太陽は善次郎とさとこ、そして鈴と一緒に善次郎とさとこの旅行に来ていた。
何故鈴も一緒かというと、鈴は日本の田舎に一度も行ったことが無い。他のマシンロボレスキューのメンバーは経験があるが鈴だけはなかった。せっかくなので鈴も一緒にと太陽が誘ったのだ。その時それを陰で仕組んだ夫婦がいるのはここだけの話である。
「やっと着いたー。」
「でもたまにはバス旅もいいよな。」
バスから降りた鈴が身体を伸ばしながら言うと、太陽が相槌を打った。
「今日は旅行だからね、二人共。うんと甘えていいんだよ。」
さとこが二人にそう言うと二人は嬉しそうに笑った。そんな時サイレンの音と鐘の音が聞こえて来た。
「なに、この音?」
「サイレンみたいだけど・・・・」
二人が音のする方を向くと年を取った男性がポンプ車から半身を乗り出して道を開けるように叫んだ。
ポンプ車が行く先には煙が上がっていた。
「火事よ!」
「行くぞ、鈴!」
太陽が走り出すと鈴は付いて行った。
「あらあら、どこに行っても職業病が働くねぇ。」
「いい夫婦になりそうでい。」
二人が走り出す光景を微笑ましそうに善次郎とさとこは見ていた。
火災現場にはたくさんの野次馬が集まり、警察官たちが近づかないようにさせていた。
燃える一軒の家をポンプ車に乗っていた老人がホースを持って近づくと叫んだ。
「放水はじめ!」
丁度火災現場に来た鈴がその光景を見て驚いた。
「あんな古いポンプ車一台!」
「成程。あれは消防団だな。」
「消防団?」
太陽の言っていることが鈴はわからなかった。
その時消防団の一人が老人に言った。
「竹さん、隣町の消防署が渋滞で動けねぇってよ。」
「へ、最初っからアテにしてねぇよ!」
「でもポンプ車一台じゃ・・・・」
「文句言う暇があったら横の気でバケツに水ぶっ掛けろい!燃焼したらどうするんだ!」
冷静な太陽に主御防弾の男性は驚く。
「バケツ!バケツ集めて!」
「バケツ?」
突然のことに鈴は動けなかった。
「鈴、バケツリレーだ。早くするぞ。」
「え?あ、うん。」
鈴は太陽の言葉にそのまま従いバケツリレーをした。
やがて消火が終わった。丁度その時に消防車が来た。
そして竹さんと呼ばれる人はその場を後にした。
旅館へ行く道中、鈴は太陽に問う。
「ねえ太陽、消防団って何なの?」
「簡単に言うと地域の人の消防隊って感じかな?地域の人が集まって消火活動や救助か綴を行うんだ。地方自治体によっては無報酬のところもある。」
「へ~。」
太陽の説明に鈴は感心した。そんな話をしていると旅館に到着した。
「ここだよ。」
どこか懐かしい雰囲気のある旅館を二人が見ていると暖簾の奥から先ほどの竹さんが姿を現した。
「よう、善さん。待ってたぜ。」
「あ、さっきの!」
鈴が竹さんを見て驚いた。
一同客間に案内され茶を淹れてもらう。
「こいつは岡野竹造って言ってこの民宿の主人でな、俺の古い知り合いなんだ。」
善次郎が武三のことを話す。
竹造は茶を差し出しながら「よく来たな、善さん。」と言った。
「見てたぜ、竹さん。見事なお手奈じゃねぇか。」
「消防署が隣の町にしかなくってな。待ってたら家が全焼しちまう。」
そう言うと竹造は笑った。そんな竹造に善次郎は言った。
「竹さん、この二人はこんな小さな身なりの割にマシンロボレスキューの隊員でねぇ。」
「マシンロボレスキュー?そっちの嬢ちゃんはバケツリレーが上手くわかってなかったようだぜ。」
「それは地域差って事です。」
「ん?どういうことだ?」
竹造は太陽が言っていることが分からなかった。
「こういう都会から大分離れた地域だと消防署が来るのに時間が掛かるのは当然でも、都会から見れば不思議に思えるんです。この地域の人はそう言った状況に連携できますが逆に都会の人にはできないんです。でも、ここでこういう経験は今後役立つんで俺たちにとってはいい経験です。」
