サイヤ人になりまして。   作:畦道

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最近ドラゴンボール超面白いですよね。ストーリーも良くていいなと思います。しかもドッカンバトルも凄いことになってるしヒーローズも新しくなるしで、二次創作も増えて活発になってる気がします。
この作品ももっと人気が出るといいなぁ。




強くなるため

「‥‥‥んぁ」

 

朝日が顔に当たり、俺は目を覚ました。

ふああ、と欠伸をひとつする。

 

うん、ちゃんとぐっすり眠れたようだ。

変な夢を見るわけでもなかったし、体が痛いわけでもない。

 

体調も昨日よりも良くなって、万全と言える状態だ。というよりむしろ、力が有り余ってしょうがないくらいに。

これも恐らく戦えば戦うほど強くなるサイヤ人の性質故にだろうか。詳しいことは分からないが。

 

さて、ここで惰眠を貪りたいところだが、生憎と俺にはそんな勿体ない時間の使い方は出来ない。

さっさとみんなを見つけて修行をしなければならない。

 

まぁ、とりあえず何か動けば誰か見つかるだろう。

 

そう思い、立ち上がろうとしたが、上手く体に力が入らない。そのため、立ち上がれなかった俺は、もう一度ベッドに逆戻りすることになった。

 

 

 

 

‥‥‥はて、別に体に異常は無かったと思うんだが‥‥‥。

そもそも昨日起きた時点でも、むしろ力が有り余って仕方が無かったと思うぐらいだったはずなんだが。

 

謎の体の不調に、少しうんうん唸っていると、あるひとつの重要なことに気づく。

 

「‥‥‥腹へった」

 

冗談でいっているわけではない。

 

 

‥‥‥というか、いや、待て。なんだこの異常な空腹感は。

 

今まで体験したことのないレベルの空腹に襲われる。

なんだこれ。

 

いきなりの事態に困惑してしまう。

 

待て、冷静になって考えてみよう。

 

‥‥‥ああ、そういえば、昨日話を聞いた後、そのまま寝たからか。飯も食わずに。

 

だが、前世でも飯を抜くことは多々あったが、流石に空腹と気づかないほどに重症の空腹には襲われたことはなかった。

 

 

 

まぁ、どうしてかって聞かれると、俺も良くわからんし、サイヤ人だからとしか答えられないのだが。

大方、今までは戦わなかったから空腹はそこまででもなかったが、戦うことにより、力を使い、空腹が限界突破したというところか。訳のわからん理屈だが、どっかでサイヤ人がめっちゃ食う理由はそういうのって書いてあったような気がするし。

「‥‥‥よっと」

 

今度はさっきより力をつけて立ち上がる。今回は倒れなかった。

 

ピンクの悪魔とかって、こんな気持ちだったんだろうなぁ‥‥‥。

もう眠気も完全に覚め、欠伸の代わりに腹の鳴る音を押さえつつ、割りとどうでもいいことを考えながらノロノロと動き出した。

 

 

 

 

「‥‥‥おはよ」

 

「おう、おはよう」

 

気配をたどり、人がいるだろうところに行くと、そこにはテーブルに大量に置いてある飯を頬張っているシルがいた。

なんかリスみたいでかわいい。

 

「‥‥‥‥」

 

シルはこちらを少し見た後、直ぐに食事に戻った。

 

 

なるほど、別に嫌われているわけではなさそうだ。ただ口数が少ないのだろう。

 

 

そんなことを思いながら、部屋の奥の方を見る。

 

そこには、龍仙人が食事を作っている姿があった。

あなた、料理も出来るんですか。どうでも良いところでもハイスペックですね。

俗にいう料理男子というやつか。

 

カリフは‥‥‥いないな。修行でもやりに行っているのだろうか。

 

てか、今気づいたけど、このリビングっぽい部屋もこれまた現代的だなおい。

 

辺りを見渡し、様々な物を視界に入れる。

 

