ついに出ましたね、ベシットブルー。めっちゃかっこよかったです。そしてトランクスの元気ソード。いいと思います。
では、どうぞ。
「はあっ!」
右手に気弾を出しながら、木々の間を潜り抜け、飛び越し、走り抜ける。
日も沈みかけ、夕焼けが周囲を照らし始めた頃。
レンは、リオスとの鬼ごっこを続けていた。
この修行を始めて数ヶ月。初めの死にかけていた頃と比べて、立ち回りも良くなり、安定した動きをしつつ、思考も巡らせられるようになっていた。
(右手の気弾を保持しつつ、左手に新たな気弾を作って‥‥‥)
木々を飛び回っていたのをやめ、適当な木に着地する。そして左手を突きだし、力を、気を込めてゆく。
やがて、その手の上には、野球ボール並の小さな気弾が出来上がっていた。それは通常と違い、気持ち程度だが発光しており、特別なものであった。
(‥‥‥思いっきりぶん投げる!)
ぶん、と空を切る音と共に、新たに作り出した気弾を、全力で目の前にぶん投げる。
その先には、レンを追ってきたであろう、龍―――――――リオス。
リオスは、訝しげにその気弾を見る。気弾はスピードを上げながら、彼に迫っていた。
だが、リオスはそれに動じない。
余裕をもった行動で、ゆったりと体を捻り、その気弾をかわした。
この龍は非常に知能が発達している。これはレンがこの数ヶ月間で分かったことでもある。
何かしら後が残っていると、そこら辺をくまなく探す。叫んで耳を塞がせ、そのまま風を起こし、身動きの取れない状態で全力で火球をぶつけてくることもあったほどだ。
だが――――――――――所詮は動物。自分達ほど駆け引きが出来るわけでもない。
人間は動いているものを視界に入れると、自然とそれを目で追ってしまう性質があるらしい。それは他の動物にも適用されるかは定かではなかったが、本能に従い、目で追ってしまうだろう。
また、半端な知能があるせいで、『危険』と判断した場合には回避をする、つまりレンからの攻撃にはならないと踏み、わざと目切れる速さで、誘いかけるように放ったのだった。
かわしたと思った気弾が、空中に止まっていることに気づく。
だが、時既に遅し。
レンは目をつぶり、リオスはそれを見たまま。
刹那、気弾が爆発する。
視界を覆い潰すのレベルの光が、辺りを照らした。
「グオオオオオオオオオオ!!!」
目を潰されたリオスは、急な出来事に体が反応せず、叫び声を上げた。
「閃光弾‥‥‥なんてな。やっぱ飛龍種にはこいつだな」
これが、レンが数ヶ月かけて考え出した技のひとつでもある。
太陽拳が誰でも使えるならこういう光を出すのも使えるのではないか――――――――ゲーム内での知識からだが――――――と、考えた結果の技であった。
リオスを足止めしている間に、レンはさらに森の深くに入っていった。
力強く、木を踏みながら、注意深く地面を観察して移動する。
そして、いくつかの木々を越えた時。
「見つけた‥‥‥!」
レンの目にはには、以前カリフと共に食べた動物、猪が映った。
ざっと、一瞬のうちに猪の背後に回り、手に持った気弾をぶつけ、仕留める。
気弾をぶつけられた猪は、そのまま吹き飛ばされ、木の幹に当たって止まり、そのまま動かなくった。
そしてレンは、それを鮮やかな手つきで直ぐ様回収し、別のところを目指し、再び駆けた。
ここ数ヶ月、レンは全く同じ修行をやっていた。逃げ続け、気弾を消さないようにする修行を。
人は日々成長するものであって、レンの伸びも素晴らしかった。さらに前世の知識に、慣れたことによる豊かな発想力が生まれ、色々な工夫をするようになった。
どちらとも、厳密には言及されておらず、セウトな判定のものばかりであったが、何もなかった。
事実、龍仙人はそれに関しては黙認していた。何故なら、それを鍛えるための修行でもあるのだから。
「‥‥‥‥そろそろ良い具合かの」
レンとリオスの鬼ごっこを見て、龍仙人は呟いた。
*
「では、これから、空を飛ぶ技―――――――――舞空術を教える」
キタァァァァァァァァァァ!!!
長かった、やっとドラゴンボールの戦闘でほぼ必ず、てか絶対必要とも言えるこの技、舞空術をおぼえられるぞぉぉぉぉ!!!!
俺はガッツポーズをし、喜びを全身で表現した。流石に叫ぶということはしなかったが。
え?何で今まで覚えなかったのかって?
