やはり俺が意識不明の重体なのはまちがっている。 作:世間で言うジョージさん
この作品もあと少しと思うと寂しくなりますね。
まだ未完のものもあるので、
それを考えると、完結する作品は幸せなのかも
しれませんね。
現在は学校屋上。
時刻は放課後だ。
奉仕部でのアプローチは失敗に終わった。理由は解らない。理由があるとしたら、それは雪ノ下自身に問題があると思われる。あの時は現実を認めたくない何かがあったはずだ。現に由比ヶ浜は認めていたからな。つまり、その問題を解決しない限り、この話に進展は無いってことになる。
材木座もよくやってはくれていたが、こればかりは仕方がないと慰めてやった。すると、俺の努力が足りなかったんじゃないか?と調子に乗ってたので、屋上から落とすか落とさないかギリギリのラインで罰を与えてやった。それを見ていた生徒からの「飛び降り自殺しようとしている」と通報を受けて先生方数名に囲まれてしまった。現在はコレ。
敢えなく材木座は職員室へ連行されてしまった。哀れ、材木座よ!君の勇姿は忘れない!仕方ないので、俺は一人屋上に残り考えていた。
俺はあの二人に本物を見た。本物を感じた。失いそうになって、やっと理解した。だから命を賭ける行為をやってのけてみせた。だが、今は守りたかった者達が俺の呪縛に囚われている。だから言葉を発した。対話を望んだ。そんな呪縛に囚われるなんて馬鹿げている。本末転倒もいいとこだ。しかし、今となってはそれも叶わないものとなってしまった。雪ノ下の真意は解らない。だから俺は恐れる。解らないことは、酷く恐いことだから。
『もう、全ての策も尽きたか……』
誰に聞かせるでもなく、俺は独り言のように呟いた。最後の保険を使う時がきたのかもしれない。呪縛に囚われているのなら、その元を断ってやればいい。時間は残酷だが、時間は優しくもある。どんな痛みも時間の流れが癒してくれるものだ。事前にその痛みを少しでも和らげる事だってできる。その為の下準備が必要だと思い、俺は学校を飛び去った。
ある人にメッセージを伝える為に………
「ところで小町さん。何かあてはあるのかしら?」
「え?雪乃さんなら何か知ってるのかと思ってましたけど、さすがに雪乃さんでも知らないんですか?」
「ハァ……小町さん。貴女、やっぱり彼の妹だわ。いいわ、付いて来なさい。」
私のことを良く解っているわね。こんな安い挑発も、どうすれば私達が動くかも、彼らしさを感じさせるわね。やっぱり兄弟って似るのかしら?
「皆で一緒にヒッキーのとこへ行こうよ。きっとヒッキーも待ってると思う。」
「結衣さん、雪乃さん。ありがとうございます!小町もおにーちゃんに会いたいですから。お二人に来ていただいてとても助かります。」
「比企谷くんは、材…材津?くんと行動を共にしているでしょうから、材津くんの動向を追いましょう。」
「それなら、ゆきのん。さっき中二が職員室に連れられて行ったって、彩ちゃんから聞いたよ!なんでも屋上から飛び降りようとしてたって!これって、何か関係あるかも?」
「えぇ、小町さん、由比ヶ浜さん。行きましょう。」
私達が職員室に着くと、そこに材津くんの影はなく、近くの先生方に話を聞くと、材津くんは生徒指導の平塚先生が連れていったと聞いた。問題を起こした生徒は十中八九、生徒指導室に行く。私達は生徒指導室へと移動した。
「材木座、君の言い分は全く以て理解出来ない。私には教師を舐めてるとしか思えないが、そこのところどうなんだね?」
「ゴラムゴラム!それは遺憾というもの。平塚先生、我は嘘など言ってない。あれは自殺ではなく、他殺だと異議を申し立てたい。」
生徒指導室の中では、材津くんの取り調べ?尋問が行われているようだ。私達はお互いの顔を見渡し、意を決して中へ入った。
「雪ノ下!それに由比ヶ浜と、比企谷の妹か?何の用かは後で聞く。今は少し立て込んでいるんでな。それにしてもあの雪ノ下がノックも無しとはな。」
「平塚先生、それは失礼しました。ですが、私達が用があるのは、そこにいる材津くんです。少し話をさせてもらってもいいですか?」
「雪ノ下、今はコイツの指導中だ。後にしてくれたまえ。」
