがみ付いた。
「もう少しまともな方法なかったのか?」
太陽はふと疑問に思った。
その頃タキオンのトイレで一人の男性が用を足していた。すると天井が開いたことに男は驚く。
「「あ・・・・・・」」
偶然にも出くわしてしまった。
「緊急事態なので失礼します。」
誠は謝罪を入れると中に入った。
「ごゆっくり。」
誠は敬礼してそう言った。言葉が違うのは気のせいだろうか。
その頃アリスは操縦室に涙目で入った。中には機長とタキオン開発会社の社長が人質にされていた。
「パパ―!」
アリスは社長に抱き着く。
「私が身代わりになります!だから!」
「残念だったね。」
トレインジャック犯のボスは女性であったため、演技は通じなかった。
「っ!」
女ボスはアリスの顎を掴む。
「アイツらは騙せてもアタシは騙せないよ。」
その時下っ端二人が入ってきた。
「「イテテテテ・・・・・・・・・・あっ!」」
「アンタたち、この女にコロッと騙されたわね。」
「「め、面目ない・・・・・」」
「さて、どうしてくれようかね。」
絶体絶命のアリス。だがこの時ある条件がそろっていた。
一つ、アリスがK-BOYの回線をまだ開いていたこと。
二つ、誠がタキオンに乗っていることだった。
太陽は誠に通信を入れる。
「誠、今から俺がでっかい合図出すからそれに乗じてトレインジャック犯にあたってくれ。」
「わかった。」
「じゃあいくぞ。」
太陽は大きく深呼吸をすると大声で叫ぶ。
「トランスフォ――――――――――――――――――――ム!」
その声に誰もが驚いたが誠は動じずに手下二人を鎮圧。そして天井を蹴り、ボスのリモコンを奪うと後ろから強烈な蹴りを喰らわせる。
「今どきのガキは・・・・・・・・・どうなってるんだい?」
それがボスが気を失う前の最後の言葉であった。
「怪我はないか、アリス?」
そんな誠の姿にアリスは頬を赤らめる。
「う、うん・・・」
そして二人はトレインジャック犯から爆弾のことを聞く。
「なるほど。爆弾はハッタリか。」
誠の言葉にトレインジャック犯は頷く。
「じゃあ列車を止めても大丈夫ね?運転手さん。」
「待って!」
「まだ止めちゃまずいぜ!」
進とジャイロロボが止めに入る。
「爆弾が!」
爆弾は本当に仕掛けられていた。
「あのガキ、マジに仕掛けやがったのかい!」
「どういうことだ?」
トレインジャック犯は真実を告白する。
「この計画は、俺たちが考えたんじゃねぇ。」
「やらされたんだよ!あのガキに!」
「子供に?」
誠の言葉に下っ端は頷く。
「マフラーグルグルの、こう釣目の、嫌味なガキさ!」
「「まさか!」」
二人はジェイのことを頭に思い浮かべた。
タキオン上空にはステルスロボに乗っているジェイの姿があった。
「ソイツはデザスターがよく使うタイプの爆弾だ!スピードを200km/h以下に落としたら本当に!」
しかしそこに最悪の事態が重なった。外から盗み聞きしていた乗客が耳にしてしまったのだ。
「大変だ!爆弾は本当だったんだ!」
乗客は皆に知らせようと客席へ戻ってゆく。
「待ってください!」
誠の制止も空しく、乗客はパニックになる。
しかしその事態をアリスが納める。アリスは機長質のカメラを使って乗客全員に呼びかける。
「乗客の皆さんにお知らせします。」
しかし乗客はパニックのままであった。
「コラー!アンタたち聞きなさーい!」
アリスの一喝で乗客は鎮まる。
「現在、この列車は爆弾が仕掛けられていることによって止まることができません。200km/hに速度を落とすと爆弾は爆発します。でも、心配はいらないわ。私たちはマシンロボレスキューです。事件を解決するために既にポリスロボ、ジャイロロボ、サイレンギャリーが出動しています。だから、安心して待っててね。アリスのお・ね・が・い。」
アリスは皆の前では平常を装っているが本人は誰よりも怯えていた。
しかしここで最悪の事態が発生した。爆弾解体には30分。しかし210km/hに落としたとしても15分しか残されていなかった。
そんな時太陽が終点付近のレールに気づいた。
「これは?」
「それなら実験用の環状線だ。」
「これに繋げることは出来ないのか?」
「無理なのよ。その実験線と本線は繋がってないのよ。」
その時コンボイから通信が入った。
「太陽、私にいい考えがある。」
