私の奇妙な大学生活   作:ganmodoki52

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私はこの全てを捨てることも厭わない。

 

私の為の新入生歓迎活動と台打って行われる事になった第1回の散歩同好会の活動。

行きたいところ、なんて先輩に唐突に振られた為私の口から出てきたのは

「えーっとじゃあ、浅草とかどうですか?」

というありふれた観光地だった。

そして開催日当日。雷門前に集合した私達だったのだが・・・。

「なあ、一色。本当にこんな場所でいいのか?もっとなんか他の場所でもいいんだぞ?てか帰ろう。な?人が多過ぎる。」

「ダメだよ比企谷くん。しっかり先輩として後輩の為に活動しないと〜。」

「その陽乃さんは、俺達の時は連れてってくれなかったんだけどね。」

「うっ、それは、ほら、私が論文で忙しかったから・・・その、ごめんね?」

「ほら、昔の話はいいんだ。今の話をするぞ、帰る、帰る、帰る、から一色、選べ。」

なんでこの人は集合地点で帰る気まんまんなんですか・・・。

「帰るわけないじゃないですか、行きますよ先輩。先輩には運動が必要です。」

ガシッ

先輩の袖を掴み、強引にスタートさせる。

「おい、引っ張んなよ!服伸びるわ!」

「ちょっと一色ちゃん!それ私の役目!と言うか譲って!」

まあ陽乃先輩はそう言いますよねー。それじゃあ、えーっと、

「そうですね〜。その、胸の大きくなる方法教えてくれたら・・・、いいですよ・・・。」

自分で言っておいて凄く恥ずかしい!段々声が小さくなっちゃったけど陽乃先輩聞き取れたかな?

なんでこんなお願いかと言うと、やっぱり陽乃先輩の凶悪なボディを見てると女子として自身を無くすと言うか、なんというか・・・。

いや、肌のキメ細かさなら年齢の分勝ってるとは思うんですけど・・・、それ以外は全敗と言うか・・・。

「その交換条件、乗った!ただ、肌のキメ細かさも負けてないと思うよ?なんなら今度見せてあげるよ?」

「あははは・・・。」

思いっきり心の中読まれてるじゃないですか!?

さすが先輩以外の事は完璧に近い事はある・・・。

「なあ、葉山。なんで女子2人は俺の両袖を掴んでこんな話してるんだと思う?」

「俺は邪魔かもしれないね。まあ、このままじゃ誰も活動報告しないだろうから居るけども。」

「おい、それ答えになってねえぞ。それとお2人ともそろそろ本気で服が伸びるので辞めてください、大人しく歩きますから・・・。」

そう言われ私は大人しく袖から手を離し、陽乃先輩は先輩と腕を組んだ。

「はあ・・・。それじゃあ、第1回散歩同好会の活動を始めますか。」

先輩の一言により、無事に私にとって最初の活動がスタートされた。

 

散歩がスタートしてから前に先輩陽乃先輩ペア、後ろに私と葉山先輩という構図で歩いている。浅草寺内は人が多いので、1列は邪魔ですからね、当たり前です。

「比企谷くん!お姉さん人形焼がたべたいな〜。」

「さっきアイス食べたばっかりでしょ?太るからダメです。」

前の2人はこういう会話や腕組みを見る限りカップルにしか見えないですねー。

私と葉山先輩は殆ど会話が無いですけど・・・。

ズキッ

前を見ていて胸の奥のどこかが傷んだ気がしたけれど、そんなものは無視する。無視するしかないから。

「なんだか子供に言うみたいな言い方でむかつく。それに余計な脂肪は胸に行くからいいんですー!」

ピキッ

私が思い悩んでる間に陽乃先輩は随分な事を言ってますね・・・。

「先輩!このおっぱい魔人にこれ以上栄養与えちゃダメです!この人女の敵です!」

「ふふふ。一色ちゃん、自分の胸に自信無いのはよくわかったから。大丈夫大丈夫、これからまだ伸びるよ。私もだけど。」

「やっぱりこの人敵です!先輩も何とか言ってください!」

「いや、俺が言う事無いからね?と言うか2人の会話に俺が突っ込める所無かったからね?言えるとすれば、」

「一色、あまり気にするな。お前は今のままでも充分、その・・・、かわいいぞ。」

ボシュッ

え?え?かわいい?今、先輩が、私のことかわいいって?

