Preghiera di duo〜君に永遠の歌を 貴方に永遠の愛を〜 ―悲哀恋歌― 作:紅 奈々
リオンの年齢を22から21に訂正。
2017年7月9日
手直し完了。
内容を少し変更。
「・・・・・・君の学校が暇なのは解るけど、また今度にしてくれる?
今日は僕は始業式だの委員会だの忙しいんだ。 君に構っている暇はないんだけど」
並盛高校の応接室で、雲雀は書類の整理をしていた。
その机を挟んだ目の前に、他校の制服を着た
その後ろで、草壁とラクスと同じ制服を着込んだ明るい金髪の少年が緊迫した顔で2人の委員長のやり取りを静観していた。
雲雀の言葉にラクスの額に青筋が入る。
「別に構って欲しいが為にこんな並高くんだりまで来ている訳じゃないんだけど?
もう一度説明して欲しいならそう言いなよ、雑草」
ラクスの怒りの籠もった声に「で、何の用だったっけ、草食動物?」と、まるで人を小馬鹿にした様な笑みを向ける、雲雀。
わなわなと怒りに震えるラクス。
段々顔が青ざめていく、草壁と金髪の少年。
少年に至っては、この後で学校に帰ってから起こり得る全ての惨事を想像して、額に冷や汗が浮かんできている。
(お願いだから、これ以上ラクスさんを煽らないで貰えるかなぁ、ここの委員長?)
(あぁ、
応接室の空気は悪くなっていた。
二人の副委員長は遠くを見る目でそれぞれが違う事を考える。
金髪の少年──
「だから! 前にも言ったけど、君の所の生徒が夜な夜な
それと何だっけ、あの白い芝生頭の熱血野郎。
ウチの生徒をボクシング部に勧誘してきては花壇を荒らすわ、生徒会長に用事があるとかで事もあろうか月姫に侵入してくるわ、並高生が
ウチの一年の女子生徒は怯えきって寮から出てこようとはしないし、風紀が乱れまくって半不良校と化してるんだけど。
ホント迷惑だから、やめてくれる?」
「ふーん。 君の学校がどうなろうと知った事じゃないな」
「な・・・・・・っ」
ラクスの話をどうでも良いとでも言いたい様に雲雀は無関心に言った。
ラクスの言った「月姫」とは、
星城学院は小中高一貫の全寮制進学校。
校舎は共学校舎、男子校舎、女子校舎と分かれており基本的には共学の学校ではあるが、受験生の中には異性恐怖症や嫌悪症の生徒もいる為、共学でありながら男子部、女子部と校舎を分けている。
その女子寮である「月姫」は女子部生徒の為の男子厳禁制女子寮なのだ。
その寮に居る、星城学院の生徒会長に会う為に月姫に侵入を試みた男子生徒が居る。
これは由々しき事態であった。
寮から出て来ようとしないのは、月姫に身を寄せて居る女子生徒の大半だ。
雲雀の発言にラクスは雲雀に掴み掛かろうとするが、雲雀は「話はちゃんと最後まで聞いてくれる?」と、ラクスを睨む。
ラクスは口を噤んだ。
「君の学校がどうなろうと関係はないけど、星城との干渉に関する条約は破るつもりはないよ。 それも校則に入っているしね。
今日の入学式でしっかりと言い聞かせてはおくけど・・・・・・万一、同じ様な事があれば僕の携帯に連絡して。 番号もアドレスも変えてないから。
勿論、粗相があれば君がその生徒を咬み殺してくれても構わないよ」
「治外法権を撤廃するワケね 。 良いよ」
「まぁね。 どうせ僕が与える罰と君が与える制裁は同じモノだしね」
雲雀はラクスに言った。 ちなみに幼馴染である彼らは、お互いの携帯の番号やメールアドレスを幼い頃に教え合っていた。
その番号もアドレスも、二人は今まで変えていないのだ。
並盛と星城の間には、
その条約は、“並盛の生徒と星城の生徒は基本的に交流は認めるモノの、過干渉を禁じる”という条約がある為に設定されたモノだった。
この場においての「過干渉」とは、喧嘩のことである。
そもそも、何故その様な条約が締結されたかと言えば、昔から星城と並盛は風紀委員長が対立し合っていた事にある。
それがラクスが星城を支配した事で雲雀とラクスの対話が成立、条約締結に至る。
ちなみに条約の名称であるLark And Eagleは、雲雀とラクスの異名「ヒバリ」と「
付けたのは勿論、草壁と叶朶である。
「交渉成立だね。 と言う訳で僕はそろそろお
「じゃあね」と、ラクスは応接室を出て行った。 その後を叶朶が追うように出て行く。
扉が閉まった後で草壁は内心、溜息を零した。 似たもの同士の所為か二人は会う度に対立している様に思う。
大抵は、雲雀が朴念仁な為にラクスが怒って対立している事の方が多い。
(委員長は自分の感情以外は鈍感だから、直ぐにああやって彼女を怒らせる。
とばっちりを食らう俺や叶朶の身にもなって貰いたい所だ)
ちなみに叶朶は、星城学院風紀委員会副委員長。 ラクスの腹心の部下にして、草壁の数少ない愚痴り仲間である。
お互いに委員長が委員長な為、苦労を分かち合う最高の
そんな事を考えていた草壁に、雲雀の声が掛かる。
「副委員長」
「何でしょう、委員長」
「今年度は面白い年になりそうだよ?」
「はっ・・・・・・?」
草壁が雲雀の呼びかけに答えれば、雲雀は口元に笑みを浮かべて言った。
言っている事の意味を解りかねた草壁が聞き返すも、雲雀はそれを無視して、目を通していた書類を裂いた。
「咬み殺せるかなぁ、リオン・ヴァルフォア・・・・・・」
雲雀が裂いた書類には、リオンの顔写真が貼られていた。 その書類は、今年度の新任教師のリストだった。
雲雀はリオンに身体能力的な興味を持っていた。
ミオンの付き人であり、ボンゴレと同盟を組んでいるマフィア・ドーディチファミリーの9代目ボス候補。
ならば、どれだけ強いのだろう?と、雲雀の興味を惹くには十分のスペックだった。
そんな目をギラつかせている雲雀を前に、草壁は「今年は胃薬の予算がどれだけかかるだろう」という心配をしていた。
── ──
「京子ちゃん!」
「あ、ツナ君!