太陽たちはコンボイの作戦を聞いた。
「・・・・・・・・・成程。少々現実的ではありませんが、やるしかないでしょう。ブルーサイレンズは直ちに実行してください。」
『了解!』
誠はアリスを連れて入ったところから出ることにした。因みにそこでは男性が用を足していたので少しパニックになった。
「爆弾の方、頼んだわよ。」
「任せて。」
進はアリスの言葉に答えた。強はサイレンギャリーを作戦ポイントに急行させる。
誠は機長に210km/hに固定してもらった。
「頼むぞ皆。俺たちが息を合わせてそれぞれの役割をこなさなければ、たくさんの人が危険にさらされる!」
『了解!』
ジャイロロボはアリスをサイレンギャリーへ運んだ。
「頼んだぜ、アリス、強!」
「お待たせ!」
アリスがサイレンギャリーに乗車する。
「せーの!」
アリスと強はレバーを降ろす。するとサイレンが変形起動準備に入る。そして二つの手回しハンドルが出てくる。
「「救急機動、変形はじめ!」」
二人はハンドルを回し始める。しかしハンドルは重く、変形に時間が掛かっていた。
「予定ポイントまであと三分!」
小百合が報告する。
「言わないわよ・・・・・・・・誠の言う通り鍛えておけばよかったなんて言わないんだから!アリスに力仕事なんてさせないで―――――――――――!」
アリスの自棄の力が働き、重いハンドルを手早く回し始める。
するとサイレンギャリーのコンテナと本体が外れ、コンテナがボディーに変形、そして本体と合体する。サイレンギャリーロボが変形完了する。
「変形・・・・」
「完了・・・・」
「間もなく、予定ポイントに到達します!」
小百合が報告すると二人はサイレンギャリーを動かし始める。
「少し手伝ってやるか。」
謎のロボットが陰から姿を一瞬表すと線路を押しやすいように切る。
「なんだかわからないけど、押しやすくなった・・・・」
「そんなこと気にしてる場合じゃないわ!押せ―――――!」
サイレンギャリーは線路を押し、実験線へ繋げる。
「タキオン、実験線に侵入しました!」
『やった!』
皆はそのことに喜ぶが、そこで事態は納まらなかった。
「誠!」
「わかっている!進、急いでくれ!」
「待って!もう少し・・・・」
そして誠は爆弾を解体し、遂に赤、青、黄のコードのメインコードが露になった。進はどのコードを切ればいいのかわからなくなった。
「ポイント再突入まで、一分!」
小百合が報告する中、ジェイはステルスロボの手で状況を見ていた。
「データは十分に取れたか?」
「もう少し欲しいな。」
「了解。」
ステルスロボはビーム砲を構える。
「誠、待たせたな。」
「ポリス!」
現場に現着したポリスロボに誠は喜ぶ。
「急げ!ボイスコマンド!」
「強、ジャイロロボにボイスコマンド!レスキュー合体だ!」
「わかった!ジャイロロボ!ハイパーモード、合体はじめ!」
「ポリスロボ!ハイパーモード、合体はじめ!」
「「ハイパーモード、合体はじめ!」
誠と強のK-BOYの顔が開き、目が光る。
「ハイパーモード、合体はじめ!アチョー!ヘリコプターロボ各機へ、ハイパーモードへシステムを移行!合体準備よし!三番機よし!二番機よし!四番、五番機よし!起動、各部異常なし!レスキュー合体、ハイパージャイロロボ!」
「ハイパーモード、合体はじめ!ダーッシュ!バイクロボ各機へ、ハイパーモード、へシステムを移行!合体準備、よし!四番、五番機よし!Stand up! 二番、三番機よし!起動、各部異常なし!レスキュー合体、ハイパーポリスロボ!」
二機はサイレンギャリーと共に本線を持ち上げ始める。しかし、ステルスロボのビームがレールを破壊する。
「進、急げ!レースが破壊されたぞ!」
「ええ!どれだ?どれを切れば・・・・・」
『赤を切れ!』
太陽から通信が入る。
『早くしろ!』
「よし!」
進は赤を切る。すると電光掲示板が消え、爆弾が解体された。
「っ!誠!」
「運転手さんブレーキ!」
タキオンのブレーキが掛かり始める。それと同時に三機の力を合わせてレールを持ち上げる。天井を本線に擦りながらも通り抜け、間一髪で停止した。
『た、助かった・・・・・・・・・・』
誰もがその言葉を口にした。
「若いのによくやったの。太陽の仲間の実力、しかと見させてもらったわ。」
そのロボットはそう言うと奥へと姿を消した。