東方携帯獣  ~ポケット・モンスター |幻。夢。|~   作:キョウキ

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43ページ目 それぞれの動き

結論から言おう。

私は。私達はあの岩山に出し抜かれた。

 

▼

 

私はその瞬間、死を覚悟したが、その死の宣告である攻撃が行われることなく

こいし様がその岩山を打倒した。

 

勝った!勝利だ!戦いは終わったんだ!

 

その喜びと達成感が疲労となって私を襲った。

 

こいし「お燐、大丈夫?」

 

お燐「ああ、はい。大丈夫です」

 

私のその言葉にこいし様は安堵したのか、にこりと目を細めて笑った。

 

しかし、そのひと時の安寧はすぐさま崩れることになった。

 

お空「お燐!後ろォ‼」

 

途端。お空の言葉が後ろから響いた。

 

その声に反応して後ろを向いた瞬間、右頬に鋭い衝撃が走った。

 

お燐「ぐうっ‼」

 

うめき声をあげ、吹き飛ばされる。

一瞬、こいし様がとても驚いた顔をしているのが見えた。

 

 

ボロボロの体になっても動いている岩山の怪物の姿も。

 

その視界を脳で処理しようとした瞬間、背中に強い衝撃が走る。

どうやら吹き飛ばされて壁に激突したらしい。

 

意識が霧がかったように朦朧とし、こいし様の声が聞こえる。

 

お燐(いっ・・・意識が・・・ッ!)

 

目がかすんで、何もかもが薄れて見えてくる。

耳もやられたのか、耳鳴りがしている。

頭を打ったのか、頭痛もする。

 

それでも私は、なんとか意識を手放さないように目を見開いていた。

 

お空がかなりのスピードで飛んでくるのが見えた。

こいし様が私の方へと駆け寄ってくるところも見えた。

 

その霞んだ視界の中で、気のせいだと思いたいものが一瞬見えた。

 

 

岩山が、床へともぐっている所である。

 

:あなをほる:

 

お空が岩山の方へと飛ぶ様と、ヒ―ドランが攻撃を仕掛けるところも見える。

 

こいし「お空!私はお燐を担いでここを離れるから、スペルを使ってもいいよ!」

 

お空「ッ‼、いいんですか・・・?」

 

こいし「ほら、早く!ここは任せたよ!」

 

確かにそうこいし様が言ったのが聞こえた。

次の瞬間。私はこいし様に本当に担がれたらしい。

 

また次の瞬間。

 

お空がカードを取り出して、辺りに警告音を響かせたのを聞いた。

 

お空「爆符『メガフレア』‼」

 

「ゴボボボォ‼」 :マグマストーム:

 

▼

 

体の大半が破損。しかし、まだ完全に破壊されたわけではない。

まだ戦える・・・。

 

だが、ここは撤退するほかないようだ。

 

もうこの体力と距離では「爆発」を起こして道連れにも行かない。

 

ならば最善の策。一時撤退。

 

そもそもここには「戦闘力のデータ収集」に来た訳である。

もうここに長居する必要も無いだろう。

 

しかし、相手も既に逃げようとすることに気が付いている。

 

 

ここに残った、戦闘可能な者は二体。

 

どちらの攻撃も当たったら瀕死は免れないだろう。

何とかして穴を掘り、炎から身を守らねばいかない。

 

そうこうしているうちに穴が開いた。この地底から地上へ出るための穴が。

 

しかし、攻撃はすぐさま発射された。

 

▼

 

爆炎の渦と、火炎の大玉が、岩山に向けて発射される。

 

その瞬間の室内気温は一気に80度を超えたと思われる。

そして刹那。辺りは弾幕と溶岩の渦で地獄のような光景となり、周りに強い光が漏れた。

 

その光は、私もヒ―ドランも岩山も包んで。

最後に。

 

ドウゥゥン・・・。

 

という揺れと高熱と炎を残して辺りは焼野原となった。

 

そこに残されたのは、尖った岩の残骸。焼けたカーペットやシャンデリア。

 

 

 

 

そして、奴が逃げたと思われる穴だけだった。

 

その穴は、私達が存在に気が付いたのを察知したかのよに消え去り。

 

その穴が存在していたところだけ、爆炎や弾幕の影響を受けずに綺麗なままの床を

晒した。

 

まるで穴も、岩山もなかったかのように辺りは消炎し、私とヒ―ドランだけが残された。

 

私達は、あの岩山に逃げられた。

 

▼

 

~人間の里~ 慧音・妹紅サイド。

 

地上は、よく晴れた夜となっていた。

雲は一切無く、瞬く星々と輝かしい月はその光を地上へと注いでいた。

 

夜は人間の里の酒屋等を覗いて、出歩く人間が一気に減る時間帯である。

 

その代わり、人ではない者が出歩く時間となっている。

 

 

その白く輝く月光を、鏡のような鋼の体で反射させて、人里の外へと歩み出る

異形の姿がそこにはあった。

 

