本作は独自の世界観構成、著しいキャラ崩壊、設定の独自解釈等が含まれます。
これらの内容が苦手な方、嫌いな方は読まない事をお勧めいたします。
以上 作者より
「あらあら。自己紹介まだでしたかぁ。私、駆逐艦荒潮です。よろしくお願いしますねぇ」
「あ、あぁ……よろしく……?」
俺は夢でも見ているのだろうか?
二度、三度と瞬きを繰り替えずが目の前の現実は変わらずに存在し続けている。
中学生くらいだろうか。改めて目の前の小柄な少女を観察する。
140㎝有るか無いかの身長に茶色の長い髪はふわりと風に揺れる。
何処からどう見ても私立小学校か中学校の制服の様な服装。
服装はどうあれその容姿はどうしても俺の記憶を揺さぶる。
しかし、それよりもだ。
目の前にいる少女は確かに自分を「駆逐艦」と称した。
俺は、らしくもなく無い頭で考えた結果、もう一つ別の質問を投げかけてみた。
「なぁ。ここは本当に第三十六号鎮守府で合ってるんだな?」
すると少女は何を言ってるんだろう?という感じに首を傾げて一言答えた。
「そうですよ~?正式には第三鎮守府六号前線基地。通称第三十六号鎮守府でぇす」
「……そうか。それにしては人の気配がないんだが?」
「あぁ……もしかして、何も聞いてないのかしら?」
「あ?」
「うちは今、私しかいないのよ」
「はぁ!?」
どういう事だ。聞いてないぞそんな事。こんなよくわからんガキンチョ一人だけだと!?
そんな状態で対深海凄艦の前線基地を運営していけというのか!?
「おい、小娘。もう一度聞くぞ。お前は一体何者だ?」
「……ふぅん?本当に何も聞かされてないのねぇ……」
「……質問に答えろ」
少女の雰囲気が急に変わった。
何故だか妙な悪寒を感じていた。
それもこの小さな年端もいかない少女のはずの相手からだ……。
くそっ。一体何がどうなってやがる!
「何も知らないって事は所詮あなたもその程度の存在って事じゃないかしら?それなら私も答える義務はないわ。それじゃぁ」
「あ、おい!待て!話はまだ終わってねぇぞ!」
「……今はあなたと話すつもりはないわぁ。出直してきなさい。ふふふ。勝利の女神はここよ~?早く捕まえてぇ。ふふふ!」
「おい!待て!……くそっ!」
荒潮と名乗った少女は決して走り去ったわけじゃない。恐らく追いかければ普通に捕まえられるだろう。だが、それが出来ないだけの殺気が彼女にはあった。
少なくとも俺はこの場から一歩も追いかける事が出来なかった。
しばらくして、彼女の姿が何処かへ消えてようやく俺の体は動く事が出来た。
「はぁ~……くそっ!何なんだあの殺気は……戦場でも滅多に感じなかったぞ」
俺はその場に座り込みながら悪態をつく。
先程の少女の視線やオーラ……と言えばいいのか?とにかく彼女の纏う気の様な物を思い出すと、それだけで冷汗が出た。後半、口調は穏やかだったが目が笑っていなかった。
ただ一言その目が主張していた。
いつでもお前を殺せる……と。
「まさか、本当にあの子が艦娘なのか……?」
つい数日前。
俺、如月雄一郎がここ、第三十六号鎮守府に来る事になったそもそも発端を思い返す事にした。