サイヤ人になりまして。   作:畦道

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ダンまちとドラゴンボールのクロスオーバー小説書きたい、と思うんですけど、中々案が浮かばない畦道です。そんなことしてる暇あるなら、投稿ペースを上げなければならないんですけど。


初めての遠足

朝起きたら、目の前には広大な開けた大地。頭上には青色‥‥‥ではなく、木々と同じような緑色の空が広がっていた。ナメック星の空と言ったら分かりやすいだろうか。

さあっ、と自然特有の柔らかな風が肌を撫でた。爽やかな風が寝起きのぼんやりとした思考と合間って気持ちよく感じる。

 

そんな中、頭の中で感じた情報を処理する。

 

青ではなく、見たことのない緑色の空。

いつもと違う、爽やかな風。

小屋といった人工物も見当たらない、広大な大地。

 

 

 

‥‥‥えっと、ここどこ?

 

今更な疑問が頭に浮かぶ。

少なくとも、ヤードラット星ではないことは明らかではある。また、地球でもない。それは空の色から分かることだった。

 

 

辺りを見渡すと、カリフと龍仙人とシルの姿が目に入った。龍仙人は既に起きていたようで、こちらに視線を向けている。‥‥‥意外に冷静なのね。

一方カリフとシルは俺と同様に今起きたようだった。目を擦って辺りを見渡し、驚愕に見舞われている。

 

‥‥‥うん、まぁ分かる。

それが普通の反応だろう。

 

「なぁ、レン、シル‥‥‥。俺、目がおかしくなったのかな。空が緑色に見えるんですけど」

 

「大丈夫。私もだから」

 

それは大丈夫とは呼びません。シルが自信満々であるが、お前のそれはどこから沸いてくるんだ。

まぁ、二人とも何も変わってなくて安心はしたが。

 

というか、やはりあの反応からして、二人とも全く状況が読み込めていないようだ。

 

と、なると‥‥‥知っているのは異様に冷静な龍仙人か。

 

「ここは惑星トロ。ヤードラット星から程近い、無人の星じゃ」

 

案の定、龍仙人は知っていたようで、こちらに向き直り、答えを返した。というか知っているよりお前が犯人か。

 

そして、そのまま続けて、唐突に宣言をした。

「さて、今日から新たな修業‥‥‥瞬間移動の修業に入るぞい」

 

 

 

『‥‥‥』

 

いや、そんなどや顔で言われても反応に困るんですけど。

 

「はい龍仙人先生しつもーん」

 

「なんじゃ、カリフ君」

 

「なんでここ来たんですかー。ここに来る意味あったんですかー」

 

カリフが手を上げ、生徒のように質問をする。

それについては俺も知りたかった。ついでに方法も。

 

「理由といえば、無いことはないんじゃが‥‥‥。強いて言えば、修業に緊張感を持たせる為だの。いつもと違う環境の方がやる気がでるじゃろう」

 

 

 

なるほど、つまり遠足理論か。確かに小学生の歳ではあるのだが。

 

「でも、それだけだと理由にならなくないか?別にあの星の違うとこでやれば良かったわけであって、ここでやるメリットもないだろ」

 

「‥‥‥瞬間移動というのは、遠くに行けば行くほど需要が増す。いちいち細かくやっていくより、一気に行った方が効率がよい。まぁ、最初はコツを掴む為に多少は近くでやるんじゃがの」

 

うん‥‥‥?さっきから、微妙に会話が噛み合ってないような気がする。

 

その雰囲気を察したのか、龍仙人は付け加えた。

 

「ああ、いい忘れとったな。今回の修業の合格はヤードラット星に帰ってくることじゃ」

 

「どうやって帰るんだ?掴む基準となる気がなければ‥‥‥知ってる人の気がなければ帰れないじゃなかったのか?」

 

「別に、掴む気は人に限定されておらん。現に、さっきワシがここに跳んできたのは、周辺にあるこの草の気を辿ってきたんじゃからな」

 

なるほど、そんな秘密があったのか。悟空が使っていなかっただけで、そういう側面もあったのか。ついでに言えば、知らなくても言い訳だ。悟空もブロリーの時とかやってたし。

「それと、期間は無制限じゃ。早く帰って来てもよいし、修業の休みとしてのんびりしてもよい。まぁ、帰ってこられるかは分からんがの。因みに方角はこっちじゃ」

 

ああ、丁寧に地面に矢印を書いて下さるんですね。‥‥‥って、ちょっと待て。今、帰ってこられるかは分からない、と言ったか?