太陽はそう言うと茶を飲んだ。
「ほ~、お前さん面白いな。名前は?」
「大空太陽です。」
「遙鈴です。」
二人は自己紹介をした。
「竹さん、折り入って頼みがあるんだ。」
「なんだい、改まって?」
竹造は善次郎の言葉に耳を傾ける。
「この町にいる間、こいつらを消防団に入れてくれねぇか?」
夜になると鈴と太陽は竹造と共に街を巡回していた。
「「火の用心!マッチ一本火事の元!」」
二人は静かな町に大きな声で言った。
「お前さんたちやるじゃねぇか。」
「これくらい基本でしょ?」
「だな。」
鈴の言葉に太陽が相槌を打った。
「おお、言うね。自分らの町の射安全は自分らで守る。それが消防魂だ。そんじゃもうイッチョいくぞ。」
『火の用心!マッチ一本火事の元!』
ちなみに開発当初のマッチはポケットに入れているだけでも発火したという事件があったそうです。小さな火も燃えれば大怪我や大火事につながります。
翌日の早朝。まだ日が昇っていない時に竹造は来た。
「おい、嬢ちゃん!いつまで寝てるんだ!小僧はもうとっくに起きてるぞ!早く支度しろ!」
「ええ!こんな早くに!」
坂道を太陽がポンプ車を引っ張り、鈴が押す。その側を竹造が歩いていた。
「おら!もっと気合入れろ!」
「こんな何の役に立つのよ?」
「まあ、非常用消火を扱う時の訓練には丁度いいけどな。」
そう言いながら坂を上っていく一同。
そして川辺に着くと太陽は膝に手を置き、鈴は腰を地に着けていた。そんな二人に消防団の人がスポーツドリンクを差し出した。
「ほらよ。竹さん新入りに必ずそれやらせるんだ。」
「俺らも最初の頃はそれやらされたもんだよなぁ。」
「そうだったそうだった。」
そう思いだしながら笑う一同。そんな時竹造が二人にシャベルを二つ持って話しかけて来た。
「なんだもうへこたれたのか?」
「大丈夫ですよ。鈴は?」
「アタシも大丈夫よ!」
鈴は立ち上がった。
「なら今度はこれだ。」
そう言うと二人にシャベルを差し出した。
「掘削訓練だ。」
「これの意味は?」
鈴が疑問に思う。
「土嚢とか作る時には腰を使うからな。こういう河原に穴を開けて足腰鍛えるってもんだよ。でしょ、竹造さん。」
「おお、分かってるな。だたら掘削訓練開始!」
訓練を終え朝風呂に入った後、太陽と鈴は善次郎とさとこと共にある場所に向かった。
山にある岡野家が眠る墓であった。
そこで二人は善次郎とさとこからここで起こった土砂災害について話を聞かされた。
当時竹造は夫婦で民宿を行っていて、ユウヤと言う子供がいた。
ユウヤが十歳の頃、日本に大型台風が直撃。日本中の屋根が飛び、川から水があふれる中、岡野の民宿が土砂崩れに巻き込まれ、二人は返らぬ人となってしまった。
竹造はその日を繰り返すまいと竹造は消防団として今も活動していた。
そんな過去の記憶を思い出すかのように雨が降り始めた。
夜になると雨は激しさを増し、豪雨となった。
外に出るにはあまりにも危険な状況であることは太陽と鈴にも分かっていた。
そんな時部屋に竹造が来た。
「ちょいと見回りに行ってくる。少しの間留守にするからな。」
竹造がそう言うと太陽は言った。
「俺も行きます!」
「アタシも!」
「バカ言ってんじゃねぇ。いつ川が溢れるかもしれねぇ大雨だ。これは遊びじゃねぇんだよ!」
つらい過去があったため子供を危険な目に遭わせたくない竹造の思いは二人に伝わってきた。だが二人はただの子供ではなかった。
「そんなの分かってます。」
「でもあたし達だってマシンロボレスキュー。いいえ、一人のレスキュー隊員なんですから!」
