光の届かない深い深海の底で、気泡が海面へ向け上へ上へと上がっていた。
ある日の夜、太陽は海を見て黄昏ていた。
「太陽。」
「鈴・・・・」
黄昏ていた太陽に鈴が声を掛けながら歩み寄る。
「どうかしたの?」
「いや・・・・・・・・・何でもない。」
太陽はそう言うと海へ視線を戻した。
(このところ太陽は何かを探している。何を探しているのか・・・・・・・私にはわかった。私も海を見るとアイツを思い出す。もしアイツが生きてたら、私たちはどれほど嬉しいだろうかと思う。)
太陽の思っていることが鈴にはわかっていた。それは同じ状況に居合わせていたからだ。
「そろそろ戻ろうぜ。」
太陽はそう言うと大志館へと足を進め始める。
すると大志館からエースが出てきて二人に声を掛ける。
「太陽!鈴!長官が呼んでるぞ。」
「「長官が?」」
太陽、鈴、海、ケンが長官室に呼ばれ、教官たちも同席していた。
「君たちは彼に直接かかわりがあったそうですね?ならば先に耳に入れた方がいいかと思いまして。」
「彼って・・・・・・・・・・まさか!」
太陽は思い当たる節があった。それに答えるように宮島が答える。
「そうだ。ジェイと呼ばれる少年のことだ。」
「見つかったんですか!」
「漂着したところを保護されました。」
ブラッドからの言葉に太陽はどこか嬉しそうな表情になった。
翌日、リムジンに乗ってジェイが保護されている施設へと太陽、鈴、海、ショウ、ブラッドが乗車していた。
「通称ジェイ。彼が火星探査船マルスの乗組員の遺伝子を受け継いでいることがDNA鑑定の結果わかりました。おそらく彼は、人類最初のスペースノイドです。」
「彼が宇宙で生まれた最初の人間・・・・」
海はその事実に驚く。
運伝をしていた佐々木が話す。
「マルスは地球へ帰還途中、彼を乗せたポッドを乗せて消息を絶った。君たちが月面でマルスを見つけるまではな。地球に帰還した彼は、出生を知らぬまま養護施設へ送り届けられたが、以年後に何者かに連れ去られて行方不明になっている。」
助手席に乗っていたマリーの言葉に太陽とブラッド以外は驚いた。
「彼は太陽君と同じサバイバルナチュラルである可能性が高いわ。」
「・・・・・・・・・・・なんだか、兄弟みたいだな。」
「え?」
太陽の言葉に鈴は疑問に思った。
「俺もアイツと同じように両親がいないんだ。でも同じ能力を持っていると・・・・・・・なんか血は繋がってないけど兄弟みたいなものを感じるんだ。」
「太陽・・・・」
ジェイも太陽も天涯孤独。だからこそ通じ合うものがあった。
施設に着くと太陽は海を見ているジェイに声を掛ける。
「ジェーイ!」
ジェイは振り返る。ジェイの頭には包帯が巻かれていた。
「生きてたんだな!よかった!」
太陽は嬉しそうに話すが思いもよらぬ言葉がジェイから返ってきた。
「えと・・・・・・・・・だれ?」
「っ!?」
太陽はその言葉に衝撃を受ける。ジェイの隣にいた医師が説明をする。
「残念ですが彼は記憶喪失で、君たちのことも過去のことも覚えていません。」
「っ!?」
その事実に太陽は驚く。
そしてジェイは再び視線を海へと剥けた。
施設のベランダで太陽たちは医師から話を聞いていた。
「現在の彼はとても穏やかな状態です。脳には海馬と言う記憶をつかさどる部分があります。普通はそれが一本なんですが、彼はそれが分断されています。何か強烈なショックを受けていることが関係しています。」
「それじゃあ、記憶を取り戻して元のように戻ることも?」
「ありえます。」
マリーの言葉に医師は答えた。マリーと佐々木はブラッドを見る。
ブラッドはどうするか悩んでいると医師からあるものが手渡された。
「それとこれが彼の所持品です。」
「黒いK-BOY!」
マリーはそれを見て驚く。
それはジェイの取って離すに離せない絆を形にしたものであった。
ブラッドはK-BOYを開けるとシグナルを受信している画面が表示されていた。
