fate/restart story   作:fate好き

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あの頃の思い出

 

 

ーー時にして2日。待ちに待った、いや、時間としては長くはないけど、心として。

まあ、なんにせよ車が納車された。

「おお。」

「やっときたなぁ。」

割とアナログだった衛宮邸こと俺の家は最近、最新の技術を取り入れ出した。

お金に余裕ができたから、永遠に共に暮らす人ができたから、色々な理由があるけど、進化しているのは間違いない。

「洗濯物だけ出したらドライブにでも行くか?」

「いいですね。行き先は?」

「それは、後のお楽しみだ。」

「分かりました。楽しみにしています。」

 

セイバーは、主婦としてよく成長した。大抵の家事は任せられる。

こっちとしては、何か申し訳ない気がするけども、まあ、その分料理に力を入れられるとなれば、セイバーとしても本望なのだろう。

 

で、セイバーは今、洗濯物を干している。俺は料理の最中だ。

「今日はサンドイッチでも作って、あっちで食べるか。」

行く先は、もう決まっている。

それは、まだ言わないけど。

 

 

ーー「よし、出来た。」

あとは、箱に入れて完成。

そしたら、丁度良いところにセイバーが来た。

「シロウ、洗濯物は全部干し終わりました。」

「ありがとな、セイバー。こっちももう終わるからちょっと待っててくれ。」

「分かりました。」

と、セイバーはいつもの位置で正座して、ニュースを見ている。

セイバーはニュースが好きだ。まあ、逆に言うとセイバーの好きなテレビ番組は?って聞かれるとニュースって答えるのが1番しっくり来るんだけど。

セイバーはそれなりにこの時代に馴染んできた。近所の人とも、会ったら喋るくらいの仲だそうだし。

まあ、セイバーの事たからそこら辺は上手い事するだろう。

「よし出来た。セイバー、出来たぞー。」

「では、行きましょうか。」

 

庭に1つのスポーツカー。今までは、絶対に見る事が出来なかった光景だ。

そして、そのスポーツカーに乗り込む。

「ふふ、やはりここに座ると何故か心が躍りますね。」

「ああ、確かにそうだな。少年の心ってやつかな?」

「はい。私にもそうゆう時期がありました。」

「いや、セイバーは少女じゃないか?」

「ええ、まあ、そうなんですけど。」

そんな他愛もない会話をしながら車を走り出させる。

そして、今は遠回りをして、海岸線を走っているところだ。

「今日は海も空も綺麗ですね。」

「そうだな。よく晴れてるよ今日は。」

「シロウ。今朝、ニュースで小惑星がこの星に衝突するかも知れないというニュースを見ました。衝突しても、大した災害にはならない程度の大きさと聞きましたが、やはり、それでこういった景観が壊れるとなると、心苦しい。」

「うーーん。まあ、そうゆう事はよく言われてるけど、割と当たらないもんだぞ。」

「そうなのですか。それは、安心しました。」

「ああ。もし降ってきたら宇宙人が来ないか心配だな。」

なんて、冗談を言ってみる。

「そうですね。それは、心配だ。ですが、ここにはシロウと私がいる。2人でなら、どのような強敵でも、倒せない物はないでしょう。」

そしたら、最近はこうやって笑みを浮かべて、話に乗って返答してくれる。それが、たまらなく嬉しいのだ。

昔なら、何を気を抜いているのですか、と怒られていたところだけど、今は気を抜くも何も、気をつける戦いがない。そして、その時間にセイバーと居られるのが、とても嬉しい。

 

 

ーー時間は昼前。そろそろ、目的地に着く頃だ。

遠回りと言ったけど、遠回りなんてものじゃない程、別の道を通って今まで時間を潰してた。まあ、これがドライブってものだろう。

 