その異形・・・激しい暴風から慧音と妹紅の身を護ったその存在は

ゆっくりした足取りで、人里から森へと出ていこうとしていた。

 

その様子を見ていたのは、ただ一人。

人とは言えぬ、青い目と赤い帯。黒い体に白の頭髪のような物を持つ闇だけであった。

 

その方向の先には、高くそびえる妖怪の山が、巨大な化け物のように

天を支えていた。

 

▼

 

~紅魔館~

 

同時刻。灯りが消え去り、代わりに白い月明かりが館を照らしている頃。

 

スーッ、と。滑るように館の玄関から、尖った多角形のような影が飛び出した。

 

その影は、またすーっと滑るように移動して庭を横切っていく。

 

その影の正体は、一人の妖精のパートナーとして巫女と魔法使いと戦い。

現在はこの館の製氷を任せられる異形であった。

 

その異形は、ゆっくりと館の門を開け、湖を凍らせつつ、森の中へと入っていった。

 

また、その様子を見ている存在が一人。

ボロボロの薄汚れたローブを纏う不気味な者。

 

『・・・・・』

その存在は、何も言うことはなかった。

何も言うことはなく、空を飛んで、また何処かへと離れていった。

 

その飛んでいくものとは逆に行く者。その異形は、巨大な影。

 

妖怪の山へと進む。

 

▼

 

迂闊だった。

 

まさかあそこまで強力な者が青の地下にいるとは思わなかった。

 

なんなのだ、あいつは?

 

気が付いた時からいたのか?

分からない。だが、あそこにいた中ではトップクラスに危険だということを認識した。

 

これからは、あの存在を判断基準に戦闘をしていきたい。

だが、あの存在よりも強い者がいたとしたらどうするか?

 

それは、出会ってみなければ分からない。

 

ひとまずは、この身体が再生するまでジッとしていなければ。

 

▼

 

~人間の里~ 阿求・小鈴・AZサイド

 

変な夢を見た。

 

私がAZさんと阿求と一緒に、何処かへと行く夢だった。

それが『夢』と認識できたのは、何故かは分からない。

しかし、これは夢であるという確固たる自覚があった。

 

その行先は、何なのかよく分からない場所。

 

紫色の桜と、地面から所々突き出た小さい岩が印象に残る荒れ地だった。

空は紺色に染まっているが、地面や桜はハッキリ見える。

 

その荒れ地を、AZさんと阿求はどんどんと進んでいく。

 

 

私は、二人に遅れていることに気が付き、スタスタと足を速めてついて行った。

 

途中。

 

ヌチャ、と変な音が地面からした。

それは、底の部分だけぬかるんでいるようだった。

 

そのぬかるみに私は足を取られ、動けなくなってしまう。

 

二人は私を置いて先へと行ってしまう。

 

 

小鈴「AZさ~ん!待ってくださいよぉー!」

 

返事はない。振り返りもしない。隣にいる阿求も同様に。

 

小鈴「お~い!二人とも―‼」

 

返事はない。振り返ることもなく、ただ歩く。

 

 

途端。

 

ドドドドドドド‼‼

 

何かがのたうち回るような音が聞こえてきた。

 

小鈴「?、何の音だろう・・・・・って、ええ!?」

 

この様子を見て、驚かない人がいるだろうか?いや、いないだろう。

きっとあの霊夢さんや、魔理沙さんですら驚愕してしまうはず。

 

 

それは、水だった。

 

それもただの水ではなく、空と同じ紺色に染まった潮。

 

その潮に、先を歩いていた二人が呑まれる。

 

小鈴「‼‼」

 

もう一度言うが、これは夢である。

 

しかし、いくら夢とはいえその恐怖。実感は現実とそう大差はないと思えた。

 

高波が唸るような音を立てて近づいてくる。

 

ぬかるみにはまった足は抜けそうにない。

 

全てが駄目だと思ったその刹那。

 

 

波の中から青色の巨大な何かが飛び出してきた、

 

その青色をした、大海のようなイメージを持つ何かは私にのしかかり・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと、私は布団から飛び上がって起きていた。

 

小鈴「はあー。はあー。はあー」

私は、起きてすぐ。体に異常が無いか調べた。

 

しかし、それは夢であるため体に何か異変があるわけはなく。

 

無傷。ただし汗でビショビショになった私の体がそこにはあった。

 

小鈴「・・・(なんだったの・・・今の夢は・・・)」

 

私は、何故そのような夢を見たか考えてみたが。

結局は眠気には勝てず。

 

今度はいい夢が見られるように願いながら再び眠りについた。

 

 

翌朝。

 

父親にたたき起こされた。

 

避難するのだという。

 

何故避難するか、父親に聞いたところ。奇妙な回答が返ってきた。

 

「山が動いて人里に迫ってきている。早く避難しなければ」

 

そのようなことが帰ってきた。

 

 

私は、これも夢なのではと思いつつ、父親に手を引かれて外へと出ていった。

 

 

To be continued・・・

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