「かすかに何かのシグナルを受信していますね。」
「「っ?!」」
ブラッドの言葉に太陽と鈴は反応する。
「それってまさか・・・ステルスの?」
海はブラッドの言葉に反応する。
「間違いないでしょう。」
ブラッドはそう言うとK-BOYを閉じた。太陽はジェイの方を見る。
そこにはデザスターとして悪のために尽くすジェイではなく、純粋に誰にでも笑顔を振りまく優しいジェイの姿があった。
そんなジェイを見て鈴が言った。
「アイツ、あんな風に笑う奴だったのね。」
「ああ。もし・・・・・」
「?」
「もしデザスターに攫われてなかったら、きっと俺たちと同じようにマシンロボレスキューに入ってたんだろうって思う。」
「太陽・・・」
どこか切なげにジェイを見つめる太陽。そんな太陽に鈴は掛ける言葉が見つからなかった。
そんな時ブラッドが思いもよらぬことを言った。
「あの子は、我々マシンロボレスキューが引き取ります。」
「長官!」
「ですが!」
マリーと佐々木はブラッドの行動に驚いた。
「私が、全ての責任を持ちます。」
それはきっとブラッドの罪滅ぼしともいえるのであろう行動であった。ステルスロボは元を辿れば自分たちが作ってしまった負の遺産。その負の遺産でジェイの人生は大きく狂ってしまっていた。
リムジンの助手席にジェイを乗せ、MRR基地へ向かっているとジェイが急に「止めてくれ。」と言った。佐々木はジェイの言葉を聞いてリムジンを止める。ジェイは歩道に出ると海に体を向け、深呼吸をする。
「俺が後で連れて行きます。」
「わかりました。みんなには私から話しておきます。」
ブラッドがそう言うと太陽は車を降り、ジェイに歩み寄る。
「どうしたんだ、ジェイ?」
「よかった。ここにも海があるんだな。海の近くだと、安心する。」
「安心?」
「ああ。誰かが俺を呼んでいる気がするんだ。」
「・・・・・・・・・本当に覚えてないんだな。」
「・・・・・・・・君は、僕を知っているんだろ?」
ジェイは太陽の方を振り向いて問う。
「教えてくれないか?俺は・・・・・・・・どんな人間だったんだ?」
ジェイの問いに太陽は戸惑った、ある事実だけを告げた。
「・・・・・・・・少なくとも、根はやさしい奴だった。俺には今それしか言えない。俺の知っているジェイを言えば、今のお前はそれを受け入れられない。もう少し、時間が経ってからでいいか?」
「・・・・・・・・わかった。」
そんな時太陽のK-BOYに着信が入った。
「悪い。もしもし?」
『太陽、すぐに戻って来て。』
「・・・・・・・・・・やっぱりなったか。わかった。そっちにすぐに行く。」
太陽は電話を切るとジェイに言った。
「急で悪いんだが一緒に来てくれ。俺は太陽。大空太陽だ。」
「よろくし、太陽。俺は・・・・・・・わからないや。」
「いいって。ゆっくりでいいから思い出していこう。」
太陽はジェイと共に大志館へと向かった。
MRR基地の大志館の廊下でジェイが廊下を歩いていると大荷物を抱え、今にも転んでしまいそうな善次郎を見つけた。
「おっとっと!」
転びそうな善次郎をジェイがさせる。
「大丈夫か?少し持とう。」
「こりゃ済まねぇ。お前さん、見ない顔だな。」
善次郎はジェイのことは少し気になったが悪い奴ではないと長年の経験から分かった。
ジェイは善次郎の荷物を半分持ち、厨房へ入る。
さとこは手伝ってくれたジェイに特大のおにぎりを作ってあげた。
「はいよ。」
「これは手伝ってくれたお礼だ。」
「たんと食べておくれよ。」
初めて見るおにぎりにジェイは戸惑う。
「これ、なんだ?」
「やだよアンタ。おにぎり見たことはないのかい?」
「こいつはな、潔くガブっといく、男らしい食べ物よ!」
善次郎の言葉を聞いてジェイはガブッと齧る。
「どうだ?」
「美味い!」
「そうだろ!さとこの握り飯は世界一うめぇ。ここの坊主たちも、これを食べて腹に力込めて出場するのさ!」