それに、武君に隼人君も!同じクラスだったんだね!」
教室に入ったら綱吉に声を掛けられ、京子はそのまま綱吉達が
綱吉は、「そうみたいだね、よろしく」と、頬を綻ばせる。
綱吉の表情を見れば、喜んでいる事が普通に解った。 京子もそれに答える様に笑顔で「うん、よろしく」と言った。
京子、綱吉、獄寺隼人、山本武は、中学二年の時に木吉レーナの策略に嵌って対立していた。 が、ミオンが京子を助けて架け橋になった事により四人は和解して、以前よりも良好な関係を築いている。
京子が山本と獄寺を名前呼びし始めたのは、中学三年になってからの事だった。
キーンコーンカーンコーン、とチャイムが鳴って、生徒は席に着く。
京子と綱吉達も、「また後で」とそれぞれの席に着くとそのタイミングでガラッ、と教室の扉が開いて一人の男性教師が頭の上で纏め上げた黒い長髪を靡かせて教室に入ってくる。 その場に居た誰もがその男性の姿に息を飲んだ。
黒い髪と対照的な病的に白い肌が、その美しさを際立たせている。 彼はそのまま黒板に向かって何かを書くと、生徒達の方へ向いた。
その顔を見た京子、綱吉、獄寺、山本はその目を驚きに見開く。
「今日からお前らの担任になる、リオン・ヴァルフォアだ。 よろしく」
男性教師──リオン・ヴァルフォアの声を聞いた女子生徒からは黄色い悲鳴が上がった。
「え~? こんなイケメン教師居たっけ?」
「背高い!」
「超美形!」
「声、凄いイケボ! ヤバい、惚れるぅっ!!」
リオンを絶賛する女子の声が聞こえるが京子はそれよりも、驚きやら嬉しさやらで夢でも見ているんじゃないのかと思った。
だが、凭れている背凭れの感触と着ている服の感触から、夢じゃないのだと知る。
容姿は然る事ながら声、仕草、立ち居振る舞いは間違いなく、彼──リオンだ。
(そんな、夢みたい。
本当にリオン君が
最後に会った時の事を思い出す。
あの時はまだ大学生だった彼は、まだ講義が残っているからとイタリアへと帰ってしまったのだ。
そんな事を考えていると、リオンが騒いでいる生徒に「静かにしろ」と声を掛ける。
久しぶりに聞くリオンの声に、京子は頬を綻ばせた。
「ロングホームルームを始めるが・・・・・・まぁ、特にやることはねぇし、多分、初めての奴も多いと思うから自己紹介を適当に・・・・・・出席番号の最後から遡ってしてもらおうか」
「何で最後からなんですか?」
リオンの言葉に疑問を持った生徒がリオンに質問した。
その質問にリオンはこう答える。
「気分だ」
何だそれ!?
沢田、獄寺、山本、京子以外の生徒全員、そんな事を心の中で突っ込んだ。
沢田、山本、獄寺は「こいつ、全然変わってねぇ!」と、京子は「楽しいクラスになりそうだなー」と、それぞれが思った。
リオンが気分屋なのは、沢田達は知っていたのだ。
このクラス、本気で大丈夫か?
獄寺は呆れ返り、山本は「まぁ、楽しそうだしいっか」と、お気楽に考えていた。
リオン・ヴァルフォア(21/現時点)
今回の主人公。
イタリアから来た新人教師で担当は英語。
雲雀に絡まれたり、ラクスのとばっちりを受けたりと、草壁、百合園叶朶に列ぶ苦労人。
教師職は楽じゃないよ・・・・・・orz
京子とは遠縁の親戚に当たる。
前作のハイスペックはそのまま、中身が多少緩和しているが恐らく、ミオンやキオ辺りから何か