「時は来た。ついに我々はマシンロボのすべてのデータを手に入れたのだ!」
デザスターの基地でカイザージーがそう言うと、ジェイにある映像を見せた。それはマシンロボの設計図とスペックデータであった。
「これで我らに知らぬ力などない。」
「もう、俺は好きなように戦っていいんだな?」
「ならばジェイよ、お前はどう戦う?」
「知れたこと!奴らにはそれぞれ得手不得手のフィールドがある。なら、他のマシンロボが手を出せぬフィールドに追い込み、一体ずつ倒せばいい。」
「面白い。やってみろ。思う存分お前の力を試してみるがよい。」
カイザー博士がそう言うとジェイはその場を後にした。
MRR基地では通がブラッドに報告をしていた。
『長官、出来ました!例の物が完成いたしました!』
「そうですか!よくやってくれました。」
『早速実験に移りたいのですが!』
「うーん、それは困りましたね・・・・・もう数日待ってもらわねばなりません。」
『は?』
「彼らは今―――」
地球軌道上をイカロスが飛んでいた。先頭をジェットチームが先行する。
「こうやって地球を見るのは初めてだな。」
「そうなの?」
「ああ。向こうの宇宙の地球は見たけど、こっちの宇宙のは初めてだな。てか鈴、なんで窓側にしなかったんだ?別に俺内側でもよかったのに。」
「き、気分的に内側にしたかったのよ。それよりあれじゃない?」
「ん?ああ、本当だ。」
そんな二人の光景をエースと海が見ていた。
「やれやれ、遙君はもう少し素直になったらいいんじゃないのかな?」
「でもそんなこと言ったら理不尽な暴力を振るわれますよ。」
「そうだな。」
そんな話をしているとジェットがK-BOYに通信を入れる。
「反応があった。11時の方向だ。」
その声を聴いてエースと海が窓側に押し掛ける。その際に鈴と太陽の距離が一気に縮まった。
「あれが?」
「そうです!アレが成層圏スペースポート、イカロスⅠです!」
遡ること数日前のことであった。レッドウィングス一同は長官室である任務を言い渡された。
『ええ!宇宙へ!』
「緊急ではないけど、国際宇宙ステーションから応援要請が入ったの。」
「本来なら、我々が出るような事態ではないのだが、宇宙での実地訓練も兼ねて、君たちレッドウィングスの出場が決まった。」
マリーと佐々木の説明に太陽以外のみんなが喜んだ。
(宇宙か・・・・・・そういた久しぶりだな。)
「お母さん、僕は宇宙に行けます!」
海はあまりの感動に涙を流した。
「それでどうやって宇宙に行くんですか?種子島からシャトルで?それとも・・・・」
「喜べ。イカロスで経由していく。」
宮島がそう言った。
(イカロスⅠ。航空機が飛べる限界と言われる高度3万メートルを飛び続ける人類史上最大の飛行物体。人や荷物は、ここで空気のある大気圏から真空でも飛べる、ロケットエンジンを積んだステーションライナーに乗り換えて宇宙ステーションに行くんだ。)
太陽たちはステーションライナーの発射する瞬間を目撃する。
イカロスがイカロスⅠのアームで固定され。ドアの部分を固定しロックする。
太陽たちがステーション内に入るとそこはまるで空港であった。
「すっごい!ここ本当に飛行機の中なの?」
「このイカロスⅠのおかげで、宇宙開発が10年早くなったって言うんだ。」
(10年か・・・・・・ノアやアトランティスを見つけた時は100年くらい早くなったよな。)
エースの説明に太陽がそう思うと宮島が太陽たちに声を掛ける。
「こらこら、半分研修とはいえど任務なんだからな。あんまり、浮かれるなよ。」
『はーい、宮島教官。』
鈴たちがそう返事をすると一人の男が宮島に声を掛ける。
「宮島?宮島じゃないか!」
「本田!」
「よ!」
二人は手を握り合う。
「奇遇だな、こんなところで。」
「宇宙ステーションに行くところだ。」
「宇宙ステーションなら俺が毎日行っているぞ。」
「お前は今確か・・・・・ステーションライナーのパイロットしているんだっけな?」
「ああ。」
「いい機会だ。お前たちにも紹介しておこう。俺が昔所属していた隊の同僚の本田だ。現役の宇宙パイロット。」
「初めまして、マシンロボレースキューの諸君。分からないことがあったら・・・・」
その時本田は気づいた。
「君、大空太陽君かい?」
「え、あ、はい。大空太陽です。宮島教官の元、レッドウィングス及びサイバトロンに所属しています。」