そんな善次郎にさとこが話しかける。
「アンタ、まだ運んでない荷物があるんじゃないのかい?」
「あっと、そうだった。じゃ、ゆっくりしていきな。」
善次郎がそう言うと二人は外の荷物を運ぶために厨房を後にした。ジェイはおにぎりを食べていると奥から誠の声が聞こえてきた。
「そんなバカな話があるかよ!」
ジェイは厨房からその光景を覗いた。
「アイツを此処で預かって、おまけにステルスを救助ってどういうことだよ?納得いかないね。ついこの間まで敵だった奴だぞ!」
「僕も同感だな。ジェイのせいで何百人、いや何千人も犠牲が出てたのかもしれないんだ?」
誠の言葉にエースも共感する。
「でも彼は洗脳されていたわけ・・・・」
「洗脳されていたら何をしてもいいのか?覚えていなかったら何をしていてもいいのか?」
海の言葉を遮るように誠は言った。
「だからそれは知らない内に・・・・」
「演技かもしれないわ。」
アリスが鈴の言葉を否定する。
「最初から否定するのはよくないよ。」
「いや、疑われることする方が悪いよ。」
大地がジェイに助け舟を出そうとするがケンが否定の意見を出した。
「だけどデザスターを見つければデザスターの秘密ももっとわかって・・・」
「僕たちが有利に活動できるかも!」
「それは捨てがたいっす!」
進、強、ショウが自分たちにとって有利になる事に気づく。
「そんな問題じゃないだろ!」
だが誠はそれでも否定をする。
「太陽、何黙っているんだ?お前が一番被害を受けているんじゃないのか?」
「・・・・・・・・・・・正直、呆れてるんだよ。何でもかんでも敵だったからとか過去にアイツがやったことがどうとか、正直下らねぇ!」
「なんだと!」
太陽の言葉に誠は怒る。
「誠、犯罪者だから一生そのレッテルを張られて生きて行けって言うのか?更生するチャンスは?もう一度人生をやり直させることはしないのか?」
「そ、それは・・・・・」
「エース、もし火災現場で敵だった奴が重傷で被害者が軽傷だったらどっちを優先する?被害者の方か?」
「それは・・・・・」言われた事に誠とエースは口ごもると太陽は語る。
「テロリストになるのは二通りある。一つはねじ曲がった思想を正しいと思い、それを世界に通そうとする。もう一つはその思想を信じ、騙される。ジェイは後者だ。なんも知らない子供の頃にそれが正しいと教え込まれ、罪の意識すら感じさせられなかったジェイが一番の被害者だ。なのにお前らは頭ごなしにジェイがデザスターだったからだと言って自分たちを正当化しようとしている。恥ずかしくないのか?こんなみっともない真似をして?俺たちはマシンロボレスキューなんだろ?だったらアイツを救ってやるのも俺たちの使命じゃないのかよ!」
太陽の言い分は正しかった。過ちは誰にでもある。人にはその人生をやり直すチャンスがあるが、誠やエースたちはそれを否定し、拒絶していた。
ましてや誠は自分で正義を信じているのにも拘らず、その正義を自分の信じる道を貫き通す“身勝手な正義”を押し付けてしまっていた。
「デザスターの手先だった奴に、同情の余地などない!俺は反対だ!」
誠はそう言うとその場を後にした。
誠は外に出ようと廊下を歩いているとジェイが声を掛けてきた。口元には米粒がいくつもついていた。
「おい。」
「っ!」
誠はジェイまで近づくと胸ぐらを掴んだ。
「貴様、よくものこのこと!」
「君は、俺がどんな奴だったのか知っているのか?」
「ああ、知ってるさ!」
「なら・・・」
「ああ、教えてやるさ!お前が今までどんなことをしてきたのか!だが・・・・・・・その前に口の周りの物を拭け!」
怒るポイントが少しずれている誠であったが、ジェイにはなぜ怒っているのか全く分からなかった。
大志館の屋上で誠が編集したジェイの今までの行動を収録したパソコンをジェイに投げ渡した。
「ほら!」
