かんせんぐらし?   作:Die-O-Ki-Sin

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3話です。原作は一応7巻まで持ってます。アニメも見ました。原作と矛盾するような事があったときにはうっかりか独自の設定です。この回からオリ主のチートが発動します。


3話―でぃじーず

 ――痛みで目を覚ます。

 

「っ……何だ……?」

 

 そして私は自分の目を疑った。

 

「ガ……ァ……ギ…ギギ」

 

 私の左腕に噛みつく七草さん。いや、七草さんだったもの(・ ・ ・ ・ ・)

 顔がボロボロに崩れた女性のゾンビで、彼女が七草さんである保証はない。

 でも、状況的にきっと彼女は……。

 

「ッ!」

 

 私は必死で七草さんだったものを振り払う。

 噛まれた傷跡からは血がダラダラと流れ落ちる。もう、手遅れか……。

 

「ァ…ァ……ァア!」

 

 七草さんだったものはゆったりとした足取りで私に近づく。

 私は鞄を手に事務所を飛び出し、ドアに体重をかけて押さえる。ガラス窓からうっすらと見える外の世界は、丁度夜明けと言ったところだ。

 

「グァ…ガッ」

 

 バンバンとドアを叩く音が響く。強い。叩かれる度にドアが歪んでいくようだ。

 

「このままじゃ……」

 

 いずれドアが破られる。

 私は意を決して飛び出し、商品棚のバリケードを飛び越える。幸いにも外にいたゾンビは少なく、追いかけてくるゾンビは居なかった。

 私は走った。あのコンビニから離れるために。何処を目指している訳ではない。ただ、逃げるために。

 

「……ッ!?」

 

 走って、走って、走って。巡ヶ丘の駅が見えたとき、腕に激痛が走った。

 腕だけじゃない。身体が熱い。

 

「なん、で……」

 

 だんだんと、意識が薄くなっていく。

 私が、私ジゃ無くなッていク……。

 私は倒れ込む。その衝撃で鞄に入っていたものが飛び出た。

 

「注射、器……」

 

 ごめんね、生きて。

 ただそう書かれた小さな紙と、『試作品』のテープが貼ってある注射器。

 朦朧とした意識のなかで、私は注射器を左腕に突き刺す。痛みは殆ど無かった。ただ凄まじい吐き気と熱さが私を襲った。

 

「七草さん……」

 

 私が何カに溶ケてイくような感覚。

 思考がウまく纏まラナイ。

 そのまま私は、意識を手放した。

 

 

 ……水?

 雨が私の顔を濡らしている。

 空には雲が広がっていて、太陽の光は見えない。

 

「……私は、死んだ……んだよな?」

 

 ここが死後の世界なのか。

 それにしては随分と見慣れた景色だ。

 目の前にある駅に似た建物には『巡ヶ丘』の文字……って――

 

「巡ヶ丘駅……私は、生きてるのか?」

 

 起き上がり、歩いたり、スキップしたり。

 どこも痛まない。それどころか前よりも身体が軽く感じられた。

 ただ私の左腕には確かな変化が見られた。注射を射った場所から下……肘より下は肌が黒ずみ、奴等のようになっている。

 

「……ッ」

 

 私は、ゾンビになったって言うのか。

 

「ゥヴァ……」

 

「!?」

 

 いつの間にか、周囲をゾンビに囲まれている。 その数は6体。だけど――。

 

「なん、で……?」

 

 誰一人として、私に襲いかかってくるゾンビは居ない。私の存在には気づいて居る筈だ。それなのに、私には目もくれない。

 

「ッ、あぁぁあぁっ!!」

 

 何で、なんで、どうして?

 私は1体のゾンビに掴みかかり、殴る。おかしくなった左手で、ゾンビの顔を何度も殴る。

 

「畜生、畜生!」

 

 何度も、ナんドも、なンどモ。

 気づけばゾンビの顔は原型をとどめていなかった。私の左手は血や脳漿やらで濡れている。

 そいつがうめき声すら上げなくなったら、次のゾンビに殴りかかる。そいつを殺したら、次の――。

 結局、ゾンビは全く抵抗してこなかった。目の前で仲間が殴られていても、止めようとするものは居なかった。

 

「私も……あいつらのお仲間入りって事かよ……」

 

 私はその場に倒れ、薄い灰色の曇天を見上げる。暗く厚い雲はまだまだ晴れそうに無かった。

 

 

 空腹感に苛まれ目を覚ます。雨は止んだが空は暗い。夜になったのだろう。

 電気の止まった巡ヶ丘市の夜は始めての事だ。今私に見えている明かりは駅の中から僅かに出た明かりだけだ。

 誰か居るのだろうか。

 私はゆっくりと起き上がると、僅かな明かりを頼りに歩き出した。

 明かりがついていたのは駅長室のようだが、部屋の中から大きな音は聞こえない。それにカーテンで視界は遮られていて、明かりだけが漏れている状態だ。きっと、ゾンビを警戒して静かにしているのだろう。

 私は辺りを見回し、ゾンビ達の有無を確認する。幸いにもゾンビは近くに居ないようだ。

 私はドアノブに手を掛け、ドアを開こうとする――が、直ぐに手を離した。

 

(この腕……どうすりゃいいんだよ)

 

 七草さんに噛まれた左腕は、ゾンビになっていた。右手や他の所にはゾンビ化の兆候は見られなかったから、顔も大丈夫だと思う。

 でも、私はゾンビに敵として見なされなくなった。私は、ヒトならざるものになってしまった。

 

(考えても仕方ない、もし駄目なら包帯だけ貰っていこうか)

 

 私はもう一度ドアノブに手を掛けると、ドアを開いた。




3話でした。
キャラ?設定↓
女性のゾンビ
黒髪ショートの女性のゾンビ。体格や服装などは七草と似ているが、顔はグシャグシャになっており本人確認は出来ていない。
だが外から侵入した形跡は無いため、このゾンビは内側にいた、もしくは内側で発生したものと考えれられる。
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