「そうか。大きくなったな。」
本田の太陽を見る目は、どこか憐れんでいるような目をしていた。
「おいおい本田、久しぶりだし太陽もいいが、同僚同士、あっちでお茶しないか?」
宮島はそう言うと無理矢理本田を連れて行った。
「おい、宮島!なんだよ宮島?」
そんな光景を見ていたエースがあることを口にした。
「やっぱりあの噂、本当なのかな?」
「噂って?」
鈴が問う。
「宮島教官がマシンロボレスキューの前陣の、レスキューレッドだったって話さ。」
「レスキューレッド?」
「あれ、知らないのか太陽?世界中から選抜された伝説のレスキューチームさ。」
「教科書に書いてたでしょ?」
「そういえば・・・・・・・・(待てよ、たしかレスキューレッドって・・・・・)」
太陽があることを思い出そうとしているとおもちゃのイカロスを持った子供たちが前を通り過ぎる。
「あ、マシンロボレスキューだ!」
子供たちは窓から見えるジェットチームとファイヤーチームを見つけ、窓から見る。
『すっげー!』
「うわ!ファイヤーだ!降りてくるよ!ジェットも一緒だ!かっこいい!」
「ねえねえ、お兄ちゃんたちマシンロボレスキュー人でしょ?」
「そうよ。貴方たちこれから宇宙に行くの?」
鈴が問うと子供たちは答えた。
「パパに会いに行くんだ!」
「お父さん、宇宙ステーションで働いているんだよ。」
「働いてんだ。」
「へー、お父さん宇宙ステーションで働いてんだ。すごいね。」
その時太陽の脳裏にある記憶がフラッシュバックした。太陽が事故に遭う少し前、太陽の手を太陽の母が引っ張っていた。隣には父の姿があった。
少し離れたところで宮島は本田とコーヒーを飲んでいた。
「どうしたんだ宮島?こんなところに引っ張って来て・・・・言いたいことがあるなら早く言え。俺はあの子が生きていてくれたことが嬉しくて・・・・」
「すまん。太陽のことでちょっとな。」
「?」
そう返す宮島に本田は怪訝となる。
「実はアイツ・・・・・・・・・・・憶えてないんだ。」
「憶えてないって・・・・・・・あの時のことをか!」
出て来た言葉に本田は驚き思わず叫び、宮島は本当だと頷く
「ああ・・・・俺たちが担当した四年前の事故だ。自分が飛行機事故に遭ったことや、両親が死んだことは理解しているんだ。でもそれ以上の詳しいことは何も憶えていない。と言うか・・・・・思い出すのを無意識に拒否しているんだ。」
「しかし・・・・・・・・・それじゃあ・・・・・・いつか事故を思い出した時、あの子は・・・・」 そう言う宮島に本田はあの時の事故の惨状を思い出しながら太陽を心配する。
「わからん。太陽はレスキュー隊員として素晴らしい才能を持っている。次は太陽たちの時代だ。俺たちにできることは、持っているもの全てを太陽たちに伝えることだ。そのためにも、太陽には乗り越えてもらわねばならないのだ。」
「宮島・・・・」
首を振って宮島が言ったその時本田の時計のアラームが鳴る。
「お、もうフライトの時間だ。悪いな、宮島。お前も後の便で来るだろ?続きは上でな。」
「ああ。」
本田はその場を後にした。
宮島は一気にコーヒーを飲み干した。
イカロスⅠの近くを光学迷彩を解いたステルスロボが飛行していた。中にはジェイが搭乗していた。
「誘い出すまでも無く、こんなところに出てきてくれるとはな。」
その頃本田はステーションライナー12便の操縦席に乗っていた。
「イカロスコントロール、こちらステーションライナー12便。発進準備チェックしてくれ。」
「こちらコントロール、了解。12便をこれより発進準備に入ります。」
イカロスコントロールルームには太陽たちが見学をしていた。
〈アテンションプリーズ。14:30発、国際ステーション行きをご利用のお客様は、レフトウィングからのご搭乗になります。〉
「搭乗を開始してくれ。」
「12便、ドアロックオープン。」
その光景に鈴と海は興奮していた。
「すごい!」
「あの人たち、これから宇宙に行くんですよ!」
ホンダはドアロックオープンに入る。
「こちら12便、これより搭乗を開始します。」
「搭乗開始。」
その瞬間、太陽のサバイバルナチュラルが働いた。刹那、イカロスⅠの左翼をビームが貫いた。
「なんだ?」
「何が起こった!」
