Preghiera di duo〜君に永遠の歌を 貴方に永遠の愛を〜 ―悲哀恋歌―   作:紅 奈々

4 / 10
ちなみに、補足。
この小説では、黒川花は中学の時点では存在していなくて、高校で出会って仲良くなっていく、という設定にしてあります。
原作では、京子の大親友の位置付けだったので、前作に花を出してたら、大親友もクソもなくなるな、と。
結構重要な人物にしたかったんだよ、準レギュラーくらいに。


標的3

「それにしても、吃驚したよ」

 

 

入学式と始業式が午前で終わり、京子は会場の後片付けで倉庫の片付けをリオンとしていた。

生徒会や委員会のない生徒と手が空いている教師でくじを引いて担当場所を二人一組で割り振った結果、リオンと片付けをする事になったのだ。

片付けながら京子が話を掛けてきて、璃王は「そうか」と返す。

 

 

「でも、何で日本(こっち)に来たの?

あ、リオン君が居るって事は、ミオンちゃんも来てるの?」

 

 

京子の矢継ぎ早の質問にリオンは「質問の多い奴だな・・・・・・」と思いながら、「彼奴はイタリアだ」と短く答える。

日本に来た理由まで訊かれるとは思っていなかったリオンは、まさか、「お前の護衛を任された」なんて言わねぇ方が良いよな、と考えながら、別の理由を無理に考えようとする。

リオンの言葉に京子は「そっかぁ・・・・・・」と、呟く様に言った。

 

 

「まだ、研究が進んでないとか?」

 

 

「まぁな」

 

 

京子の言葉に少し驚きながら、リオンは頷く。

どうせ、彼奴が教えたのだろう、と結論付けたからだ。

ミオンと京子は頻繁にメールのやり取りをしていた様だし、自分とも時折、手紙のやり取りをしていたので、ミオンが京子に現状を軽く話していても不思議はないと考えたからだ。

 

 

「でもさ、日本(こっち)に来るなら一言教えてくれても良かったのに」

 

 

「何で」

 

 

「そしたら、リオン君の歓迎会とかできたんだけど」

 

 

京子は言うと、リオンの方を振り返る。そうすれば、リオンは表情こそ解りにくいが、微妙に嫌そうな顔をしていた。

その嫌そうな表情を見た京子は慌てて謝る。

 

 

「わわ、ごめんね。

そこまで嫌がるなんて思ってなかったの。

歓迎会とかそう言うの・・・・・・嫌いなの?」

 

 

しゅん、と眉尻を下げた京子にリオンは何故か罪悪感の様なモノを感じて、言葉を探す。

あぁ、何だこれ?どうして俺が悪いと思っているんだ?悪い事なんか別にしてねぇだろ!?

少し混乱しながらも、リオンは「いや、そう言うワケじゃ・・・・・・」と、何故か吐かなくても良い様な嘘を吐いてしまった。

すると、京子が「本当!?」と、先程まで暗い表情をしていた表情から一転、表情を明るくする。

その表情を見ると、不思議と罪悪感は半減した。

そうか、これは・・・・・・っ!!

リオンは罪悪感の様なモノを感じた理由の答えを弾き出した。

兄貴が年の離れた妹の「一生のお願い」を断ろうとした時の心情か・・・・・・っ!?

もしくは、血が半分しか繋がっていない妹と同居する事になって、その妹が自分の為にとご飯を作ってくれたが、それが嫌いな食べ物だったんでこっそりと残そうとしたら悲しそうな顔で謝られた時の兄貴の心情か・・・・・・!?

何とも飛躍した例えであるが、リオンはそう結論付けた。

リオンは一人っ子であった為、幼い頃はミオンや京子の事を妹の様に思っていた。

それが、リング争奪戦の時に再燃したのなら、解る話だ。

リオンはそう言う結論を弾き出しているが、それが後に“恋”だと知るには、長い月日が掛かるのであった。

そう、彼は雲雀に負けず劣らずの朴念仁である。

 

 

「ヴァルフォア先生、ステージの方終わりました!

何か手伝う事ってありますか?」

 

 

京子との会話に沈黙ができた時、タイミングを計っていたかの様にステージの片付けを担当していた女子が二人、倉庫に入ってきて、その内の一人がリオンに指示を仰ぐ。

その声に振り返ると、リオンは「あぁ……」と、考える素振りを見せた。

 

 

「じゃあ、そこの小道具の仕分けとかを頼む。まぁ、十中八九要らないヤツが大半だろうがな。

終わったら帰って良いぞ」

 

 

「はぁい」

 

 

リオンは出入り口付近に無造作に積み上げられたダンボール箱を指して言った。

女子生徒は返事をすると、仕分け作業に取り掛かる。

 

 

「ヴァルフォア先生って、名前がモロに外国人だけど、どこの国の出身なの?」

 

 

黒いウェーブが掛かった髪が特徴の少し大人っぽい印象のある女子が作業をしながらリオンに質問をする。

京子は中二の時にリオンが素性を隠して中学に潜入してた時の事を思い出して、リオンをチラッと見た。

あの時、リオンは群がっていた女子の質問口撃を全スルーでやり過ごしていた気がする。

でもそれは、生徒だったからできた事で、教師だからあまり生徒を無碍にできないんじゃ……と、京子は思いながらリオンの反応を見ていた。

 

 

「イタリア出身だ」

 

 

リオンの回答に京子はポカンと呆気に取られた。

リオンの事だから、無言若しくは、作業を促すだろうと思っていた。

が、その予想を普通に裏切ってくれたなんて。

京子はリオン君、ちょっと変わったなぁ、と思った。

 

 

「京子、手が止まっている」

 

 

リオンに指摘されて、京子は自分が今までしていた作業を中断していた事に気が付いて、「あ、はい、すみません」と、緊張からか敬語が出た。

すると、リオンの言葉に女子が反応した。

 

 

「先生、今この子を名前で呼んだ?

