やはり俺が意識不明の重体なのはまちがっている。   作:世間で言うジョージさん

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日曜日は更新しようと思っていたのですが、
遅れてしまいました。
ちなみに材木座っぽくないかもですが、
資料を見ても彼を理解出来なかったので
ご勘弁を!





第9話 それぞれの想い

 

 

 

早朝、材木座邸。

あれから朝まで様々な感情に襲われながらも、このままではいけないと判断して、イメージトレーニングに明け暮れる事で自分の感情を誤魔化していた。

 

材木座の朝は早い。

ただ単に眠れなかっただけらしいのは、非常にチキンなコイツらしいと言えるだろう。ま、かくいう俺も寝てないんだけどね。つーか、寝れないだけでした。ゴーストの辛いところである。

 

材木座と一緒に登校する。

まさか人生で初の一緒に登校イベントが材木座だとは…。コイツがとても嬉しそうにテンションが高いのがまたウザかった。まぁ、友達と登校するのも悪い気分じゃないけどな。この状況でなければ起こらなかったわけだし。

 

 

 

「のう八幡よ。我って捕まっちゃうんじゃなかろうか?」

 

 

『無くなったとか言っておけばいいんじゃね?そう言っとけば多分、大丈夫だろ。知らんけど。』

 

 

「まさかお主がボールを忘れてくるとはな。トホホ…。」

 

 

 

 

リアルでトホホって言う奴を初めて見たぜ。キャラがブレてきてねぇか?いや、元々の材木座って奴を俺は知らない。また新しい一面に触れたということだろう。触れたくなかったけど。

 

 

 

 

『そういや聞きたい事があるんだが、ボールを取りにいった時に体が薄くなっていく感覚があったんだが、あの現象はなんなんだ?』

 

 

「なん……だと?八幡よ、お主もしや『死にたい』とか『消えたい』と考えていなかったか?」

 

 

 

昨夜の事を思い出してみる。

あの時は、由比ヶ浜に対する罪悪感みたいなもんが俺を苛んでいたと思う。負の感情に満ちた俺は確かに思っていた。『死にたい』と、『消えてしまいたい』と思った。

 

 

 

『確かに…心当たりはある。』

 

 

「フム。話してくれぬか?八幡よ。我でよければ力になろうではないか。」

 

 

 

俺は材木座に昨晩あった出来事や、俺のやった事を話した。

 

 

 

「お主………アホだな。いや、不器用だのう。由比ヶ浜とは奉仕部のあの女子であろう?正体は明かさなかったのか?」

 

 

『明かせるわけねーだろ?筆談するには、まだ集中力も持続力だってないんだ。短い言葉で精一杯だ。それに加えて、由比ヶ浜は極度の恐慌状態だった。そんな中で、まともに話を理解できるとは思わんだろ。』

 

 

「成る程、合点がいったぞ。それでは次は体が薄くなっていく感覚についての話だが、危ないところだったな。それ、成仏だぞ。」

 

 

 

『…………は?成仏……?』

 

 

「左様。存在の薄いお主でもそれ以上薄くなれば、消えさるのは明白……否っ!自明の理!消えたいと思う感情が作用したのであろう。」

 

 

マジかよ。さすがに小町を置いては死ねんわ。あいつら二人にもまだまだ伝えたい事もあるんだ。これからは感情の制御に重きをおこう、そうしよう。

 

 

「同様に、未練が無くなっても成仏するのはわかるな?八幡よ、己の感情を律するがいい。」

 

 

『あぁ、俺もそのつもりだ。さすがに消えてしまうには、まだまだ俺の人生は惜しいからな。』

 

 

 

 

昔の俺ならそんな風に思ってなかったんだがな。何があるかわからんものだ。コイツもそうだが、俺の周りには勿体無いぐらいの良い奴等ばかり集まりやがる。戻ったら小町に自慢しよう。これで小町も友達にお兄ちゃんを自慢出来る。自慢のお兄ちゃんですってな。まさにWin-Winの関係だ。

 

 

 

『ところで材木座よ。一つ頼みがある。いいか?』

 

 

「フゥハハハッ!お主はまだそんな水臭い事を申すか?我とお主は前世よりの対等な関係であるぞ!思う存分に頼るがいい!」

 

 

『ならば一つ頼みたい。まずは保険として、だ。』

 

 

 

 

俺が材木座に頼んだ内容とは?

俺が自分の体に戻るのに時間がかかる。もしくは不可能であった場合は、俺の代理人として俺の言葉を届けてもらう事だ。

 

前者の、時間がかかる場合だが、材木座(祖父)の話によると個人差があるらしい。一晩で戻ったり、ずっと戻らなかったりだ。だいたい未練が絡んでるそうだ。俺に未練など山程あるが今は置いておこう。もしもタイムリミットがきたら、この場合は由比ヶ浜が学校を辞める、小町が進学しない、雪ノ下も最悪何をやらかすかわからない等の事案が発生しそうになったらだ。後者については考えたくはないが、その時はすぐに動いてもらう。それでも駄目だった場合のカードも用意してあるにはあるが、出来れば使いたくはない。

…このカードについては、材木座にも明かしてはいないがな。

 

 

 

「モハハハッ!八幡よ、ついに我の出番か!タイミングはそちらで頼むぞ!」

 

 

『あぁ、悪いが頼む。あいつらが変な気を起こす前に動かなきゃならんからな。』

 

 

 

 

そして学校へ着いた。教室に入り、真っ先にその顔を探す。

 