コントロールルームからは燃えているイカロスⅠの左翼が目に入った。
「左翼端部で爆発!」
「19ブロック、火災!」
「早く被害報告をまとめろ!」
「レーダーに機影!六時方向の上空です!」
「直ぐにモニターに出せ!」
モニターに映しだされたものに一同驚きを隠せなかった。
「なにっ!」
「あれは!」
「ステルスロボ!」
「いかん!12便の発進を止めろ!」
艦長が指示を飛ばした途端、第二射が放たれた。
「左翼に再び被弾!」
それによってイカロス内は火災が発生する。
「なんだ?こちら12便、管制室、どうした?」
「こちらイカロスコントロール!19、20ブロックに火災発生!」
「左翼、搭乗待合室でも火災発生!」
コントロールルームに宮島が駆け付けてくる。
「失礼します。今の衝撃は?」
宮島は火災現場を目撃する。
「い、いかん!本田や住民が!マシンロボレスキューレッドウィングス、緊急出場!」
「はい!」
そのことは地上のMRR基地にも伝えられた。
「鈴、俺がジェットに乗る。」
「待って太陽!ここはアタシが・・・・」
「俺は宇宙でのことなら慣れてる。」
「でも・・・・・・・」
「大丈夫だって。ちゃんと生きて帰ってくるから。」
太陽はそう言うと鈴の頭を撫でた。
「・・・・・・・・・死なないでよね。」
鈴は太陽のK-BOYに合体コマンドを送る。
「じゃ、行ってくる!」
太陽はジェットに搭乗した。
「ジェット、出場!」
「ジェ―――――――――ット!」
ジェットロボがイカロスⅠから出場し、ステルスロボの方へ向かう。
「ジェット、モードチェンジからの体当たりだ!」
ジェットロボは太陽の指示通りモードチェンジをするとステルスロボに体当たりをする。
「太陽、この高度での戦闘は不利だ。なるべく早く決着をつけるぞ。」
「わかった。危ない!」
ステルスロボがビーム砲を放つ。
「成層圏内用だから100分の1気圧しかないこの場所じゃ不利だ!」
「だがなぜアイツは早く動ける?」
ジェットロボの攻撃をステルスロボは防ぎ、ジェットに反撃をする。
その頃イカロスⅠ内部では火災が激しく、コントロールが上手くできていなかった。
「これより本館は緊急マニュアルに従い、高度を下げる。」
「待ってください!」
エースが止めに入る。
「炎は、翼の内部にまで入り込んでいます。空気が薄いこの高度では、延焼速度は速くはありませんが、もしこのまま高度を下げれば・・・・一気に炎上する恐れがあります!」
エースのその言葉に艦長は的確な指示を飛ばした。
「直ぐに脱出ポットを降下させろ!急ぐんだ!」
イカロスⅠから次々と脱出ポットが降下される。
そんな中鈴と海は逃げ遅れた子供たちを深手を負った本田を乗せて12便の中にいた。刻一刻と時間だけが経過してく中、ソニックボンバーから連絡が入った。
『ちょっといいか、エース?』
「なんだ、ソニックボンバー?」
『そのブロックは切り離し可能か?』
「ちょっと待って。コントロールルーム!」
「ああ、可能だ。」
『なら話は早い。他に要救助者がいないことを確認して、その後でブロックを切り離せ。煙種もそこで収まる。』
「だがそれではバランスが取れないぞ!」
『だったら反対側も同じ量外せ。そうでもしないと死んじまうぞ!』
「・・・・・・・・・わかった。」
その通信は太陽も聞いていた。
「ジェット、一気にやるぞ!」
太陽はK-BOYを掲げ叫ぶ。
「ジェット!ハイパーモード、合体はじめ!」
太陽のK-BOYの顔が開き、目が光る。
「ハイパーモード、合体はじめ!スカイロボ各機へ、ハイパーモードへシステムを移行!合体準備よし!四番よし!五番機よし!二番機よし!三番機よし!起動、各部異常なし!レスキュー合体、ハイパージェットロボ!」
「ステルス!ハイパーモード、合体開始!」
ジェイのK-BOYの顔が開き、目が光る。
「ハイパーモード、合体開始!ブラストオフ!タンクロボ各機へ、ハイパーモードへシステムを移行!合体準備よし!三号機OK!二号機OK!五号機OK!四号機OK!起動、各部異常なし!完了!ハイパーステルスロボ!」
互いにハイパーモードに合体すると先手を打ったのはハイパージェットロボであった。
「フィンガーフラッシュ、パー!」
ハイパージェットロボのフィンガーフラッシュハイパーステルスロボに飛ぶがハイパーステルスロボはそれを避ける。
