やはり俺が意識不明の重体なのはまちがっている。 作:世間で言うジョージさん
そして続きもあと少しとなります。
それでわ、どーぞ。
未練。
それは俺の人生に於いて、そこそこ縁遠い言葉だろう。人との関わりを持たずに、勘違いして傷付かないようにしてきた。執心する事もなく、執着する事もない。
だから人に対して『未練』なんて、これっぽっちも無かった。奉仕部であの二人に出会うまでは……。
『未練』を覚えたのはあの時だ。
いつだって人は大切なものほど無くしてから気付く。俺もその例に漏れず、無くしてから初めて気付いた。
あの二人に『本物』を見つける事が出来たからだ。だから二人を助けたまでは良かったんだ。そこに後悔は無い。けれど、薄れていく意識の中で思ってしまった。
『ようやく見つけた本物を手放したくない』
アイツらと居たい。アイツらと生きていきたい。ようやく見つけたんだぞ?ずっと探し求めていた本物を見つける事が出来たんだぞ?
………嫌だ……死にたくない。
それこそが俺の……『未練』だ。
なのに、今はそうじゃないと言う。
なら、今の俺の『未練』とは何だろうか?それを考え、答えを出すのは俺しかいない。
「考えるのは程々にね?けど、あまり時間も無いから急いでね。それじゃ、次はいいニュースだよ♪」
『程々なのに?急いでねですか?あ、はい。よくわかりませんが、解りました。では、いいニュースをお願いします。』
「うん♪ボク達に出来る事は限りがあるだよ。山ちゃんは力の使い方を、ボクなら初運勢を見たり、体に戻れない原因を教えてあげたりとかね。ここまではオーケー?」
『はい、大丈夫です。その前に一つ聞きたい事があるんですけど、質問してもいいですか?』
少し前から疑問に思っていた事がある。彼女らの組織についてだ。平山さんはまだ語ることが出来ないと言っていた。もしかしたら海ちゃんなら教えてくれるかもしれない。
『平山さんから、独自のネットワークがあると聞いてましたけど、俺にはそんな組織的な繋がりは無いんですが。それと、あの方って誰ですか?』
「う~んゴメンね。ボクも少しだけしか言えないカナ?けど、それも含めてのいいニュースだよ♪次の楽しみに取っておいてね。」
『次の楽しみ…って!また次があるって事ですか?』
「正~解~!正解者には、夢の東京への旅をプレゼントしま~す!いぇいいぇい♪とゆーわけで、次は東京に行ってね。詳しい場所はメモを渡すから後で見てくれるカナ?」
次はどこの霊地に飛ばされるかと思いきや、まさかの東京だった。それこそ千葉の目と鼻の先じゃねぇか!最初から東京行けば良かったんじゃね?とか思ってたら、海ちゃんが「チッチッチ」とか言いながら指を左右に振っていた。
「手順が大事なんだよ。何事も…ね?それと、東京へ行けば解るよ。ボクらのネットワークと、あの人の事がね♪」
『ハァ…解りました。行きますよ、行けばいいんでしょう?』
「うん♪わかればよろしい。じゃあ最後にアドバイスするね。次の場所へは、奉仕部全員で行くといいよ~。」
『やはり奉仕部のことも知ってたんすね…まぁ知っていても不思議ではないか。アドバイス、ありがとうございます。』
海ちゃんの家に一泊して翌日、俺達は千葉に帰ることになった。海ちゃんはヨシくん(材木座)に、修行をしていかないか聞いていた。どうやら材木座にはユタの素質があるらしい。
そういえば、平山さんにもイタコの素質があるとか言われてなかったか?それなら、将来はラノベ作家よりも霊媒士のが向いてんじゃね?と思ったが、こいつの性格を考えると作家を目指すと思った。
材木座のことを少し理解してきたのかと思うと、少し気恥ずかしくなったのは内緒だ。
ちなみに修行は長くなるそうなので辞退していた。
空港まで海ちゃんに送ってもらい、海ちゃんに「今度は遊びにおいでね♪」と言われて初めて気付いた。
水着シーンが無かったと……。
「何か邪なことを考えていないかしら、横島ヶ谷くん?」
…何でコイツ解るんだよ。もしかして見えてる?ねぇ、見えてるの?