 

何となく、流されていた言葉に違和感を覚える。

だが、それに気付いた時は、もう龍仙人は矢印を書き終わり、その方向に体を向け、額に指をつけていた。

 

その見覚えがありすぎるポーズが。そして、さっきの発言が。あるひとつの結論を導き出す。

それにたどり着き、俺は咄嗟に叫んだ。

「待っ―――――――――」

 

「じゃあの」

 

言葉は最後まで続かず。

龍仙人はそう言い残すと、姿を消した。

 

 

辺りを静寂が包み込む。

 

 

 

「「「‥‥‥‥」」」

 

 

 

‥‥‥なにそれ。

 

いや、ちょっと待て。それだけ?流石にそれはおかしいだろ。スパルタってレベルじゃない。行きだけの片道分しかないんですか。遠足って帰るまでが遠足って言うじゃん。最後まで安全の保障しろよ。てかその点トッポってすごいよね、最後までチョコたっぷりだもん。

 

駄目だ、訳がわからなくなって変な思考まで出てきてしまっている。

一旦落ちつかなければ。

 

カリフとかはどうしてるのか、と見るともうすでにカリフは準備運動を始めていた。

「よし、じゃあさくっとやりますか!」

 

「なんでそんなに元気なんだよ‥‥‥」

 

「くよくよしてても仕方ないだろ?出来ることからやってこうぜ!」

 

はぁ、とサムズアップしているカリフを見ながらため息をつく。

何だかんだで間違ってはいない。現状、それが最善策なのは分かっているのだ。分かっているのだが‥‥‥

 

「お前のそのポジティブ精神が羨ましいわ‥‥‥」

 

本当に。普通なら混乱するところだろうが。見ろ、シルも顔には出てないが、微動だにせず固まっているぞ。

まぁ、言い出したら詮のないことだ。この性格で何度か助けられたこともある。このままでいいのだろう。

 

カリフは、拳を手のひらにぶつけ、よし!と気合いを入れた。

 

「じゃあまずは近くから出来るようになるように始めようと思う!」

 

「さっき龍仙人が言ってたまんまだな」

 

ちゃんとヒントを残していく辺り、教育者としてはしっかりしている。こんなところに放置しなければの話だが。

 

「そこんとこはいいんだって。ちゃっちゃとやんなきゃ日が暮れちまぞ」

 

出鼻を挫かれたカリフが、こちらにもやれと言って来たので、早速取りかかるとする。

 

 

さて、まずはカリフに飛んでみようか。

 

気を把握する。

 

 

‥‥‥よし、把握完了。ここまでは分かる。あとはそこに向かって飛ぶだけ。‥‥‥飛ぶだけ‥‥‥飛ぶだけ‥‥‥飛ぶってなんだっけ‥‥‥‥。

 

 

うむ、分からん。一概に飛ぶつってもどうすればいいのか分からない。どこでもドアの理論が分からないのと一緒だ。空間を越えるってどうするんですか。

 

ああ、飛ぶって文字がゲシュタルト崩壊起こして来やがった。

 

「ぬぐぅぅぅぅぅ」

 

頑張ってやってみるが、舞空術と違い、力業でどうこうできる問題ではなかったようで。結局気を使い果たし、地面にへたれこんでしまった。

 

見ればカリフの方も疲れた、といった風に寝転がっている。

 

「‥‥‥大丈夫?」

 

その姿を見て心配したのか、今まで空気だったシルが話かけてくる。

 

「この状況は、完全に大丈夫じゃないな‥‥‥」

 

思わずそう呟いてしまう。やはり、瞬間移動というのは一筋縄ではいかないのか。今までとは明らかにレベルが違う。早くおうち帰りたい。

 

そこから、全員無言になってしまった。俺も何か考えなければと、また思考を重ねようとしたその時だった。

 

ぐぅ、と全員の腹の音が綺麗に重なった。

 

 

ああ、そういえば急に連れてこられたから、朝飯食ってなかったな。等といった、のほほんとした考えが浮かび‥‥‥急にカリフが叫んだ。

 

 

「あああああああ!!」

 

 

「‥‥‥‥」

 

どうした、何か思い付いたのか、と言いかけたが、叫び方がアイデアを閃いた類いのものではなかったので、変わりに怪訝な視線をカリフに向ける。が、それどころではない、といった風にカリフはさらに続ける。

 

 

「飯!忘れてた!どうすんだよこれから!」

 

 

「‥‥‥ああ‥‥‥飯ね‥‥‥」

 

 

今言うことじゃないだろ、と言いかけ、はたと気付く。

 

 

‥‥‥見知らぬ土地で。手ぶらで。置き去りにされて。衣食住、何も無し。

 

 

――――――――――帰る帰らないの問題ではない。死活問題じゃねぇか!