ジェイはそれを受け止める。
「そこにお前がやってきたことが、すべて記録されている。自分がどんな人間だったか、よく知るんだな!」
誠はジェイに指を指しながら言うとK-BOYに通信が入った。
『みんな至急指令室に集合してくれ。ステルスの居場所が判明した。』
「了解。」
誠は指令室に向かった。
「ここに俺の記録が・・・・」
ジェイはパンドラの箱を開けてしまう。
その頃格納庫ではステルスロボを救出することに賛否の意見が飛び交っていた。
「聞いたか、おい?」
「ステルスを救う話か?」
ドリルロボの言葉にポリスロボが答える。
「なんか複雑な気分だなぁ・・・・・」
「レスキューに差別があってはならない。」
サブマリンロボの言葉にジェットロボが反対の意見を言う。しかしその言葉に対しジャイロロボが言った。
「それはプログラムされた模範解答だぜ。」
そんな言葉にライガージャックとファングウルフが言った。
「お前ら、敵だから助けないってのか?」
「だったらマシンロボなんかやめてただのロボになっちまいな。」
「なんだと!」
二人の言葉にジャイロロボが怒る。そんなことを言った二人をコンボイが宥める。
「止さないか二人共。ジャイロロボ、君の言い分も分かる。だが・・・・・・・敵だからと言って助けないというのは、一番ひどいのではないのか?」
「それは・・・・・」
「我々は助けを待つ人を救うことが使命だ。その使命を見誤ってしまっては、今の我々は今後レスキューをする資格などないと言ってもいいだろう。」
コンボイの言葉はマシンロボ皆に深く響いた。
その頃ジェイは大志館の屋上で誠が編集した映像を見ていた。
そこにはジェイが過去に起こした災害、それによって発生したい被害や被害者が鮮明に映し出されていた。
ジェイはその映像を見て涙を流して。記憶を失ったとは言えど自分が犯してしまった罪を知った以上、自分で自分が許せなかった。
(ステルス・・・・・・・このマシンロボが、俺を・・・・・・)
ジェイはある決意を決めた。
その頃指令室ではマシンロボレスキュー一同が集まっていた。
「ステルスの居場所が分かったんですか?」
「ああ。相当厄介な場所だ。」
太陽の問いに宮島が答えた。モニターには海底地図が表示されていた。そしてその場所の映像が届くとそこには海底火山が映し出された。
「これは・・・・・・海底火山。」
エースはそれを見て驚き、佐々木が説明をする。
「海底のあちこちから火山が噴き出している。飲み込まれれば、マシンロボと手無事では済まない。まさに自然が作り出した難攻不落の要塞。」
「こんな場所に流れ着いてたんじゃ、なかなか見つからなかったわけですね。」
海がそう言った途端、警報が鳴った。
「誰かが格納庫に!」
「レッドコマンダーが、発進しようとしています!」
エースと小百合が報告する。
「一体誰です?」
「モニターをコックピットに切り替えろ!」
ブラッドが疑問に思い、佐々木が指示と飛ばす。
コックピットモニターにはジェイが映し出されていた。
「ジェイ!」
『ごめんよ、太陽。おれ、ここに居ちゃいけない人間だったんだな!』
「ジェイ!」
太陽の言葉に耳も傾けず。レッドコマンダーは発進した。
「どうして・・・・・・・・そうしてジェイが自分のことを?」
「俺が教えたのさ。」
太陽の疑問に誠が答えた。
「誠・・・・・・・・・なんでそんなことをした?」
「本当のことを教えて何がいけないのさ?」
その言葉を聞くと太陽は右手に力を込め、拳を作る。
「・・・・・・・・誠、歯を喰いしばれ。」
「は?」
「歯を喰いしばれ、このバカ野郎!」
太陽は一気に誠に近づくとアッパースイングを誠の顎に喰らわせた。
『あっ!?』
その光景に一同驚く。そして誠は床に倒れた。
「今のお前に・・・・・・・・正義を、マシンロボレスキューを語る資格はない!大地、鈴、進!行くぞ!」
「え、ええ・・・・」