なんてやり取りをしていたら、もう搭乗する時間になってしまった。
海ちゃんの顔が平塚先生と瓜二つだからなのか、どうしても情が湧いてしまう。加えて憎めない個性が、俺に寂しいという感情を芽生えさせた。
「ひら……ごほん。う、海ちゃん、ありがとうございました。いずれ御礼に立ち寄らせてもらいます。」
「うん!雪ちゃんも元気でね!今度は一緒に海に行こうね~。」
「もははは!海ちゃんよ、また会おう!それでは、サラバだ!」
「うん!ヨシくんもね~また会おう~!」
帰りの飛行機の機内で、今回の顛末を雪ノ下に説明する。帰ったら陽乃さんにも報告するのだが(結局皆にする)、雪ノ下には先に言っておくべきだと思い、あの時の状況を説明した。
要点を纏めてみる。
①このままでは体に戻れない。
②原因は新しい未練。
③俺自身も解ってない。
④次の目的地の判明。
⑤そこに行けば組織もあの人も判明。
まぁざっとこんなもんだろう。
説明が終わると、雪ノ下からの質問タイムが始まった。どうやら色々と聞きたいらしい。
「比企谷くん、新しい未練が解らないと言ったわね。なら以前の未練とは何なのかしら?」
こいつは的確に俺のボディを攻めてくるな。心の内を誰かに吐き出すなんて恥ずかしくて死ねるわ。ましてや当事者の一人に言うとか拷問だろ。もはや一周回って萌えですか?いや、違うか?違うな。
「沈黙は金なり…といったところかしら?残念ね、参考までに聞かせてもらいたかったのだけれど。」
『おい、勘弁してくれ。』
事情を知っている材木座は横でニヤニヤしていた。ムカついたからまた軽く金縛りをかけてやったら、気合い一喝で解いてきた。なんだと?材木座のクセに生意気な!
「哈ッ!!フフン、八幡よ。もはやお主の技は見切った!」
解いたのはいいが大声を出していたので、直後にCAのお姉さんに怒られていた。ざまぁwww
「ハァ…そろそろ続きをいいかしら?」
『悪い。続けてくれ。』
「私達は霊媒士のグループに助けられてるわ。けれど不思議に思わない?何故、二人とも平塚先生と同じ顔をしているのかしら?一人ならそんなこともあるかもしれない。けれど二人もいるのは明らかにおかしいわ。」
それは俺も思っていた事だ。世の中には三人の自分に似た人がいると言うが、似ているなんてレベルじゃない。確率的にゼロでは無いが、明らかに異常だ。そして各人に繋がりがある。平塚先生に問い質してみる必要があると思う。
『それは俺も思っていた。帰ったら一度みんなを集めて話をするから、その時に聞いてみるわ。』
「まるで平塚先生のバーゲンセールね。もう一人ぐらい出てくるんじゃないかしら?」
『バーゲンセールなのに売れ残ってるあたり、あの人らしいよな。』
本当に誰か貰ってあげて!
なんなら海ちゃんと山ちゃんもセットで付けるから!
と考えた瞬間、寒気が三連続でやってきた。あんたら勘良すぎだろ、おい。次に会ったら土下座スタートからだな。うん、命は惜しいもんな。
そうして俺達は千葉に帰り着き、その翌日に雪ノ下のマンションに集まる事になった。ちなみにお土産は、ちんすこうを買って帰った。
無事に千葉に帰還しました~。
少しの謎が残りますがまた解明されます。
それでわ、また次回に。