素材こそコンクリートではなく木材だが、天井には普通に明るい照明がついているし、家具もソファーとかもある。

流石にテレビとかの電化製品はないものの、 印象としては少し広い平成の3LDKという感じを受けた。

 

 

 

 

「‥‥‥食べないの?」

 

シルは食事をする手を止め、こちらを見て訪ねてきた。

 

おっと、いかんいかん。

思ったより現代的すぎて少し、面を食らってしまった。

 

 

「‥‥いや、食べる食べる」

 

そう返しながら、恐らく俺の席であろう椅子に座る。

 

こちとら、比喩でもなく死ぬほど腹が減っているのだ。

ありがたく頂くとしよう。

 

 

「いただきます」

 

日本にいた頃からずっと続けている挨拶をし、目の前にある鶏肉?に手を伸ばす。

 

 

そして、一気にかぶりつく。

 

「うまっ」

 

うますぎて思わず声が出てしまった。腹が減ってたら何でも美味しく感じるんだなぁ。食事って素晴らしいなぁ‥‥‥。

感動しながらも、俺は食べるスピードを落とさずに頬張る。

 

 

「はぐっ、んぐっ、もぐ」

 

 

 

カチャカチャと、食器が鳴る音を響かせながら、目の前にある飯を一心不乱に掻き込む。

シルはそんな俺を見ながら、初めて見せる驚愕の顔をしていた。

俺はその視線を浴びながら、さらに新しい皿に手を伸ばそうとして、もうないことに気付いた。

 

「ほれ、追加じゃ」

ベストタイミングで、ドン、と目の前に追加の飯が置かれる。置かれた方向を見ると、龍仙人が食事を持ってそこに立っていた。

 

「ふぁ。ふゅうふぇんふぃん」

 

「ちゃんと飲み込んでから話すんじゃ。何言っとるかわからんぞ」

 

さいですか。

 

 

「んぐっ、ごくっ」

 

口の中の飯を飲み込み、一息つく。

 

 

 

 

そして、また食事に手を伸ばした。

 

「‥‥‥」

 

龍仙人が何か言いたそうな目で俺を見てくるが、無視して食べ続ける。

今は喋ることもないし食べる方が大切なんだよ。

 

 

 

そんな飯を飲み込むように手当たり次第に食べる俺の姿を見て、龍仙人は呆れながら呟く。

 

 

「本当によく食べるのぉ。それを見るだけでワシは腹がいっぱいになりそうじゃわい」

 

「まぁ、サイヤ人だからな」

 

とりあえず思ったことを口に出して答える。

 

今思ったけど、サイヤ人って言葉超便利だよね。ほぼ全部これでいけそう。それなと同レベルで使える便利言葉。因みにマサラ人でも代用可。

 

下らない考えが浮かぶが、別にこんなものも嫌いではない。考えることがないから生まれるのだ。

考え続けることがいいってわけでもないけど。

 

 

 

下らない思考を続ける中、龍仙人はさらに呟いた。

 

 

「お主もカリフも、良くわからんのぉ。ようそんな子供で大層な知恵を持ったものじゃのう」

 

それは単なる独り言だったのだろう。さっきの話との脈略もないし、降って沸いた疑問を口に出してみただけだろう。

だが、それに俺は少しドキリとしてしまった。

 

変な態度は出てないだろうか。

 

少し心配になってしまう。別に、隠す事でもないというのに。

 

 

けど、何故か俺は言い出せなかった。

 

代わりに俺は、

 

 

「‥‥‥サイヤ人だからな」

 

と答えるしかなかった。

 

 

 

 

 

食事も終わり、一段落したところで、龍仙人と共に家から出る。

目の前には、広大な自然が広がり、心地よい風が俺の肌をなでる。これは日本では味わいにくい感覚であろう。

まぁ、雲がかかっているのだが。

 

出てきた目的は勿論修行である。

 

聞けば、カリフは前から行っていて、さっきいなかったのも修行をしていたからだという。

それを聞いた俺は、直ぐに龍仙人に修行をしたいと言った。

そうすると、直ぐに了承を得れて、こうして出てきたというわけだ。

元々、修行をするとは言っていたので、大体のプランは考えているのこと。

 