 

 

 

見事なまでのないないづくし。引いては、さっき龍仙人は人は住んでいない星と言っていた。

 

つまり、そこから分かるのは。今、俺達がしなければならないのは。

 

「‥‥‥ねぇ、どうするの?」

 

同じことに気付いたのだろう、不安げにシルが再度問いかける。

それに対して、俺は叫んだ。

 

 

「ま、まさかの‥‥‥サバイバルかよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

俺の魂からの叫びであった。

 

 

 

 

 

 

 

さて――――――――ここで話は変わるが、修業で身につけた技について話そうかと思う。

前提として、気は空を飛ぶことも出来るし、エネルギー弾も放つことが出来るが、魔法とは似て非なるものである。使い魔を召喚することも出来なければ、炎や雷といった属性を付与させることもない。出来るものもあるっちゃあるのだが。まぁ、そこら辺は置いておいたとしても、基本的には魔法ほどバリエーションがあるわけではない。洗脳や金縛り等は魔術の分野である。主にバビディなどが使うものだ。

だが、そこを外せば、ある程度のことは出来ると言ってもいい。

 

例えば―――――――――――分身。

 

残像拳ではなく、質量を持った分身。影分身のよう、というかまんまそのままの技である。これを気で再現が可能である、と知った時は驚いた。が、よくよく考えてみると、GTでゴジータ4が使っていたような気もする。ブラフかめはめ波で煽った時だが、『5人同時』と言っていたため、分身が出来ると考えられるものは考えられる。原理はともかく、ゴジータさんだから納得してしまっていたが。まぁ、何にせよ、出来るのである。作品が違うような気もするが、気にしない。気にしたら負けである。

 

ともかく、その技を俺はヤードラット星の修業で覚えた。とりあえず死にそうだったということだけ言っておこう。なんだよ、体を分けろって。こちとら普通の人間だぞ。いや、普通ではないが。

 

 

「よっと」

 

 

手早く目の前にいた猪を狩る。ここに来て数ヵ月(・・・)ずっとやってきたため、もう手慣れた作業である。それだけでなくとも、ヤードラット星で修業ついでにやっていた時期もあるぐらいだ。サバイバル紛いのことが出来ないということもない。あえて自分からサバイバルをしようとは思わないが。

 

 

「‥‥‥今日の分はこれぐらいでいいか」

 

さっき狩った猪、木に登って取った果実、食べれそうな草、その他諸々。

とりあえず食料のノルマはクリアした。これだけだと大食いのサイヤ人には少ないが、一応、一人が集める分の食料である。これが五個ずつあれば十分であろう。分身も四人出して、それぞれ食材集めに向かわせている。頑張って覚えた甲斐があったものだ。

‥‥‥まさか龍仙人はこれを見据えてサバイバルの仕方とか分身とか覚えさせたのだろうか。

 

「まさかな‥‥‥」

 

でも、あり得ないこともない。全ては計画の内かもしれない。これを行う為の。そうだったら怖いわ。どんだけこれやらせたかったんだよ‥‥‥。まぁ、術を教えるだけ良心的か。

 

‥‥‥そうなると、カリフは何を覚えたのだろうか。俺とカリフは違うものを習ったそうだが。

 

「っと、早く帰らなきゃ日が暮れちまう」

 

本当はまだまだ後なのだが、そこは気分の問題である。

実際、時間がないのも事実なのだ。

 

進展のない瞬間移動の修業に、日々の組手等による戦闘力増強の修業。さらに食料等の生活物質の確保etc‥‥‥。兎に角、挙げていけばきりがない。

 

そして、本当に辛いのが瞬間移動に全く進展がないことだ。

 

よく考えても、専門家のもとで習った悟空しか使えていないのである。クウラは‥‥‥まぁ、機械だし。

生身の人間では悟空のみであるということは、他のZ戦士は覚えられていないのである。メタ的なことを言ったらあれかもしれないが、それ相応の難しさがあるのには変わりがないのだ。

 

一応こちらもヤードラット星の技に慣れているとはいえ、瞬間移動をすぐに覚えられるような気もしない。

 

「‥‥‥はぁ」

 

前世は時間が有り余っていると思っていた時も多かったが、今ではそうはいかない。精神と時の部屋が欲しいです。

まぁ、この思考も何回も重ねており、今更であるし、無駄と分かりきってはいるのたが。

 

 

荷物を背負い、目的地に向かう為に舞空術を使用する。

因みに目的地は初期地点と変わらない。移動して変に方向がぶれたら元も子もないからだ。

 

飛んで見える景色ももう慣れた。それが変わらない現状を表しているようで、妙に焦りを覚える。

 

やはり、早く帰って修業しなければ。

 

 

 

 

 

 

 

そう思い直した直後。

 

 

 

 

「‥‥‥!?」

 

 

 

 

 

ゴッ!!!と、突如地面が唸りをあげた。

 

 

 

何が起きた、と把握する間もなく、その地面から黒い影が這い出た。その影は、一瞬の内に辺りを浸食し始めた。

 

 

 

いや、影ではない。深い緑色をした物体が、触手のように、辺りを包み込んでいるのだ。

 

まるで、この星にある全てを食らい尽くさんという勢いで。

 

 

 

それは、この世界では見たことがないけれど。

 

前の世界では、見たことがある生き物。

 

 

「‥‥‥神‥‥精‥‥樹?」

 

 

どうやら、また新たな物語が始まるらしい。

 

その俺の呟きは、神精樹が這い出る音に混ざり、虚空へと消え去った。

 

 




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