いやいや、まさか。先輩みたいな人が人をそんな簡単に褒めたりするわけないに決まってます。きっとこれは私の聞き間違いで、でも私の耳には先輩のかわいいって声がリピートされてて・・・・・・

「おーい、一色ー!こいついきなり動かなくなったけどどうしたんだ?」

「やっぱり比企谷くんにはたらしの才能があるみたいだね・・・。お姉さん心配になってきたよ・・・。ねえ?隼人。」

「比企谷に自覚無いのは陽乃さんも知ってるだろ?今までは陽乃さんがこれを喰らってた訳だしね。」

「ん?お前ら何の話してんだ?と言うか一色もどってこーい!ここで立ち止まってると他の人の邪魔になる。」

「はっ、あ、はい。ごめんなさい、もう大丈夫です。」

完全に幸せトリップに陥ってた・・・。ダメだ。違う。私じゃない。先輩は陽乃先輩と。

ズキッ、ズキッ

さっきよりもずっと胸が痛い。油断すると涙が出てきそうだ。こんな所で泣いたらきっと感づかれてしまう。

『そんなに辛いなら、逃げちゃえば?』

心の中の私がそう呼びかける。

そうだね、それがいいのかもしれない。

『逃げちゃうくらいなら、自覚しちゃいなよ。自覚する気が無いなら、なんで傷つくのさ。』

なんでって、そんなの

『先輩の事が好きだから、でしょ?ほら、やっぱり自覚してるじゃん?』

そんなこと、そんなこと、あっちゃいけない。だから私は。

「なあ、一色。何食べたい?今日はお前の日だ。好きなもの奢ってやる。葉山が。」

また黙り込んでしまった私を心配してか、先輩はそう問いかけてくる。

「結局俺なのか・・・。活動なんだから部費でいいじゃないか。」

「それもそうだな。で、何にする?」

「えっと、人形焼でお願いします。」

「流石一色ちゃんわかってる〜。と言うわけで比企谷くん買ってきて!」

「はいはい。んじゃ言ってくるから中の方で再集合な。」

そう言って先輩は人の波の中に消えていきました。

 

その後は、本当にあっという間で。

浅草寺で御参りして、人気だというメロンパンを食べて、皆でスカイツリーまで歩く。

その一瞬一瞬が、特別で、大学に入ってからの私の支えだって事を再確認して、そして。

「今日は私のためにありがとうございました。その、たのしかったです。また、先輩の気が向いた時に行きましょう。」

「一色ちゃんも比企谷くんという人がわかってきたみたいだね。また行きましょうなんて言ったら絶対行かないもんね、比企谷くんって人は。」

「まあ、俺が催促しない限り部室から動かないでしょうね。歩いてる時は誰よりも楽しそうな癖に。」

「いつどこで俺が楽しそうにしてたよ、どう見てもへろへろだろーが。絶対に気なんて向かないからな。一生引きこもってやる。」

「それなら私が養ってあげる、なんちゃって。」

「それなら本当に楽なんですけどね。なんちゃってならしょうがないっすね。」

「陽乃さんのこういうところは本当に残念だと思うよ。」

そんなやりとりを眺めながら

「はあ、楽しいな・・・。」

そう、私が呟くと、

「何言ってんのよ!これからもっと楽しくなるんだから!ね?」

「そうですね。まあ、それは会長次第かもしれないけどな。」

「ばーか。楽しくなるに決まってるだろ。このメンツだしな。」

先輩が今日一番の笑顔で笑っている。

はあ、その笑顔をまた見たかったな。

先輩、本当に本当にありがとうございました。

そして、さようなら。

 

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