俺としてはそれは相当朗報だ。

元々カリフに比べて遅れがちであり、強くならなければならないと決めたので、さっさとやりたかった。

 

因みにシルは留守番として家にいる。

ケープ達とは面識がなかったらしいので、こうして面倒を見てもらうことにしたらしい。

 

 

移動しながら思考を馳せる。

 

そして家から少し離れたところで立ち止まる。どうやらここでやるらしい。

 

 

「んで、まず何をすればいいんだ?」

 

 

龍仙人はひとつ頷くと、口を開いた。

 

「とりあえず気を解放してみせろ」

 

龍仙人はそれだけを伝える。

 

まずはいきなり気が感知できた、俺の実力を見るというところだろう。

 

そう解釈し、原作でもよく見た、腰に手をあて、腰を少し落とすポーズをとって、力を込めて行く。

 

「はあああああああ‥‥‥!」

 

 

突然だが、俺は気というものの解釈が曖昧である。起きてから少し何かは感じたが、漠然としたものであり、良くわからない不思議なものであった。

 

だが、改めて気を出すようにしてみると、なるほど、力が溢れてくるのが分かる。流石に地面が揺れるようなことはないものの、少しばかり土埃が舞う。

 

 

1分ぐらい、ずっと気を出していると、ある程度までいくとこれ以上力が上がるようなことはなくなった。

ここら辺が限界ということか。

 

龍仙人もそれを感じとったのだろう、そこで「ストップ」という指示を出した。

 

力を込めるのを解く。バシュ、と音がして、周りのエネルギーが消え去る。

 

龍仙人は少考した後、これからのことを告げる。

 

「とりあえずは、気のコントロールの強化かの。気の増加の修行はそれからじゃ」

 

「‥‥‥?気の増加はいらないのか?」

 

てっきりそういう系のことをするのかと思った。

ドラゴンボールの修行って亀仙流のあれか、重力室でやるイメージしかなかったから驚いた。

ここに来て新たに知ることばっかだな。

 

龍仙人は俺の疑問に答えつつ、説明を加える。

 

「気の増加は一朝一夕でどうにかなるもんじゃないのじゃ。特別な場合を除いての。それよりも、今は技術を鍛えた方がよい。どれだけ多くの気を持っていても、上手く使えなければ意味がない。宝の持ち腐れというやつじゃの。

 

それに‥‥‥ずっと教えられるかもわからん。もしかしたら、ワシがさっさと死ぬかも知れんし、お前達もここにずっといる訳でもあるまい。今できることを最大限に教える‥‥‥。これがワシの出来ることじゃからの」

 

 

‥‥‥なるほど。確かに今やれることをやった方がいいな。折角ヤードラット星のスタートなんだし。

 

「うむ、わかってくれたようで何よりじゃ。さて、それはもういいとして、修行に入るとするかの」

 

 

俺はコクりと頷いた。

 

 

 

「まず、一番気を込めた気弾をつくるんじゃ」

 

そう言われ、俺は手に力を込めて、気弾を出すイメージをする。

 

すると、手に金色に淡く光る丸い物体が出てきた。

 

「おわっ」

 

いきなりのことで少しビックリしてしまった。初めてなのに意外とこれもできてびっくりです。

 

出来たことに感動を覚えたので、少しばかりじーっと気弾を見ていると、龍仙人は俺をさらに驚かせることを口にした。

 

 

「そして、それをずっと保っておけ。そうじゃの‥‥‥寝るとき以外かのう」

 

「ふーん。‥‥‥って、は?マジで?」

 

一瞬聞き間違えたかと思った。ほぼ1日保存とかどれだけハードやねん。バスケでも触れるときにボールを触っとけとかまでしか言わんぞ。

 

その問いに対して龍仙人はうんうんと頷く。

‥‥‥さいですか。

 

「飯を食う時もか?」

 

