お許し下さい
突如起こった大火災。奇跡的に脱出に成功したがその先にいたのは見た事がない生物の集団。
目の前には、自分を命からがら守ろうとした両親が血を流し倒れていた。
「ーーうぇっ。うぇぇぇん。えぐっ。」
少年は自分に近づいてくるその生物から後ずさりして、泣く事しか出来なかった。
目の前の生物は自分の両親を殺した剣のような武器を振り下ろそうとしている。
少年は目をつぶった。
僕はここで死ぬんだ、そう思うしか無かったが
ーーーキィィィィンッ!
瓦礫が崩れる音と悲鳴しか聞こえなかった空間に鉄と鉄がぶつかる音が響き渡る。
目を開くとそこにいたのは青い服を見に纏い、真紅の槍を持った男だった。
「ーー泣くな、坊主。俺が守ってやる。だから、お前は父ちゃんと母ちゃんを守ってやれ。まだ、生きてるからよ。」
そう言って、その男は少年の頭をぐしゃっとした。
その瞬間、男は謎の生物の集団に向かって走り出す。
普通に考えれば、絶望的な戦力差だ。
しかし、その男は次々と謎の生物を薙ぎ倒していく。
「ーー突き穿つ死翔の槍!!」
そう言って投げた男の槍は大量にいた謎の生物を一掃した。
「坊主、向こうに行けば救急隊員の奴が来てる。悪りぃが俺はこっちに用があるからよ。早く、呼んできて父ちゃんと母ちゃんを助けてやりな。」
そう言って男は少年に微笑んだ。
「う、うん!分かった!ありがとう!」
「良いってことよ。」
そう言って走り去る少年に男は背を向けた。
「しっかし、ひでぇな…。」
◼︎◼︎
「ーーこれは、聖杯戦争の時とは違うわ。ここからは、私の勝手な予想だけど、アラヤ側の抑止力が強制的に聖杯を動かしたのかもしれない。基本、抑止力ってのは一般人を後押しする形で現れる。でも、軍を持ってしても止められないあの生物達を止めるには、今の人間じゃ無理だと判断した。そこで、目を付けたのは過去の英雄を英霊として召喚するシステム、聖杯。」
「ってことは、もうそこらに英霊は召喚されてるってことか?」
「ええ。士郎もセイバーも気づかない?そこらに高い魔力を持った人物が活動してる。」
「ーっ!本当だ。焦りすぎて全く気づかなかった。」
「ええ。でも、聖杯の魔力はそこまで溜まってないと思うから、この時代に魔力の痕跡が一番残ってる前の聖杯戦争のサーヴァントね。」
「そうか、分かった。でも、俺は行くよ。いくら、強い英霊が来てるからって黙って見てられない。それに、俺も昔の俺じゃないんだ。何も出来ないなんて事はない筈だ。」
「ええ、シロウ。私も行きます。他の英霊が戦ってるのに私だけ見てるなんて事は絶対に出来ない。」
「分かってるわよ。最初にも言ったけど止めるつもりはないわ。」
「そうか、ありがとう、遠坂。じゃあ、準備してくるよ。」
そう言って士郎は、どこからか持って来た軍服のような物に着替え始める。
「シロウ、その服は。」
「ああ、色んなところ飛び回って戦ってた時貰ったんだ。戦う時はこの服にしてるだよ。」
「そうですか。」
「ああ、そういえば遠坂はどうするんだ?」
「私はここに残るわ。もしかしたら、聖杯を狙ってイリヤを殺しにくるって事もあるかもしれないでしょ?」
「そうか、じゃあ留守は任せたぞ。」
「ええ、任しなさい。」
「じゃあ、行くか。セイバー。」
「ええ、シロウ。平和な暮らしを取り戻しましょう。」
「ああ、ここは俺達の、皆の街だからな。」
そう言って2人は玄関をくぐる。
それを見て、ふと遠坂は赤いペンダントをポケットから取り出した。
「何も変わってないじゃない。」
あいつはどうか知らないけど私の召喚したサーヴァントの正体は私は分かってた。あいつの過去もあいつの心情もあいつが通るかもしれない未来も。でも、安心した。あいつの守りたいものははっきりしてる。それだけは守る。そんな目をしてたから。
「死なないでね。士郎。セイバー。」