昨日の事が原因なのだろうか。顔は少し疲れているようで、顔色はあまり良くないみたいだ。あまり寝れなかったのだろうか?あれだけ怖い目にあってれば仕方のない事だろう。またもや原因は俺である。トップカーストの面々は心配してくれているようで、口々に由比ヶ浜の様子を気遣ってくれていた。…やっぱ良い奴等だな、お前ら。

 

 

「結衣~顔色悪いっしょ?保健室行っとく?」

 

「ありがと、優美子。大丈夫だから。」

 

 

「はろはろ~。あれ?結衣あんまり寝てないんじゃない?無理しないほうがいいよ?」

 

「やっはろー、姫菜。いや、本当に大丈夫だよ?昨日、ちょっとね。」

 

 

 

とりあえず形だけでも頭を下げておこうと思い、由比ヶ浜の前まで行って謝ろうと行動した。前からこうやって素直に生きてれば良かったのにな。と、軽く後悔する。だが、今は雪ノ下も気になる。謝ったら向こうにも顔を出そう。どーせ見えないし。

 

 

 

「みんな聞いてくれる?昨日さ、ぶっちゃけすごく怖いことがあってさ。夜中に…」

 

 

『由比ヶ浜、あー、なんだ。昨日は俺が悪かった。スマン。』

 

 

 

言いたい事だけを言って、逃げ出してしまった。まぁあくまで形式上の謝罪だからな。いいんだよ、聴こえなくても。その足で雪ノ下のJ組へと駆けていった。

 

 

「怖いことがあってさ。夜中に…えっ?」

 

 

「どしたん?結衣~。夜中にどーしたんだし。」

 

 

「今、ヒッキ……ううん。何でもない。そんでさ、夜中に…」

今、ヒッキーが居た気がした。

ヒッキーの声が聴こえた気がした。

気のせいかな?あたし頭おかしくなっちゃったのかも。ゆきのんに相談してみようかな?けど、なんか……温かい感じがしたんだよね。

会いたいよ…ヒッキー……

 

 

 

 

 

俺は雪ノ下のJ組へと来たが、彼女はいつもと変わらないように見えた。少し安堵の溜め息を吐いた。やっぱコイツは強いなと思った。本当にあの時のレア顔を、カメラで撮っておきたかったぜ。

雪ノ下は談笑する相手もいないのか、本を読んでいた。今は何を読んでいるのだろうと、少し気になったのでコッソリ覗いて見た。なんか響きがエロいな。

 

 

 

結論から言うと、雪ノ下は全然強くなんてなかった。またもや俺は勝手に自分の理想の枠に嵌めて、雪ノ下は強いと思い込んでいただけだった。自分のアホさ加減に吐き気がする。知った気になっていただけだった。同じ失態は犯さないようにしてきたハズなのにだ。

雪ノ下はラノベを読んでいたんだ。これだけなら心境の変化ともとれるし、誰かに薦められただけかもしれない。傲慢な考え方をするなら、俺のことを理解しようとしてくれてたのかもしれない。タイトルが、前に俺が面白いと薦めたものだからだ。けど、それだけじゃなかった。雪ノ下は目で文字を追ってはいなかった。…ただ涙を溜めていたんだ。開いてあるページには、泣ける場面なんて全くないのにな。

 

 

俺はなんとも言えない感情になってしまった。考えてみたら、少しずつ周りの環境が歪になっているんだ。責任感の強い雪ノ下は、少しずつ壊れそうな由比ヶ浜や小町の面倒を見てくれているのだろう。俺の代わりにだ。その心労は計り知れない。

 

雪ノ下に俺は謝罪と御礼を言わなければならない。例え、聴こえなくても。雪ノ下の前まで行き、ペコリと頭を下げる。

 

 

『雪ノ下、スマン。あとな、俺の代わりに由比ヶ浜と小町のこと、ありがとな。』

 

 

 

少し気恥ずかしかったから、逃げるように職員室へと行ってしまった。俺ってゴーストになってから変わったなー。なんて思いながら平塚先生を探した。

 

 

 

 

教室で私は本を読んでいた。

私は比企谷くんを、彼を感じていたかった。本を読んでいる時だけは、彼と過ごした奉仕部での、あの時間を思い出させてくれたから。だから、前に彼が面白いと薦めてくれたライトノベルという物を購入し、最近は読むようにしている。ライトノベルを読んでいると、内容が全く入ってこない事に気付く。読み進める毎に、脳裏に彼との記憶が甦ってくる。ふと気付いたら眼に涙が溜まっていた。この感情は何なのかしら?悲しい?寂しい?会いたい?この感情の名前はわからないけれど、今は大変な時期だもの。由比ヶ浜さんも、小町さんも間違った選択をしようとしている。そんな事を彼は望んでいないはずよ。彼がいない間は、私がしっかりしなければならないわ。それでも、散々彼に頼ってばかりだった私は弱い。こんな時、彼ならどうするかしら?そう思っていたら、ふと彼の声が聴こえた気がした。

 

『雪ノ下、スマン。あとな、俺の代わりに由比ヶ浜と小町のこと、ありがとな。』

 

 

 

 

 

「……え?比企谷くん?」

 

 

 

私の心情を読み取ってくれたかのように、彼の言葉が聴こえるなんて。私はなんて傲慢なのだと思ったけれど、何故か涙が溢れて零れ落ちていた。

 

 

 

 

 




少し長くなってしまった感。
また新しい設定が増えてます。
独自解釈の賜物ですね☆


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