はは、そんな時間あると思うか?朝起きて?修行という名目でリアル鬼ごっこして?んなへとへとの状態で精神統一?無言で座禅を組む?無理です。
コツなんてよく分かんないし、そんなホイホイできてたらみんな出来てるよやってるよ。って、みんなやってるから言ってるんでしたね、すいませんでした。
ともかく、嬉しいのは嬉しい。例えるならば、ソシャゲで超レアカードが当たった時のような嬉しさだ。口で良い表せられないような、形容しがたい感情である。
「‥‥‥大丈夫かの?」
おっと、あまりの嬉しさに狂喜乱舞してしまっていた。
んん、と咳払いをし、とりあえずは平静を装う。龍仙人はそれを見て安心したのか、話を続ける。
「で、話の続きなんじゃが。とりあえずは気のコントロールも出来たところなので、空を飛ぶことをしようと思うんじゃ。恐らく、この先必須になってくるからの」
確かに。ドラゴンボールでは必須だからな。
うんうん、と相槌を打つ。
こちらが理解したのを確認し、龍仙人はこちらに向き直り、再度口を開く。
「さて、まずはやってみようかの」
そう言うやいなや、龍仙人は構えをとり、気を纏い始めた。
こちらに分かりやすいようにしてくれているのだろう、気が可視化出来るほどに膨れる。
「ふっ」
短い気合いを入れ、気が安定する。
そして、気を体に纏い、足が地面から離れていく。段々と浮いて行き、俺が見上げるぐらいの高さまで上り、止まった。
‥‥‥え、あ、終わり?
もっと何かするのかと期待していた分、拍子抜けしてしまった。
いや、まぁ確かに飛ぶだけだしさ。悟飯だって大したことはしてなかったような気がするけども。
けど、流石にこれは‥‥‥わからん。
「‥‥‥つまり、どうやんの?」
だが、龍仙人はこれ以上なにもする気配はなく。
結局、俺は説明を求めた。すると、龍仙人は困ったように頬をかき、どう説明するか悩む姿を見せた。
「パーってやって、そーってなって、ビューンって感じかの」
なるほど、わからん。
何故さっきまで具体的にしてくれていたのに、説明が出来ないのだろうか。
ああ、なるほど、これが感覚派と思考派の違いというやつか‥‥‥。いるんだよな、そういうやつ。どうやったら出来んのってコツを聞いたらワケわからんそいつ自身の感覚で表現してくるやつ。やり方教えろっていってんのによ。馬鹿にしてんのかって思うときあったわ。因みに俺は不器用だったんでもっぱら試行錯誤派でした。
「こればっかりはどうしようもないのじゃ。感覚で掴んでいくことが一番大切だからの。一つ、アドバイスがあるとすれば、頑張れ、としか言いようがないの」
おうふ。
感覚ですか、そうですか。なるほど、色んな二次創作の主人公がさらっと出来るわけだ。大して努力は関係ないのだから。
だが、元の世界出身である俺は、飛ぶという発想がなかなか出来ない。飛行機に乗った経験も無ければ、I Can Flyをした覚えもない。VRゲームでも体験しておくべきだったか。買えたかどうかは別にして。
「まぁ、とりあえずやってみるしかないの」
確かに、とりあえずはやってみるしかないか。後悔していても始まりはしない。案外、やってみたら出来るかもしれないし。
一度、深呼吸をして、よし、と再度気合いを入れる。
「はあああ‥‥‥!」
先程見たように、自分の体に気を纏っていく。
体に力がみなぎる。前にもこんなことをやったが、やはりあの時よりは力が上がっているのが確信できた。だが、思ったよりも上がっていてちょっと驚いた。あれは結構効果があったのか。
「‥‥‥?」
さて、改めて浮こうとして、ふとした違和感に気づいた。なんかこう、普段からあるようなものがない感じが‥‥‥
「‥‥‥おおう」
どうやら、俺の心配は杞憂だったようだ。
やれば出来るかもしれないってフラグだとおもったんだけどなぁ‥‥‥。
サイヤ人だからね、仕方ないね。
俺は見事に空に浮いていた。
龍仙人はそれを見て少し驚いて見せたものの、直ぐに納得したようで、改めて言い直した。
「さて、修行開始かの」
*
「‥‥‥そういえばさ、シルって何であいつらに追われてたんだ?なんか訳あり?」
今日の分の修行も終わり、晩飯時。以前よりも内容がたいぶ楽になったので、最近はこうして皆とワイワイ食べている。だが、楽になったと言っても辛いものは辛い時がある。そんな中、やはり心の支えになるのはこういう暖かな家庭だと思う。そんなこんなで幸せを噛み締めつつ、飯も噛み締めて味わっていた時、ふとカリフがシルに質問をした。