平塚先生の言い分はもっともだ。教師の指導を遮ってまでする事ではない。常識内での話だけれど。けれど今この機を逃したら2度と彼に会えなくなる気がする。だから、ここはなんとしても材津くんに聞かなければいけない。
「我に用とな?フハハハッ!もしや、お主は我を救いに来てくれたのか!ならば歓迎しようではないか!さぁ、八幡の仕業だと、我を弁護するのだ!」
「弁護?何の話かしら?私達が聞きたいのは、比企谷くんが今どこにいるのかなのだけれど。」
「待て待て待て、話がよく見えん。お前らは正気なのか?比企谷は入院しているだろうが。雪ノ下、君までそんな事を言い出すとは少し心外だな。」
「もぅ~!あたしバカだから話がわかんないよぉ。ゆきのん説明して!」
「あの~皆さん?一度、落ち着いてい話をしませんか?小町としては、状況を整理したほうがいいと思うのです。」
一同に会した面々は、個性豊かで不思議な絵面だったに違いない。私達はお互いの状況を整理した。平塚先生は俄には信じがたい話だったのだが、驚くことに信じてくれたのだ。材津くんの自殺騒動も、比企谷くんの悪ふざけ(度が過ぎた)と判明した。その時に彼とは別れたそうだ。だから、今は側にいないらしい。材津くんから語られた話を聞いて、色々と驚かされた。
比企谷くんのゴーストになった経緯から、得た能力、彼の想い、たくさんの話をしてくれた。その中には、私や由比ヶ浜さん、小町さんも思い当たる出来事があったようだ。優しくて、彼らしさを感じさせるエピソードばかりだった。話を聞き終わったとき、私達は泣いていた。私の下らない価値観や倫理観で、彼の行為を無にしてきたのだ。私は動かなくてはならない。これらの贖罪は行動によって償うべきなのだから。
「なるほどな。話はだいたいわかった。材木座、今回は君を不問としよう。」
「ホムン。我の言った通りであったであろう?」
「だが、私も教職の身だ。何もお咎め無しとはいかんからな。よって、反省文の提出を命じる。」
「グハッ!は、八幡めぇ!」
とんだとばっちりね。材津くんには悪いけど、ここは話を進めさせてもらいましょう。
「材津くん、比企谷くんの行き先に心当たりはあるかしら?」
「フム、我もさすがに騒ぎのあった屋上に、まだおるとは考えられぬ。だが、あやつの思考をトレースするのであれば、共に過ごしてきたお主らのほうが適任ではないか?」
材津くんの言葉を受けて衝撃が走った。彼と暮らしてきた小町さんでも、学校生活の彼を知っている訳ではない。奉仕部で共に過ごしてきた時間は、何物にも変えられない。そう感じているのは私達三人だけなのだ。静かな時間を共有し、共に依頼に挑み、何度も何度も間違って、それでも解ろうと、きっと解り合えると思った。その私達が彼の行動を解らないはずがない。きっと彼なら………
「由比ヶ浜さん、小町さん。すぐに移動するわ。いくつか心当たりがあるから急ぎましょう。」
「うん、ゆきのん。けど、どうしてだろう……嫌な予感がするよ。ヒッキーまた自分を犠牲にしちゃうんじゃないかって……」
「小町も嫌な予感がします…おにーちゃん……」
こんな時、彼ならどうするか?いつもなら私達の予想の斜め上をいく思考で解決、もしくは解消してきた。けれど比企谷くん、今回貴方がとろうとしているやり方は解決ではない。それは解消よ。そのやり方は認める訳にはいかないのよ。小町さんの為にも、由比ヶ浜さんの為にも、そして私の為にも……
「平塚先生、いくつかお願いがあります。時間がないので、あとで移動しながらメールをします。それと、材津くん。貴方にも付いてきてもらうわ。」
「あぁ、構わない。どうやら事態は深刻なようだからな。」
「フッ、我が力を欲するか。よかろう!いざ、出陣!!」
比企谷くんを知覚するには、材津くんの能力が必須になる。その材津くんだけど、頼られて嬉しそうにニヤニヤしている。はっきり言って気持ち悪いわ。無視しておこうかしら?
私は比企谷くんを止めなくてはならない。彼の行動を無駄にしない為にも、彼に私の想いを伝えなければならない。聡い比企谷くんのことだ。きっと、あの時の私の異常にも気付いていただろう。言わなければ解らない、けれど言っても解らないことだってある。これは彼の言。だから、今度は私が伝える番だ。
続きは日曜になりそうな予感。
スロットに行かなければ、土曜日予定です!