「わかった。」
「お、おう!」
太陽、鈴、大地、進は指令室を後にした。
「・・・・・・・」
誠は殴られた顎に手を当てながら立ち上がる。そんな時モールダイブが話しかけてきた。
「誠、なんで太陽が怒ったかわかるか?」
「いいや、分からないね!大体、デザスターだった奴に同情なんて――――」
「だったら俺はここにいるべきじゃないな。」
「・・・・・・・え?」
モールダイブの言葉に誠は驚いた。他のみんなも声には出さないが驚いていた。
「俺もな、向こうの宇宙で一時期はデストロンにいたんだ。若かったってんもあるが、それは単なる言い訳だ。そんな奴開いたんじゃレスキューも集中できないよな。今日中にでも出て行くよ。」
「ま、待ってくれて!今は関係ないじゃないか!」
そう言ったモールダイブを慌てて誠はそう呼び止める。
「だったらなんでその気持ちをジェイに向けてやらねぇ?」
「っ!?」
返って来た言葉に誠は目を見開く。
「お前は悪人にすら救いの手を差し伸べねぇのか?だったやめちまえ!お前は、ただ自分が気に食わない奴を助けに行かない身勝手な野郎だ!」
モールダイブの言葉は誠に深く突き刺さった。
「俺は・・・・・・・・」
「誠君。」
そんな誠にブラッドが話しかける。
「過去はどうであれ、重要なのは今です。太陽君は誰よりもその大切さを分かっています。太陽君だけでなく、トランスフォーマー諸君もです。我々はデザスターと敵対関係にはありますが、今は一人の人間、ジェイ君とマシンロボであるステルスロボを救出することが最優先事項なのです。」
その言葉を聞くと先程までジェイやステルスを敵視していた者たちは自分自身の過ちに気づかされた。
その頃太陽はコンボイとソニックボンバー、ジェットロボに搭乗している鈴、ブルーコマンダーに搭乗されているジャイロロボと共に乗っている進、イエローコマンダーに搭乗されているドリルロボと共に乗っている大地がジェイを追っていた。
しかしそれをデザスターの基地のセンサーがキャッチしていた。
「ん?どこにも災害は起きてないのに?」
モニターを見ていたハザードは疑問に思う。
「シュタ!おっかしい。」
ハザードはその行動に興味を示した。
太陽が海に半分ほど沈んだ空。太陽たちはようやくジェイに追いついた。
「いた!ジェット、無線は?」
「切られている。」
鈴の問いにジェットはそう答えた。そんな時太陽がある提案を出した。
「鈴、ジェットにレッドコマンダーのハッチを強制オープンさせろ。」
「ドッキングするのね?わかったわ。ジェット!」
「了解!少々荒っぽいぞ。」
レッドコマンダーのハッチが開き、ジェットは搭乗しようとするが狭い空間でらんぷうが発生しジェットはレッドコマンダーの中で身体をぶつけながらドッキングを試みる。
そしてドッキングに成功すると鈴がレッドコマンダーの操縦席に入った。
「ジェイ、なんでこんなことするのよ?」
「俺はあのマシンロボを助けたいんだ。」
「ダメよ!あの場所は危険よ!」
鈴は止めるように説得するがジェイの意思は変わらなかった。
「君にだって邪魔はさせない!」
ジェイは鈴を押し倒す。その際に通信がオープンになった。
その声はMRR基地の全員にも届いていた。
「やったわね!なら力づくで!」
「なにを!」
「貴方一人で何ができるっていうのよ!」
「出来ようが出来まいが構わない!あのマシンロボは、俺のためにアンナ場所にいるんだろ?俺のたった一人の友達だったんだろ?俺の命令で悪いことしたんだろ?アイツはきっと、俺が助けに来るって信じているんだ!それが・・・・・・それが悪党だった俺にできる最後のことなんだ!」
そんなジェイの言葉に対して太陽が言った。
「それは違うぞ、ジェイ。」
「太陽・・・・・・・・だが俺がデザスターだったことは!」