二人の覚悟ある眼差しを見て竹造は折れた。
「・・・・・・・・・・足手まといなら返すからな。」
三人が街の見回りをするために合羽を着て歩いていると鈴が水に足を取られたが竹造が間一髪のところで支えた。
「気を付けろ。」
「消防団員が助けられちゃ世話無いわね。」
「わかってるじゃねぇか。」
その時竹造は足元の異変に気付いた。川より大分離れている住宅地にもかかわらず。妻先程の高さまで水が溢れていた。その根源を辿るとマンホールから水が溢れていた。
「増水しとるな。マズいな。」
「ここの水源は川ですか?」
太陽が問うと竹造は「ああ。」と答えた。
「川を見に行ってみようか。」
参院は訓練を行った川の方まで行くと朝とは打って変わって激しい水しぶきを上げ、まるで滝の様な光景と化していた。
「水がこんなに!」
目の前の光景に驚く太陽。その時鈴がある異変に気付いた。
「ねえ、こんな雨の日にバーベキューでもしている人っているの?」
「いるわけねぇと思うが・・・・・・・・・どうしてだい、嬢ちゃん?」
「だって焼ける匂いがするもの。」
「「っ!?」」
鈴の言葉を聞くと太陽と竹造は驚いた。
「鈴、お前はマシンロボレスキューに出場要請を出してくれ!」
「え?なんでよ?」
「坊主の判断は正しい。土砂崩れが起きるぞ、これは。」
「土砂崩れ!わかったわ!」
鈴はすぐ様K-BOYを取り出しMRR基地に連絡を入れる。
「坊主、お前は・・・・」
「消防団のみんなに連絡ですね?」
「そうだ。頼んだぞ。」
「はい!」
MRR基地にその通達は入り、すぐにマシンコマンダー、コンボイ、モールダイブの出場が決まった。
その頃太陽と鈴は土嚢を作るための作業を行っていた。
「あの訓練ってこのためだったのね!」
「やってて損はなかっただろ?」
二人はせっせと土嚢を作り始める。
そんな時太陽のK-BOYに連絡が入った。
〈緊急連絡!緊急連絡!〉
太陽は出た。
『太陽、宮島だ。鈴も一緒か?』
「はい。今消防団と土嚢を作っているところです。」
『そうか。お前の見立て通り土砂崩れが発生した。だが今は流された木や岩でせき止められている。今そちらにギャラクシーコンボイとモールダイブ、マシンコマンダーが向かっている。お前たちはお前たちにできることをしてくれ。』
「了解。」
連絡を終えると太陽は竹造に話した。
「土砂崩れだと!」
「はい。でも少し問題が・・・・・」
「なんだ?」
「木や岩でせき止められているそうです。」
「そいつはマズいな。」
「え?なにが?」
鈴は二人が言っている意味が分からなかった。
「ただの土砂崩れじゃ済まねぇって事よ。」
「それってどういう・・・・」
鈴が問おうとすると地鳴りのような音がした。
「何よこの音。」
「鉄砲水だ。せき止められた土砂が一気に噴き出して土石流になるんだよ。」
「土石流!?」
太陽の説明に鈴は驚く。
「太陽、鈴。ここはお前らに任せるぞ。」
「「了解!」」
竹造は二人にそう言うと消防団にある話をする。
「村の全員を避難させるぞ。」
「全員!?」
「ああ、そうだ。一人も残すな。」
「ああ、わかった。行くぞ!」
消防団員はそう言うと村の人全員の避難誘導へと向かった。
その頃マシンコマンダーに乗っていたエース、誠、大地は現場の被害を確認していた。
「土石流は、岩や倒れた木で上手くせき止められているな。」
「でも、崩れるのは時間の問題だよ!」
大地の指摘に誠は指示を出す。
「よし。マシンコマンダー、リーダー合体、はじめ!」
マシンコマンダーは三機に分離すると合体準備に入る。
「イエローコマンダー、よし!」
「ブルーコマンダー、よし!」
イエローコマンダーに搭乗しているドリルロボ、ブルーコマンダーに搭乗しているポリスロボが確認をする。