「くそ!やっぱりそう言う設計かよ!」
太陽はあることを予想していた。
その頃MRR基地指令室にブラッドが駆け付けた。
「長官!」
「マリー、状況は?」
「今、イカロスがステルスの攻撃を受け炎上中です。太陽君とジェットがレスキュー合体をしてステルスを食い止めていますが・・・」
「なに!ステルスが!いかん、太陽君!その高度でステルスと戦ってはいかん!」
「長官、やっぱり!」
「ステルスのエンジンは本来、高高度、宇宙用の物なんです。その高度もステルスは戦える!」
ブラッドの言葉に衝撃が走った。
「この高度は貴様らにとって現界。だが、俺たちにとっては!」
「性能を100%発揮できるバトルフィールドなんだよ!」
ハイパーステルスのラッシュがハイパージェットを襲う。
「退きなさい、太陽君!ジェット、今のステルスにはとても・・・・」
「出来るか!もう・・・・・・・仲間や大事な人が目の前で失われるのだけは、いやなんだよ!」
「やはり貴様はバカだな。不利と分かっていたなお戦おうとするとは。」
「それが俺たちなんだよ!ジェット!」
「ジェットパンチャー!」
両腕のジェットパンチャーがハイパーステルスロボに向かい放たれる。
「遅い!」
しかしハイパーステルスにとって脅威ではなかった。ハイパーステルスはビーム砲でスカイロボのエンジンを破壊する。
「スカイロボ!」
スカイロボは煙を出しながら地上へと落ちてゆく。
「直ぐに水道橋ラボに繋ぎなさい!最優先です!」
ブラッドが指示を飛ばした。
その頃鈴たちは脱出準備に入っていた。
「こちら12便。発進準備、すべて整いました。」
「よし、すぐに追いかけてやるからな。落ち着いてやれ。」
「「はい!」」
「太陽、聞こえるか?これから発進する。」
「了解です。ジェット、もうちょっとワガママ付きあってくれる?」
「当たり前だ。」
12便に乗っている海が言った。
「いきますよ。」
「点火!」
「「点火!」」
12便のエンジンが点火する。
「12便、エンジン点火!」
「発進!」
「発進します!」
12便はロックを無理やり外し、胴体を擦りながら進むが機体は起き上がらなかった。
「ダメだ!機体が浮かばない!」
「構わない!フルパワーよ!アフターバーナー、全開!」
アフターバーナーが全開し、12便は不規則な軌道を描きながら飛び立った。
「12便発進!」
「両翼18から20ブロックをパージ!」
「パージします。」
両翼のブロックがパージされ、火は消える。そしてブロックは地上に辿り着く前に燃え尽きた。
「よし!」
宮島は喜ぶ。
「これより、降下開始します!」
イカロスⅠは降下を開始する。
「逃がすか!」
ハイパーステルスロボがイカロスⅠを追いかける。
「そうは!」
「させない!」
ハイパージェットロボがハイパーステルスロボに体当たりをする。
「お前ならそう来ると思ったよ。」
ジェイは太陽がこういう行動を起こすことをあらかじめ予想していた。ハイパーステルスのビーム砲がハイパージェットの両足に向け放たれ。スカイロボを損傷させる。その際にジェットロボのブースターも破壊されてしまい、そのまま地上へと落ちる。
その時太陽の脳裏に事故の記憶が浮かび上がってきた。
「止めだ!」
「逃げろ、ジェット!太陽!」
宮島は叫ぶがジェットは文字通り身動きができない状態。
絶体絶命の瞬間、地上から四機のサポーターロボが飛んできた。
「こいつら、一体!」
「データに無い機体だ。しかも、この高度でこれほどの速さで動けるとは!」
四機のサポーターロボはハイパーステルスロボの周りを旋回する。
そしてサポーターロボはロボモードへと変形する。その姿はスカイロボと瓜二つであった。
「間に合ってくれましたか。スペースロボ。」
「スペースロボ?」
ブラッドの言葉にマリーは疑問を持つ。
「これこそ水道橋博士が高高度宇宙用に開発していた新型サポーターロボ、スペースロボです。」
そんな中太陽に小百合が声を掛ける。
「太陽さん!太陽さん!ダメです!さっきから呼びかけているのですが、太陽さんからの応答がありません!」
「何、太陽君!」
『太陽!』
サイバトロンのメンバー全員が声を掛けるが太陽は返事をしない。
「うぁあああああああああああああああ!」
太陽の記憶にあの日の記憶が蘇った。
そして太陽とジェットロボは雲の中へ沈んだ。