「そうじゃ。これは言わばコントロールを身につける修行。他のことをしながらでも出来るようにならんとの」

 

‥‥‥さいですか。

 

「それと、気の増加の修行をしないといっても、全くそれをしないというわけじゃない。手と足にこれをつけろ。背中にはこれじゃ」

 

「おっも!なにこれ!?」

 

まさかの試練追加。縛りプレイの盛り合わせとか誰得やねん。

てかこれまんま亀仙流じゃないですかやだー。やっぱりこれが主流なのかね。

 

「これで終わりではないぞ‥‥‥あともう1つお主には枷をやろう」

 

 

まだなんかあんのか!?

まるで縛りプレイのバーゲンセールだな‥‥‥。

 

もう理解することを放棄して現実逃避をしている俺をよそに、龍仙人は叫んだ。

 

 

「リオス!」

 

すると、数日前に俺とカリフが戦ったリオレウスモドキが飛んで来ていた。

地面すれすれで足を出し、滑りながら着地する。

 

 

それを見て俺はもう何かどうでも良くなって、

 

 

――――――――てか名前やっぱほぼそのまんまじゃねぇか。アウトかセーフで言えばアウト寄りだろうが。さしずめアウトに限りなく近いアウトというところだろうか。つまりアウト。

 

と、壮絶にどうでもいいことを考えてしまっていた。

 

 

そんな現実逃避をしている俺を現実に引き戻させるためか、龍仙人はわざとらしく、咳ごみをする。

それに連れられ、俺は現実に戻らさせられた。

 

「さて、それとこのリオスから、ワシがいいと言うまで、逃げ続けてもらおう。防御はありじゃが、攻撃するのはなし」

 

「‥‥‥これつけたまま、気弾出したままで?」

 

最後の抵抗として、質問をする。頼むから聞き間違えであってくれ。

 

「然り。先程も言うたが、これを当たり前にしなければならんからの」

 

無念、現実は非情なり。俺の思いは通じることはなかった。それどころか、追い討ちをかけるように龍仙人はもう一言発する。

 

 

「ああ、いい忘れておったが、その気弾が消えるか、リオスの攻撃を食らう度、飯の品が一品ずつ減っていくからの」

 

 

止めてください死んでしまいます。

具体的には過労死。

 

俺は絶対帰ってくるからな‥‥‥。

 

死亡フラグを立てつつ、呆然とする。

 

 

だが、やはり龍仙人は慈悲の欠片もない態度で、死の宣告ともとれる言葉を発した。

 

 

「では‥‥‥始め!」

 

 

「ふざけんなよちくしょぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

俺は気弾を手に出したまま、全速力で走りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう‥‥‥無理‥‥‥」

 

 

レンの修行が始まり、3日。その日の修行が終わり、レンは龍仙人の家の前で力尽きていた。

それもそのはず。彼がやっているのは、寝ているとき以外のほぼ全ての時間に気を放出し続け、飯をかけた鬼ごっこをなのだ。言わば、ペナルティがありすぎる24時間マラソンと言ったところだ。

 

そして、レンは攻撃に当たりまくり、ここ三日間、まともに食事も出来ていない有り様だった。

 

 

「腹‥‥‥減った‥‥」

 

その言葉を肯定するように、ぐーっと、腹の音が鳴る。だが、それでも手から出している気弾を消さないのは、彼の素晴らしい意地だと言えるだろう。

 

 

 

レンの目の前ではカリフとシルが美味しそうに夕食を食べている。

 

不意にカリフはレンを見ると、哀れみを込めた目で、一言呟いた。

 

「‥‥‥死にそうだな‥‥」

 

だが、レンは突っ伏したまま、それに返事をしない。既に死にそうなだけあって、出来るだけの体力を使いたくないのだ。

 

そしてそこから大した会話が生まれることもなく、二人の食事は進んでいった。

シルが先に食べ終わり、そのまま寝る体制に入ったところで、カリフはおもむろに近くにあったスープをレンの方向に押し付けた。

 