確かにそれについては俺も気になっていたところもあった。俺としてはケープの存在も気になるところだが、この娘の存在も気になる。
なにせ、俺の知っているドラゴンボールの世界には出てこなかった存在だ。ゲームでも、アニメでも。ここがどれくらい知識とずれているのか、知っておきたくもあった。
龍仙人はその質問に対し、ふむ、と頷いた。
「言っても構わんかの。今更じゃが、別に隠すようなことでもなかったからの」
俺とカリフは目を見合せ、龍仙人の次の言葉を待った。
「シルはある特殊な能力を持っていたんじゃ。奴等にとって有益なものだの」
「へぇ~。どんな能力なんだ?」
カリフが興味津々といった風に身を乗り出して聞く。
「‥‥‥戻せる」
ポツリと、シルが呟いた。
「‥‥‥?」
「物とか、いろいろ」
「ああ~実際見せて方が早いかの」
俺とカリフはもう一度目を見合せる。何を言っているのか理解出来なかったのだ。カタコトだし主語がないからよくわかんなかった。これは俺の理解力が低いとかそんなんじゃないはず。もしそうだったらちょっと悲しいです。
その反応に対し、龍仙人はポリポリと、頭をかく仕草をし、「少し待っておれ」と言い残して、次いで席を立った。
そして、数十秒で、手に何かを持ったまま、帰ってきた。龍仙人は机にそれを置くと、説明を始めた。
「さて、ここに誰かが割った皿がある。昨日にはなかったものじゃの」
ビクッとカリフが揺れた。
あれお前がやったのかよ‥‥‥。子供みたいなことしやがって‥‥‥って、子供だったな、うん。
俺が呆れていると、龍仙人はシルを呼んだ。
飯を頬張っていたシルは、それに頷くと、皿に近づき、割れた皿の破片1つに手をあてた。
何が起きるのか‥‥‥。
俺とカリフは期待に満ちた目でそれを見ていた。
すると、やがてこの世界でも見たことのないような、不思議な現象が起きた。
皿の回りが光を帯び始めたのだ。色は銀、金、赤など、様々なものがあったが、共通してどれも光輝いていて、幻想的だった。
気付けば、目の前には皹のひとつもない、綺麗な皿が置いてあった。
‥‥‥えーっと、つまり、どういうことだってばよ?
手を当てて、なんか光ったと思ったら、元に戻った皿があって。そして、シルの″戻せる″というセリフと、龍仙人の″昨日にはなかった″というセリフから導き出される解は‥‥‥。
「シルは、物体の時間を1日だけ戻せるのじゃ。人間の体でも、死んだ者でもの」
「‥‥‥ええ‥‥‥」
え、て、え?なにそれチートじゃないっすか?生きかえさせるとか。
衛生兵。巨大宇宙人の赤い玉。緑のキノコ。色んな単語が頭に思い浮かんだ。最後のは違うか。
「まぁ、一つの物体につき、1日1回というルールがあるけどの」
ホンマか工藤。でも、制限がついたにしても、強力であるには変わりがない。正直言って、半不死身のようなものであるからだ。一度だけ、と言ってもそれは1日だけだし、それ以降は問題なく使えるのであろう。さらに、体を戻すのだから、恐らく気も1日前に戻るのではないか。要はコンテニューってことだ。
まぁ、確かにそれならば納得も出来る。フリーザが夢見ていた不死身がドラゴンボールでなくこのような形で手に入るのだから。
それと同時に、そんな能力がクウラに渡っていたと思うと、ゾッとする。
クウラは強い。フリーザといい、クウラといい、どちらもインフレに飲まれてしまっただけで、今の俺達がどうにか出来る存在でないことは明白だ。それに不死身がつくとなるともう化物確定だ。フリーザ編以降のラスボスは何故か再生がセルフでついていたが。
次にいつ奴等が来るかは分からない。けど、それまでに、彼女を守れる程に強くならなければならない。
次に来ると、言っていた。らしい。ならば勝たなければならない。折角、ドラゴンボールの世界に来たんだ。強くなって、世界を救ってもいいじゃないか。
「俺もいるんだからな、忘れんなよ」
カリフも、そんな考えにたどり着いたのか、言葉をかけ、俺を鼓舞してくれた。
そうだ、俺は一人ではない。だからこそ、奴を倒せるはずだ。
「よっしゃー!やるぞー!」
俺は鬱憤をはらすように、叫んだ。
そうだ、やるのだ。俺達は、出来るはずだ。
なぜなら、俺達は、奴等を倒したサイヤ人なのだから。
次回はオリキャラ紹介だと思います。