何、あんた達そんな仲なの?」

 

 

からかう様に笑いながら黒髪の女子が言う。

その言葉に京子は顔を紅くするも、リオンは即座に否定した。

 

 

「こいつは一応、遠縁の親戚。それだけだ。」

 

 

「本当に〜?」

 

 

「くだらない事言ってないで、作業を続けろ。

日が暮れても帰れないぞ」

 

 

リオンの説明に黒髪の女子はからかう様に食い下がる。

そもそも、教師と生徒でどういう関係もクソもあるか。

リオンは呆れながら、作業をする様に促した。

こういう風に根掘り葉掘り聞き出そうとする人間はどうしても好きになれない。

女子はどうしてそうういう話を好むのか、理解に苦しむ。

もっとも、リオンにそんな事を理解しようなんて頭は元からある筈がないのだが。

リオンがあしらうと、黒髪の女子は「はぁーい」とやる気なさそうな返事をした。

 

 

「それにしても、ヴァルほ・・・・・・ヴァル、ふぉわ・・・・・・んんっ、ヴァルフォア先生って、名前めっちゃ発音しにくいよね」

 

 

茶髪の女子がリオンのファミリーネームを呼ぼうとしたが、発音しにくい為か噛みまくって、咳払いをした。

その後でちゃんと名前を発音すると、唐突にそんな話を振って、黒髪の女子は「確かにー」と頷く。

確かに、リオンのファミリーネームは日本人には発音しにくいかもしれない。

 

 

「ヴァルフォア・・・・・・だっけ、そう?

そこまで発音しにくいって事は無いと思うけど・・・・・・」

 

 

「あんたの舌はどうなってるのよ」

 

 

京子の言葉に黒髪の女子が突っ込む。

京子は首を傾げて、えー?と笑って見せた。

京子が普通に発音の困難な名前を発音できるのは、京子自身が幼い頃から何度か、父親がイタリア語を話していたのを聞いたことがあった為である。

普通にスルーしていたが、京子と了平は父親がイタリア人、母親が日本人のハーフだ。

作者が忘れていた事は決してないので、そこはDon't勘違い。

べべべ、別に忘れてた訳じゃないんだからn((タヒ

 

 

「え・・・・・・どうなってるって言われても・・・・・・普通に・・・・・・ねぇ?」

 

 

「いや、俺に同意を求められても困る」

 

 

黒髪の女子のツッコミにどう返せばいいのか困った京子は、思わずリオンに話を振る。

当然、リオンは「俺に振るなよ」と言わんばかりに困った表情を見せた。

リオンにスッパリと切られた京子は、話題を戻す事にした。

 

 

「で、リオン君の名前がどうしたの?」

 

 

「うん、ファミリーネームじゃ呼びにくいから、名前の方で先生ってよんでいいかなー?と思って」

 

 

「え・・・・・・」

 

 

京子が話を戻せば、女子は何気なく言った。

その言葉が妙に京子の心に引っ掛かる。

何だか、初対面の人間に恋人の名前を馴れ馴れしく呼ばれる様な不快感。

何故、そんな感覚を感じるのか、京子は解らない。

リオン君は何て言うのだろう?

彼の性格なら、突っぱねそうな様な気がするのだが・・・・・・。

 

 

「良いんじゃないか?」

 

 

「本当!?」

 

リオンが肯定すると、女子は頬を紅潮させて確認する様に訊く。

するとリオンは頷いた。

京子は、何だか裏切られた様に感じて、胸中がちくっと何かが刺さった様な痛みを覚える。

 

 

「授業の度に噛まれちゃあかなわんからな。

まぁ、どっかの誰かも同じ様に呼んでいるし?そいつだけ特別扱いとかつって騒がれても面倒だし?

あまりファミリーネームで呼ばれる事もないから、違和感もねぇしな」

 

 

浮き足立つ女子にリオンは言った。

その名前で呼んだどっかの誰かを見て見れば、しゅん、と顔を曇らせている。

リオンの中で名前で呼ばれる事は特に抵抗のない普通の事だと言う認識もあって、そこまで嫌がっている様子も無い。

 

 

「なーに、一人で沈んでんの?」

 

 

「えっと……?」

 

 

いきなり声を掛けられて、京子は戸惑った。

声を掛けてきたのは、黒髪の大人っぽい女子。

首を傾げている京子に女子は微笑を浮かべた。

 

 

「あぁ、私は黒川花。花で良いわよ。

京子って呼ばせてもらうわね」

 

 

「あ、私、笹川京子……よろしくね、花」

 

 

微笑んでいる黒髪の女子ーーー黒川花に、京子も微笑みかけた。

花は、京子の見せた微笑みが何処か少し、自分達が浮かべるそれとは何か違う事を感じ取った。

例えば、自分達と居る世界が違う人間の笑み、と言うものだろうか。

京子の事が何処か遠い人の様に感じてしまい、花は京子に興味が湧いた。

 

この出会いが、(のち)に『アンドロメダの歌姫』を醒ます契機となる。

それは、あと数ヶ月先のことだったーーー。




笹川京子(16)

この物語のヒロイン。
並盛高校2年。
前作の毒舌は無くなったモノの、まだ、ふとした拍子にぶり返してくる事も。
今回の話で重要なキーパーソン。
もしかしたら、ミオンよりも重要かも知れない←
キオ、マオ、ミオンの従妹で、リオンの遠縁の親戚。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。