 

 

「ん」

 

「‥‥‥?」

 

「やるよ。腹へってんだろ」

 

それを見て、レンの腹はさらに悲鳴をあげる。知らず知らずの内に、無意識に手が伸びていた。そしてその手が皿を取ろうとしたところで、直ぐにレンはその手を引っ込め、

 

「いや、いい」

 

と断った。

 

 

 

(いや、もう食えよ)

 

カリフは思わずツッコミかけたが、それを口には出さず、あえてふざけた口調でレンをからかった。

 

 

 

「頭かってぇなぁ。そういうとこ変に律儀だなぁ」

「龍仙人に言われた通りにやるだけだ」

 

 

それに対しレンはぶっきらぼうに言い切る。

そしてそのまま顔を背けた。

 

 

「別に、俺達から貰ったらいけないなんて言われてないだろ」

 

「んなこと言ったって、食っちまったら修行になんねぇだろ。これはペナルティなんだし」

 

カリフは呆れ混じりに呟くが、レンはそれをペナルティという理由で否定する。

 

 

そんな死にそうな顔で言っても説得力ねぇよ、とカリフは思うが、別に言うことでもないだろうと判断し、説得を続けた。

 

 

「でもよ、食わなきゃ力でないぜ?働かざるもの食うべからず、とか言うだろ」

 

「それを言うなら腹が減っては戦はできぬだ。別に戦をやろうってわけじゃないし」

 

「言葉の綾っつうか‥‥‥。ていうか、そんなにやってたらいつかバテるぜ?明らかにオーバーワーク‥‥‥というより無理してるだろ」

 

 

 

 

「‥‥‥無理しなきゃ、強くなれねぇんだよ。正直言って、俺は今強くなってる実感が全然無い。もっと、強くならなきゃならないんだ‥‥‥。俺は‥‥‥」

 

レンは立ち上がり、拳を握りしめる。その顔には、隠しきれない悔しさが滲みでていた。

レンは、あの日に誓ったのだ。強くなる、と。後悔をしない生き方をしよう、と。

 

 

だが、そんなものはカリフは知るよしもなく、はぁ、と溜め息をつく。

頑固と言っても限度があるだろう。カリフは全く面倒臭い、と感じてしまった。

 

 

「一朝一夕で強くなれるわけないだろ。焦ったって何も生まれない。のんびり行こうぜ、のんびりさ」

 

 

 

「‥‥‥何でそんなに楽観的なんだよ。俺達はあのとき、奴に‥‥‥ケープに手も足もでなかったんだぞ」

 

レンはカリフを睨む。レンは、彼が自分より強いということは理解していた。だが、そのような楽観的な態度は理解が出来なかった。レンもカリフも、ケープには全くと言ってもいいほど手が届かなかったのだ。だからこそ、レンはもっとカリフが強くなるために頑張っているのだろうと思っていたのだ。

それが、むしろゆるーく、楽観的な態度でいるため、レンは言い返した。

 

 

 

「俺は逆に、何でそんなに焦ってるのか聞きたいね」

 

その態度に気づいていたのか、いないのか、彼が出した答えは新たな疑問だった。

それを聞き、レンはついに感情を抑えきれずに、叫んだ。

 

 

「だから、俺達が強くなんなきゃいけないからだろ!皆を守らなきゃいけないんだぞ!」

 

 

 

「俺達に守ってもらうぐらいなら、この星の連中も死んだ方がましだと思うだろうな」

 

 

カリフはあくまで淡々と、事実を述べる。レンの感情は知らない、という風に。

 

「何で‥‥‥何で、そう言いきれる」

 

レンも、カリフの感情を理解出来なかった。

 

だからこそ、そこに疑問が沸いた。

 

 

それに対し、カリフは待ってましたとばかりに答えを返した。

 

 

「簡単だ。俺達、まだ5歳の餓鬼だぜ?そんなに焦ったってしょうがないだろ。先はまだまだ長い。これからのんびり頑張っていけばいいんだよ」

 