そして、目に見えるのは柳洞寺。

ここで、車を降りる。

「どうせなら車で行けるところが良かったんだけどな、どうしてもセイバーとここに行ってみたかったんだ。」

そう言ったシロウに着いて行くと、着いたのはあの丘だった。

「ここはーー」

「ああ、そうだ。俺たちが1度別れた場所だ。」

どうして、シロウはここに私を連れてきたのかは分からない。

だけど、ここに来るとあの頃を思い出す。

まだ、弱々しく、未熟だった若きシロウと過ごした時の事を。

「じゃあ、取り敢えずここで食べよっか。」

「分かりました。では、ここに敷物を敷きますね。」

生い茂った草に一枚のビニールシートを被せて、そこに2人寄り添うように座る。

戻ってきたのか、私は。

あの時代、あの国を捨て。

シロウと、出会う前なら許されない事だっただろう。

だけど、そのシロウが教えてくれた。間違いじゃなかった、と。

ならば、こうして我が国の行く先を、至った結果をこの目にして、これからも見守っていくというのも良いだろう。

そう、その事を良いと教えてくれた彼と共に。

ふと、彼を見ると、彼はジッと夕日を見つめていた。

苦しそうに、悲しそうにしていたあの時とは違い、笑みを浮かべて嬉しそうに。

私はシロウのこの顔が好きだ。そして、シロウの顔には自然と見惚れてしまう。

ふと、目が合った。そしたら、シロウは私に向かって微笑む。なら、私も微笑み返すしかないだろう。

もう、サンドイッチが入った箱は空だ。

なら、少し話をして、あの家に帰ろう。

「シロウ、私は、この時代に戻れて、ここで終えたはずのあの物語の末にもう一度あなたに会えた事がとえも嬉しいです。」

「俺もだよ。」

「シロウと会えて、私の運命は大きく変わった。貴方に新しい考え方を教わった。私を、あの国を、我が臣下を救ってくれて、ありがとうございます。」

「いやいや、そんな。大したことしてないよ。」

彼なら、そう言うと思った。それが、シロウだから。

でも、そんな謙虚さの裏には、何物にも折られない強い心がある。

そんな、彼が、シロウが好きなのだ。

「なあ、セイバー?」

「どうしたのですか?」

今度はシロウから話し掛けてくる。それは、甘い声で。

「あのさ、セイバーここでーー」

「はい。」

「愛してるって言ってくれたよな。」

ふと、思い出す。

今、言わなければ、そう思った。

この時代に何も残せなくとも、彼の心のどこかに残りたい、と。

彼に抱いたこの想いが、伝えられないまま散るのが怖い、と。

それは、あの最期に抱いた気持ちではない。

いつも、思っていた。だけど、言い出せなかった。

それを伝えて返ってくる言葉が怖かったから。

だから、最期に伝えた。

だけど、

「あの時の返事、返してなかったよな。」

こうして、返ってきたのだ。彼なら、覚えてくれている、それは分かっていた。

少し、怖いけど、いつかは聞く事になるだろう、だから、今聞こう。

彼の言葉を。

「俺も愛してるよ。」

 

ーーああ、その言葉が聞きたかった。

最初は、マスターとサーヴァントの主従関係と割り切っていた。

だけど、時が経つにつれ、彼が大切になり、愛おしく思えてきた。

彼は、私を大切にしてくれた。戦うために呼ばれた物でありながら、私が傷つく事を拒んで、守ってくれた。

そんな、彼が、何よりも愛する存在に変わってしまったのだ。

「セイバーが良ければさ、結婚しよう。」

自然と涙が溢れてくる。それは、悲しみからでも、痛みからでもない。

あの時、捨てた心が嬉しがっているのだ。

「…はい。是非、私からもお願いします。そして、愛しています。」

涙でぐちゃぐちゃになってるけど、頑張って、笑った。

「ああ、俺も愛してる。」

 

そう言って、セイバーと士郎は婚約を交わした。

そして、今は帰り道。今日、納車した車の中。もうすぐ、家に着く頃だろう。

「なあ、セイバー。時間が出来たら、皆んなも誘って、式でも挙げような。」

「はい。それは楽しみだ。」

そう言って、2人は家の門をくぐった。

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