「ああ、変わらないさ。でもな、俺は知っているんだ。お前がステルスと一緒に落ちたあの場所で、お前は自分の身よりも見ず知らずの人を助けた。本当に悪党だったらそんなことはしない。お前は、本当はいい奴なんだ!」
太陽の言葉がジェイに響いた瞬間、マシンコマンダーの通信機にある声が入ってきた。
「ジェイ・・・ジェイ・・・」
「ステルス?ステルス!この近くにいるのか!」
ステルスロボの声を聞いて操縦席に座ると鈴も座った。
「大地、進。追いついて来ているわよね?」
『うん。』
「このままリーダー合体をしてステルスの救助に入るわよ!」
「あったぼうよ!」
「そう来ると思ったぜ。」
ドリルロボとジャイロロボは同意する。
「君は・・・・」
太陽は自分と同じように行動してくれる人がいることに驚いた。
「私は鈴、遙鈴よ。」
「鈴・・・・・・皆!」
「鈴、俺とギャラクシーコンボイで海底でのサポートをする。ソニックボンバーは海上でサポートをしてくれ」
「おうさ!」
「うん!マシンコマンダーロボ!リーダー合体、はじめ!」
太陽の指示にソニックボンバーは力強く答え、鈴もマシンコマンダーの合体指令を出す。
『リーダー合体、はじめ!』
「イエローコマンダー、よし!」
「ブルーコマンダー、よし!」
「起動、各部異常なし!リーダー合体、マシンコマンダーロボ!」
鈴が指揮所へ搭乗する。
「行くわよ、マシンコマンダーロボ。」
「ああ!ジェイ、私にも話は聞こえていた。」
マシンコマンダーロボはそう言うと海底へと浸水を始める。
「君がステルスを救いたいという気持ち、私が死力を尽くしても救って見せる!」
「コマンダーロボ。」
ジェイはその気持ちが嬉しかった。
「ギャラクシーコンボイ、俺たちも!」
「わかった!」
「「ギャラクシーコンボイ、トランスフォーム!ギャラクシーコンボイ、スーパーモード!」」
ギャラクシーコンボイは一気にスーパーモードに変形するとマシンコマンダーロボの後を追う様に浸水を始めた。
「信号はこの真下からだよ!」
「そんな・・・・」
「これは・・・・」
『・・・・・・・』
太陽たちの目の前には海底火山のマグマの川が広がっていた。
「この下にステルスがいるのに!」
鈴が悔しがった時であった。海底火山の動きが活発化し、マシンコマンダーロボの頭上にマグマが降りてくる。マシンコマンダーロボは回避する。
「戻れ!鈴、太陽!このままでは二次被害が出る!」
「まだです!手段はあります!」
「なんだと!」
宮島が戻るように説得するが太陽はまだ手はあると言った。そのことに佐々木は驚いた。
「マグマの熱ならトランスフォーマーでも耐えられます!」
「そんなこと、なんでわかるんだ!」
「ライガージャックができたからです!でもたどりつくまでに時間が掛かるとどの道に最悪の結果です。だから・・・・」
「私がその道を作るというわけだな。了解した!私は不可能を可能にするレスキューロボだ!ハイパーエクスティングシャー、ウォーターデスチャージャー、スーパーソニックブラスター。出力全開!海底のマグマを除去する!」
『了解!』
マシンコマンダーロボの行動によって厚く覆われていたマグマが吹き飛び、瀕死のハイパーステルスロボが顔を出した。
「いたよ!」
「ステルス!」
コンボイがハイパーステルスロボを抱き抱えようとした瞬間であった。海底火山が噴火し、三機を飲み込もうとしていた。急いでコンボイはステルスロボを確保する。
だがマグマが三機を飲み込んだ。マシンコマンダーロボ内部でアラームが鳴り響く。
「室内温度上昇中!」
「冷却装置、機能停止!このままじゃ焼け死んじゃうよ!」
大地と進が報告するとマシンコマンダーロボは浮上しようとする。
「緊急離脱だ!」
そうしようとした途端、頭上の海底火山が崩壊し、瓦礫とマグマが降り注いだ。
「ちょっと荒っぽいけど、みんな耐えろよ!ギャラクシーコンボイ!」
「ああ。」
「「フォースチップ、イグニッション!ギャラクシーキャノン、フルバースト!」」