まぁ、焦んなきゃいけないのもわかるけどな、とカリフは言う。

レンは、カリフの言葉を半ば受け流しつつ、横で寝ているシルを見た。

 

彼女が何者で、何故ケープ達に追われていたのかは分からない。

だが、彼女は自分達と違い、本当の子供だ。

それだけは分かる。

 

「ということで、ほれ」

 

カリフは自分が持っていた、スープを渡す。

レンはそらを素直に受けとった。

スープは冷めてしまっていたが、レンには温かく感じられた。

 

「話を戻すと、まぁやりようはいくらでもあるってところだ。重要なのは無理に自分を追い詰めていくことじゃない。出来るだけ、効率良くやれるかってところだ」

 

 

 

「まぁ、それは分かるが‥‥‥つっても、飯を普通に食うわけにもいかんだろ」

 

理解は出来るが、納得はできない。

レンはそう思った。そもそもこれはペナルティであって、宿題のようなものだ。強くなるためには必要だし、やらなければ意味がないはずだ。

それを聞いて、カリフは更に言葉を足す。

 

 

 

「ああ、確かにそうだ。でも、そのペナルティを少なくする方法を考えるとかすればいいじゃねぇか。例えば‥‥‥そうだな、1回気弾が消える度、すぐに出すんじゃなくて、ある程度インターバルを置いて、態勢を整えてから出すとか」

 

 

 

「なるほど‥‥‥。確かに消える度、としか言われてないな」

 

「だろ?そう考えれば、色々工夫出来そうに思えないか?作戦練るのはお前の得意分野だろう?」

 

なるほど、確かにやり方は色々あるというものだ。

宿題はやらなければならないが、方法は指定されていない。量を多く出されたなら、効率よくやろうとするのは小学生でもわかることだ。

そう考え、レンは納得した。

レンはそれより下の年であるのだか。

 

 

 

「そうだな‥‥‥。まぁ、明日から色々試してみるよ」

 

「よし、その心構えだ。さっさと強くなろうぜ」

 

 

カリフが笑い、連られレンの口許も緩んだ。

 

 

――――――――ああ、そうだ。何だかんだでいつも助けられていたのだ。このようなやり取りに。たわいもない、ふざけた会話に。こういうのは、世界が変わっても変わらないのか。

そして、レンの胸中に、無性に申し訳なさが浮かんできた。

 

「なんか‥‥‥いつもすまんな。あの時‥‥‥リオスの時だって、ケープの時だって。お前がいなきゃ俺は死んでたし‥‥‥。いつも、頼りっぱなしだよな」

 

「‥‥‥そうだな。いつも頼まれっぱなしだ。少なくとも今もな」

 

「‥‥‥」

 

思わずレンは無言になる。流石にストレートに言われるとは思っていなかったのだ。

カリフは続ける。

 

「‥‥‥けどもよ、俺だってお前がいなきゃ死んでたかもしれないし。あの時も、お前の作戦に救われたんだ。もしかしたら‥‥‥、多分この先、俺もお前に頼ることがあると思う。いや、絶対あるだろう。けど、そんときに、一々謝ってたりしてたら切りがない。どっかで聞いたことがあるぜ。謝るより、感謝された方がよっぽど気分がいいってな」

 

 

「‥‥‥俺も聞いた聞いたことがあるな、それ。そうだな‥‥、ありがとよ」

 

もう迷いはない。

これから、もっとこいつと強くなるのだ。

レンはそう決意し、気づかせてくれた相棒(カリフ)にお礼を言った。

 

「おう、どういたしまして」

 

 

 

それから二人は、たわいもない会話をしつつ、食事を続けた。

 

 

 

 

近くの木に隠れ、話を聞いていた人物――――――――龍仙人は、満足げにうんうん、と頷き、自身も休息をとるために、家に戻っていく。

 

 

 

 

空には、もう雲はなく、満天の星空が広がっていた。

 

 

 

 

 




アドバイスなどあればよろしくお願いします。
では、また次回。
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