「起動、各部異常なし!リーダー合体、マシンコマンダーロボ!」
マシンコマンダーロボは土石流がせき止められている場所付近まで近づくと指示を出す。
「南西に湖がある。土砂を湖に誘導しよう。ドリルは、湖までの水路を確保。」
「了解。」
「よっしゃ!」
大地とドリルロボは返事をする。
「ファイヤーは土砂を誘導。及び監視。」
「エースに任せな。」
「了解だ。」
エースとファイヤーロボも返事をする。
「ポリスは待機。誠は指揮所に上がれ。」
「了解!」
「了解した!」
マシンコマンダーロボが着地するとレッドコマンダーからファイヤーロボ、イエローコマンダーからドリルロボが出て各自の役割をしはじめた。
鈴と太陽が土嚢を積んでいるとコンボイとモールダイブが現着した。
「遅れてすまない、太陽。」
「何をしたらいい?」
「ギャラクシーコンボイは俺とエースの所に行くぞ。モールダイブはセメントで緊急堤防を作ってくれ!」
「おうよ!モールダイブ、トランスフォーム!」
モールダイブはトランスフォームする。
「鈴、モールダイブに指示を出してくれ。」
「わかったわ。太陽も気を付けて。」
鈴がそう言うと太陽はコンボイに搭乗した。
太陽とコンボイは上空から土石流の状況を確認する。太陽が確認した時にはダムが決壊し始めていた。
「エース、ダムが一部決壊を始めた!」
「なんだって!くそっ!せっかく湖までの水路を確保したのに!ファイヤー、せき止めろ!」
「了解!」
ファイヤーロボは漏れた水を止めようと支えるが一か所の結界からダムは徐々に壊れはじめ、遂にすべての水が漏れてしまう。
「しまった!」
太陽はそのことを鈴に知らせた。
「なんですって!」
「やっぱり来たか。おい、住民の避難は?」
「完了しています。」
「っ!?」
自分がモールダイブと臨時ダムを作っている間、消防団は住民の避難を完了していたことに鈴は衝撃を受けた。
鈴は竹造と共に高台から土石流が流れる川を見ていた。鈴は壊れるのではないかと不安になる。
「竹さん・・・・」
「大丈夫だ。あの高さなら持ちこたえる筈だ。」
そう思った矢先であった。激しく流れる土石流が橋を倒した。
「橋が!」
「マズイ!」
倒れた端によって土石流がせき止められてしまう。
「太陽!」
鈴がスーパーモードのコンボイに乗っている太陽に声を掛ける。
「わかってる!でもギャラクシーキャノンだと破片が他の住宅に跳んで二次災害を生んじまう!モールダイブもあの土石流の中じゃ無理だ!」
「じゃあどうしたら!」
鈴が叫んだ矢先であった。
モールダイブの左腕とコンボイのマトリクスが光り輝く。
「っ!ギャラクシーコンボイ!モールダイブ!」
「いくぞ、太陽!」
「やれ!」
コンボイのマトリクスが輝くとコンボイの左腕か輝く。
「「ギャラクシーコンボイ!」」
「モールダイブ!」
モールダイブが左腕を突き出すと左腕のジャイアントドリルが分離し、軌道を描きながらコンボイの側まで来ると合体する。
「「クロスアップ!」」
ジャイアントドリルの色がコンボイのメインの赤に染まる。
「「トレジャーコンボイ!」」
モールダイブとコンボイの力が合わさった姿、トレジャーコンボイが誕生した。
「「フォースチップ、イグニッション!」」
トレジャーコンボイのジャイアントドリルのチップスクエアにギガロニアのフォースチップがイグニッションされる。
「「ジャイアントドリル!」」
トレジャーコンボイは土石流をせき止めている橋を破壊する。更にトレジャーコンボイは流れ来る大きな岩を次々と壊していった。
その後ギガロニアの建築技術を活かしてモールダイブとドリルロボで橋を作り直した。
太陽と鈴は消防団魂を習い、それを活かしてマシンロボレスキュー一同夜の見回りを行った。