ラブライブ!~もうひとつのsnow halation~   作:フィッシュボール

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 のぞえりで少しいちゃつくお話です。


#1 名付け親はだれ?

 

 ───ハァ……。

 

 白い吐息が鈍色の空にスッと消えた。

 

 「もう、こんな季節なんやね……」

 

 自分の白い吐息を見て、希はぽつりと呟いた。

 このところ急に冬らしくなってきており、気温は連日右肩下がりだった。

 結局、あの悪夢を見たからといって希に別段なにか不幸なことがあったとかそんなことはなかった。

 それどころか、なにも起こらずに今日一日を過ごせた。

 

 「はぁぁぁぁ~」

 

 再び希が大きく息を吐いたが、これは冬らしさを確認するためのものでなく、彼女が今置かれている状況に対する溜め息だった。

 

 「(もう、海未ちゃんがあんなこと言うから......)」

 

 もし、彼女に不幸なことがあったとするなら、それはその悪夢を見る数日前のことである。

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 第二回ラブライブの出場を懸けた最終予選へと駒を進めたμ'sは希の提案により新曲にラブソングを使用することを決めた。

 そして、いつも通りに園田 海未(そのだ うみ)が作詞、西木野 真姫(にしきの まき)が作曲という流れで曲作りが始まるはずだった......。

 

 「皆さんに私から提案があります。今回の新曲は希の提案もありラブソングに決定しました。そこで、今回の新曲のタイトルは希に付けてもらおうと思います!」

 

 

 「───えっ......!?」

 

 

 突然の海未の提案に希は一瞬戸惑った。

 

 「いいんじゃない? 元々、希が言い出したことだし」

 

 真姫が自分の髪をクルクルと弄びながら賛同した。

 

 「海未ちゃん! ナイスアイデアにゃー!!」

 「あ、それ、いいね!」

 

星空 凛(ほしぞら りん)小泉(こいずみ) 花陽(はなよ)も賛同し、他のメンバー達も次々に賛同した。

 

 「ちょ、ちょっと! みんな───!!」

 

 あわてふためく希を他所に他のメンバーでどんどん話が進んでいった。

 

 そして、矢澤(やざわ) にこがスッと手を挙げた。

 

 「賛成のひとー」

 

 「「「「「「「はーい!!!!」」」」」」」

 

 他の七人も一斉に手を挙げた。

 

 「えぇぇぇぇ!?」

 

 満場一致で困惑している希を他所に話がまとまってしまった。

 

 「まぁ、頑張りなさい」

 

 さすがに綾瀬(あやせ) 絵里(えり)だけは少しばつの悪い笑みを顔に浮かべていた。

 

 「そんなぁ~……」

 

 希はガクッと肩を落とした。

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 ───ということで、希は新曲のタイトルの名付け親という重役(?)を任されたのだった。

 

 「はあぁぁぁぁ~」

 

 また一つ希が大きな溜め息を吐くと、何者かが後ろから声をかけた。

 

 「溜め息を一つ吐くと幸せが一つ逃げるわよ?」

 「!?」

 

 希がビクッとして振り返った。

 

 「なんや……エリちか」

 

 希の視線の先には黒色の暖かそうなコートに身を包んだ絵里が立っていた。

 そのまま二人は並んで歩きだした。

 

 「順調かしら?」

 「そんな風に見えるん?」

 「難航してるようね」

 

 絵里がコートのポケットに手を突っ込んだままクスリと笑った。

 

 「もう、笑い事やないんよ!」

 

 希が頬をぷうっと膨らましてぼやいた。

 そんな希を横目に絵里は少し笑って遠くを見た。

 

 「大丈夫よ。海未も真姫も、他のみんなも私も応援してるわ」

 「結構、大変なんやな~。海未ちゃんもマッキーも……」

 

 普段は作詞作曲は海未と真姫に任せていたので、創作の大変さを思い知ったかのように希も絵里と同じ方向を見て呟いた。

 

 「そうね……。でも、あなたは私たち『μ's』の名付け親。この曲にもきっといい名前を付けてくれるって信じてるわ」

 「そうやろうか? あの時は神さんが降りてきたんよ」

 「今回は?」

 「もう、さっぱり!」

 

 希は苦笑を交えながら両手を挙げて降参のポーズをとった。

 すると、突然、絵里が振り返った。

 

 「ねぇ! なら、今晩あなたの家で一緒に考えない?」

 「えっ!? ウチの家で? ウチは構わんけど、そんな急に言ってお家の人は大丈夫なん?」

 

 明日は休日なので一晩泊めるくらいなら確かに問題はない。

 

 「大丈夫よ。今日は用事で家には人がいないの」

 

 希は一瞬考えて絵里にジト目を向けた。

 

 「......エリち」

 「ん?」

 「本当は今晩、ウチと一緒におしゃべりしたいだけやろ?」

 「あら? ばれたかしら?」

 

 絵里が可愛らしく舌を出した。

 

 「もぉ、エリちは甘えん坊さんなんやから~!」

 「いいじゃない! 明日は休日なんだし!」

 

 そんな絵里を希はクスクスと笑いながら見ていた。

 

 「うん、分かった。ええよ! 今夜は一緒に考えよ! 夜ご飯食べる?」 

 「えぇ、いただくわ。なら、私は一旦着替えを取りに家に帰るわ」

 「うん! それじゃまたね」

 「えぇ、また」

 

 そう言って絵里は一旦、自分の帰路に着いた。

 

 希は絵里を見送った後、急になにかを思い出したかのように「あっ!」と声を出した。

 

 「スーパーに買い物行かなきゃ!」

 「(今晩はなに作ろっかなぁ♪)」

 

 スーパーに向かう希の足取りは自然とスキップを刻んでいた。

 

 




 ということで、第一話でした。

 どうやら、このあと二人はお泊まり会をするみたいですね。
 はたしてどんなガールズトークが展開されるのか、楽しみにしていて下さい。

 御拝読ありがとうございました!

 ※訂正、というか言い訳 4/18

 どうやら新曲でラブソングの提案をしたのは絵里らしいですが、自分的に希のほうが熱望していたと思っていたので盛大に勘違いしてしまっていました。
 ストーリーのこともあり、この二次創作では『新曲にラブソング→主に希の提案』という形を取らせていただきます。
 何卒、ご理解とご容赦をお願いします。
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