コンボイのギャラクシーキャノンが瓦礫とマグマを押しのけ、道を作った。三機はその道から抜け出し、海上へ姿を現す。
「コマンダーロボ!ギャラクシーコンボイ!」
指令室で見ていたブラッドが喜ぶとその場にいた一同も喜んだ。
だがその時であった。四つの銃弾がマシンコマンダーロボとコンボイに直撃する。
「見つけたぜステルス!」
「そいつをこっちに渡してもらおうか!」
右腕を二問の機関銃に改造されたガラゴロが三機やって来た。
「あれは・・・・・・・・・うっ!」
ガラゴロの姿を見るとジェイに頭痛が走り、頭を抱える。
「鈴、俺も出る!」
「ジェットロボ、ソニックボンバー。私の援護を!」
「「了解!」」
マシンコマンダーロボのハッチが開き、ジェットロボが出撃する。
「お前たちの相手は、俺たちだ!」
ソニックボンバーはトランスフォームをしてガラゴロに挑む。
「邪魔だ!」
二機のガラゴロがジェットロボとソニックボンバーを牽制をし、残りの一機がマシンコマンダーロボへ銃弾を放つ。しかしマシンコマンダーロボは反撃をしようとはしていなかった。
「マグマの除去で、エネルギー0に!このままじゃ・・・・太陽君!」
「悪い・・・・・こっちもまだまともに動けない。」
大地と太陽が話をしているとハイパーステルスロボがジェイの名を呼んだ。
「ステルス!」
ジェイはレッドコマンダーの操縦室からハイパーステルスロボの元へと向かう。
「鈴、ジェイが!」
「なんですって!」
ジェイはロープを使ってハイパーステルスの元まで向かおうとする。
その時であった。ガラゴロの放った銃弾がロープに直撃し、切ってしまう。ジェイはそのままハイパーステルスロボの上に落ちる。
「ステルス!」
「ジェイ・・・・・・・やはり、来てくれたんだな。」
「ステルス・・・・・・・・・君が、ステルスなんだね?」
「お前の右手を私の目に。それで・・・・・・・エマージェンシー回路が・・・・」
「こんなところにいたのかジェイ!」
ハイパーステルスロボの言葉を遮る様にガラゴロが接近する。
ガラゴロは目を点滅させながら言った。
「思い出せ、ジェイ!お前の本当の姿を!お前はデザスターの戦士、マシンロボを破壊するために生まれた!」
「「黙ってろ!!」」
コンボイが体当たりをしてガラゴロを吹っ飛ばした。
「ジェイ!今の内にステルスの目に!」
「太陽・・・・・・わかった。」
ジェイはハイパーステルスロボの目に右手を置いた。
するとハイパーステルスの目が光り、ジェイの記憶が呼び覚まされる。
「俺は・・・・・・・・・・・・お前たちに騙され続けていたんだ―――――――――――――!」
ジェイの言葉を火種にハイパーステルスロボのビーム砲がガラゴロに火を噴いた。
「「なにっ!?」」
ガラゴロ二機は予想だにしない事態に驚いた。
「今だ!フィンガーフラッシュ、パー!」
ジェットロボのフィンガーフラッシュが一機のガラゴロに炸裂する。
「フォースチップ、イグニッション!ギャラクシーキャリバー!」
ソニックボンバーのギャラクシーキャリバーがもう一機のガラゴロに炸裂した。二機のガラゴロは爆発する。
「ソニックボンバー、リンクアップだ!」
「わかったぜ、太陽!」
「「ギャラクシーコンボイ!」」
「ソニックボンバー!」
「「「リンクアップ!ソニックコンボイ!」」」
ソニックコンボイは最後の一機のガラゴロに目を向ける。
「この・・・・・・・裏切者が!」
ガラゴロは機関砲を放った。だがソニックコンボイは身を挺して盾となった。
「ぐっ!やっぱり・・・・・・フォースチップは今の状態じゃ使えないな。ギャラクシーコンボイ!」
「ああ!」
「「フラップソード!」」
ソニックコンボイはガラゴロに接近し十字にガラゴロを切裂いた。そしてガラゴロは爆発した。
「レスキュー完了。二次災害、無し!」
マシンコマンダーロボは周りを確認しながらそう宣言した。